527  チャットGPT

 2023年4月12日〜14日にかけて日本列島の広い範囲に黄砂が飛来しました。黄砂というと西日本というのが昔のイメージでした。東京での黄砂の観測は、2021年の5月8日以来、2年ぶりとなります。また、4月の観測となると2007年以来、16年ぶりのことです。また今回の黄砂は東北から北海道でより多量となりました。鹿児島市の人は桜島で馴れてると思いますが、埼玉でも車にハッキリ載っていました。そう言えば神奈川県の足柄市での春のこと、富士フィルムでの打ち合わせを終えて車で帰ろうとして屋根が黄色い、何コレ?杉花粉でした。足柄山の金太郎は大変だなと思いました。なお筆者は花粉症発症後20年、快癒とまでは言えませんが、今やほぼ治癒しました。昔はアレジオンを飲んでいましたが、一念発起、クスリをやめて自己教育、ワセリンの助けを借りながら念仏一筋、「花粉は無害、花粉は無害」・・・信じる者は救われます。

 シャクナゲ(石楠花)はツツジ科ツツジ属の常緑低木で、常緑広葉樹にもかかわらずハクサンシャクナゲなど寒冷地にまで分布しているものもあります。日本にも数多くの種類のシャクナゲが自生していますが、最近ではアジア原産種の改良交雑品種(セイヨウシャクナゲ)がよく出回っています

■ Jアラート鳴るたび問題起きる
 2023年4月13日(木)朝、テレビを見ていたら午前8時ちょっと前、Jアラートが鳴り、「午前8時頃、ミサイルが北海道周辺に落下するものとみられる」として、北海道民に直ちに避難するよう呼びかけましたが、一向に新しい情報が入ってきません。午前8時を過ぎて、もう落下したはずなのにテレビはずっとJアラート・・・その後、「当該情報を確認したところ、北海道及びその周辺への落下の可能性がなくなったことが確認されたので、訂正する」と発表されました。北海道では新幹線はじめJRや地下鉄、高速道路などが一時ストップ、JRは14本が運休しました。岸田内閣になってから3度目のJアラート、首相は今回のJアラートについて「適切だった」と述べましたが、3度が3度別の問題が起きているのに「適切だった」と言うのは日本語を軽視していませんか?3度が3度ではオオカミ少年になりかねません。現実にこの精度では本当に飛んで来たら避難は間に合いませんね。政府への非難ゴウゴウですが、そもそもミサイルを撃つほうが悪いとも言えます。逆にこの精度で撃ち続ける北朝鮮の技術力がスゴイとも言えます。本気で日本の領土を狙ったら大変なことになることが分かっていますから、きちんとEEZ外を狙ってるわけです。的外れのJアラートを見て、笑ってるかもしれませんね。ただロシアのウクライナ侵略を見ても、「まさか」は起きます。起きるけれども、日本と隣国が戦争になったら、被害は甚大、ミサイルが発射されたら命を失う覚悟が求められます。抑止するのは外交しかありません。反撃能力がどうこう言ってますが、始まったら終わりなのです。過去から現在までの戦争の歴史を見れば、外交努力が失敗して戦争に突入しています。いたずらに不安を煽ったり、相手を刺激してはいけません。防衛力を誇示しながら外交努力すべきです。米国は軍事力で生きてる国だということを日本はもう80年前に骨身にしみているのですから。

■ 坂本龍一さんが生前に語ったこと
 2009年5月に坂本龍一さんが語ったエピソードを紹介します。1960年代のアメリカの歌、バート・バカラックの『Make It Easy on Yourself』について・・・「1960年代のアメリカはよきアメリカですよ。アメリカはいつもいいことをしてるわけではないですけど。もちろんこのときもベトナム戦争があったし。でも大国としての誇りが一人ひとりにあったと思うんです。急に(大統領がバラク)オバマですからね。それだけ実績的に・・・。プレジデントっていうリーダーが持っている権力が強大なわけですよね。おもしろい話があって、まだ日本が幕府の時代に勝 海舟が将軍に命令されてアメリカ見学に行くんですよ、見聞に。何ヶ月か行って帰って来て将軍が「どうであったか」と訊くと、勝 海舟は「かの国では能力のあるものが上に立ちまする」って言ったっていう。将軍に対して(笑)。日本は世襲制ですからね」・・・面白い話です。日本は今に至るまで政治家は世襲が多く、国会議員の有力者はほぼ東京生まれ東京育ちです。祖先は薩長土肥だったかもしれないけれど、皆東京へ移住してきて、大名も連れて東京に移住してきたので、それら有力者の息子は皆東京生まれ東京育ちなのです。東京への反骨心の強い大阪では維新が生まれ、だらしのない野党の中で勢力拡大しています。万博、IR、カネの亡者のたわけごと...

