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 北京オリンピックが閉幕しました。今回のオリンピックは様々な点で課題が次々とクローズアップされ、オリンピックは果たしてこのままで良いのか?と世界中に問題提起される大会となりました。オリンピックの商業主義の弊害は回を追うごとに問題が肥大化している気がしますが、その陰にあるのはやはりテレビ放映権とその見返りの巨額の放映権料にあるのではないでしょうか。そもそもこの冬の一番寒い時期にスピードスケート競技時刻が何故真夜中なの?屋内だからまだしも、ジャンプ競技など氷点下20度で、真夜中に、風を切って飛ばなければならない、その過酷さは想像を絶するものです。北国生まれの筆者は−20℃を体験しましたが、−10℃までは「寒い」、−10℃以下は「しばれる」のです。−20℃以下になると「痛い」という感じになります。それを越えたら感覚が無くなります。


盛岡市材木町の宮澤賢治像 2022年1月24日 防寒耳当てしてマスクをしています

■ 日本海側で猛吹雪に警戒
 東日本では2月21日昼前にかけて、大雪となる予報、気象庁は、暴風雪や高波、大雪による交通障害に警戒を呼びかけています。実際、JR北海道では特急をすべて運休とし、その他の鉄道も止まるものが多くなっています。大雪且つ暴風だと地吹雪となってホワイトアウトとなりますから、車での外出は避けるべきです。

2021年1月19日の岩手県雫石町南畑(鶯宿温泉の手前) ホワイトアウトの中雪かきする老婆

■ オミクロン株が猛威ふるう
 新型コロナウイルス・オミクロン株の感染は2月上旬にピークを迎えたと専門家会議が発表しました。2月20日の全国の新規感染者数は7万1488人と、先週同曜日比−5952人で、一時期10万人を越えたことを考えるとどうやらそのようです。ただ陽性率が高いので、感染したと知らずにPCR検査を受けない人が多いと思われます。尾身先生は、子どもや高齢者に感染が拡大しているため、感染者数は急減せず、「マッターホルン型」ではなく「富士山型」になるのでは?とウマイことをおっしゃいました。また感染者のうち半数がワクチン2回接種者だったということで、その感染力の強さがうかがい知れます。ただしワクチン接種者は重症化しにくいという傾向はあるようです。問題は死者数です。オレンジ色の感染者数の後を追うように黄土色の死者が増えています。ワクチン接種によって第5波のときは死者数を抑えられましたが、今回はワクチン3回目接種の遅れによって、死者がすごく多くなっています。また感染者数の絶対数がすさまじい増加なので、医療逼迫があちこちで起きています。

2022年2月20日までの新型コロナウイルス感染者トレンド(YAHOO!ニュースより)

■ ワクチン接種進むふじみ野市
 ただし、COVID-19だけをとって死者数を云々すべきではありません。高齢化が進んで、死者数の自然増は避けられませんが、2020年などは11年振りに死者数が減りました。新型コロナウイルス感染対策によって、他の感染症患者が減ったからです。今は寒い時期で感染症や血管系の病気で亡くなる人が多い時期です。いたずらに騒ぎ立てず、ワクチンを接種し、対策をしっかり守って楽しい人生を心掛けなければいけませんね。エリザベス女王が感染されたみたいですが、95歳ですから怖いですね。ふじみ野市では2月からワクチン接種をガンガンやっていますから、筆者も3回目接種後2週間過ぎましたが、周りの高齢者は大概接種しています。全国の数値が何故こんなに低いのだろうと不思議です。

