428  期待と失望

 2021年5月26日(水)は、1年のうちで地球の中心と月の中心が最も近いときの満月「スーパームーン」、しかも皆既月食が同時に起こる、天文ファンの間で今年最も注目されているイベントでした。残念ながら雲が多く、見えませんでした。皆既月食が終わった後、チラッと薄雲の合間に欠けた月が見えたりしましたが、ほとんど意味なし、残念無念!近所の人たちも道路に出て目を凝らしていて、いかに期待していたかが分かりました。気象予報士の方たちはおおむね「見える」と言っていただけに、期待に対する失望は大でした。おかえりモネ、何とかしてよ...という感じ。

■ 過ちては改むるに憚ること勿れ
 今回のテーマ・・・「期待と失望」と言えば、今の政治に対し、期待するものが無く、失望ばかりというのが現状です。グチを言っても始まりませんが、COVID-19の脅威にさらされて、日本の政治の仕組みがいかに遅れているかがよく分かりました。例えばPCR検査、あれほど増やせと言われながら、改善ナシ...結局は「しょうがない」と諦める、保健所が糞詰まりの原因と言われ、職員の過労死限界越えのハードワークが指摘されても「頑張れ」、ワクチン接種の遅れは発展途上国並み、当初はワクチン調達の遅れ、その後は接種体制の不足、それでも「我慢、ガマン」、ワクチン承認の遅さも治療薬の認可の遅さも「しょうがない」、大阪の医療崩壊が示すものは、いかに日本人が耐えて来たか、我慢してきたか、タガを緩めればどうなるかの結果でした。厚生労働省行政に対して非難ゴウゴウなのに、改めようとする気配無し、「過ちては改むるに憚ること勿れ」というのは「論語」の有名な言葉です・・・今一度中国に学ぶべきではないでしょうか。

■ オリンピック問題の陰で見えてきたもの
 オリンピックに対してもマスコミが非難のオンパレード、朝日新聞などは社説で中止を主張しました。楽天の三木谷浩史CEOやソフトバンクグループの孫正義会長兼社長らが中止すべきだと言っています。昔は経済界の大物は決してこんなことは言わなかったものです。世の中が変わりましたね。前首相が国際舞台で平気でウソを言い誘致したとか、環境大臣のパートナーが「オ・モ・テ・ナ・シ」と言ったのが良かったとか言われてますが、誘致した以上は責任を果たすのが国際社会における国家の責務です。日本国民の世論云々と言ったところで、世論に政治が真っ当に応えて来たことがどれほどあったでしょうか。日本人というのは「長いものには巻かれろ」、「泣く子と地頭には勝てない」という国民性です。IOCのコーツ副会長が5月19日、ネットを通じて関係各位に送った書簡の中で「歴史の中で逆境を克服し、忍耐力を発揮してきた日本の人たちのおかげで、この難しい環境下でもオリンピックが開催できるということを決して忘れてはならない」と述べたそうです。外国から見ると日本人は「ガマンの人たち」なのでしょう。敗戦も災害も乗り越えてきた日本人の有様を海外メディアの日本特派員は「gaman」という忍耐強さや「shikata ga nai」という想定外の事態に直面した時の冷静な決意のせいだと報道してきたとのこと。そしてそこに出てくる言葉「ganbatte」・・・「おしん」の世界ですね。日本財団が、2019年9月下旬から10月上旬にかけて「18歳意識調査」というものを行いました。インド、インドネシア、韓国、ベトナム、中国、イギリス、アメリカ、ドイツと日本の17〜19歳それぞれ1000人を対象に、国や社会に対する意識を尋ねた調査の中で、際だって特異な結果が出た項目があったそうです。「将来の夢を持っているか」という質問に対し、他国では82.2%〜97%がYesなのに、日本はガクンと落ち込んで60.1%・・・つまり、日本の若者の4割は「将来の夢がない」のだそうです。これは「国民性」などで片づけてはいけませんね。老人に夢が無くても良いかもしれませんが、若者が夢が無い社会なんてあってはなりません。


ブラシの木は、フトモモ科ブラシノキ属の常緑小高木で、カリステモンやハナマキ(花槙)、キンポウジュ(金宝樹)とも呼ばれます
赤色が鮮やかなのと、ビンを磨きたくなるような形状で愛されています

