485  犬吠埼

 夏至を過ぎました。これからは日に日に日照時間が減って行きますが、これから真夏に向けて、そんな感じはしませんね。というよりも一気に真夏になった感じで、ナント!6月に40℃を超える記録が群馬県伊勢崎市で出ました。6月25日(土)40.2℃です。ただ、まだ梅雨は開けておらず、西日本中心ですが7月上旬に大雨洪水、土砂崩れ被害が毎年恒例となっていますので要注意です。今週は盛岡で会議があり、二度盛岡との往復旅行しました。いつもは雫石町の鶯宿温泉や網張温泉など、もしくは繋温泉に泊まるのに今回は盛岡のホテルに宿泊しました。「県民割」対象外なので、ちょっと待とうと思いました。

■ 東北新幹線;盛岡−大宮間開業40周年
 6月23日に盛岡駅新幹線改札内にズラリと男女職員が並んでいて、東北新幹線;盛岡−大宮間開業40周年を記念して南部せんべいを配っていました。わざわざ東北新幹線カラーであるグリーンで色付けされていました。東北新幹線は国内最高320km/hの最高速度で運転されますが、最大震度6強を観測した2022年3月16日の地震で白石市で脱線し、福島−仙台間で運休、やっと4月14日に全線で運転再開という事故もありました。このとき、いかに東北新幹線の存在が有難いものであるかが実感されましたね。常磐線回りでは特急でも時間がすごくかかります


盛岡−大宮間開業40周年記念南部煎餅

■ 8月末まで「全国旅行支援」実施
 観光庁は6月17日、都道府県が実施する観光需要喚起策「県民割」について、現行のルールで7月14日まで期間延長し、6月の感染状況を見極めた上で、7月前半から制度を変更し、全国を対象とした観光需要喚起策「全国旅行支援」を8月末まで行うと発表しました。恐らく7月15日開始になるでしょう。GoToトラベルは今年1月頃に再開する予定でしたが、COVID-19感染拡大を受け、見送りとなっていて、感染が収まってきた現在でも、かつてGoToトラベルが感染を拡大させたというトラウマがあって、再開に踏み切れないようです。「全国旅行支援」の内容は、旅行代金を40%割引し、1人1泊あたりの上限:交通付き8,000円(ツアーや航空機・新幹線パック旅行など)、その他5,000円(県民割と同額)、土産店や飲食店などで使用できる地域クーポンを平日3,000円分・休日1,000円分を進呈するというものです。割引を受けるには、本人確認書類などに加え、ワクチン接種歴3回接種済または PCR検査等の陰性結果の証明が必要です。

盛岡駅・・・市内には至る所に上写真のようなスタンド式のフラワーバスケットや、上から吊ってあるハンギングバスケット設置
街中の主要スポットにこうした花がたくさんあって、美しい景観を構成していますが、水やりが大変でしょうね

■ 千葉県民割旅行
 千葉県民割(関東ブロック割)を利用して、九十九里浜に行ってきました。目指すは犬吠埼灯台です。筆者は、このエッセイをご覧の方はご存知の通り「川好き」「灯台好き」です。155『灯台』(2016年3月1日)をご覧ください。今年はまたもや房総半島南端野島埼灯台に行きました。今度は房総東端犬吠埼灯台です。灯台のある「みさき」は岬とも書きますが、海上保安庁は埼という字を使います。例えば岩手県宮古市の地図には「とどヶ崎」と山へんの崎が書かれているのに、海図上には「とどヶ埼」と土へんの埼が書かれているのです。実は、土へんの「埼」は、陸地が水部へ突出したところを表現し、山へんの「崎」は本来の意味として山の様子の険しいことを言い、山脚の突出した所を示しており、平野の中に突出した山地の鼻等を言う意味なんだそうです。すると山崎さんというのは納得、川崎さんというのは水部へ突出した陸地なら本来川埼さんが正しいのでは?