■ 啄木忌
 4月13日は啄木忌、岩手県の渋民宝徳寺では啄木忌法要が行われました。明治45年(1912年)4月13日(土)、啄木が東京都文京区で亡くなった時、桜が咲いていたそうですが、なんと今年は岩手渋民でも満開の桜で迎えた啄木忌となったそうです。雪が降ったことはありますが、こんなこと初めてとのこと。つまりは111年前の東京は今の岩手だということです。この日、裁判所の石割桜はじめ盛岡市内の桜はほとんど散っていたそうです。渋民は盛岡北端ですからまだ桜が残っていたということでしょう。日本は産業革命以降どんどん亜熱帯化して、特に夏は40℃にも到り、マンションの中で部屋を閉め切ってエアコン暮らし、東京集中の電力のために作った福島第一原発があんなことになってしまいました。かといって再生可能エネルギーは狭い東京には資源が少ない、やはり地方に頼るほかなし、人間らしい暮しをするには何かが違います。今や住み良い日本はドンドン北へ向かっているということのようです。111年前というと、1月1日に孫文が南京で中華民国の成立を宣言、2月12日愛新覚羅溥儀が清朝皇帝を退位して清国が滅亡、3月27日には尾崎行雄東京市長がワシントン市に三千本の桜の樹を寄贈、7月3日通天閣(初代)完成、そして7月30日(火)、明治天皇が崩御され、同日以後を改めて大正元年とする旨の改元の詔書が発せられました。

桜満開を過ぎ、黄砂飛来し霞む岩手山をバックに石川啄木歌碑
やはらかに 柳あをめる北上の 岸辺目に見ゆ 泣けとごとくに

■ チャットGPTを使おうとする日本国政府
 日本国政府は対話型AI(人工知能)「チャットGPT」を国会答弁の作成や行政分野でも活用する案を検討しています。開発したアメリカの企業、「オープンAI」のサム・アルトマンCEOが来日し、岸田首相と面会しました。岸田首相は、会談後、記者団に対し「新しい技術が登場し、利用されている一方、プライバシーや著作権といったリスクも指摘されているという状況について意見交換した。合わせて国際的なルールづくりについてもどのように考えるか、意見交換した」と述べました。アルトマンCEOが海外首脳と面会するのは日本が初めてです。何故日本なのでしょうか?それは日本がこうした新技術に寛容だからでしょう。イタリアは政府として当面使用禁止を打ち出していますし、ドイツでも警戒心が強いようです。

■ 「オープンAI」をめぐる様々な思惑
 「チャットGPT」は膨大なデータから高精度単語予測で「自然な対話」を導き出すものです。基礎になったのは、Googleが2017年に発表した「Transformer」と呼ばれる言語モデルです。これを応用してGPTという言語モデルが出来たのですが、これのスゴイところはテキストデータを自動学習してくれるところで、使う人が増えるほどドンドン規模が増大して、いよいよもっともらしくなる点です。マイクロソフトはこれに目をつけて、「オープンAI」に出資しました。今やWindowsはGoogleにその座を奪われそうになっています。「チャットGPT」を巻き返しの千載一遇のチャンスと見たのでしょう。またイーロン・マスクは「チャットGPT」の進化が急激過ぎる、このままでは暴走を止められなくなる、と言って、AI開発の一時中断を求め、賛同する人も多いようです。しかしマスクは、これまで新しい技術の開発・普及に一貫して積極的で、「オープンAI」社の共同創設者のひとりでもありました。「チャットGPT」にだけ反対の立場をとる一方で自らAI開発の新会社を設立したその行動はあまりに不自然と見るべきです。

■ 情報の正確性はあくまで自分で判断すべきもの
 「チャットGPT」は検索エンジンではありません。Google検索ではマイクアイコンをクリックしてスマホに話しかければ答えの候補を羅列してくれます。これは便利ですね。「タイプする」手間が省けるからです。またWikipediaは百科事典ですから、ある言葉に対して様々な情報を入力した人、それを修正する人というように皆で作り上げるシステムですから、正しいとは限りませんが、情報量の多いものは概ね正解です。「チャットGPT」は相談した人に対してアドバイスするようなもので、情報量が多ければ正解に近くなります。公明党の山口代表は、チャットGPTを行政で使用する場合には、法的な責任を負えるような利用の仕方を検討する必要があるという考えを示しました。「『公明党の山口那津男とは?』というふうに問い掛けてみました。『そのような人物は存在しません』と。今、こういう状況だということを認識したうえで有用性があるのかどうか、色々な課題をきちんと検討する必要がある」とのことでした。これは「公明党の山口那津男」という情報を「チャットGPT」が知らなかったということですから、「チャットGPT」に教える人が居なかったということ、それだけ無関心ということになりますから、あまり堂々と言うべき話ではありませんね。「チャットGPT」というのは相談して出た答えの正確性はあくまで自分で判断すべきものです。ただ、ゼロから自分で考えるよりはるかに手間が省けるので、これを使うなと言っても無理でしょう。便利なものは使われる、「爆弾の作り方教えて」等の質問にはNOとするような機能は入っていますが、GPTを改ざんして悪用する手合いは必ず出て来ます。それを監視するAI(人工知能)がそれに対抗するという形になるでしょう。