■ 幹事長が関与していないカネ?
 政治不信と言えば、2019年参院選の広島選挙区での公選法違反(買収)事件を巡り、有罪となった河井案里元参院議員の陣営に対する1億5千万円の提供に「私は関与していない」と語った自民党の二階俊博幹事長の発言が物議をかもしました。その後訂正しましたが、会見に同席した林幹雄幹事長代理が「当時の選対委員長が広島を担当していた」と述べて甘利明氏に振った形でした。甘利氏は直ちに、ミリだかマイクロだか、とにかくこれっぽっちも関与してないと否定、これで見えてきたのは、幹事長が指令したのでなければ総理しかいないわけで、どうやら安倍晋三氏、河井克行氏の親分菅義偉氏、甘利明氏たちが金蔓だったようだということです。選挙が近いので、いろいろな思惑が飛び交っているのでしょうが、広島県連会長の岸田文雄氏などは黙っていられないでしょうね。この選挙で自分の参謀が落選、その引き金を引かれたのですから。

チェリーセージはシソ科アキギリ属の半常緑性低木で唇形花が可愛いですね
正式な種名は、サルビア・ミクロフィア(Salvia microphylla)とサルビア・グレッギー(S. greggii)、
そして二種の自然交配種であるサルビア・ヤメンシス(Salvia x jamensis)です
赤と白のツートンカラーが愛らしい'Hot Lips'がもっとも良く見かけます

■ 世界情勢不穏
 ミャンマー問題や、パレスチナ・ガザ地区での戦闘、ベラルーシが民間旅客機を強制着陸させ、反体制派のジャーナリストを拘束した問題など、国際問題が揺れています。日本としては手の出しようがない、という状況のようです。特に宗教などが絡んでくると厄介です。信仰は何にも勝るからで、信じるものは何にも替え難いからです。クーデターや独裁政権もこれまた手出し困難で、内政干渉出来ないし、かつては世界の警察;米国が登場して来るものでしたが、今やその気が無いようです。代わって出てくるとすれば中国ですが、これだけは米国が許しません。しかし習近平路線の「戦狼外交」はこのところ行き詰まりを見せ始めています。米日豪印の「クワッド」が中国包囲網を敷き、韓国の文大統領も訪米で親米路線を確認しました。エストニアも親中路線を転換する動きに出ています。頼みの綱だったEUも中国の「戦狼外交」に反発して制裁の応酬が始まりました。このまま中国が「戦狼外交」を続ければ、ますます世界情勢は混とんとしてくるでしょう。
 しかし中国は3千年の歴史の国です。アヘン戦争以来、欧米列強に侵食されて、大国の尊厳を踏みにじられたのは、近年のほんの短い歴史です。やがて正気を取り戻すでしょう。そのとき日本は...

ナデシコは別名ダイアンサス、とても種類が多く、可憐な花で香りも魅力です
カーネーションもナデシコ科ナデシコ属で、同じ種類の花です

■ SNSでの『フィルターバブル』
 内閣官房参与の高橋洋一氏が辞任しました。こんな人が日本の政治を動かす参謀だったなんて、にわかに信じ難いところです。もうひとつ信じられないのは愛知県知事リコール運動で、その事務局長ら4人が逮捕された事件です。そもそも首長のリコール運動なんて余程のことが無ければ起きません。それなのに推進したのが名古屋市の河村たかし市長、美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長などで、ここに作家の百田尚樹氏、評論家の竹田恒泰氏ら際どいヒトたちが応援団として加わってヒートアップしました。冷静に見ていた人たちからは「何やってんだろう、あのヒトたち」という眼で見られていました。背景にはSNS上での盛り上がりがあったようです。SNSでは、自分が聞きたい意見や情報しか見えなくなる『フィルターバブル』が起き易いのです。自分が目にするネット上での盛り上がりと実際の世論を見誤った結果、そのギャップを埋めるため偽造、捏造を企んだのではないでしょうか

ナデシコの園芸品種には、四季咲き性のものが多く、常緑性で耐寒性も強いので、品種や場所によってはほぼ周年にわたって観賞できるほどです

■ サラリーマン川柳
 第一生命の第34回サラリーマン川柳コンクールの1位は「会社へは 来るなと上司 行けと妻」でした。5位の「じいちゃんに J.Y.Parkの 場所聞かれ」は、ン?何?と思いました。福島のJビレッジのことか?などと考えた末、調べて韓国のシンガーソングライター;パク・ジニョンのことだと分かりました。2020年に日本人ガールズグループNiziUをプロデュースしました。わが身もサラ川で笑われるじいちゃんだと言うことです。孫に「J.Y.Parkってどこだ?」と聞くだけ進んだおじいちゃんじゃないですか?

