574  少子化

 3月6日朝、起きたら外は真っ白、3月8日も同様でした。日中の気温が高いのですぐ雪は溶けます。今年は2月が暖かく、河津桜が早くに咲き出したのですが、3月に入って一転寒くなりました。国道400号線と箒川に沿って展開する那須塩原温泉に泊ってきましたが、朝起きたら車の上に雪が積もっていました。春だと思ったのにビックリ、しかしまあ、那須塩原温泉は標高が高いので、雪が降っても不思議はありません。那須塩原温泉の西側尾根向こうの鬼怒川沿い、会津西街道には川治温泉、更にその北には湯西川温泉が有ります。


中塩原の箱の森プレイパークは吹雪でした

■ 五百旗頭真氏急逝
 防衛大学校長を務めた神戸大名誉教授(日本政治外交史)の五百旗頭真(いおきべ・まこと)さんが2024年3月6日、急性大動脈解離のため死去されたとのこと、80歳でした。筆者の先輩も77歳で急性大動脈解離で逝去、当人にとってはPPKの典型ですが、家族にはショックでしょうね。五百旗頭さんが理事長を務める「ひょうご震災記念21世紀研究機構」(神戸市中央区)によれば、3月6日午後、執務中に倒れ、病院搬送後に亡くなられたそうです。広島大助教授や米ハーバード大客員研究員を経て、1981年に神戸大教授に就任しました。1995年1月、西宮市の自宅で阪神淡路大震災に遭遇、災害対応や復興政策も研究テーマの一つになりました。防衛大学校長(2006〜12年)時代の2011年3月には東日本大震災が発生し、政府の要請により東日本大震災復興構想会議の議長に就任しました。熊本県立大学理事長在任中の2016年には熊本地震が発生し、くまもと復旧・復興有識者会議の座長を務めるなど、震災と共に生きた人生でした。天皇陛下の相談役の宮内庁参与、一般社団法人アジア調査会(東京)会長としても活躍されており、政権から国際関係などで意見を求められることも多く、宮沢喜一氏や小泉純一郎氏ら歴代首相とも親交がありました。
五百旗頭真氏

■ 2018年1月のESSAY
 前回のテーマは「結婚」でした。大谷翔平選手の結婚に関連したものです。今回のテーマ「少子化」は、五百旗頭真さんの訃報に接し、五百旗頭さんが253『今後の日本』(2018年1月14日)のなかで、国際社会において、人口が減っていく日本の立ち位置をどうイメージすればいいのかという点について、「今の日本はもはや大国ではなく、アメリカと中国という二大国家の間で、アメリカとの同盟を大事にしながら、中国と協力関係を結ぶ...トランプ大統領の反国際主義に追随するのではなく、よき世話役として国際秩序を支える...そういう役割を担うのは中型国家であって小国ではない。日本にとっては、今が一番大事な時期だ」とおっしゃったことを思い出し、改めてこの時のESSAYを見ていたら、「少子化」というテーマにたどり着いたのです。2018年1月からもう6年過ぎたのですが、この当時のリスクはトランプ大統領でした。増田寛也氏、福田康夫氏、五百旗頭真氏、清家篤氏が日本の未来を話し合う「新春座談会」を興味深く読んだことを書いています。テーマは「縮む日本の先に」・・・@人口減少、A東京一極集中、B生産年齢人口2千5百万人減、C移民、D制度改革の主体が論点でした。
 このときに日経平均株価の長期推移を下のグラフで載せています。そして「過去の事例ではバブルはおよそ30年周期で現出しています。1989年の大納会のピークから30年は?どうやらまだまだ上がるでしょう」と書いています。そして「リスクはトランプ大統領でしょうね」とも書いています。