■ まん延防止等重点措置解除と延長地域
 新型コロナウイルス・オミクロン株の感染拡大を受け、2月20日を期限として蔓延(まんえん)防止等重点措置を適用中の21道府県のうち、北海道、青森、福島、茨城、栃木、石川、長野、静岡、京都、大阪、兵庫、和歌山、岡山、広島、福岡、佐賀、鹿児島の17道府県の期限を東京など14都県と同じ3月6日まで延長、高知も同様です。また、山形、島根、山口、大分、沖縄の5県の重点措置は今月20日で解除されます。というよりも重点措置が適用されていない県を列挙したほうが早いわけで、岩手、秋田、宮城、山梨、富山、福井、滋賀、奈良、鳥取、愛媛、徳島で、21日からはこれに山形、島根、山口、大分、沖縄が加わり16県です。宮城県や滋賀県、奈良県は感染者数が近隣県に比べて多く、沖縄も多くてしかも下げ止まりの様相、逆に和歌山県や高知県は近隣県に比べて多くないのに適用申請した、これは知事の考え方みたいですね。

2022年2月20日までのまん延防止等重点措置適用地域(jiji.comより)

■ テレビ局の苦悩と番組編成の変化
 先日ある会議の席上、某テレビ局の社長に聞いた話ですが、いまテレビ局はネットに広告を取られて四苦八苦なそうです。テレビ離れが進んでいるので視聴者のつなぎ止めに躍起になっているとのこと。ビデオリサーチによる視聴率調査が2020年春にリニューアルされ、年齢層や性別などの詳細に渡るデータが全国規模で測定できるようになりました。当然テレビ局はスポンサーのニーズが高い年齢層向けの番組を流さなければなりません。世帯視聴率は、高齢層の影響力が大きいので重視されなくなりました。ゴールデンタイムのレギュラー番組は今やお笑いばかりになって、高齢者はついて行けません。しかしそれで良いのです。各局が狙いを定める年齢層は「お笑い番組が好き」なのです。そして「SNSにつぶやきながらテレビを見る」という視聴スタイルが受けているそうです。そのためリスク覚悟でハプニングも起きる生放送が増えています。広告業界におけるマーケティングで用いられる、ターゲットとなる顧客の年齢別区分は@C層(Child、Kids)男女4歳〜12歳、AT層(Teen-age)男女13歳〜19歳、BM1層(Male-1)20歳〜34歳の男性、CM2層(Male-2)35歳〜49歳の男性、DM3層(Male-3)50歳以上の男性、EF1層(Female-1)20歳〜34歳の女性、FF2層(Female-2)35歳〜49歳の女性、GF3層(Female-3)50歳以上の女性、の8層です。当然ながらスポンサーは自分たちの商品やサービスのターゲット層がいかに見てくれるかを基準にします。一般に高齢層はあまりモノを買わないし、サービス対象にも程遠いので、サプリメントや介護用品などが主になります。水戸黄門などの時代劇は人気がありますが、それらはコアタイムから外すかBSに持って行きます。一番の狙いはF2層だそうです。この人たちが最もモノを買ってくれるし、サービスターゲットにもなるからです。

■ 大物タレント続々降板
 YouTubeやインターネット番組の台頭に加えてコロナ禍の影響などもあり、テレビ業界は変革を余儀なくされています。その煽りを食う形で、ギャラが高い大物司会者の番組の打ち切りや、大御所タレントの降板が相次いでいます。ビートたけし(75)が、3月いっぱいで『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)を降板します。27年間続いた『上沼恵美子のおしゃべりクッキング』(テレビ朝日系)も、4月1日(金)に終了します。後継の料理番組のMCはDAIGO(43)だそうです。立川志の輔(67)が司会を務めてきた『ガッテン!』(NHK)はすでに最終回を迎えましたが、NHKは広告料は関係ないので、視聴者の好みの変化に対応したのでしょう。坂上忍(54)がMCを務める『バイキングMORE』(フジテレビ系)も、3月での終了が決まっています。この流れは安藤優子さん(63)がMCだったフジテレビ系の情報番組「直撃LIVE グッディ!」の終了、小倉智昭さん(74)の「とくダネ!」(フジテレビ系)の終了から予感されるものでした。フジテレビはリストラせざるを得ない厳しい現状ですからね。大物司会者の番組と言えばすぐ頭に浮かぶのは「徹子の部屋」ですが、これはテレビ朝日の看板中の看板ですから、黒柳徹子さん(88)に何かない限り続くでしょう。関口宏の『サンデーモーニング』(TBS系)では「御意見番」でお馴染みだった張本勲氏(81)が2021年いっぱいで降板しました。関口宏さん(78)も最近ちょっとトンチンカンな受け答えが目立ってきて、そろそろヤバイですね。その後の『サンデージャポン』(TBS系)」は爆笑問題がMCですが、太田光(56)の歯に衣着せぬトークは魅力です。

