253  今後の日本
 2018年はどんな年になるのでしょうか?日経平均株価は急騰して始まりました。昨年も年始は上がりましたが、大企業経営者の多数はあまり楽観的ではありませんでした。ところが今年は下記の通り圧倒的に強気です。こういうときはまだ株は上がります。みんなが安心して一気に急騰したときが危ないときです。それはいつ?景気とは読んで字の如し、人々の気持ちが作るものですから、みんなが安心したそのときです。それからもうひとつ、ホップ、ステップ、ジャンプというように、通常上がって、下がって、また上がって、下がって、さらに上がった次の下がりが急落になるものです。

■ 来年10月頃までは好景気継続と4分の3の日本企業が考えている
 毎日新聞が主要企業121社を対象にした景気アンケートを実施したところ、「少なくとも消費増税が予定される2019年10月ごろまで景気回復局面は続く」と考える企業が75%(91社)に上ったそうです。強気な見方が広がっているんですね。
 消費増税が景気の下押し要因になるとの懸念は強いものの、東京五輪へ向けたインフラ投資や、増加を続ける訪日外国人の旺盛な消費が景気を下支えすると考える企業が多いようです。この景気回復が2019年1月まで続けば高度成長期のいざなぎ景気(1965年11月から57ヶ月)を超えて戦後最長を更新します。
 過去の事例ではバブルはおよそ30年周期で現出しています。1989年の大納会のピークから30年は?どうやらまだまだ上がるでしょう。
 リスクはトランプ大統領でしょうね。

■ 縮む日本の先に
 毎日新聞の1月4日、岩手県知事3期・元総務相の増田寛也氏、元首相の福田康夫氏、元防衛大学校長で熊本県立大理事長・アジア調査会長の五百旗頭真氏、元慶応義塾長の清家篤氏が日本の未来を話し合う「新春座談会」を興味深く読みました。テーマは「縮む日本の先に」・・・@人口減少、A東京一極集中、B生産年齢人口2千5百万人減、C移民、D制度改革の主体が論点でした。

■ 東京一極集中が人口減少の一因
 今年は明治維新から150年にあたります。近代国家建設の歩みは、大きな曲がり角にさしかかっています。日本が抱える問題は多岐にわたりますが、国内に目を向けた時、最も基本的な課題は人口減少だと指摘されていました。日本の人口推計では、今から35年後に1億人を切る、50年後に8千万人になるとされています。人口が少なくても輝いている国はいくらでもあり、むしろ人口が減って「衰退宿命論」が社会に広がることこそ問題だ、ということでした。 福田康夫氏は東京一極集中が人口減の一因になっていると指摘した上で、現行の社会保障制度が続けられないのは明白で、制度を変えるしかない、国民にまず、そのことを理解してもらうことが重要だと主張、増田寛也氏は、政府は「東京一極集中是正」を閣議決定しているが、それは消極的な目標であって、一極集中を是正した後、東京と地方をどうするんだというビジョンがどこにもないことが問題だ、と指摘しました。人口5万人ぐらいの都市が周辺の町村と連携した組み合わせを構築すべきではないかと言います。五百旗頭氏は阪神大震災の経験者として、東京一極集中で間違いなく問題になるのは必ず来る災害、首都直下型地震だ、大自然を甘く見てはいけないと言います。

■ 労働力人口維持対策
 清家篤氏は「生産年齢人口」というのはそろそろやめた方がいいと言います。15歳以上65歳未満を指すのですが、65歳以上で働いている人は、15〜24歳よりも多いのが現状で、働く意思のある人の人口を表す統計用語「労働力人口」で考えるべきだと言うのです。今、労働力人口は約6千6百万人、このまま何もしないと2030年には約5千8百万人になると推計されていますが、女性と高齢者の就労を促進すれば、約6千4百万人を維持することができると言います。労働力人口が減ると社会保障制度が維持しにくくなるので、今後は高齢者と女性の就労を促進するしかなく、定年制度は見直すべき、女性の就労については、子育て支援の速やかな拡充や、パートが厚生年金に加入しなくてもよいとか、配偶者控除を受けられたりする制度も抜本的見直しが必要だと主張します。