ルートは16号を川越→大宮→岩槻→春日部→庄和町地底探検ミュージアム龍Q館(江戸川)→千葉県野田→
利根川に沿って走り→我孫子(手賀沼との間)→印旛沼との間→成田空港(三里塚)→芝山→匝瑳市→旭市(宿)

■ 利根川庄和排水機場龍Q館
 「翔んで埼玉」のラストシーンで一躍有名になった「首都圏外郭放水路」、13年の歳月を費やして2006年6月に完成した世界でも最大級の地下放水路です。日本が世界に誇る最先端の土木技術を駆使したことで、世界中から取材に訪れる「地下神殿」、この日も外国からテレビクルーが来ていました。地下22mの位置に作られた巨大な空間に、59本もの巨大な柱が立ち並ぶ姿は、ギリシャのパルテノン神殿や、エジプトのカルナック神殿をほうふつとさせます。庄和町、いま春日部市ですが、この辺りには、「大落古利根川」「幸松川」「倉松川」「中川」「第18号水路」という5本の川が流れていて、一帯に利根川・江戸川・荒川の大河川があるのです。川の氾濫による洪水被害の解決に向けて建造されたのが、「首都圏外郭放水路」です。各川の水位が一定量に達した際には、立坑に水を流入させ、調圧水槽(地下神殿)に水がたまる仕組みです。これを排水機場にあるプロペラで水をくみ上げて、排水樋管から水を江戸川に流します。やがて洪水が収まると中の水をゆっくりと川に流して、また空っぽにして次の大雨に備えるわけです。係の人が詳しく説明してくださいました。なお「龍Q館」というのは一般向けの展示施設の名称です。詳しく知りたい方に便利な→コチラを紹介します。

庄和排水機場の外観


江戸川方向を展望


直径10mの地下トンネルを掘削した泥水式シールドマシンのカッター


JTBの「るるぶ特別編集;首都圏外郭放水路・春日部」という冊子はとてもよくできた本です
2019年10月時点のデータが掲載されています。るるぶ&moreをご覧ください。

■ かんぽの宿旭(7月1日から亀の井ホテル九十九里に変わります)
 かんぽの宿旭に行ってきました。2022年7月1日から「亀の井ホテル九十九里」と名前が変わります。途中成田空港では、高い塀にビックリ、三里塚・芝山闘争と言うのがあって、昔はデモやら過激派やら大変でした。その名残です。いまやインバウンドで、多くの外国人の皆さんいらっしゃいという時代、あの「成田闘争」とはいったい何だったんでしょうね。日本にエネルギーがあった時代です。現代の、どうしようもなく元気が無くなった日本と違って、あの頃はエネルギーが満ち溢れていました。だからと言って、「成田闘争」を良しとは言いませんよ。匝瑳(そうさ)市では急に田園風景になり、豊かな農業地域でした。旭市は東日本大震災の津波で死者も出て大被害を受けました。養豚なども盛んで、日本の食を支える地域です。
 マイステイズ・ホテル・マネジメントは、日本郵政から継承した「かんぽの宿」を7月1日から「亀の井ホテル」にリブランドします。露天風呂付きの部屋の増設に加え、キッズルームやグランピング施設、ペットと泊まれるペットルームなども充実させるようにリニューアルするとのこと。宿泊料金の平均価格帯は、1万1000円〜2万円(1名1泊)を予定しているそうです。「亀の井ホテル」の名称は、油屋熊八が大正13年(1924年)別府温泉に開業し、2015年から運営している「別府亀の井ホテル」に由来しています。

外観・・・椰子とかシュロもあって南国の雰囲気
ホテルは「かんぽの宿」の中でも上位ランクで、とても豪華、スタッフの対応もGood!


