371  10万円
●毎度お馴染み、3月22日12:00現在の各国での新型コロナウイルス関連の肺炎と診断されている症例及び死亡例の数…厚労省発表
国・
地域
中国
イタリア スペイン 米国 イラン ドイツ フランス 韓国 スイス 英国 オランダ ベル
ギー
オース
トリア
ノルウェ
スウェー
デン
デンマ
ーク
日本 台湾
感染者 81,054 53,578 25,496 25,493 20.610 16,662 14,459 8,897 6,613 5,018 3,631 2,815 2,814 1,926 1,746 1,418 1,046 153
死亡者 3,261 4,825 1,381 307 1,556 46 562 104 56 233 136 67 8 7 20 13 36 2
致死率 4.0% 9.0% 5.4% 1.2% 7.5% 0.3% 3.9% 1.2% 0.8% 4.6% 3.7% 2.4% 0.3% 0.4% 1.1% 0.9% 3.4% 1.3%
●1週間後の3月29日12:00現在ではこうなりました。死者数の人口100万人当たり(ppm)の数値を加えました。
国・
地域
中国 イタリア スペイン 米国 イラン ドイツ フランス 韓国 スイス 英国 オランダ ベル
ギー
オース
トリア
ノルウェ
スウェー
デン
デンマ
ーク
日本 台湾
感染者 81,439 92,472 73,235 122,666 35.408 57,695 37,575 9,583 13,213 17,089 9,762 9,134 7,995 3,845 3,447 2,366 1,693 283
死亡者 3,300 10,023 5,982 2,147 2,517 433 2,314 152 235 1,019 639 353 68 20 102 65 52 2
致死率 4.0% 12.1% 8.1% 1.7% 7.1% 0.7% 6.1% 1.5% 1.7% 5.9% 6.5% 3.8% 0.8% 0.5% 2.9% 2.7% 3.0% 0.7%
死者ppm 2.3 165 128 6.5 31.0 5.2 35.4 2.9 27.5 15.3 36.7 30.7 7.7 3.7 10.0 11.6 0.41 0.08
●2週間後の4月5日12:00現在となると、もはや感染者数よりも死者数で順位付けするように変えました。
国・
地域
イタリア スペイン フランス 英国 イラン 中国 米国 オランダ ドイツ ベル
ギー
スイス トルコ ブラ
ジル
スウェー
デン
韓国 日本 台湾
感染者 124,632 124,736 68,605 41,093 55,743 81,669 308,533 16,627 95,614 18,431 20,201 23,934 10,278 6,443 10,237 3,271 355
死亡者 15,362 11,744 7,560 4,313 3,452 3,329 3,291 1,661 1,427 1,283 540 501 432 373 183 70 5
致死率 12.3% 9.4% 11.0% 10.5% 6.2% 4.1% 1.1% 10.0% 1.5% 7.0% 2.7% 2.1% 4.2% 5.8% 1.8% 2.1% 1.4%
死者ppm 254 251 113 64.9 42.5 2.3 9.9 95.5 17.1 111 63.0 6.1 2.0 36.5 3.6 0.55 0.21
●3週間後の4月12日12:00現在は下記、徹底的に検査している韓国が抑制に成功、日本はほどなく韓国を抜くでしょう。
国・
地域
米国 イタリア スペイン フランス 英国 イラン ベル
ギー
中国 ドイツ オランダ ブラ
ジル
トルコ スウェー
デン
スイス 韓国 日本 台湾
感染者 527,111 152,271 161,852 93,790 78,991 70,029 28,018 82,052 125,452 24,413 20,727 52,167 10,151 24,821 10,512 6,748 385
死亡者 20,506 19,468 16,353 13,832 9,875 4,357 3,346 3,339 2,736 2,643 1,124 1,101 887 830 214 98 6
致死率 3.9% 12.8% 10.1% 14.7% 12.5% 6.2% 11.9% 4.1% 2.2% 10.8% 5.4% 2.1% 8.7% 3.3% 2.0% 1.5% 1.6%
死者ppm 61.9 322 350 206 149 53.7 291 2.3 32.9 152 5.4 13.4 86.8 96.8 4.2 0.77 0.25
●4週間後の4月19日12:00現在は下記、中国の死者数が武漢での訂正で増えました。カナダが浮上してきました
国・
地域
米国 イタリア スペイン フランス 英国 ベル
ギー
イラン 中国 ドイツ オランダ ブラ
ジル
トルコ スウェー
デン
カナダ 韓国 日本 台湾
感染者 726,645 175,925 191,726 111,821 114,217 37,183 80,868 82,735 143,160 31,589 36,599 82,329 13,822 33,341 10,661 10,361 398
死亡者 38,664 23,227 20,043 19,323 15,464 5,453 5,031 4,632 4,459 3,601 2,347 1,890 1,511 1,467 234 161 6
致死率 5.3% 13.2% 10.5% 17.3% 13.5% 14.7% 6.2% 5.6% 3.1% 11.4% 6.4% 2.3% 10.9% 4.4% 2.2% 1.6% 1.5%
死者ppm 117 384 429 288 233 475 62.0 3.2 53.6 207 11.2 23.0 148 39.0 4.6 1.3 0.25

■ 昔の仕事の夢を見る日々
 ずっと新型コロナウイルスの話ばかりで、鬱陶しい限りです。身体がなまってきたし、夢を見ることが増えてきたのは熟睡していない証拠でしょう。そうなると自分自身も免疫低下してくるのではないかと不安です。そして不安だから夢を見るのでしょう。筆者が現役時代は国立感染症研究所や理化学研究所もお客様でした。クリーンエアシステムだけでなく、陰圧室の製作なども事業範囲でした。クリーンベンチやクリーンドラフト(セフティキャビネットと呼称する会社もあります)なども扱っていました。食品工業などの比較的ラフな分野では安価なフィルターを用いますが、半導体工業などではHEPAフィルター→ULPAフィルター→超ULPAフィルターとどんどん高性能のフィルターが求められました。
 PCR検査などを行うときは検査者にウイルスが飛んで来ないように右のような台で作業します。陰圧室内で、手元だけ入れて、上部は透明扉でガードされています。上部からクリーンエアをガンガン吹いて、奥下へ排気されその先のフィルタにウイルスをトラップします。したがって運転は止められません。メンテナンス時、ウイルスの付着したフィルタは自動的にフィルムで覆われて取り外されます。その後高温炉で焼却処分されます。もっと供給しなければ...こんな夢見たくないけれど...