■ 移民政策
 欧州では難民流入が政治問題になっています。米国では不法移民排除で壁を作ろうなんて議論が出ています。世界で最も他民族を受け入れないのは日本ではないでしょうか。これまで日本では好景気のときは外国人を受け入れて、下向くと排除することを繰り返してきました。
 台湾などは労働者としてフィリピン人やインドネシア人を大量に受け入れています。今や介護人材も大概これら外国人です。日本における移民の在り方には安易な受け入れではなくきちんとした政策が必要というのが4氏の共通意見でした。
 福田康夫氏の論が象徴的です・・・さまざまな問題を考えると、外国人を安易に受け入れるのは良くない。需給関係があり、時には「何でもいいから来てくれ」ということもあるのだろうが、そういう短期的判断ではいけない。入れるのであれば、外国人との共生という長期的な覚悟をし、受け入れなければならない。国民全てが、そういった認識を持てるのか。政治の場でよく議論して方向性を示してほしい。

■ 制度改革
 社会保障の制度設計について福田康夫氏は、例えば70歳まで働いて、年金受給はそれ以降とか、そんな発想じゃないとやっていけないと言います。清家篤氏は、年金制度は保険料や税金を取って、それを年金という形で給付するという金の動きだけだから、制度を変えれば改革できるけれど、医療や介護はそうではない。医療・介護サービスは、医師や看護師、介護士らが提供する。だから金が集まっても、働く人が「その賃金で働く」と言ってくれなければ絵に描いた餅だ。一方で、医療や介護は「第4次産業革命」の恩恵を受けられる分野で、検査や診断は、人工知能(AI)に委ねられる範囲も拡大していく。そうすれば医師や看護師らはもっと治療に集中できる。介護分野も介護ロボットなどで人間の負担を軽減できる。日本は第4次産業革命とウィンウィンの関係を築けるだろう、と主張しました。

■ 今後の日本の立ち位置は?
 国際社会において、人口が減っていく日本の立ち位置をどうイメージすればいいのかという点について五百旗頭真氏は、今の日本はもはや大国ではなく、アメリカと中国という二大国家の間で、アメリカとの同盟を大事にしながら、中国と協力関係を結ぶ。トランプ大統領の反国際主義に追随するのではなく、よき世話役として国際秩序を支える。そういう役割を担うのは中型国家であって小国ではない。日本にとっては、今が一番大事な時期だとおっしゃいました。

福田康夫氏




増田寛也氏





清家篤氏




五百旗頭真氏

■ 第4次産業革命とは
 18世紀末以降、水力や蒸気機関がもたらした工場の機械化(第1次産業革命)、20世紀初頭の電力を用いた大量生産(第2次産業革命)、1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いたオートメーション化(第3次産業革命)に続く技術革新のことだそうです。交通、気象、個人の健康状況といったビッグデータを解析・利用した新サービスの提供や、人工知能(AI)や産業ロボットによる労働の補助・代替などが産業に革命をもたらすということです。

■ <ビットコイン>狂騒曲
 仮想通貨の代表格である「ビットコイン」の投資ブームが続いています。2017年は年初から12月のピークまでに20倍以上も価格が跳ね上がり、「買いが買いを呼ぶ」熱狂状態となりましたが、1日で4割近くも急落するなど、リスクの大きさも桁違いです。「歴史的レベルに膨らんだバブル」(銀行系アナリスト)は、どこに向かうのでしょう。
 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、独自に開発中の仮想通貨「MUFGコイン」を発行するため、新たな取引所を開設する方針を決めたそうです。取引所を自ら管理することでコインの価格の変動を抑え、安定的に決済や送金に使えるようにするそうです。
【仮想通貨とは】通常の通貨のように目に見える形がなく、インターネット上だけで取引される「デジタル通貨」の一種。世界で1000種類以上あり、時価総額は2018年1月5日時点で約7700億ドル(約87兆円)に達する。日本円や米ドルといった「法定通貨」と違って中央銀行や政府が管理せず、法定通貨との間で交換レートが固定されていないのも特徴