■ 日経平均株価の動き
 そしてどうなったか?同じ日銀のホームページから転載します。
 1989年のピークから30年後、バブルが30年周期とすれば2019年ですが、もはやそれから5年経ちました。2019年と言えばコロナ禍によって一旦バブルがムヤムヤと勢いを失ったのかもしれません。ただグラフから見えるのは、アベノミクス以降の日経平均株価の上昇は、ホップ〜ステップ〜ジャンプ〜も一つおまけにハイジャンプ、という感じですから、史上最高値を突破していよいよどうか?という場面です。

■ 縮む日本の先に・・・
 253『今後の日本』(2018年1月14日)を見返して、五百旗頭氏が阪神大震災の経験者として、東京一極集中で間違いなく問題になるのは必ず来る災害、首都直下型地震だ、大自然を甘く見てはいけないと言っていることに着目しました。福田康夫氏は東京一極集中が人口減の一因だと言います。増田寛也氏は、政府は「東京一極集中是正」を閣議決定しているが、それは消極的な目標であって、一極集中を是正した後、東京と地方をどうするんだというビジョンがどこにもないことが問題だ、と指摘しました。地方から若者が東京や大阪などの大都市に集まり、地方がドンドン過疎化し、しかも東京に集まった若者は結婚せず子どもが産まれない、それが少子化の原因だと言います。清家篤氏はちょっと論点が違い、女性と高齢者の就労を促進し、子育て支援の速やかな拡充、パートの厚生年金加入、配偶者控除制度の抜本的見直しが必要だと主張します。医療や介護は「第4次産業革命」により検査や診断を人工知能(AI)に委ねる部分が多くなると、前向き、楽観的な見通しを言います。

福田康夫氏
 
増田寛也氏
 
清家篤氏

■ 評価下がる日本、儲かる企業、その影で...
 五百旗頭氏が日本はもはや大国ではない、とおっしゃっていたことを6年後の今、ヒシヒシと痛感しています。円安が固定化しつつあるのは、日本が海外から見た時にもはや先進国ではないと見られている顕れです。通貨が安いというのは客観的評価、近年はアルゼンチンやトルコなどと比べられるほどYENは情けない評価になっています。日本の赤字が恒常化したのはサービスの赤字のためです。GAFAMによるデジタル赤字、コンサルによる海外への支出、そして研究開発の海外預託、かつて教育水準の高さで世界を席巻した日本が今や海外に研究開発投資せざるを得ないほど弱体化したのは、やはり教育の問題でしょう。半導体王国だったのが今や...この惨状一つとっても日本の政策の間違いを物語ります。日本は海外のインフレがやっと日本にも波及して、物価が上がって給与所得者の実質賃金は下がり続けています。したがって消費支出は増えない、名目は増えてますがそれは物価が上がっているからです。食費は減らせないので教育費を減らしています。円安で輸出企業は大儲け、問題はその儲けた分が労働者に還元されていないことです。今春闘ではさすがに給与アップする大企業が続々現れていますが、その裏で儲かってるのにリストラする大企業が出てきています。結局給与アップで若者争奪戦、社員をリストラして若者雇用、という流れなのです。もはや高齢者はリストラし尽くしたので、40代の就職氷河期世代をターゲットにする、何をかいわんや、そんなことをして日本の社会を壊そうとしているのが著名な大企業ですから情けない。

■ 株価の上昇の要因
 日経平均株価の上昇を政府は喜ぶ一方、財界の一部からは危惧する声も出て来ています。国民の生活実感との乖離を危惧しているのです。インフレが定着してきて日銀もこれで賃金が上がれば言うことなしとしています。政府ではデフレ脱却宣言を検討しているそうです。日本の株式市場に海外からお金が入ってきているのが株価を押し上げる要因で、中国の株式市場の下落で、中国マネーが日本に向かい、中東マネーもやってきています。カネ余りですから日経平均株価はまだ上がるでしょう。金(GOLD)も史上最高値更新中ですから、何時まで続くことやら。