■ 新年度NHKの担当アナ大幅変更
 3回前に「和久田ロス、なぜ?」と書きました。NHKの和久田麻由子アナがニュースウォッチ9を休むことがたびたびあり、2月前半は全く出てきませんでした。どうしてでしょう?と書いたのですが、すると今度は「アサイチ」の鈴木奈穂子アナも休みで、NHKのホームページやSNSを見てもそのワケが書いてない、アナウンサーといえどプライバシーは尊重しなければならないのは分かりますから、理由は説明しなくていいのですが、何か視聴者への良い伝え方は無いものか?と思います。
 ところが、ナント!NHKが発表した新年度の担当アナ体制にはビックリ!和久田麻由子アナが居ません。人気1アナが外れるのは多分理由は想像できますね。今やネットで「和久田ロス」が炎上しています。政治家のオジサンたちの間でもこれが話題だそうですから、人気の程が知れます。朝の「NHKニュース おはよう日本」の桑子真帆アナは夜の「クローズアップ現代」に転進、それも19時半からのゴールデンタイムに戻して、他局と真っ向勝負ということですから、そこにエース投入というところです。朝の担当だと夫の小澤征悦とすれ違いなので、これは本人の希望がかなった形でしょう。高瀬耕造アナは夕方の新番組「ニュースLIVE!ゆう5時」(月〜木曜17時)に転進、片山千恵子アナと一緒です。土曜夜では初となるニュース番組「サタデーウオッチ9」(土曜20時55分)が新設され赤木野々花アナが担当します。「NHKニュース おはよう日本」は首藤奈知子アナ、三條雅幸アナになります。「ニュースウオッチ9」(月〜金曜21時)は青井実アナ、山内泉アナ、田中正良記者です。「ブラタモリ」は野口葵衣アナ(福岡局から転勤)、平日正午ニュースは糸井羊司アナです。首都圏ネットワーク(月〜金曜18〜19時)は井上裕貴アナ、上原光紀アナ、ニュース7(月〜金曜19〜19時半)は瀧川剛史アナ、林田理沙アナ、今井翔馬アナだそうです。

2020年3月26日NHKおはよう日本公式ツイッター「まさかの色かぶり」より

■ 北京オリンピック2022
 史上初の夏冬五輪開催となった北京冬季五輪は、17日間の全日程を終え、閉幕しました。光と闇が強烈に交錯した冬の祭典でした。ROC(ロシア五輪委員会)から出場したフィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワ(15)のドーピング疑惑や、スキージャンプ混合団体でのスーツ規定違反乱発、不可解な判定の続出など問題が多発した大会となりました。カミラ・ワリエワは、彼女と一緒に滑ると絶対に勝てないということで『絶望』とあだ名されていましたが、まさかのドーピング疑惑、それも昨年12月のロシアでの国内大会での検査結果が五輪のショートプログラムを1位で終えた後に発表されるという、いかにも疑わしいプロセスでの判明でした。ドーピングは通常選手個人の問題というよりも、周囲に疑惑があるものだそうで、ましてや15歳の少女が3種の薬物を摂取していたなんて個人の意思とは考えられません。猛然たる非難の嵐に15歳の少女は『絶望』したのでしょう。
 新型コロナウイルス・オミクロン株が猛威をふるう中で、厳格なバブル方式の適用が効果的だった一方、スキー競技ではもともと降雪が少ないところに人工雪を作って撒いたため雪質が固く、スキーアルペン競技では前例のない大量途中棄権者が出ました。スノーボードでは骨折で競技を断念する選手が出るなど、まるで氷の上の競技だ、と選手から恐れられました。また気付いた方も居られたかもしれませんが、これまでオリンピックと言えば関連CMが盛んにテレビ放映されましたが、今回見ましたか?見るはずがありません。公式スポンサーでCMを流したのはサムソンだけ、トヨタ自動車やパナソニックもゼロ、スポンサーにとっては大変なオリンピックでした。人権問題が絡んでいたため変にCM流せなかったからだと言われています。

