591  政権と司法

 7月に入って、とんでもない暑さになっています。北海道と東北を除く地域で猛暑が続き、40℃近い最高気温を記録するところもあります。梅雨明けは7月20日から22日にかけてとの予報で、末期には大雨災害も予想されます。7月初旬の異様な暑さは、高温のみならず湿度も高いので不快この上無し、畑作業していても熱中症寸前です。いや、汗が止まらないので、恐らく熱中症になっているのでしょう。そのまま我慢すると死に至る可能性があります。

■ 東京都知事選
 東京都知事選でザワザワする声も聞こえましたが、我が心には響きませんでした。誰が都知事になろうが、今東京が持つ求心力、若者に対する魅力は変わらないのですから、結果的にブラックホール東京に吸い込まれた若者はそこで生を全うし、東京はドンドン老いて行く、と言われています。世界の大都市の中で、トウキョウがキワメツケで衰退都市に位置付けられている国際世論を聞くと、そんな都市の首長選び、声を枯らして訴えている人たちがなんだか悲しいと思った選挙でした。現状のトウキョウを見れば、都知事候補はかつての自民党総裁のように自らの組織をぶっ壊す、ぐらいの迫力が必要でした。このまま東京が老いて行くのはイヤだ、自分はこうする、という候補が欲しかった!蓮舫さんはそもそもトップに立つタイプの人ではありません。ああいうひとが上司になったらと考えただけでぞっとする人が大半でしょう。では元安芸高田市長の石丸伸二氏はどうか?ネットで無党派層や若者を引き付ける手法は、近年特に有効な手段です。しかし、「恫喝」裁判で広島地裁に続き高裁も石丸前市長や安芸高田市に対して原告市議への損害賠償の支払いを命じました。こういう人が都のトップになったらどうなるか?怖いですね。結局、現職しか無かったということです。

東京都庁プロジェクションマッピング(2024年2月25日)

■ 新札発行
 日本紙幣の新札が2024年7月3日発行されました。国立印刷局のホームページでお札のことが紹介されています。1万円札は聖徳太子(1958年12月1日発行)→福沢諭吉(現大分県中津市生まれ。1984年11月1日発行、2004年11月1日改札発行)→渋沢栄一(現埼玉県深谷市生まれ)、5千円札は聖徳太子(1957年10月1日発行)→新渡戸稲造(1984年11月1日発行)→樋口一葉(2004年11月1日発行)→津田梅子、千円札は聖徳太子(1950年1月7日発行)→伊藤博文(1963年11月1日発行)→夏目漱石(1984年11月1日発行)→野口英世(2004年11月1日発行)→北里柴三郎と変遷しています。

(毎日新聞より)

■ 最近の世界情勢
 皆様、最近の世界情勢についてどう思われますか?プーチンのイラク侵攻以降、「秩序」なんて言葉は何処へやら、言わばやったもん勝ちみたいな、とてつもなくイヤ〜〜〜な雰囲気が蔓延しています。世界各国でこれまでの政権から反対派への移行が進み、ポピュリズムに乗った指導者が現れています。一国の権力者がプーチンやネタニヤフ、あるいはエルドアンみたいな人だとどうなるか・・・? そのような過激な人物ではなくても、例えばドイツでは16年首相の座にあったメルケル氏に代わって中道左派のショルツ氏が首相になりました。韓国では文在寅氏から尹錫悦大統領になって劇的に日韓関係が良くなりましたが、総選挙では再び共に民主党が勝利して少数与党の苦しい政権運営になっています。インドはモディ首相が引き続き政権を担いますが、支持が下がって先行き暗雲が立ち込めています。英国では、14年ぶりの政権交代が実現しました。保守党は選挙権が拡大された1832年以来、最低の議席数となる惨敗に終わり、圧勝した労働党は国内の立て直しに取り組むことになりますが、課題山積で大変です。ブレグジットは果たして正解だったのか?あまりにも揺れ動く英国民の意識、ちょっと心配です。心配と言えばフランス、7日に実施されるフランス国民議会(下院、577議席)総選挙の決選投票で、マリーヌ・ルペン氏が事実上率いる極右「国民連合(RN)」の第一党阻止のため左派連合と与党連合が候補者調整を行い、これが奏功するのではないかとのことです。マクロン大統領の中道連合は議席数を減らすと予想されています。イラン大統領選の決選投票の結果が7月6日発表され、改革派マスード・ペゼシュキアン元保健相(69)が、保守強硬派サイード・ジャリリ最高安全保障委員会元事務局長(58)を破り、当選しました。改革派の大統領としてはハタミ元大統領以来、19年ぶりです。欧米と対立を深めた保守強硬派の外交路線から融和路線へ回帰を目指すと見られます。米欧の経済制裁や国際社会における孤立で社会不安が高まり、女性に対するヘジャブ(スカーフ)着用の強制などで抗議行動も見られた中、現状路線の維持を訴える保守強硬派との違いを明確にし、変化を望む国民の支持を得た形です。ただ、イランでは国の方針を最高指導者ハメネイ師が決めるため、大統領の権限は限られます。しかし国民の意思が示されたことで、これまでの米国との対決路線には変化が出てくるでしょう。そして日本では9月の自民党総裁選、11月の米国大統領選となります。