部屋のベランダから北方向を望む


南方向です 海岸にはサイクリング道路があり、その脇を散歩する人多数


ホテルから内陸側展望、旭市〜匝瑳市、豊かな田園地帯です


九十九里の砂浜には貝殻がいっぱいあります 海側から見ても大きなホテルです


10階の展望風呂・・・どこまでも広い太平洋を見ながらゆったりと浸かる湯は最高です
1階大浴場には、広い浴槽・ジェットバス・美容風呂・露天風呂など各種の浴槽があり日帰り入浴にも対応
旭九十九里温泉の泉質はナトリウム-塩化物強塩冷鉱泉、つまり源泉に加水・加温、循環ろ過塩素系薬剤注入


太平洋を眺めながらのレストランの夕食メニューです

■ 「座頭市物語発祥の地」の碑
 ホテルをチェックアウトして犬吠埼に向けて出発、途中座頭市の碑に寄りました。天保の頃、下総飯岡の石渡助五郎のところに座頭市という盲目の子分がいたそうです。でっぷり肥った中年男です。頭を剃り、柄の長い脇差を差して歩き、勘が鋭く、剣の達人で正義感を持つ男ですね。勝新太郎さんの当たり役でした。ホテルを出て間もなく飯岡海水浴場のところに「座頭市物語発祥の地」という立て看板が有りました。東日本大震災の影響で休業していた国民宿舎食彩の宿いいおか荘は、2015年にいいおか潮騒ホテルとして営業を再開したそうです。旭市防災資料館にもなっています。入口脇に、子母澤寛さんによる「座頭市物語」という短編小説の冒頭部分らしき箇所が記された石碑があり、道路沿いには座頭市物語発祥の地であることを示す石柱も立てられていました。向かいではサーフィンする人たちのたまり場がありました。

座頭市物語の碑
 天保の頃、下総飯岡の石渡助五郎のところに座頭市という盲目の子分がいた。何処からか流れ込んで来て盃をもらった男だが、もういい年配で、でっぷりとした大きな男、それが頭を剃って、柄の長い長脇差をさしてあるいているところは、何う見ても盲目などとは思えなかった。(中略)
 何処の生れか、どんな素姓の奴かわからないが、とにかく、按摩で関八州を股にかけて渡っていた者で、みんな見た通りに座頭座頭といったが、市という名も市太郎か市五郎か、それとも出鱈目か、わからなかった。(以下略)


■ 銚子電鉄・ぬれ煎餅直売所に立ち寄り
 国道126号線を走り、銚子市に入ってから約5分もすると、通り沿い右側に銚子電鉄の直売所があり、濡れせんべいを買いました。銚子市はキャベツ畑が多いですね。千葉キャベツというのはこの辺で生産されているんだと分かりました。

■ 犬吠埼灯台へ
 関東・銚子半島の最東端の犬吠埼、三方を海に囲まれた海食台地で、断崖絶壁の下に横たわる無数の岩礁で荒波が砕ける様は、見ごたえがあります。その岬に高くそそり立つ全国に16しかない「のぼれる灯台」の一つ、犬吠埼灯台・・・白亜の塔の99段のらせん階段を登ると雄大な景色が広がり、銚子観光のシンボル的存在です。入場料300円払って登りました。

犬吠埼灯台


「燈光会」というところが全国の灯台の入場券を販売管理しているようです


南方向展望


荒々しい海食台地の岩礁


北方向展望

■ 道の駅いたこ
 犬吠埼から茨城県神栖市方面に向かいました。ちょうど千葉県北端の銚子と茨城県南端の神栖は、いずれも風力発電が目に付きます。今後は洋上風力発電が期待されている地域です。道路は広くまっすぐで、沿道にはチガヤやオオキンケイギクが咲き乱れています。オオキンケイギクは黄色くて大きい、とてもきれいな花なのですが、環境省が指定する特定外来生物で、犬吠埼付近では作業員が一生懸命駆除していましたが、神栖の道路管理者は気にしていないみたいですね。真っ直ぐで快適な道路を走って走って、「道の駅いたこ」に着きました。水郷潮来、♪潮来の伊太郎ちょっと見なれば・・・橋幸夫ですね。