クリーンドラフト

■ PCR検査件数がすぐには増えないワケ
 PCR検査をどんどんやろうとワイドショーが煽り、毎度お馴染みのコメンテータがいつもながらのウンチクを垂れ流すのですが、他県のお医者さんが毎度東京のテレビ局のスタジオに何故居るの?というのは不思議ですね。池袋の大谷院長の姿は見えなくなりましたが、それは当然です。もはやテレビで警報を発するステージは終わり、必死になって診療に当らなければならないからでしょう。今出ているお医者さんも、帰って診療に努めて下さることお願いします。PCR検査をどんどんやると言っても、話は簡単ではありません。防護服も無いと言っているような状態で、検査するスタッフが感染したら大変です。発熱した人が来るのですから生半可な装備では危険です。更に採ったサンプルを輸送して検査機関に届けるのもきちんとした車とスタッフが必要です。届けられたら、上述したように陰圧室内でクリーンドラフトに手を入れて作業します。そんな設備を一朝一夕には揃えられませんし、技能スタッフも育成できません。ヤレと言ってもすぐには件数が増えないのはそうしたわけです。MERSで蓄積した韓国の危機感と対応策との差はここです。

■ マスク
 最近マスクが足りないというので大騒ぎです。布製の「アベノマスク」はまだ届きませんが、医療用のN95マスクはSARS騒動のときに有名になりました。一般にドラッグストアで売っている(現状は「いた」のほうが正しいかな?)サージカルマスクは、不織布で作られていますから、直径30μmの花粉には有効だけれど網目が粗いから0.1μm径のウイルスは通過させてしまうという説がありますがこれは間違いです。日本エアロゾル学会の見解(PDF)をご覧下さい。液体用のフィルターは網目で粒子を遮って捕集するので網目のサイズがポイントなのですが、エアフィルターの場合は繊維に粒子を付着させて捕集します。ウイルスのように粒子径が小さいと「ブラウン拡散」が優勢となり、フィルターに付着しやすくなるのです。
筆者がかつてプレゼン用に作成した資料…塵埃(パーティクル)粒径と適応フィルタの選択
 またメディカルマスクの中には静電気によりウイルスを付着し易くしたものもあります。ただ人間の顔は凹凸がある上に表皮が動くので、サージカルマスクと表皮の隙間から空気が漏れて、40〜50%の空気は漏れてしまうので、装着の仕方が要注意です。つまりマスクをしていても空気は半分通過してしまうと考えるべきです。布マスクはウイルス阻止にはあまり効果がありませんが、自分の口から飛沫に付着してウイルスが飛散するのを防ぎます。感染を防ぐというより、自分が感染源にならないという効果です。

■ ブラウザゲームが評判
 4月16日に群青ちきんさんが制作発表したブラウザゲーム「密ですゲーム」がネット上で評判だそうです。「都知事になってソーシャルディスタンスを守ろう!」が謳い文句で、小池知事によく似た「都知事」の行く手を阻む群集を「密です」と言って避けさせ、ソーシャルディスタンスを確保するものです。群集にぶつかるとヒットポイントならぬマスクポイントが下がりますが、安倍首相によく似たキャラクターからマスク2枚をもらうと回復...ステージが進むと、「和牛」や「おさかな」といったアイテムも出てきます。ゲームオーバーになると「おうちにいてください」というボイスが流れます。外に出れずに暇な人たちの時間つぶしとして活用してくださいと作者は語っているそうです。

■ 正気の沙汰とは思われない?
 国民民主党の小沢一郎衆院議員(岩手3区)が4月15日、公式ツイッターで、安倍晋三首相が4月13日の自民党の役員会で「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、わが国の支援は世界で最も手厚い」と発言したことに対し、「総理は本気で言っているのだろうか?たちの悪い何かの冗談だろうか?もはや正気の沙汰とは思われない」と指摘したそうです。安倍首相が「世界に例がない」とした休業補償ですが、英国はフリーランスを含む自営業者に平均所得の80%を支払い、フランスでは商店などの従業員に賃金の70%までを補償、ドイツでは従業員10人以下の事業所には3ヶ月で最大約180万円、従業員5人以下の事業所には最大約107万円を給付…などと、各国の例が報じられており、これに噛み付いた形です。
 また、小沢氏は「5月6日で『補償なき外出自粛』は解除されるのだろうか」と問題提起し、「ろくに検査もせずに毎日数百の感染者数を発表し、仮にそれが多少減ったとして解除できるだろうか。世界がその数字を信用するだろうか。このままでは感染も収まらず経済社会も壊滅する。常に最悪の事態を想定するのが政治。まだ、わからないのか」と警鐘を鳴らしたそうです。

小沢一郎衆議院議員(岩手3区)