■ 日本選手団は史上最多メダルを獲得
 日本選手団は金メダル3、銀メダル6、銅メダル9で、過去最多だった前回2018年平昌大会の13個(金4銀5銅7)を5個上回って、史上最多となる18個のメダルを獲得しました。メダル獲得選手については、日刊スポーツのフォトニュースが分かり易いです。大会前、米国の大手データ会社グレースノート社が、金3、銀7、銅9の合計19個と予想していました。銀メダルが1個少ないだけの、ほぼ的中、見事ですね。金メダルと予想されていたのは、スピードスケート女子の高木美帆(日体大職)と、スキージャンプの小林陵侑(土屋ホーム)、高梨沙羅(クラレ)の男女エースでした。実際、高木美帆と小林陵侑は、種目は予想と違うものの金メダルを獲得、高梨は4位でしたが、銅と予想されたスノーボード男子ハーフパイプの平野歩夢(TOKIOインカラミ)が金を獲得し、数字上は予想通りとなりました。日本選手団主将の高木美帆は、無謀と言われた5種目に出場して金メダル1個、銀メダル3個の計四つのメダルを獲得して、解説の誰かが言ってましたが、陸上100mのウサインボルトが1万mでもメダルを獲るようなものだという例えに、フーンと思いました。ジャンプ男子の小林陵侑は、ノーマルヒルで日本ジャンプ陣24年ぶりの金メダルを獲得、ラージヒルでも銀メダルを獲得して、船木選手以来の偉業を達成しました。

高木美帆1000mの滑走

美しい小林陵侑の飛形

■ 挑戦の五輪
 高木美帆が短距離から長距離、団体パシュートまで5種目に出場するチャレンジで見事に結果を出しましたが、スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢が2回目で前人未到の技を決めたのに点数が低く、不可解な判定に会場からブーイングが起きましたが、その判定に対する怒りから、全く同じ演技構成でより高く跳んで、悲願の金メダルを獲得したのは感動的でした。怒りから崩れるのが普通なのに、「どうだ、これでもか」と審判をねじ伏せるアンガーマネジメントはカッコ良過ぎでしょう。フィギュアスケート男子の羽生結弦(ANA)は4回転半が完璧ではなく、4位に終わりました。しかし史上初めて「クワッドアクセル」を跳んだ選手と認定されました。彼にとって、ただいま圧倒的なチャンピオンのネイサン・チェン(アメリカ)に勝つには、4回転半を成功させるしかなかったのでしょう。果敢な挑戦は実りませんでしたが、会場からの声援は、ネイサン・チェン、鍵山優真(オリエンタルバイオ)、宇野昌磨(トヨタ自動車)のメダリストを上回り、報道陣からも追いかけまわされて、その人気ぶりは凄かったですね。エキジビションでは松任谷由実の「春よ来い」に乗せて滑り踊りました。この曲に込めた羽生結弦の願いが分かった気がしました。

スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢3回目の滑り
 スノーボード女子ビッグエア決勝で日本の岩渕麗楽(法政大学)が3回目の滑りで「トリプルアンダーフリップ」とされる、"縦3回転"の超高難度の大技で逆転メダルを狙いました。大会で成功すれば世界初となる挑戦、惜しくも着地が乱れましたが、演技直後に各国のライバル選手も駆け寄って抱擁、日本のみならず海外からも称賛の声が集まりました。競技後のインタビューで、前日の予選で左手の甲のあたりを骨折していたことを明かしました。岩渕麗楽は岩手県一関市出身です。前回平昌オリンピックと同じ4位入賞でしたが、IOCのトーマス・バッハ会長が記者会見で、岩渕麗楽の名前を挙げ、「私はこの場面を一生忘れることはない。オリンピックの精神をまさに体現していた」と称賛し、記念品としてスウォッチの五輪モデルの腕時計が贈呈されるサプライズもありました。