やはりロシアは広い

■ 北川健太郎元大阪地検検事正の逮捕
 最近政治や司法の動きがきな臭くなっています。鹿児島県警の不祥事は、通常警察がやってはいけないマスコミへの強制捜査が明らかになったことから始まりました。また北川健太郎元大阪地検検事正が5年前の準強制性交容疑で突然大阪高検に逮捕されたのには、エッ、どうして?とビックリしました。この人は2018年2月から翌年11月まで大阪地検のトップとして、森友学園に絡む財務省の公文書改ざん事件の捜査を指揮し、2018年5月に佐川宣寿前国税庁長官ら財務省幹部38人全員を不起訴にしたことで知られます。しかし出世コースを放り出して定年を待たずに退官して弁護士になった理由は当時謎でした。それが5年も経ってから突然逮捕され、しかも逮捕は地検が行うものなのに高検が行うのは極めて珍しいこと。なぜ今頃になっての逮捕なのか、通常ならあり得ないことが起きたのです。どうやら部下の女性検事との関係が退官理由だったみたいで、当時検察は事件化する気がなかったみたいですが、今回外からの圧力があったのでは?と元東京地検特捜副部長の若狭勝さんは言っています。

ムクゲ

■ 司法の独立
 6月23日の通常国会閉幕を待って、検察が動いたと思われます。昨年末に東京地検特捜部が自民党安倍派の組織的な裏金事件に切り込んだ時、検察の覚悟を知りました。以降安倍派はガタガタとなり、岸田首相が岸田派(宏池会)の解散を突如言い出して、結局麻生派以外の派閥は皆解散しました。6月25日の北川健太郎元大阪地検検事正の逮捕、6月27日には大阪地裁が黒川弘務氏の定年延長に関する文書の開示を国に命令する衝撃の判決が下されました。検察官は63歳が定年と決まっていますが、安倍政権は黒川弘務東京高検検事長の定年を延長し、それを黒川氏個人ではなく検察官一般に国家公務員の定年延長が適用されるよう法解釈を変更したと説明しました。しかし本当の狙いは黒川弘務氏を検事総長にするためで、これは検察内部では検察人事への介入と受け取られたようです。「司法の独立」は裁判官にとっても検察官にとっても至上命題です。政治に介入されることは有ってはならないのです。大阪地裁判決は、安倍政権の閣議決定の目的を「黒川氏の定年延長しかありえない」と断じたわけです。