■ 日中韓共通の少子化現象
 中国は一人っ子政策を廃止しましたが、政府の目論見に反して少子高齢化は進む一方です。韓国は世界で一番深刻な状況です。政府の少子化対策は日本よりずっと進んでいますが、2006年から42兆円も投じて努力してるのに人口減少が進んでいます。これは若者が結婚しない、子どもを欲しいと思わないからだそうです。ソウルへの人口集中が進み、不動産価格が上昇して、若者が家を持てない、親と同居せざるを得ない、結婚できないという構図です。韓国では一流企業とそうでない企業の給与格差が大きく、一流企業はソウルに集中しているため、ソウルに住まざるを得ません。つまり、社会の構造自体を変えない限り少子化は止まりません。日本も今や東京では億ションが普通になってきています。よく買えますね。韓国と同様、結婚しない若者が増えて、2015年に100万5千人だった出生数は2023年に75万8千人となり、政府予測をはるかに上回る人口減進行です。

■ 少子化対策
 少子化対策に42兆円使っても進む一方の少子化という韓国の現状を見ると、岸田内閣が3.5兆円投じて日本の少子化は止まるか?悲観的ですね。ヒントは身近にあります。我が少年野球チームでは休日のグラウンドに赤ちゃんを連れたお母さんたちが集まって、お母さん同士で話をしています。そして少年野球に子どもを預ける家庭は概ね兄弟姉妹が多いのです。子どもが好きだから産むのでしょうか?お金があるから産めるのでしょうか?どうやらお父さんとお母さんが仲が良くて、助け合っているからだろうと推測します。日本はまだまだ「子育て罰」社会の傾向が有りますから、特にお母さんにとっては子どもを育てるのは大変です。しかも出産は大変なことですから、子どもを持つこと自体がすごいことです。それでも子どもを産む、産まない人との違いは何か、ここに大きなヒントがあるようです。子育ては大変な一方で、子どもは本当に可愛いもの、子育ては親の生きがいになるのです。上戸彩さんは三児の母です。堀ちえみさんは子ども7人、谷原章介さんは6人、どうしてこんなにたくさん・・・。

■ 長谷川唯はスゴイんですね
 SNS上で1冊の本が話題となっているそうです。スペインの出版社「Oberon Libros」から発売された「サッカー百科事典」の表紙には中央にフランス代表FWキリアン・ムバッペ、左にアルゼンチン代表FWリオネル・メッシが並ぶなかで、右にはなでしこジャパンの長谷川唯がいます。一番左にオーストラリア女子代表FWサム・カー、右端にセネガル代表FWサディオ・マネが配置されています。こんなスゴイ選手たちの中に日本人女子選手が居るなんて...

■ Dr.スランプ、ドラゴンボールの鳥山明さん急逝
 『ドラゴンボール』『Dr.スランプ』などの名作を生み出してきた漫画家の鳥山明さんが2024年3月1日に急性硬膜下血腫のため亡くなっていたことが分かりました。68歳でした。既に葬儀は済ませられたとのことです。急性硬膜下血腫は通常転倒して頭を強く打ったときに起きます。鳥山さんは1978年『週刊少年ジャンプ』への読み切り作品でデビュー後、『Dr.スランプ』の連載を開始すると、1981年にはアニメ化もされ、大人気になりました。アラレちゃんのキャラクターは親しみ深いものでした。その後、1984年からは『DRAGON BALL』を連載、アニメ化され、世界各国で翻訳されてまさしく世界的に愛される作品となったのです。大人気ゲーム「ドラゴンクエストシリーズ」ではキャラクターデザインを担当しました。精力的に制作活動中の突然死だけに、衝撃が世界中に拡がっています。安らかな眠りを祈ります   合掌

歌手の浜崎あゆみがインスタグラムで鳥山明さんに描いてもらったイラストを投稿し追悼しました
『Rule 』という曲でドラゴンボールエボリューション全世界テーマソングを担当させていただいた際に
鳥山明先生が描いてくださった’ayu’。生涯の宝物のひとつです    ご冥福をお祈りいたします
(2024年3月10日)


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