■ 休業補償と雇用調整助成金
 これは言葉の問題なのです。マスコミの報道やネット上でのニュース、書き込みに対して私たちが常に注意しなければならないのは、それがフェイクでないかどうかということです。特にネットはほぼフェイクニュースに溢れていると言われていますから要注意です。安倍晋三首相の「企業に対して休業補償をしている国は主要国では存在しない」という意味は、国家が支える対象は個人、人間であって、企業ではないという意味であり、ウソではありません。企業を守る手段は、資金繰り支援しかありません。欧州各国での休業補償といわれているものは、日本では雇用調整助成金にあたり、雇用者側は被雇用者にたいして休業手当を支払う義務があり、それに対して政府が補助金を出すという仕組みです。今回の危機に対して、日本ではこれを大幅に拡大して、政府は条件を大幅に緩和し、かつ補助率も90%に引き上げました。さらにこれまでは含まれてなかった、いわゆる非正規雇用も対象に含めていることは画期的です。非正規雇用という言葉も存在も、危機後にすべて消滅させて、正規も非正規もない制度に改革すべきだと思いますが、非正規も休業手当への雇用調整助成金の対象に含めるというのは素晴らしい政策で特筆モノです。

階猛衆議院議員(岩手1区)

■ 問題は被雇用者でない人
 ところが前回指摘したタクシーのロイヤルリムジングループのように、解雇や退職誘導するような不埒な経営者が現実には結構多いのです。休業手当を支払わないのは企業側、雇い主の問題で、これを徹底的に取り締まることは行政の重要な職務です。そこで取り残されるのは、個人事業主、フリーランスを含む人々ですが、これは難しいのです。芸能人やアーティストもそうですね。ひとり親方に対しては、政府としては妥協案で、100万円を配ることにしました。さらに、自営業者も雇用側と被雇用側が一体となっているため難しいのですが、それも200万円を配るという手段で妥協しました。したがって小沢一郎さんが言うように「正気の沙汰とは思われない」というのはチョット違います。

■ 韓国の総選挙で政権与党が勝利
 韓国の総選挙で文在寅大統領の政権与党;共に民主党が勝利しました。韓国では、中国・武漢の状況を見ていち早く感染症検査専門外来を多量に設置して徹底的に検査し、陽性者を隔離する施設を設置して、海外からの入国者にも「自粛」ではなく部屋から一定期間出ないように指示して、その代わり食料品や衛生用品を支給しました。スマホの位置情報で監視し、もしフラフラ外出したら逮捕されます。このような厳しい対策の結果、日本のような大掛かりな外出自粛を伴う対策をせずに感染拡大を抑えこみました。一方隣国日本では、韓国からの入国を禁止したりしたにもかかわらず、ジワジワ感染拡大し、厚労省がクラスター対策に集中してPCR検査を抑制した結果、ついには市中感染が拡大して緊急事態宣言に至りました。米国でもトランプ大統領が打ち手が遅くて大変な事態になっており、韓国の国民は日米の状況を見て文政権の感染症対策を評価したようです。

■ アベノリスク
 韓国とは対照的に、日本では安倍内閣の支持率が急落しています。7年以上にわたる長期政権で、安倍首相はこれまでは危機対応で強さを発揮してきました。「あの悪夢のような民主党政権」と東日本大震災時の菅政権を折に触れ槍玉に挙げてきましたが、今回の「新型コロナウイルス対応」では同じような迷走状態に陥っています。テレビでは「今の安倍政権そのものが緊急事態だ」などと揶揄される始末で、中には「アベノリスク」なる表題をつけて酷評されることも出て来ています。

韓国・文在寅(ムン・ジェイン)大統領
 2月末、小中高校を一斉休校するように要請した時は、あまりに唐突な決定に対し、マスコミや野党の中には反発が出ましたが、国民は比較的高い評価を下していて、3月の安倍内閣の支持率は高止まりしていました。しかし、4月に入り激変したのです。それは小池百合子東京都知事らが早期の緊急事態宣言を求めたのになかなか決断しなかったこと、企業に対する休業要請が広がるなか、休業補償のあり方を巡って国と自治体がもめたことです。感染者急増をみて、できるだけ早く、強力な措置を期待していた国民の多くは、小池都知事の側に立ち、安倍首相に失望しました。

■ 都=善、国=悪
 全世帯に布マスクを2枚ずつ送るという発表は、「2ヶ月待たせてマスク2枚・・・世界中がずっこけたアベノマスク」「エープリルフールでしょ?」と散々の評価でした。さらに星野源さんの「うちで踊ろう」という歌の動画にくっつけて自宅で愛犬とくつろいだり、飲み物を飲んだり、読書したり、テレビを見る動画を首相官邸のインスタグラムなどに投稿したこと、35万以上の「いいね!」がついた一方で、ネット上では「今そんなことをしている場合か」といった批判も殺到したのです。
 今回のコロナ対応を巡っては、西村康稔経済再生担当相が責任者ということになっています。経産省OBで、政策通でもありますが、いかにも軽い!コロナ対応は最初、加藤厚労相の出番でしたが、いよいよ抑えきれなくなって厚労省への批判が集中すると、緊急事態宣言後、休業要請、休業補償などの問題については、世論操作にたけた小池都知事に手玉に取られている印象は否めず「都=善、国=悪」の構図となってしまいました。上述のように政府の休業補償と雇用調整助成金政策は決して悪いものではありません。世帯あたり30万円支給もそうですが、何しろ条件がいろいろあってスピード感が無さ過ぎる!単純明快な小池都知事のほうがググッと来るのです。自民党内からも二階幹事長に国民ひとり10万円支給を迫る意見が強くなり、4月14日に二階幹事長がこれを打ち上げると、同様に党内や支持母体の創価学会から突き上げられた山口公明党代表が安倍首相に連立離脱をちらつかせながら直談判したと言われています。野党は「それ、オレたちが言ってたこと」と言い出す始末です。麻生太郎財務大臣はかねがね否定的でしたが、与野党包囲網が形成されてはお手上げでしょう。10万円上げるから、とにかく1ヶ月辛抱して企業も休み、家でじっとしていなさいということですね。
小池都知事のパフォーマンスは上手い