アメリカフヨウ

■ 森友学園事件
 2012年に誕生した安倍政権は、菅官房長官が背後からにらみを利かせて官僚機構を操縦する「安倍・菅政権」と呼ぶべきものでした。それまで財務省が握っていた権力を内閣府が奪い取りました。以降官僚は内閣府の顔色を窺わざるを得なくなりました。順調に見えた政権がスキャンダルに見舞われたのは、2017年2月の森友学園事件でした。安倍明恵夫人が名誉校長を務める大阪の森友学園が、国有地を安く購入した疑惑を国会で野党に追及され、安倍総理は「私や妻が関係していたなら総理大臣も国会議員も辞める」と気色ばんで答弁し、一躍注目を集めました。財務省の佐川理財局長は「交渉記録は破棄した。残っていない」と答弁し、明恵夫人も名誉校長を辞任して国会は閉幕しました。佐川氏は国税庁長官に出世し、翌年3月2日、朝日新聞が財務省の公文書改ざんをスクープすると、5日後、近畿財務局職員の赤木俊夫さんが自殺し、さらにその2日後に佐川国税庁長官は辞任しました。そして5月31日、大阪地検特捜部は「背任」、「証拠隠滅」、「虚偽公文書作成」など6つの容疑で告発された財務省幹部全員を不起訴処分にしました。6月、財務省は改ざんに関する調査報告書を公表し、職員20名を処分し、改ざんは「国会審議で議論の材料を増やさないために行われた」とし、佐川局長は「改ざんを認識しながら作業を止めることをしなかった」とされました。麻生太郎財務大臣は「誠に遺憾、深くお詫び申し上げる」と謝罪しました。翌2019年3月、検察審査会は「不起訴不当」を議決しましたが、大阪地検は再び不起訴の決定を下し、8月に捜査はすべて終了しました。財務省も麻生財務大臣が「できる限りの調査は尽くした」としてさらなる調査を否定し、幕引きが図られました。

フヨウ

■ 参議院議員選挙・・・自民党本部と広島県連の対立
 2019年7月は参議院議員選挙が予定されていました。広島選挙区から6期目を目指して出馬する溝手謙正参議院議員は、岸田派「宏池会」の重鎮で、当選すれば参議院議長になる可能性があり、「大の安倍嫌い」で有名でした。自民党広島県連は岸田氏の息のかかった人が多いので、溝手氏が自民党公認候補になることは早くから決まっていましたが、安倍総理と菅官房長官の意向を忖度する党本部は、2人目の候補を立てようと画策します。自民党で2議席独占しようというのが表向きの理由です。2019年3月に河井杏里氏の擁立が決まると、岸田氏のおひざ元である自民党広島県連は強く反発しました。しかし党本部は溝手候補に渡した選挙資金の10倍にあたる1億5千万円の資金を投入して河井杏里候補を応援したのです。菅氏が河井杏里候補の応援演説に広島入りしました。この選挙はポスト安倍を狙う岸田氏と菅氏の代理戦争と当時自民党内では言われ、菅氏は何度も現地入りし、安倍事務所も全力を挙げて河井候補を支援しました。その結果、自民票が割れて、立憲民主党候補がトップ当選し、残る1議席を河井氏が奪い溝手氏は落選しました。当時政調会長だった岸田氏は顔に泥を塗られた形でした。河井杏里氏の夫である河井克之衆議院議員は、選挙前に何度も安倍総理と会談していることが確認され、溝手支持の地方議員を切り崩すため、現金を配って歩いたことが現地ではささやかれていました。さらに河井克之氏は選挙後の9月に法務大臣として初入閣を果たすのです。そこには選挙違反事件の摘発をもみ消すため、上からにらみを利かせようとする意図が見え、検察はもちろん、法務省内には反発する人間が多かったと推定されます。反発は自民党広島県連も同様で、やがて10月30日に週刊文春によって河井陣営がウグイス嬢に法定以上の報酬を支払ったことが報道されると、翌31日に河井法務大臣は辞表を安倍総理に提出しました。