■ <トランプ>狂騒曲
 トランプ(Donald Trump)米大統領への世界中からの非難の大合唱が止まりません。エルサレムへの米国大使館移転問題ではパレスチナで死者まで出る大騒動になっています。そうかと思うと、あれほど口汚く「狂人」、「悪い奴」、「ロケットマン」などとののしっていた北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長のことを、トランプ大統領が「おそらく私は金正恩ととても相性が良さそうだ」と話したとウォールストリートジャーナルが報じました。また「私は人々と関係を結ぶ。あなた方は驚くだろうと思う」として、金委員長との関係に対する“自信”を表わしました。これまでの発言は「広範囲な戦略」の一部だったとし「ある日突然、誰かが自分の最も親しい友人になる姿を見られるはずだ。こうした事例を20、30個は上げられる。私はとても柔軟な人間」だと話したそうです。

■ Fire and FURY
 トランプ氏を痛烈に批判する暴露本「炎と怒り」(ジャーナリストのマイケル・ウォルフ著)が出版され、話題となっています。トランプ氏の最高参謀であり右腕であったスティーブ・バノン前首席戦略官兼上級顧問(64)が、大統領選中にトランプ氏の長男であるドナルド・トランプ・ジュニア氏(40)とロシア政府と近いロシア人弁護士が面会したことについて、「反逆的で非愛国的」と非難した内幕を暴露しています。同書には、大統領選挙に勝利することを予想していなかったトランプ氏と陣営スタッフが当惑する様子も書かれていて、メラニア夫人に至っては「喜びではない涙」を流したと...

■ Shithole?
 また、アフリカ諸国とハイチ、エルサルバドルを「shithole」国家と呼んだとされる件をめぐり、国連当局者も「申し訳ないが人種差別主義者と言うほかない」と非難、波紋は広がりを見せています。アフリカの国連加盟全54ヶ国は2018年1月12日、トランプ氏に発言の撤回と謝罪を要求しました。米大統領が特定の国々を指して使用したとされる「shithole(シットホール=大便をする穴)」という言葉は、各方面から怒りの声を巻き起こしたのみならず、その翻訳方法をめぐって各国の報道関係者を悩ませました。礼儀正しさで知られる日本のメディアはそろって、読者の気分を害さない表現を選びました。NHKは「不潔な国々」を採用。英BBC放送の日本語版サイトは「肥だめ」、時事通信は「便所のような国」と表現しました。どう訳そうと、大統領が口にすべき言葉ではないですね。

■ 北朝鮮と韓国が五輪で歩み寄り
 1月1日、金正恩委員長が新年の辞で平昌(ピョンチャン)五輪参加と南北対話実現への可能性を示唆し、その後北朝鮮は平昌五輪への参加を正式に表明しました。平昌五輪の開会式には、トランプ政権ナンバー2のペンス副大統領の出席が決まっています。平和の祭典ですから良いことです。ところがその後文在寅(ムン・ジェイン)大統領がトランプ大統領におもねたような発言に北朝鮮が反発しています。まだ予断を許しません。日本の安倍総理はどうも開会式には出ないみたいですね。
 1月9日、板門店(パンムンジョム)における南北閣僚級(高位級)会談を終えたあと、南北朝鮮による共同報道文が発表されましたが、その中に「わが民族が(南北朝鮮問題を)対話と交渉を通じて解決する」という文言があります。これは当たり前と言えばその通りですが、カチンと来たのは中国の習主席ではないでしょうか?

■ 国家信頼度落とした韓国政府
 韓国政府が2015年の日韓慰安婦合意を覆すような対応を見せながら、合意を破棄することもできないとして、今後の対応を日本政府に丸投げしようとするような動きに出ています。これに対して韓国の保守系メディア・中央日報はどう報じたかというと・・・・韓国政府は慰安婦問題に関する再交渉を日本に要求しないことにした。その一方で合意で慰安婦問題は解決していないと宣言した。また、日本側が拠出した和解・癒やし財団基金の追加使用も中止した。合意を破棄しない一方で、核心的な要素は否定したのだというものです。事実をその通り伝えています。しかしこれとともに30年以上秘密にすべき国家間の交渉内容を2年ですべて公開する不適切な前例を残した。日本の反発を招いたのはもちろん、国際社会で韓国の信頼度に影響を及ぼす恐れがある決定だった...と続けています。文在寅大統領の揺れる対応を批判しています。韓国政府の対応は、2014年に安倍政権が河野談話を検証しながら日本の謝罪を政治的取引の結果のように低く評価し、結局は継承するという立場を確定したのと似ている、という指摘もあります。安倍首相も当時、自身の国内支持層である右翼勢力の要求に応じるために検証をし、これが韓日関係に大きな悪材料として作用しました。慰安婦問題を再燃させたのは首相自身です。
 韓国政府の慰安婦問題への対応には反応しないほうが賢明ですね。何か言えばまた韓国での反日感情が高まるでしょう。韓国人の日本観光訪問が激増している今、経済第一で行くべきです。