■ 危機対応に右往左往するのは何故?
 安倍首相は今回のコロナ対応では経産省の言うことに傾いて来ました。不評を買う布マスク2枚配布も含め、首相の対応は経済産業省出身の秘書官ら「官邸官僚」が主導しています。一斉休校など事前に与党への根回しがないケースも目立ち、与党側は不満を強めていて、いっそう安倍首相が浮き上がる形に見えます。
 首相は2012年の政権復帰以来、国政選挙で勝利を重ねて安倍1強体制を築き、危機管理や国会対応に臨んできました。ところが、コロナ問題では危機対応の要だった菅義偉官房長官が重要政策決定から「外されている」(自民党閣僚経験者)ことや、政府・与党の連携が十分機能していないように見えます。これまでは菅長官が公明党の支持母体である創価学会幹部とのパイプを生かし、同党との調整役を担ってきました。公明党関係者は現金給付をめぐる迷走に「菅長官と学会幹部のパイプは機能していない。首相が周辺とだけで決めた結果だ。第1次安倍政権のときと同じだ」と言っているそうです。しかし安倍首相もようやく気付いたようで、4月18日、菅義偉官房長官と長々と打合せをしました。

菅義偉官房長官

■ 緊急事態宣言を全国に、国民一人当たり10万円
 政府の危機対応は混迷を深めています。二転三転、朝令暮改、政権末期とやたらに四文字熟語が囁かれだしました。不評だった「収入減少世帯への30万円給付」は、首相官邸が主導した目玉政策で20万円でしたが、安倍首相から総理の座禅譲が囁かれる岸田文雄自民党政調会長が首相と交渉して世帯への30万円給付をまとめたものです。しかし一転、首相は17日の記者会見で、「長期戦も予想される中でウイルスとの闘いを乗り切るためには、何よりも国民との一体感が大切だ」と、外出自粛など国民の協力を訴えました。そして緊急事態宣言を全国に拡大することを表明しました。同時に、「収入減少世帯への30万円給付」が、公明党の反対によって「国民1人10万円給付」に急きょ変わった「混乱」を認めて、この責任は首相たる私にある、と陳謝しました。岸田文雄自民党政調会長は面目丸つぶれですね。しかし相変わらず首相の言葉は役人の作文としか思えません。自らの危機感を切々と語り、国民への協力をお願いするのであれば、もっと感動を伴い、ヨシ、頑張ろうと思わせるような迫力が無ければなりません。モリカケ、財務官僚自殺、桜を見る会、河井案里・克行夫妻、検察人事への介入などで言葉の信用を失ったためでしょうか。訴えたいことはよく分かりましたが、包み隠さず文書開示、心情吐露するトップたるの迫力がありませんでした。下に世界中で感動を呼んだドイツのメルケル首相の言葉を載せます。コレ、1ヶ月前ですよ。
岸田文雄自民党政調会長

■ 蓮舫氏「国債という国民の借金」投稿にツッコミ 「勘違い」の声
 立憲民主党の蓮舫副代表が4月18日、Twitterで現金10万円支給に言及、「麻生大臣、このお金は貴方のものではありません。国債という国民の借金です。物言いに気をつけてください」と投稿しましたが、これに対してネットからは「国債は国民ではなく政府の借金」「国民の借金?いつ私がお金を借りました‥‥?」「完全に勘違いしてます」と突っ込みが次々と投稿されたそうです。これを聞いてガッカリしましたね。国債は政府の借金であって、国民の借金ではないと思うようなおめでたい人が居るんだな〜ということです。こういう人は、国の財政が破綻して、お金が紙くずになったときにはじめてわかるのでしょう。国債というのは将来世代からの借金なのですよ。これを増やすのは孫子への重荷を負わせることなんですよ。

■ 国のトップの言葉
 去る4月7日の会見で、安倍首相は「最も恐れるべきは、恐怖それ自体です」と述べました。妙に詩的だなぁと思いましたが、実はこれ、フランクリン・ルーズヴェルトの大統領就任演説の一節なのだそうです。いろいろ勉強してたのかなぁ?最近の安倍首相の言葉はすべてお役人の原稿どおりですから、自分の言葉ではないでしょう。いわく「戦後最大の危機」を迎えるこうしたときに、全国民に語り掛けるここ一番の演説で、借り物の言葉、それも他国の歴史から拝借した言葉に“乗っかる”とは・・・?もし勉強するならドイツのメルケル首相の言葉を勉強してくださいと言いたいですね。もし安倍首相が「下町ロケット」佃航平のような熱弁を振るったならば国民は拍手したでしょう。涙したでしょう。
 コロナウイルス対策としてさまざまな個人の行動を大幅に制限する厳しい措置が取られることになったドイツでは、2020年3月18日、メルケル独首相は国民に理解と協力を求める演説をしました。
 1990年からドイツ在住の、林フーゼル美佳子さんが翻訳した文章を転載します。
 