■ 疑惑の失格判定
 この大会では、基準が不明瞭な判定や、開催国の中国寄りな判定が相次ぎ、不信感が広がりました。スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢の2回目の得点もそうですが、特に韓国がスピードスケートショートトラックで不満タラタラです。このような判定は複数の審判員による判定なので、クレームつけてもなかなか覆らないと思います。最大の問題となったのは今大会から新設されたジャンプ混合団体戦、高梨沙羅(クラレ)を含めて4ヶ国5人の女子選手がスーツ規定違反で失格となる前代未聞の事態になったことです。103メートルを飛んだ1回目の高得点が抹消されるペナルティーを科せられた高梨だけでなく、日本とともに優勝を争うと予想されていたジャンプ強国のドイツ、オーストリア、ノルウェーの有力女子選手からも同じ違反が確認され、いずれもメダルを逃しました。これはどう見ても異例、きな臭いですね。これら選手たちは、通常とは違う形で検査が行われたと主張していますが、ポーランドの検査員は通常の検査をしただけと否定しています。検査員のアンガーマネジメントが必要なのではないでしょうか。高梨はインスタグラムでメダルを逃したことを謝罪し、自身の進退を検討する可能性も示唆するなど、波紋を呼びました。競技の判定ではなく、飛んだ後の抜き打ち検査でスーツのサイズが規定より大きかったので失格、個人戦で着ていた同じスーツなのに...他競技のように複数の審判員による判定ではなく、密室での測定、そもそも選手たちも検査員もワールドカップで顔馴染みの人たちのはずです。それがいきなり4年に1度のオリンピックで大量失格、手に汗握る接戦を期待していたジャンプ競技のファン、特に選手の活躍を応援していた4ヶ国の国民の落胆と失望は大きいものでした。何故事前チェックOKなのに事後失格が出るのか?事前の点検を含む手続きを、より充実したものに改善し、競技中の違反確認を限りなくゼロに近づける努力に取り組まなければ、競技のイメージを大きく損ない、選手が傷つく事態を防げないのではないかと思います。
 ただ、高梨沙羅失格後、めげずに飛んだ日本3選手、そして涙をこらえて飛んだ高梨沙羅の2回目ジャンプ、アッパレでした。本来予選落ちでも仕方ないのに、1回目8位から挽回して最後あわやメダルか?とさえ思わせて、結果4位まで押し上げた日本の選手たち、小林陵侑の大ジャンプに高梨沙羅も感激して二人の抱擁・・・素晴らしいシーンでした。

高梨沙羅をハグする小林陵侑の姿に海外メディアも思わずパチリ

■ 高梨沙羅さん、感動をありがとう
 ところで高梨沙羅さんと言えば、美しくなりましたね。そのメイクに対しネット上で「メイクするヒマがあるなら練習しろ」とか「結果を出せ」とか心無い誹謗中傷が溢れ、それを上回る応援の書き込みが溢れました。スポーツ選手は常にヒトに見られている存在ですから、小林陵侑みたいに地がイケメンならともかく、女性なら美しく在りたいというのは当然です。むしろメイクして美しくなって飛ぶことこそ本来のスポーツ選手の在り方です。高梨沙羅さんは現在国立大学法人弘前大学大学院医学研究科の社会医学講座に所属する学生です。弘前大学では2022年2月9日、高梨さんの健闘を称え、文京町キャンパスの総合教育棟正門側入口に、懸垂幕を設置しました。2月14日には医学研究科にも横断幕を設置しました→クリック

弘前大学大学院医学研究科に設置された高梨沙羅さんの健闘を讃える横断幕

■ 銀メダルと銅メダルの差
 メダルの色の差については面白い話があります。金メダルは文句無しに嬉しい、しかし銀メダルには満足感がいま一つ、銅メダルはとっても嬉しいのだそうです。高木美帆の談話から良く分かりましたね。銀メダルだと、あともうちょっとで金メダルを逃したという口惜しさが残ります。後悔ですね。しかし銅メダルは4位以下とは大違い、フィギュアスケート女子の坂本花織(シスメックス)が銅を獲得したときの喜びようで良く分かりました。