ハイビスカス

■ 黒川氏の定年延長と河井夫妻の有罪、辞職
 「安倍・菅政権」は次なる手を打つ必要に迫られました。それが黒川弘務東京高検検事長を定年延長させ、検察トップの検事総長に据えようとする人事構想でした。しかし検察内部では黒川氏と同期の林真琴氏が検事総長になると見られていたこともあり、「安倍・菅政権」の人事介入には強い反発がありました。第二次安倍政権で最初に起きた小渕優子経済産業大臣の政治資金規正法違反事件では、3億円を超える虚偽記載、不記載があるのに、黒川氏は元秘書と元会計責任者を立件するだけにとどめ、また甘利明経済再生担当大臣の口利き汚職事件では誰も立件させず事件そのものを潰したこともあり、菅官房長官は黒川氏を高く評価していました。黒川氏が定年で退官する1週間前の2020年1月31日、安倍内閣は黒川氏の定年を延長するため検察官の定年を一般の国家公務員と同様に延長できるとする解釈変更を閣議決定しました。その頃、広島地検の特別刑事部は河井夫妻の選挙違反事件の捜査を行っており、家宅捜索などに入っていました。その後黒川氏をめぐる動きは収まったかに見えたのに、事態は一変しました。コロナ禍で夜間の外出や密になることを自粛させられていたのに、黒川氏が朝日新聞や産経新聞の記者と賭けマージャンをしていたことが5月20日に週刊文春に報道され、黒川氏が安倍総理に辞表を提出したのです。6月17日、河井夫妻は自由民主党を離党、翌6月18日、公職選挙法違反の容疑で東京地検特捜部によって逮捕されました。その後9月16日に菅内閣が誕生し、1年後の2021年10月14日には岸田内閣となります。2022年7月8日安倍晋三氏は奈良市で参議院議員選挙の応援演説中に銃撃され死亡しました。弔い合戦の形で岸田総理には追い風となり、2日後の投票日、自民党が大勝しました。ご存知の通り、河井杏里氏は執行猶予判決を受けて参議院議員を辞め、夫の河井克之氏も衆議院議員を辞めて収監され、2023年11月29日仮出所しました。

モミジアオイ

■ 政治と検察・・・権力の蠢き
 安倍内閣と大阪地検と東京高検、自民党本部と広島県連と広島地検と東京地検、政治と検察の複雑な思惑を、最高検や東京地検は当時どのような思いで見ていたのか?と考えると、いまハタと思いつくのです。昨年末に東京地検特捜部が強制捜査に着手した安倍派の裏金事件は、「安倍・菅政権」に対する岸田総理の復讐なのではないか?と疑ってしまいます。いや、もしかすると「安倍・菅政権」に対する検察の報復かも知れません。検察は独立していると言われるものの、組織上は行政機関の一つであり、トップにいただくのは最高権力者の内閣総理大臣ですから「安倍・菅政権」に対する報復は岸田政権が誕生するまで待たなければならなかったし、弱小派閥の岸田政権が最大派閥の支配を免れるまではそれも難しかったはずです。岸田総理は支持率が低迷しても持ち前の「鈍感力」でどこ吹く風という感じですが、実はとてもしたたかな人に見えます。広島と山口は隣同士です。歌手のあさみちゆきは山口県、心友の竹川美子は広島県の出身です。関係ない?スミマセン。先日吉祥寺のコンサートでお二人を見ました。岸田総理は安倍氏の選挙区で親の代からの天敵である林芳正氏を外務大臣に抜擢し、さらに衆議院に鞍替えさせました。まるで安倍氏に政界引退を迫るかのような動きです。しかも子飼いの防衛事務次官を交代させて安倍氏を激怒させたのが2年前の参議院選挙直前のこと、選挙が終わったら安倍氏の反撃があるのでは?と危ぶんでいたら安倍氏は銃撃されて帰らぬ人となってしまいました。林芳正氏は官房長官となり、安倍氏の居ない山口選挙区はもはや盤石です。昨年夏に東京地検特捜部が摘発した洋上風力発電汚職事件では、河野太郎デジタル担当大臣の右腕と言われる秋本真利衆議院議員が逮捕されました。河野氏は小石河連合の一人で、バックには菅氏がいて、岸田総理の政敵の一人です。東京地検は自民党の各派閥関係者から政治資金パーティについて事情聴取を始め、それが年末の強制捜査となって最大派閥の安倍派が解散に追い込まれました。麻生派以外が解散し、自民党内部では岸田総理への反発が高まったことに野党支持者が同調して内閣支持率は超低空飛行を続けています。公然と「岸田おろし」を本格化させたのは菅氏です。茂木敏允幹事長、石破茂元幹事長など総裁選に出馬する可能性のある政治家と次々に会談を重ねています。加藤勝信氏とも会っています。それを見て二階俊博氏は「早過ぎる」と言いました。菅氏の焦りは、最近次々と「安倍・菅政権」の負の遺産に光が当てられてきているからではないでしょうか。河野氏は麻生氏に総裁選に出たいと言ったみたいです。ドロドロした闘いに、検察の動きが絡んで、こんなんでいいのか?という感じですね。
(2024年7月7日)


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