552  光触媒

 急に涼しくなってビックリです。「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるのは、間違いなく毎年ピッタリ当たります。今年の夏の暑さは尋常ではありませんでした。畑仕事をしていて、例年になくバテました。「勘弁して下さい」と本気で思いました。水不足で里芋は全くダメ、ネギも生育不良、ゴーヤもダメでした。葉物は種播きして発芽しても枯れるものが多くて参りました。サツマイモ収獲はこれからですが、葉っぱの生育状況から見て期待できませんね。雨が降らないなと思っていたら、10月9日は前夜からシトシト雨が降り続き、スポーツの日なのに少年野球は軒並み中止、埼玉南部少年野球秋季大会の開会式も朝霞市の中央公園野球場で開会式のはずでしたが中止、坂戸市の鈴木杯ジュニア大会も三芳町の東入間学童野球連盟新人戦大会も順延、ところがこれ以降2週間ほど天気予報に雨マークがありません。また畑が心配になります。

■ 野菜が高い
 今年は驚くべき野菜価格の高騰、その原因はやはり暑さと降雨不足でしょう。特にネギは凄いですね。そして人参や大根、きゅうり、トマトなど、価格の優等生だった野菜が高い!一方ジャガイモが安い、我々の食卓に上るのは100%北海道産なので、生育期にあたる4月〜6月の気候が安定していたことで安いのです。玉ねぎは、北海道の暑さの影響でやや小玉傾向ですが、出荷数に大きな影響はない見込みのため、価格は平年並みです。ピーマンが安いのは、茨城県産に加えて岩手県産が安定して入荷しているからです。ちなみに岩手県産野菜は「いわて純情野菜」という愛称です。特に7月〜10月のキャベツ「春みどり」は甘くて柔らかくて、有名な嬬恋キャベツとは比べ物になりません。ナスは価格が安定しています。これは群馬県産・栃木県産に加え、高知県産の出荷が増加しているからです。


ピーマンが安い

■ これからの野菜価格は?
 トマトは福島県産が不作で高くなったのですが、市場全体ではハウスモノが増えても、夏場はハウスは使えず露地モノのなので、この尋常ならぬ暑さと水不足で高くなりました。単価がリンゴより高いのですから驚きです。これからハウスモノに移行するにしたがって価格は安定するでしょうが、世界的に人気の野菜だけに、値崩れすることは無いでしょう。人参は主産地での暑さの影響を受け、生育が遅くなっているので高いようです。大根も主産道県での暑さの影響を受け、十分な大きさに育つことができなくて高かったのですが、北海道産・青森県産に加え、千葉県産の出荷が増加してきますので、これから徐々に価格は安くなってくるでしょう。今売られている大根は例年なら商品にならないような肌の悪いものが多くなっています。あの真っ白で、ツルツル光っている大根が懐かしい!白菜やキャベツは比較的価格が安定していて、特売対象になっているくらいですから数量は安定して出回っているようです。レタスは、長野県産から茨城県産中心に切り替わる時期です。長野県産が多い10月前半は出荷数が増えるため平年よりお買い得になりそうですが、後半には出荷数量が減り価格は平年より高くなると見込まれています。サトイモは、千葉県産から埼玉県産中心に切り替わります。今年は小振りですが価格は安定して出回るとみられます。埼玉県産よりも岩手県産の方が味は圧倒的に美味しいのですが、余り東京市場には来ませんね。

■ ノーベル化学賞
 2023年のノーベル化学賞は、大きさによって特性が決まるほど非常に小さなナノ粒子である「量子ドット」の発見と開発に貢献したアメリカの3人に与えられました。量子ドットは、ナノメートルサイズの半導体ナノ粒子(ナノ結晶とも呼ばれる)であり、電子が小さな空間に閉じ込められたことで量子効果が発現し、量子ドットのサイズに依存して様々な性質を示します。これが今ではビジュアル面や医療など多方面に応用され、そのすそ野はドンドン広がっています。

■ 藤嶋 昭さんは今年もノーベル化学賞ならず
 日本人のノーベル化学賞受賞者は、1981年の福井謙一博士(京都大学名誉教授)「化学反応過程の理論的研究」以降2019年の吉野 彰博士(旭化成株式会社名誉フェロー)「リチウムイオン電池の開発」まで8人に上ります。実は筆者は「光触媒」の効果を発見した東京理科大学の藤嶋 昭栄誉教授(81)の受賞を期待していました。藤嶋さんは、酸化チタンに光を当てると殺菌や消臭などができる「光触媒」の効果を発見した方で、これは感染症対策など幅広い分野で応用されています。東京大学大学院に在学中の1967年春、水溶液中の酸化チタン電極に強い光を当てたところ、酸化チタン表面で光触媒反応が起きることを発見しました。今から55年も前の話です。1986年に東京大学工学部教授となり、1998年光化学協会会長、2003年〜2010年財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長、2005年初代東京大学特別栄誉教授、2006〜2007年度日本化学会会長、2010年〜2018年東京理科大学学長、2018年東京理科大学栄誉教授、実は他にもいっぱい肩書があります。