親愛なるドイツにお住いの皆様
 コロナウイルスは現在わが国の生活を劇的に変化させています。私たちが考える日常や公的生活、社会的な付き合い ― こうしたものすべてがかつてないほど試されています。何百万人という方々が出勤できず、子どもたちは学校あるいはまた保育所に行けず、劇場や映画館やお店は閉まっています。そして何よりも困難なことはおそらく、いつもなら当たり前の触れ合いがなくなっているということでしょう。もちろんこのような状況で私たちはみな、これからどうなるのか疑問や心配事でいっぱいです。私は今日このような通常とは違った(TV演説という)方法で皆様に話しかけています。それは、この状況で連邦首相としての私を、そして連邦政府の同僚たちを何が導いているのかを皆様にお伝えしたいからです。開かれた民主主義に必要なことは、私たちが政治的決断を透明にし、説明すること、私たちの行動の根拠をできる限り示して、それを伝達することで、理解を得られるようにすることです。もし、ドイツにお住まいの皆さんがこの課題を自分の課題として理解すれば、私たちはこれを乗り越えられると固く信じています。このため次のことを言わせてください。
独・アンゲラ・メルケル首相
 事態は深刻です。あなたも真剣に考えてください。
 東西ドイツ統一以来、いいえ、第二次世界大戦以来、これほど市民による一致団結した行動が重要になるような事態がわが国に降りかかってきたことはありませんでした。私はここで、現在のエピデミック(伝染病)の状況、連邦政府および各省庁がわが国のすべての人を守り、経済的、社会的、文化的な損害を押さえるための様々な措置を説明したいと思います。しかし、私は、あなたがた一人一人が必要とされている理由と、一人一人がどのような貢献をできるかについてもお伝えしたいと思います。
 エピデミックについてですが、私がここで言うことはすべて、連邦政府とロバート・コッホ研究所の専門家やその他の学者およびウイルス学者との継続審議から得られた所見です。世界中で懸命に研究が進められてはいますが、コロナウイルスに対する治療法もワクチンもまだありません。この状況が続く限り、唯一できることは、ウイルスの拡散スピードを緩和し、数か月にわたって引き延ばすことで時間を稼ぐことです。これが私たちのすべての行動の指針です。それは、研究者が薬とワクチンを開発するための時間です。また、発症した人ができる限りベストな条件で治療を受けられるようにするための時間でもあります。ドイツは素晴らしい医療システムを持っています。もしかしたら世界最高のシステムのひとつかもしれません。そのことが私たちに希望を与えています。しかし、わが国の病院も、コロナ感染の症状がひどい患者が短期間に多数入院してきたとしたら、完全に許容量を超えて(医療崩壊して)しまうことでしょう。
 これは統計の抽象的な数字だけの話ではありません。お父さんであり、おじいさんであり、お母さんであり、おばあさんであり、パートナーであり、要するに生きた人たちの話です。そして私たちは、どの命も、どの人も重要とする共同体です。私は、この機会にまず、医師として、または介護サービスやその他の機能でわが国の病院を始めとする医療施設で働いているすべての方々に言葉を贈りたいと思います。あなた方は、私たちのためにこの戦いの最前線に立っています。あなた方は最初に病人を、そして、感染の経過が場合によってどれだけ重篤なものかを目の当たりにしています。そして毎日改めて仕事に向かい、人のために尽くしています。あなた方の仕事は偉大です。そのことに私は心から感謝します。
 今、重要なのは、ドイツ国内のウイルスの拡散スピードを緩やかにすることです。そして、その際、これが重要ですが、1つのことに賭けなければなりません。それは、公的生活を可能な限り制限することです。もちろん理性と判断力を持ってです。国は引き続き機能し、もちろん供給も引き続き確保されることになるからです。私たちはできる限り多くの経済活動を維持するつもりです。しかし、人を危険にさらす可能性のあるものすべて、個人を、また共同体を脅かす可能性のあるものすべてを、今、減らす必要があります。人から人への感染リスクを可能な限り抑える必要があるのです。今でもすでに制限が劇的であることは承知しています。イベント、見本市、コンサートは中止、とりあえず学校も大学も保育所も閉鎖され、遊び場でのお遊びも禁止です。連邦政府と各州が合意した閉鎖措置が、私たちの生活に、そして民主主義的な自己認識にどれだけ厳しく介入するか、私は承知しています。わが連邦共和国ではこうした制限はいまだかつてありませんでした。
 私は保証します。旅行および移動の自由が苦労して勝ち取った権利であることを実感している私のようなものにとっては、このような制限は絶対的に必要な場合のみ正当化されるものです。そうしたことは民主主義社会において決して軽々しく、一時的であっても決められるべきではありません。しかし、それは今、命を救うために不可欠なのです。このため、国境検査の厳格化と重要な隣国数か国への入国制限令が今週初めから発効しています。
 経済全体にとって、大企業も中小企業も、商店やレストラン、フリーランサーにとっても同様に、今は非常に困難な状況です。今後何週間かは、いっそう困難になるでしょう。私は皆様に約束します。連邦政府は、経済的影響を緩和し、特に雇用を守るために可能なことをすべて行います。わが国の経営者も被雇用者もこの難しい試練を乗り越えられるよう、連邦政府は、必要なものをすべて投入する能力があり、またそれを実行に移す予定です。
 また、皆様は、食料品供給が常時確保されること、たとえ1日棚が空になったとしても補充されるということを信じて安心してください。スーパーに行くすべての方にお伝えしたいのですが、備蓄は意味があります。ちなみにそれはいつでも意味のあるものでした。けれども限度をわきまえてください。何かがもう二度と入手できないかのような買い占めは無意味ですし、つまるところ完全に連帯意識に欠けた行動です。ここで、普段滅多に感謝されることのない方たちにもお礼を言わせてください。このような状況下で日々スーパーのレジに座っている方、商品棚を補充している方は、現在ある中でも最も困難な仕事のひとつを担っています。同じ国に住む皆様のために尽力し、言葉通りの意味でお店の営業を維持してくださりありがとうございます。
 さて、今日、私にとって最も緊急性の高いものについて申し上げます。私たちがウイルスの速すぎる拡散を阻止する効果的な手段を投入しなければ、あらゆる国の施策が無駄になってしまうでしょう。その手段とは、私たち自身です。私たちの誰もが同じようにウイルスにかかる可能性があるように、今、誰もが皆協力する必要があります。まず第一の協力は、今日何が重要なのかについて真剣に考えることです。パニックに陥らず、しかし、自分にはあまり関係がないなどと一瞬たりとも考えないことです。不要な人など誰もいません。私たち全員の力が必要なのです。
 私たちがどれだけ脆弱であるか、どれだけ他の人の思いやりのある行動に依存しているか、それをエピデミックは私たちに教えます。また、それはつまり、どれだけ私たちが力を合わせて行動することで自分たち自身を守り、お互いに力づけることができるかということでもあります。一人一人の行動が大切なのです。私たちは、ウイルスの拡散をただ受け入れるしかない運命であるわけではありません。私たちには対抗策があります。つまり、思いやりからお互いに距離を取ることです。
 ウィルス学者の助言は明確です。握手はもうしない、頻繁によく手を洗う、最低でも1.5メートル人との距離を取る、特にお年寄りは感染の危険性が高いのでほとんど接触しないのがベスト、ということです。こうした要求がどれだけ難しいことであるか、私は承知しています。緊急事態の時こそお互いに近くにいたいと思うものです。私たちは、好意というものを身体的な近さやスキンシップとして理解しています。けれども、残念ながら現在は、その逆が正しいのです。これはみんなが本当に理解しなければなりません。今は、距離だけが思いやりの表現なのです。よかれと思ってする訪問や、不必要な旅行、こうしたことすべてが感染拡大を意味することがあるため、現在は本当に控えるべきです。専門家がこう言うのには理由があります。おじいちゃんおばあちゃんと孫は今一緒にいてはいけない、と。
 不必要な接触を避けることで、病院で日々増え続ける感染者の世話をしているすべての方々を助けることになります。こうして命を救うのです。多くの人にとってこれはきついことでしょう。誰一人孤立させないこと、声かけと希望が必要な方たちの世話をすることも重要になってきます。私たちは家族として、また社会として別の相互扶助の形を見つけるでしょう。今でもすでに、ウイルスとその社会的影響に対抗する創造的な形態が出てきています。今でもすでに、おじいちゃんおばあちゃんがさみしくないようにポッドキャストをするお孫さんたちがいます。私たちは皆、好意と友情を示す別の方法を見つけなければなりません。スカイプや電話、イーメール、あるいはまた手紙を書くなど。郵便はまだ配達されているのですから。自分で買い物に行けないお年寄りのための近所の助け合いの素晴らしい例も今話題になっています。まだまだ多くの可能性があると私は確信しています。私たちがお互いに一人にさせないことを社会として示すことになるでしょう。
 皆様にお願いします。今後有効となる規則を遵守してください。私たちは政府として、何が修正できるか、また、何がまだ必要なのかを常に新たに審議します。状況は刻々と変わりますし、私たちはその中で学習能力を維持し、いつでも考え直し、他の手段で対応できるようにします。そうなればそれもご説明します。このため、皆様にお願いします。噂を信じないでください。公的機関による発表のみを信じてください。発表内容は多くの言語にも翻訳されます。
 私たちは民主主義社会です。私たちは強制ではなく、知識の共有と協力によって生きています。これは歴史的な課題であり、力を合わせることでしか乗り越えられません。私たちがこの危機を乗り越えられるということには、私はまったく疑いを持っていません。けれども、犠牲者が何人出るのか。どれだけ多くの愛する人たちを亡くすことになるのか。それは大部分私たち自身にかかっています。私たちは今、一致団結して対処できます。現在の制限を受け止め、お互いに協力し合うことができます。
 この状況は深刻であり、まだ見通しが立っていません。 それはつまり、一人一人がどれだけきちんと規則を守って実行に移すかということにも事態が左右されるということです。たとえ今まで一度もこのようなことを経験したことがなくても、私たちは、思いやりを持って理性的に行動し、それによって命を救うことを示さなければなりません。それは、一人一人例外なく、つまり私たち全員にかかっているのです。
 皆様、ご自愛ください、そして愛する人たちを守ってください。ありがとうございました。