■ 朝ドラ「らんまん」と「あまちゃん」
 4月から始まった2023年度前期のNHK連続テレビ小説「らんまん」の主人公・槙野万太郎を演じるのは我が家近くの生まれの神木隆之介です。そのモデルの牧野富太郎は子どもの頃から筆者の尊敬する人で、その伝記を愛読していました。大変ユニークでダイナミックな人物で、例えばよく見かける「ハキダメギク」という野草の名付け親です。「日本の植物学の父」と呼ばれた牧野富太郎博士が世田谷のゴミ捨て場で見つけて命名したそうです。小学校中退でありながら東京帝国大学で教鞭をとり、65歳で理学博士の学位を受けました。多数の新種を発見し命名も行った近代植物分類学の権威として、生まれた4月24日は「植物学の日」に制定されました(注)。94歳で亡くなる直前まで、日本全国をまわって膨大な数の植物標本を作製しました。命日は筆者の誕生日と同じ日付です。その命名は2500種以上(新種1000、新変種1500)とされ、発見、命名した植物の例としてはムジナモ、センダイヤザクラ、トサトラフタケ、ヨコグラツクバネ、アオテンナンショウ、コオロギラン、スエコザサなど...ワルナスビやノボロギクのような、当該植物種の性質を短い言葉で巧く言い表しているものもある一方で、ハキダメギクやイヌノフグリなど、どうしてこんな名前を付けたの?というものもあります。亡き妻の名を冠したスエコザサのエピソードはよく知られています。
(注)牧野富太郎は1862年5月22日土佐国高岡郡佐川村(現在の高知県高岡郡佐川町)生まれです。5月22日生まれなのに4月24日が「植物学の日」に制定されているのは、1862年5月22日=文久2年4月24日だったからで、旧暦の日付を記念日にするのは変な気もしますね。

ハキダメギク
 BSプレミアムで「らんまん」の前に再放送されている「あまちゃん」が面白いとSNSでフィーバーしています。そもそもマンネリで視聴率が落ちていた朝ドラの起死回生作品が「あまちゃん」だったので、面白いというのは既に実証されており、NHKが満を持して今回「らんまん」の前に置いたのは理由があるはずです。まずオープニングの楽曲、これが対照的です。「あまちゃん」は心浮き立つようなメロディで始まります。そして主人公のアキは幼年時代無し、いきなり高校生で能年玲奈(現在はのん)が演じました。可愛い女の子を奇妙奇天烈な大人たちが囲み、ナツばあちゃん、母ハル、娘がアキ、女三代、ドタバタでありながら人情溢れた面白い物語が展開されます。「じぇじぇじぇ」は流行語大賞に選ばれました。一方「らんまん」は主人公が異色のオトコ、幼年時代から始まるのは伝統的ですが、これが幕末から明治初期、封建的な時代です。怖いおばあちゃん、若くして死ぬ母、身体の弱い男の子が酒蔵「峰屋」の当主・・・何故か坂本龍馬が登場したり...異色と言えば歌ですね、♪言葉足らずの愛を 愛を貴方へ 私は決して今を 今を憎んではいない♪あいみょんの優しい歌声がこころ癒してくれます。6月7日リリースされるそうですが、これは朝ドラ史上稀代の名曲ですね。

能年玲奈と橋本愛の「潮騒のメモリーズ」が歌う「潮騒のメモリー」
 「あまちゃん」は演技達者な俳優や喜劇人が次々出て来たリ、スポットで有名な人がポッと出たりしました。宮本信子は朝ドラや大河の常連ですし、小泉今日子や薬師丸ひろ子は歌って踊れる女優、そして橋本愛は大河ドラマ「青天を衝け」で渋沢栄一の妻を演じるまでの女優となりました。残念だったのは能年玲奈が事務所移籍騒動でいじめられて、本名を名乗れず「のん」として表舞台から遠ざかったこと、それでも岩手県がCMやイベントでのんを支え続け、今やっと表舞台に再登場、こんな可愛い女の子がいたんだ、と知らない世代から注目されています。
(2023年4月19日)


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