■ 女子カーリング銀メダル
 女子カーリングは銀メダルでしたが、予選でスイスに完敗した時点で決勝トーナメント進出は無理と思って泣いていたら、スウェーデンが韓国に勝って英国と共に決勝進出が転がり込んできました。スイスとスウェーデンは決勝進出が決まっていましたが、もし韓国がスウェーデンに勝てばカナダと韓国が決勝進出でしたから、カナダの選手たちは手に汗握って韓国勝利を祈っていたでしょう。英国はその逆ですね。日本は予選で韓国のメガネ先輩にしてやられて敗退、ここから調子が狂いました。しかしメガネ先輩は日本戦と異なり、強豪スウェーデン戦で最後の一投が決まらず敗退したのです。九死に一生を得たロコ・ソラーレは、準決勝で神がかりのような展開で、予選8勝1敗、世界選手権2連覇の圧倒的王者スイスを破る大番狂わせ、英国と共に世界順位下位チームによる決勝戦となりました。相手は、前回2018年平昌五輪の3位決定戦で戦ったチーム、英国は4年前、1点を追う第10エンドを有利な後攻で迎えながら、逆転を狙った最終投は日本のストーンを円の中心に寄せてしまう痛恨のミスショット・・・スキップのイブ・ミュアヘッド選手(31)は「つらかった。このことがずっと頭から離れない」と悔しさを持ち続けていたそうです。日本は昨年12月の五輪最終予選で英国チームに黒星を喫し、今大会の予選でも完敗しています。果たして、決勝戦ではミュアヘッドの獲物を狩る時の眼のような迫力に圧倒された藤沢五月、スキップの差が出ての完敗でした。今度は藤沢五月が「つらかった。このことがずっと頭から離れない」という思いを抱いたのではないでしょうか。

■ ノルディック複合銅メダル
 この大会、何といっても一番興奮したのは、ノルディック複合です。この競技はノルウェー、ドイツ、オーストリアの3強の壁が厚く、個人ラージヒル銅メダルの渡部暁斗(北野建設)を擁しながら、団体のメダルは困難との予想を覆す大番狂わせを演じました。その要因は前回の反省に鑑みて、第3走者に五輪5大会連続出場渡部暁斗を配し、アンカーにリレーするときにトップ集団で渡すことだったそうです。1走渡部善斗(30・北野建設)、2走永井秀昭(38・岐阜日野自動車)、3走渡部暁斗(33・北野建設)は前回苦い思いをしています。前半飛躍(HS140メートル、K点125メートル)は渡部暁斗がイマイチでしたが弟の善斗が大ジャンプで4位で折り返し、後半距離(20キロリレー)に懸けました。アンカーに初出場の山本涼太(24・長野日野自動車)を置いたのは、ジャンプで飛躍的成長を遂げただけでなく、最後のメダル争いの時に、その若さで爆発力を発揮してくれるのではとの期待だったそうです。V字ジャンプ導入の変革期に、荻原健司・現長野市長を中心にジャンプで「先行逃げ切り」のスタイルを確立した日本は、アルベールビル五輪とリレハンメル五輪で2連覇を果たしました。その団体戦2個の金メダルと、ノルディック複合日本男子個人初の銀メダルを獲得した河野孝典さんが日本チームヘッドコーチとなり、試行錯誤して何年にもわたり様々な挑戦をしてきたTEAM JAPAN、選手たちは冬の間海外を転戦し、いつも一緒で家族同然だそうです。冬季競技は日本が強くなるとルールが変わるという歴史があります。ジャンプに強い日本、距離で勝る欧州勢、しかし今回はジャンプ4位から最後はメダルを獲りました。今期ジャンプで若手成長株として注目された谷地宙(やち そら)ではなく、あえて最年長38歳の永井秀昭を入れたのは、距離競技を重視したからだそうです。期待に応えて1走渡部善斗と2走永井秀昭がトップ集団のまま3走渡部暁斗に繋ぎ、2位でアンカー山本涼太にリレー、山本は離そうと上りで仕掛けてくる相手に必死に食らいつき、最後はドイツの超人ガイガーを追い上げるスゴイ走りでメダルGET!ジャンプ男子の小林陵侑と同郷、岩手県八幡平市出身の永井秀昭は、盛岡南高校→早稲田大学→岐阜日野自動車ですが、メダル獲得後「年齢的にもこれが最後のチャンスだと思ってこの舞台に臨んでましたし、僕の競技人生の最高の1ページになったと思います」と語りました。今回団体4人のメンバーには選ばれなかったものの、若手成長株として注目されている谷地宙(21)は、岩手県紫波町出身で、盛岡中央高校→早稲田大学3年生です。同じ岩手の先輩となる永井からは「今回で様々な経験ができたと思うので、どこで役に立つかはわからないですけど、競技人生で必ず彼のためになってくる所が巡ってくると思う。その時にこの経験を少しでも活かして自分の競技の糧にしてもらえればと思います」とエールを送られました。次の冬季オリンピックとなるミラノ・コルティナ2026では、谷地の成長と活躍により、2大会連続の団体戦メダル獲得が期待できるかもしれません。