■ 国難時に支持率上がるはずだが、日本は例外
 プレジデント社が運営する総合情報サイト「プレジデント・オンライン」に4月17日コミュニケーション・ストラテジスト;岡本 純子さん(株式会社グローコム代表取締役社長)が書いた記事が載っていました。この方は、企業やビジネスプロフェッショナルの「コミュ力」強化を支援するスペシャリストとして、グローバルな最先端のノウハウやスキルをもとにしたリーダーシップ人材育成・研修、企業PRのコンサルティングを手がけています。1000人近い社長、企業幹部のプレゼンテーション・スピーチなどのコミュニケーションコーチングを手がけているそうです。その要旨を紹介しましょう。
 −−−−危機の時、政府の支持率は上がるというのが政治学の常識で、実際、コロナ危機で主要国の政権支持率はどこも上がっているのに、日本の安倍政権は支持率を下げていて、とても残念です。安倍晋三首相率いる政府の新型コロナウイルス対策は後手に回ってばかりで、感染拡大に全く収束の兆しが見えません。4月14日発表のNHK世論調査では、内閣に対する支持率は前月より4ポイント下がって39%と、ここ数年で最も低い水準となりました。支持率39%というのはそれほど低くはないように思われるかもしれませんが、世界に目を向けると、異様な数字なのです。
【新型コロナ感染拡大前後の支持率】(直近支持率の高い順)
 首脳  国 コロナ前 直近 増減
ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領
アンゲラ・メルケル首相 ドイツ 68% 79% +11
メッテ・フレデリクセン首相 デンマーク 39% 79% +40
マルク・ルッテ首相 オランダ 45% 75% +30
ジュゼッペ・コンテ首相 イタリア 44% 71% +27
スコット・モリソン首相 オーストラリア 41% 59% +18
文在寅(ムン・ジェイン)大統領 韓国 39% 56% +17
ボリス・ジョンソン首相 英国 33% 55% +22
エマニュエル・マクロン大統領 フランス 36% 51% +15
ドナルド・トランプ大統領 米国 44% 49% +5
安倍晋三首相 日本 43% 39% -4
ジャイール・ボルソナーロ大統領 ブラジル 35% 33% -2
 主要国で支持率が下がっているのは、日本と、あのメチャクチャなブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領だけ、「ブラジルのトランプ」と言われ、極右の人です。なにしろ拷問の法的正当化、LGBTの権利に対する反対、女性議員に「私はあなたを強姦しないだろう。なぜなら、あなたはそれに値しないから―」と暴言を吐き、罰金刑を科せられた過去があります。特にアマゾンの大火災では世界中から非難の嵐でしたね。新型コロナウイルス対策については「どうせ誰かがいつかは死ぬ」、「ちょっとした風邪」と一切の対策を拒否していました。信じられません。そういう人でも33%の国民の支持があるのです。
 ドイツのメルケル首相のようにもともと圧倒的な支持率の人が、更に上がって国民の8割というとんでもない数値になっているのは驚きですが、コロナ前の支持率で安倍首相は各国首脳と比べても堂々たる支持率を誇っていたのです。イギリスのボリス・ジョンソン首相はその過激性のためと思われますが、33%と最も低い数値でしたが、自らが感染したのに、医療スタッフや掃除をしてくれる人たちにまで感謝の言葉を口にして、国民に医療スタッフへの拍手を呼び掛けて急上昇しました。
 このところパリでのデモの連続で不人気だったフランスのマクロン大統領も過半の支持へとアップしました。マクロン大統領の天敵はブラジルのボルソナーロ大統領です。お互いに罵り合っています。
 安倍首相同様、初動の遅れを批判されているトランプ米国大統領ですら支持率は上がっています。トランプ米国大統領もフランスのマクロン大統領とは不仲ですね。