■ 大相撲初場所
 今日から大相撲初場所です。元横綱・日馬富士の傷害事件、貴乃花親方への処分などで大揺れだったのに、次は立行司式守伊之助のセクハラ問題で辞表を受理せず三場所たなざらしの末辞めさせるという見せしめ的処分、昔の川原のさらし首ですね、これは。
 1月5日横綱審議委員会による稽古総見が行われ、白鵬と鶴竜は好調でしたが、稀勢の里は元気無く、まるで本来の相撲を忘れたかのような有様でした。横審の北村委員長は「15日間元気でやれないなら出ない方がいい」と言いました。しかしこれだけ休み続けている以上、鶴竜もそうですが正念場です。鶴竜は今場所ダメなら引退も考えなければならない場面でしょう。ただ稀勢の里に対しては相撲ファンの圧倒的な後押しがあるので、横審はまだ引退勧告などは念頭に無いようで、それは相撲協会も同様のようです。稀勢の里が居なくなったら大相撲人気はガタ落ちになる可能性が強いからです。元横綱・日馬富士の傷害事件に絡み今場所無給の白鵬も、週刊誌やスポーツ紙、テレビでバッシングを受けており安泰ではありません。横審の北村委員長から、「美しくない、見たくない」と注意された立ち合いの張り手も1番あり、元横綱の北の富士さんは「不届き者だね。あれだけ注意されているのに。横審にけんか売っているのかね」と呆れ顔でした。横審は白鵬に「横綱相撲をとって欲しい」と横綱の品格を求めていますが、これは横審や相撲協会に対して国民の声としてそういう意見が殺到しているからだそうです。白鵬も張り手やエルボーは封印する意向のようですが、稽古中に癖でつい出てしまったのでしょう。ただくれぐれも変化技などは勘弁して欲しいですね。もしこれをやったら座布団が舞うでしょう。これこそ横綱の品格ですから。

■ 池坊保子議長、今後取材応じません
 日本相撲協会の池坊保子・評議員会議長が、週刊文春の直撃取材に応じ、「1月5日の稽古総見では、白鵬の見せた張り手に批判が集まりましたが?」と問われて、「張り手っていうルールがあるんでしょ。それがいけないのなら、協会が(張り手を)禁止って言えばいい。(ルールが)ある以上は『張り手した』と、ガーガー(批判を)言わないで。理事会で取り上げてほしいです。(モンゴル人は)狩猟民族だからね。勝ってもダメ押ししないと殺されちゃう。良い悪いは別にして、DNAかもしれないわ」と白鵬を擁護したそうです。そういう問題じゃなく、「横綱相撲」、「横綱の品格」の話なのですが、この人は大相撲を単なる格闘技と同列に位置付けていらっしゃるみたいですね。
 さすがにネットも大炎上、フジテレビ系情報番組「直撃LIVEグッディ!」(月〜金曜13:45〜)にVTR出演し、この出演を最後に、今後はメディアの取材を一切受けないと宣言したそうです。現在、批判の嵐にさらされているそうで、「本当にひどくて、誠心誠意お答えしてもね、もう自分で悪口を書きたいって思ってらっしゃるから、もうそんなの関係なく悪口をお書きになるんですよね。それはとっても私は傷つきます」と苦しい胸の内を吐露。「あることないことどころかね、ないことないこと、いろいろと過去のことをほじくったりされて、本当に家族にも迷惑をかけています」と決断の理由を説明した上で、「ここでちょっと今日はお話して、もうこれから一切、携帯番号も変えて、取材には応じません」と、今回の取材を最後にメディアの取材は一切受けないと宣言されました。
(2018年1月14日)


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