藤嶋 昭さん

■ 頭脳流出は日本の国策が原因
 実は藤嶋 昭さんとその光触媒研究グループが、中国の上海理工大学に移籍するというニュースが2021年9月、衝撃を持って受け止められました。同大学は、光触媒に関する国際的な研究所を設置し、藤嶋氏らのチームはその中核的な人材となるとのことでした。何故「衝撃を持って」かと言いますと、「日本の頭脳とも言える人材が中国に流出する」との受け止め方だったからです。研究者にとって研究環境というのは生命線に近いものであり、良質な研究環境が得られるのかは、自身の報酬などとは比較にならないくらい重要な問題です。その点で、日本の状況はあまりにもお粗末と言わざるを得ません。日本ではそれなりの実績のある研究者でも予算を確保するのは至難の技であり、ましてや大学院を出たばかりの研究者の場合、自身の生活を成り立たせることも困難という状況です。いわゆるポスドク問題は、日本の研究者が如何に悲惨な状況に置かれているか、ずっと大問題と言われながら、放置され続けています。したがって環境を求めて主として米国へ頭脳流出するのが意欲的研究者の傾向でした。それが中国にまで...というのが衝撃だったのです。今や日本の研究開発投資額は米国や中国の3分の1の水準でしかありません(OECD調べ)。日本の研究開発投資は過去10年間ほぼ横ばいという状況が続いており、両国との差は拡大する一方です。このところ韓国も急ピッチで投資額を増やしており、日本の投資抑制が続けば、韓国に追いつかれる可能性も否定できません。研究者が、研究の場を海外に求めるのは、100%日本国政府の責任と言っても過言ではありません。このままでは科学分野での日本人のノーベル賞受賞は期待できなくなるでしょう。

いわて春みどり

■ 光触媒とは?
 光触媒(photocatalyst)は、光を吸収して化学反応を促進する物質の総称です。光が当たることにより、通常の触媒プロセスでは困難な化学反応が常温で行われます。代表的な光触媒の材料としては、酸化チタン(TiO2)が良く知られています。天然の光触媒反応としては光合成が挙げられます。植物の光合成を促す「葉緑素(クロロフィル)」も光触媒のひとつです。酸化チタンは世界中にある天然のチタン鉱石から取れる材料です。酸化チタン表面(光触媒層)に太陽の光(紫外線)が当たると、活性酸素を発生させ、表面に付いた有害物質や汚れを化学反応で分解する性質があり、同時に高い「親水性」があるため、表面が水になじみやすい状態になります。この技術を自社製品に応用したのがTOTOです。その商品名「ハイドロテクト」は、光触媒を利用し光や水の力で地球も暮らしもきれいにするTOTOの環境浄化技術であり、技術ブランドです。 ハイドロテクトの膜を建材や建物などの材料表面に形成すると「空気浄化」「セルフクリーニング」など暮らしや地球環境に役立つ効果を発揮します。便器が主商品であるTOTOにとって、水と光で自動クリーニングされ消臭されるのはこの上ない画期的技術でした。

\高い!踊ってる場合ではありません

■ 光触媒塗装
 光触媒の応用分野として多いのが外壁塗装です。実際藤嶋 昭さんも自宅の外壁を光触媒塗装して、常にピカピカ光り輝くことを自慢していました。考えてみれば、外壁には雨が降れば水で濡れ、天気が良くなれば光が当たります。これは応用分野としては絶好ですね。TOTOの「ハイドロテクトカラーコートECO-EX」は、タイルメーカーや外壁メーカーへのライセンス供与や塗料の供給によって光触媒塗装の普及を狙うものです。
 その特徴は@セルフクリーニング機能で汚れにくい、A抗菌・浄化作用を持つ、B一般的な塗料よりも耐用年数が長いことが挙げられます。セールスマンのうたい文句としては「光触媒塗装なら半永久的です」というのがありますが、もし本当なら、誰しも光触媒塗装にするはずです。
 一方デメリットとしては@費用が高額になる、A塗膜にひびが入りやすい、B日当たりによっては効果が発揮できないこと、が挙げられます。

秋野菜の代表は大根です

■ 我が家では
 我が家は築後8年、まだ外観も古くないし、ガタも来ていません。しかし連れ合いが営業マンの甘言に乗せられて光触媒塗装を注文してしまいました。その理由は西隣に新築住宅3軒が建ち、北隣も昨年外壁塗装したので我が家も・・・ということだったみたいです。終わってみると・・・思いのほか立派でピッカピカになりました。新築の家と見紛うばかりです。光触媒塗装というのは素晴らしいですね。半永久的なんて思ってはいませんが、他の外壁塗装した家と比べても、北隣の家と比べても、何より新築の3軒より我が家の方が光輝いて見えます。連れ合いの「見る目」に最敬礼です。恐れ入りました。

これからは白菜ですね

■ ジャニーズ会見
 2回目のジャニーズ事務所の会見、ガッカリですね。記者を制限し、2時間で終わらせることを何よりも優先した会見でした。「解体的出直し」を要求されていたわけですから、本来は時間制限なしで、ボロボロになるまで会見で痛めつけられても、徹底的に所属タレントを守り、創業者の犯罪を見て見ぬふりしたばかりか、それを擁護して芸能事務所としての利益ばかりを追求し続けたことへの反省と謝罪を通じて、許しを乞うべきでした。そういう会見であるはずだったのに、2時間で、1社1問に制限して、とにかく逃げ切ろうという感じ、自分たちが置かれた立場を真摯に考えれば、これから我々はどうやって会社を経営して行くかという経営者としての信念の表明であるべきなのに、そこが感じられません。東山とイノッチではだめだな、と思いました。タレントたちの退所ラッシュが始まるでしょう。

ナスは水不足でもよく獲れました
(2023年10月9日)


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