仏・・マクロン大統領と25歳上の夫人

■ 国難時に支持率上がるワケ
 国難においては、人々が国旗の下に集結するように、リーダーへの支持が高まるのが普通です。湾岸戦争(1991年)の時にはブッシュ米国大統領(父)の支持率が59%→89%に、9.11同時多発テロ(2001年)のブッシュ・ジュニアの支持率は50%→90%へと急騰しました。こうした現象は、危機的状況になると国民は極度の不安に陥る→リーダーや政権に自分たちを守ってくれる存在としての役割を期待する→愛国的感情が高まる→団結や連帯のシンボルとしてのリーダーの存在感が高まる、というプロセスによるからです。

■ WHOに責任転嫁するトランプ大統領
 トランプ大統領は、就任以来、「移民」「民主党」「中国」「世界保健機関(WHO)」と次々に仮想敵を作り、支持を集めてきました。
「戦い」を演出する方法は、人心を弄する古典的な手法です。古今東西の指導者たちは、人々の不安や怒り、恐怖を自分の求心力に結びつけてきたという歴史があります。トランプ大統領は4月14日、ホワイトハウスでの記者会見で「WHO(世界保健機関)が早い時点で中国の感染状況の実態を把握し、不透明さを指摘していれば、感染拡大を抑え込めた。死者を少なくすることができた。今後、アメリカ政府としてWHOの対応を検証する」と述べて、WHOへの拠出金の停止に言及しました。WHOの全予算の16%の資金が消えれば、WHOの活動に間違いなく深刻な影響が出るでしょう。交渉相手をとことん追い込み、弱ったところを見計らって助け舟を出し、自分の言うことを聞かせる・・・これがトランプ式「ディ−ル」です。中国寄りのテドロス事務局長の更迭が狙いでしょう。テドロス氏の母国エチオピアはアフリカの中で最も中国と親密です。もう一つの狙いは11月の大統領選を少しでも有利に運ぶために、アメリカに世界最悪の感染者数と死者数を出した責任をすべてWHOに転嫁し、「初動対応が遅れた」という自身への批判をかわそうという狙いと思われます。

■ 求心力を失う安倍首相
 実は「非常時」を強調し、支持を呼びかけるのは安倍首相が得意としてきた論法でした。北朝鮮のミサイル問題や少子化などを「国難」と呼び、野党を「国民と与党の共通の敵」と印象付けることで、自身のリーダーシップをアピールしてきたのです。今、人類共通の敵に立ち向かうという、真の「国難」にあって、まさにその指導力が問われているわけですが、上述の理由で急速に求心力を失っています。

安倍首相とトランプ米大統領
 いま安倍首相に求められるのは、きめ細かでスピーディーな対策、そして「人々の心に寄り添うコミュニケーション力」です。ところが、寄り添うどころか、逆に神経を逆なでする施策や言動に、国民はあきれ果てています。「なんでわかってくれないの」、「これじゃない」・・・悲鳴が連日、国中でこだましているように感じられます。世界のリーダーは非常時に「人々の心に寄り添うコミュニケーション力」を発揮できるから、彼らの言葉に多くの人が勇気づけられ、励まされ、涙を流します。そして「この人ならかじ取りを任せられる」と思えるので支持率が上がるのです。
 国民は、こんな時だからこそ、はせ参じるべき「御旗」や、危機を解決してくれる「ヒーロー」を必死に探しています。いま日本の首相は正念場を迎えているのです・・・コミュニケーション・ストラテジスト;岡本 純子さんの記事はここまでです。