ゴールする山本涼太を出迎えるチームジャパン 右から渡部暁斗、渡部善斗、永井秀昭 左端はドイツ・ガイガー

■ 歌手・俳優の西郷輝彦さん死去
 「星のフラメンコ」などのヒット曲の歌手、「江戸を斬る」の遠山の金さんなどテレビドラマの俳優で知られる西郷輝彦さんが2月20日午前9時41分 前立腺がんのため都内の病院で亡くなられたとのこと 75歳でした 橋幸夫 舟木一夫と「御三家」と呼ばれ人気を博しました 2011年に前立腺がんと診断され 全摘出手術を受けましたが 2017年に再発 2021年4月末に 腫瘍マーカーの数値PSAが上がったため主治医と話し合い 日本では認められていない最先端治療を行うためオーストラリアに渡りました YouTubeチャンネルを立ち上げて 自ら撮影 編集した映像でがん闘病記録を発信し続けました その模様をテレビで見ましたが 「まだやりたいことがたくさんあるんだよ 願いは一つだけ 何とかもう少しだけ好きな仕事をさせてほしい」と闘病に挑む気持ちを明かしていました 2019年夏のTBS日曜劇場「ノーサイドゲーム」では大泉洋演じる主人公・君嶋が勤めるトキワ自動車の社長役で さすがの貫禄でした 2020年夏のフジテレビ系火曜21時ドラマ枠 『竜の道 二つの顔の復讐者』では 主演・玉木宏 双子の弟を高橋一生が演じ 西郷輝彦さんは特別出演で 裏社会の顔役・曽根村始を演じました 直後に NHK総合およびNHK BS4Kの土曜ドラマ枠で『天使にリクエストを〜人生最後の願い〜』の5回シリーズが最後の出演でした 終末期の患者の「人生最後の願い」を叶える活動を題材に 思いがけずチームを組んだ探偵とその助手 看護師 スポンサーの老女の4人が依頼者の「最期の願い」に取り組む中で自身の心の傷と向き合い未来へと歩み出す姿を描きました 主人公江口洋介は元マル暴刑事で今は探偵 助手・上白石萌歌 看護師・志尊淳 スポンサーの老女・倍賞美津子 主人公の元妻・板谷由夏 他に梶芽衣子 塩見三省 山本學 などそうそうたる俳優が出演し 西郷輝彦さんは元刑事 主人公の父のかつての同僚で主人公の仲人だったという役でした こうやって見ると 出演ドラマはすべて見ていました 最後の作品が〜人生最後の願い〜だなんて 残念です できるものなら天使にリクエストをしたい ご本人だけでなくわたしたちももっと西郷輝彦さんの演じる姿を観たかった 安らかな眠りを祈ります
(2022年2月21日)


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