■照ノ富士優勝
 大関・朝乃山(高砂)がキャバクラ問題で途中休場した夏場所は、照ノ富士と貴景勝の楽日決戦の末、照ノ富士が2場所連続優勝しました。大関で初めて、序二段まで陥落後、復帰して三度目の優勝です。古傷の膝の状態は相変わらず芳しくなく、いつも「今日で最後と思って取り組みに臨んでいる」と語っていたのが印象的でした。それほどの覚悟でとった相撲でも、終盤ハラハラするような取り組みの連続、相撲という勝負の厳しさを感じさせる言葉ですね。来場所は白鵬の最後の場所です。引導を渡すことになるかもしれませんが、頑張って欲しいものです。高安にも是非大関復帰を願っています。

■ 深田恭子さんが適応障害のため仕事を休む
 2021年5月26日ホリプロが発表したところによりますと、深田恭子さんが、2020年春ごろから体調を崩しがちとなり、2021年5月に医師から『適応障害』と診断され、当面の間、治療を優先し、仕事を休むそうです。その2日前の5月24日に、都内で熊本復興応援「キリン 午後の紅茶 新商品&新プロジェクト発表会」に出席したときの動画を見ますと、新商品のフレーバーであるイチゴをイメージした真っ赤なドレスで登場しましたが、どうもフカキョンらしくないというか、元気がないことが見てとれました。『適応障害』とは、環境の変化などの状況にうまく適応できないことがストレスとなって心身に症状が現れ、生活に支障が及ぶ症状です。『うつ病』は脳の病気ですが、『適応障害』はストレスに対する直接の反応としてのうつ状態のことです。極度のストレスにさらされれば、うつ状態になるのは普通のことであり、むしろストレスにガンガンさらされながら平気な人は、何か、どこか、オカシイのではないかと疑ったほうが良いのではないでしょうか。このコロナ禍で、芸能人の人はものすごいストレス下にあることでしょう。ただ単に休むというよりも、森林浴のような、マイナスイオンにさらされて、温泉に浸かりながら、ゆっくりと過ごされてはいかがでしょうか。箱根などではなく、軽井沢でもなく、近場なら那須をお勧めします。もちろん岩手県の雫石や八幡平ならなおGood! 絶対オススメですよ

ホリプロのHPより

■三遊亭円楽さんの闘病・・・もう少し俺にも走らせてくれ
 筆者と同齢の三遊亭円楽さんは、青山学院大学在学中に五代目三遊亭圓楽に入門し、三遊亭楽太郎として「笑点」で人気者になりました。父も祖父も肺がんで亡くなり、年子の兄貴もすい臓がんで68歳の時に亡くなっている癌家系なので、ガン検診を欠かさなかったそうです。2018年夏に検診で肺がんが見つかり、「ラッキー」と思ったそうです。早期発見だからでしょう。手術を受けて、1週間で高座に復帰したそうです。ところが、翌2019年7月には、脳とリンパ節への転移が見つかり、脳の腫瘍にはガンマナイフという放射線治療をし、その後、キイトルーダという最新の免疫療法薬の治療を毎月続けているそうです。脳転移はなくなり、リンパ節の転移は縮小、治療直後から高座に復帰しました。ただ肺がんは、治療で肺を切除するので、どうしても心肺能力が低下します。過去はポンポンとたたみ込むような話ができたのに、息が切れるので、人情噺の思い入れがゆっくりできるようになったそうです。何事も前向きに捉える、素晴らしい心がけですね。噺家にとって高座が一番の幸せ、もう少し俺にも走らせてくれというのが今の気持ちだそうです。
 筆者の同期の人たちも過去ガンで何人も亡くなりました。しかし近頃はガンになっても生き延びる人が多くなっています・・・表現が不適切かな?ガンになっても治療出来るようになったということです。今やガンは不治の病ではありません。頑張れ!円楽さん!
(2021年5月27日)


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