■ 安倍内閣の支持率
 4月14日発表のNHK世論調査では、内閣に対する支持率は前月より4ポイント下がって39%でしたが、読売新聞社が4月11〜12日に実施した全国世論調査では、安倍内閣の支持率は42%となり、前回調査(3月20〜22日)の48%から6ポイント下落し、不支持率47%(前回40%)と逆転しました。不支持が支持を上回ったのは加計学園問題で紛糾した2018年5月以来です。選挙ドットコムでは、4月11〜12日に日本国内の18歳以上の方を対象としたハイブリッド調査(電話調査とインターネット調査を同じ設問で同時に行う方式)による全国意識調査を実施しました。それによりますと内閣支持率は3月調査支持:37.4%、不支持:45.1%、4月調査支持:26.9%、不支持:46.5%でした。不支持は余り変わっていませんが支持が10ポイント以上の大幅ダウンです。ネット調査では「支持」が20.5%、「不支持」が47.4%、3月と比べると、「支持」が約7ポイント下落、「不支持」が約8ポイント上昇しています。電話調査では「支持」が33.3%、「不支持」が45.5%、3月と比べると、「不支持」には大きな変化はありませんが、「支持」が約9ポイント下落しました。
 最近石破茂元自民党幹事長がテレビに出てくる場面が増えました。顔は怖いけれど、ウソが無いところが良いですね。新型コロナウイルス感染者数1の鳥取県が地盤です。

石破茂衆議院議員

■ 岩手県の達増(たっそ)知事
 岩手県の達増(たっそ)拓也知事(55)のマスク姿がおしゃれだと前回紹介しました。我が高校後輩ですが、東京大学卒業後、外務省入省〜米国ジョンズ・ホプキンス大学国際研究高等大学院を修了後、在シンガポール日本大使館二等書記官、外務省大臣官房総務課課長補佐等を歴任後、小沢一郎氏に担がれて衆議院議員(連続4期当選)を経て、岩手県知事(3期目)在任中です
2013年4月の岩手県達増(たっそ)知事のメッセージ・・・桜の名勝;北上展勝地(筆者の先祖が開発したらしい)を背景に
 ジョンズ・ ホプキンス大学と言えば公衆衛生学の世界的権威であり、1876年、実業家ジョンズ・ホプキンズの遺産をもとに設立された米国の私大です。世界最高水準の医学や公衆衛生学で知られ、卒業生や教授など関係者のノーベル賞受賞者は約30人にも上ります。岩手の偉人;新渡戸稲造の留学先としても有名ですね。1月下旬、ローレン・ガードナー准教授が開始した新型コロナウイルスに関する集計は現在、各国の政府やメディアが採用し、日本の厚労省のデータもこれに基づいています。

■ 岩手県が感染者ゼロのワケ
 日本の47都道府県でいまだに感染者が見つからないのは岩手県だけです。「3密」が生じにくいことが理由として挙げられますが、隣県の青森や秋田も同様の特徴がありながらも感染者が発生し、増え続けています。なぜ岩手県が踏みとどまっているかというと、東日本大震災であの未曾有の災害を経験し、新型コロナウイルスを災害と見れば、みんなで連帯、団結して立ち向かうというDNAが備わっているからでしょう、中央政府や首都圏人とはここが違うのだと前回書きました。もうひとつ、背景には、達増知事が指揮を執る感染予防対策もあるとみられます。外務省在職時に公衆衛生学の世界的権威であるジョンズ・ホプキンズ大の高等国際問題研究大学院を修了した達増知事は、2月7日時点で感染症専門医による「岩手県新型コロナウイルス感染症対策専門委員会」を設置、3月30日には、首都圏からの来県者に対して往来自粛を求めるだけでなく、2週間の外出自粛要請を出すなど踏み込んだ対策を取りました。岩手県医療対策室の感染症対策課長は「無症状の患者がいる可能性はもちろんありますが」と前置きした上で「的確な指示を頂き、やるべきことをやっているということは言えると思います」と言っているとのこと。PCR検査数が全国最少にとどまっていることを指摘する声もありますが「専門委の皆さんで1件ずつ検査の必要性を判断しています。時間はかかりますが、見過ごしはないと言えます」(対策課長)と自負します。いつまで「ゼロ県」のまま持ちこたえるでしょうか。
鈴木俊一自民党政調会長(岩手2区)

■ 岩手県の感染対策の厳しさが...
 しかし悲しいこともあります。首都圏から岩手への移動自粛、帰省自粛、もし来たら2週間移動を控えてジッとしていて下さいということで、母親の介護のために東京から盛岡に帰省した高校後輩の話です。こういう事例の場合、岩手県では介護中止、デイサービスも停止、ヘルパーさんも来なくなるそうです。介護は不要不急ではありませんが、とにかく首都圏から来た人には近付くなということのようです。
 また毎日新聞の4月18日記事を見たら、花巻市で4月11日朝火事があり、松尾利明さん(72)が隣家の火事に巻き込まれ焼死したとのこと。松尾さんは大田区から終活の場所として花巻市東和町のマンション賃貸契約を結び、家賃2か月分振り込んで4月から入居することになっていましたが、東京から来た人は2週間経ってから来てくれと管理人に言われたのだそうです。花巻市役所でも転入届は2週間後にしてくださいといわれたそうです。途方に暮れた松尾さんを見かねた人が所有する部屋を紹介し、やっと住処を得たのに、3日後隣の店舗兼住宅の火事に巻き込まれたとのこと。宮沢賢治を愛し、温泉を愛し、ここで余生をと思っていた人の哀れな最期、残念でなりません。

岩手県花巻市の東和温泉

■ 禁煙しましょう
 4月1日から受動喫煙防止の観点から改正健康増進法が施行され、ますます喫煙者は肩身が狭くなりました。加えて志村けんさんの死亡で新型コロナウイルスと喫煙の関係が注目されました。中国での論文では新型コロナウイルスによる肺炎の重症化率は喫煙者が3倍、重症化要因は喫煙歴のある人が14倍だそうです。タバコを吸うためにはマスクを外して口元に手を運びます。これは最も感染リスクの高い動作です。企業では「3密」の典型である喫煙室閉鎖の動きが出てきているそうです。
(2020年4月19日)


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