風車は低音公害のため住居近くには設置されません


我が家近くの美容室前のオオキンケイギク


「道の駅いたこ」は2018年度「重点道の駅」に選定されたそうです
新鮮市場「伊太郎」というのがありました

■ 水郷さはらあやめパーク
 その後、「水郷さはらあやめパーク」に向かいました。佐原という名前ですが、千葉県香取市扇島1837-2に有ります。しかし、水が多過ぎて、溢れんばかりです。周りの川も、大小すべて今にも溢れるのではないかというスゴイ水量です。これはヤバイ、帰ろうというので、早々立ち去りました。

■ 道草
 実は地図のルートみたいに16号へ出て真っ直ぐには帰らず、稲敷市のほうをグルっと回って帰りました。さすがに土浦のほうまでは足を伸ばさず、竜ケ崎市〜取手市〜我孫子市〜柏市〜野田市と通って埼玉県です。柏の葉の発展ぶりには目をみはりますね。

■ アベノミクスの結果
 「アベノミクスの失敗」を言われるとカッカ怒る安倍晋三元首相ですが、今やこれを否定する声は日増しに小さくなっています。そういう筆者も、アベノミクスが始まった当初は妥当な政策だと思っていました。「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「民間投資を喚起する成長戦略」という3本の矢を放ち、名目成長率3%と2年で2%の物価安定目標を掲げ、異次元の金融緩和を続けたものの、一向に結果は着いてきません。それどころか日銀の総資産は増えるばかり、国債を民間金融機関から買い取り、自ら貯め込むことで、事実上の財政ファイナンス(国の発行した国債などを中央銀行が直接引き受けることで、やってはいけないと禁止されています)を続ける姿を見て、これはヤバイぞと思うようになりました。日本の国債残高は1000兆円を突破し、債務残高の対GDP比は256.9%(2021年)と先進国の中で突出しています。少子高齢化で労働人口が減っているのに、いったい誰がどうやってこの膨大な借金を返して行くのでしょう。それどころか安倍政権は株価維持のためにGPIFに日本の民間株式を買わせました。国民の年金資産をリスクある投資に向かわせたのです。こうなると何が何でも株価下落は防がなければならず、長期金利はアップさせてはなりません。岸田首相は「貯蓄から投資へ」と呼び掛けていますが、投資できる人は既に金持ちです。若者は持ち家にも自家用車にも興味を示さず、将来が不安だと言って、20代のうちから貯蓄に励む人が多いのだそうです。確かに年金は自分たちはもらえないだろうと考えている若者の声をよく聞きます。外国の若者は、社会に対して声を上げ、政治参加意欲が高いのに、日本の若者は何故欲望が低いのか?だから結婚もしない、子どもも作らないということになって、ますます日本の社会はシュリンクして行くのでしょう。

■ アベノミクスの負の遺産
 「アベノミクス」の最大の「負の遺産」は、抜き差しならない泥沼に日銀やGPIFを引きずり込んだことです。黒田東彦・日銀総裁やアベクロ推進のアドバイザーだった浜田宏一教授、そして元財務官僚で経済学者の高橋洋一氏のようなMMT理論の信奉者は「インフレは恐るるに足らず」と思っているようです。MMTとは、Modern Monetary Theoryの略で、日本語でいう現代貨幣理論のことです。政府が自国通貨建ての借金(国債)をいくら増やしても財政は破綻せず、インフレもコントロールできるのだから、借金を増やしてでも積極的に財政出動をすべきという考えで、安倍晋三元首相も盛んにこれを唱えています。「日銀は政府の子会社」論ですね。もしかしてアベノミクスの3本の矢はインフレ目標ではなかった?黒田東彦・日銀総裁の狙いはもしかして円安誘導一本だったのでは?と考えると、何やら合点が行く気がします。
(2022年6月26日)


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