361  嘘八百
 2月3日(月)は節分でした。連れ合いの作ってくれた恵方巻きを食べましたが、恵方向いてガブリといった”作法”など気にしません。輪切りで頂いたので、正確に言えば太巻きでしょうか。何でも買えばある時代、手作りは逆に有難い・・・感謝して食べました。4日(火)は立春でしたが、天気は冬に逆戻り、7日(金)には厚い氷が張りました。2月9日は満月です。娘夫婦、息子夫婦が一家揃って来て、古希祝いしてくれます。

■ フェイクニュース
 フェイクニュースと聞いたらトランプ大統領かな?と思いますね。聞く人によって本当か嘘か、ニュースはその真実性が問われます。そもそも、何が本当で何が嘘か、実はその絶対的基準なんて無いのではありませんか?本当だと思う人と嘘だと思う人と、同じニュースでも受け止める人によって違うようです。ただ、そのニュースが世の中の多数の人々を幸せにするか不幸にするか、それは問題です。幸か不幸かも受け止める人によって違うと言われればそれまでですが...
 最近もいろいろな嘘のニュースに接しました。ふじみ野市・三芳町の環境センターから発生する熱エネルギーを捨てずに回収して利用する環境に優しい余熱利用施設「エコパ」の採暖室(サウナ)で、ある女性が「高安と杜このみが婚約破棄した」というのです。確かに高安が大関から陥落して、復帰も出来ない相撲振りを見たらなるほどと納得してしまいました。室内に居たほかの人たちも頷いていました。ここはプールにある部屋なので男女混合で水着で入る部屋なのです。しかし待てよ、もし本当ならテレビやネットでやってるはずだ、おかしいなとネットで検索したらそんなニュースはありません。ウソでした。あれほど自信満々で言われたら、つい信じてしまいますね。

■ 「ねぇねぇ聞いた?」、「ここだけの話だけど」
 他にも嘘のニュースがありました。「エコパ」のバーデプールで歩いていたら、「ねぇねぇ聞いた?4月からエコパ入場料が有料になるらしいよ」と言った人が居て、このうわさはたちまち拡がりました。まさしく感染症です。実はふじみ野市・三芳町の60歳以上の人は申請してカードを貰えば入場料は無料、他の地域の人は60歳以上¥320です。60歳未満の人は¥540です。
 このニュースも調べたらフェイクニュースでした。「いずれは有料化したいが、今のところそんな計画は無い」と市長が「タウンミーティング」で明言しており、それが市のホームページに載っているのです。フェイクニュースは口コミで伝染します。「ねぇねぇ聞いた?」というのは大体怪しいのです。「ここだけの話だけど」というのは、大概「拡散希望」を意味します。伝播の途中で尾ひれがついて、ドンドン話が変わって行きます。

■ 急がれるフェイクニュース対策
 フェイクニュースを日本語で言えば虚偽報道、虚偽情報でしょうか。頭が痛いのは、センセーショナルな内容や、大げさな見出しなどによって、人目を引いてしまうこと。そして世論が誘導され、選挙結果を左右するなど、実社会に影響をもたらしてしまう……と心配されています。ほとんどのフェイクニュースはインパクトが強いので、一部の研究では「正しい情報よりも早くネット上で広まってしまう」との指摘もあります。ネットやSNSで、センセーショナルな見出しを目にする機会が増えていませんか?今見ている記事や動画が事実無根であったり、政治や民族の対立をあおろうとする悪意あるものだったりするかもしれません。人は退屈なニュースより、面白い記事に目を引かれるもの。一般人が情報を発信しやすいネット社会では、フェイクニュースも一気に広がって行きます。よく聞くのは、ネット情報の八割はフェイクだと言うのですが、現実はそれ以上かもしれません。現在、世界各地でフェイクニュース対策が急がれています。

今年は梅の咲くのが早い

■ ダイヤモンドプリンセス
 武漢から発した新型コロナウイルスの感染者が豪華客船ダイヤモンドプリンセス号の中で見つかり、それも次々と拡大して、横浜港に接岸したまま感染者を病院へ運び、残る乗客、乗組員3600人は14日間缶詰とのこと、えらいことです。
 右は2020年1月31日にプリンセス・クルーズ オンラインメンバーである筆者に来た「プリンセスメール特別号」です。「プリンセス・クルーズが撮影に協力した、中井貴一さんと佐々木蔵之介さんW主演の“開運お宝コメディ”『嘘八百 京町ロワイヤル』の映画公開を記念し、「プリンセス・クルーズ オンラインメンバー」のみなさまから抽選で、映画にも登場したダイヤモンド・プリンセスで行く豪華客船の旅をプレゼントいたします」とあります。
 映画「嘘八百 京町ロワイヤル」は、幻のお宝をめぐり、中井貴一と佐々木蔵之介扮する古物商と陶芸家がだまし合いの大騒動を繰り広げるコメディのシリーズ第二作です。大阪・堺で幻の利休の茶器をめぐって大勝負を仕掛けた古物商の則夫と陶芸家の佐輔が、ひょんなことから京都で再会を果たす。そこで出会った着物美人の志野にほだされた2人は、利休の茶の湯を継承し、天下一と称された武将茶人・古田織部の幻の茶器にまつわる人助けに乗り出すが・・・・。古物商の則夫役を中井、陶芸家の佐輔役を佐々木がそれぞれ演じ、志野役で新たに広末涼子が参加。友近、森川葵ら前作からのキャスト陣に加え、加藤雅也、竜雷太、山田裕貴らも新キャストとして加わっています。
 嘘八百って、フェイクニュースでしょうか?プリンセス・クルーズにとって新型コロナウイルス感染はフェイクニュースであって欲しいでしょう。もちろん1ヶ月も船の中という乗員、乗客には大変なストレスだと思います。

■ 「嘘八百」の第一作テレビ放映
 「嘘八百」の第一作は本日2月9日(日)22時からBS−TBSで放映されます・・・大阪・堺、千利休を生んだ茶の湯の聖地に、大物狙いで空振りばかりの目利き古物商・小池則夫(中井貴一)がお宝を探しにやってきた。出会ったのは、腕は立つのに落ちぶれくすぶっていた陶芸家・野田佐輔(佐々木蔵之介)。ある大御所鑑定士に一杯食わされ、人生の出端をくじかれた二人は結託し、“幻の利休の茶器”を仕立て、仕返しついでに一攫千金を狙う。それは、家族や仲間、大御所鑑定士、さらには文化庁までをも巻き込む、大騒動に・・・

■ 楽しい船旅
 筆者は昔「コーラルプリンセス」という英国の船で旅したことが有ります。今「コーラル・プリンセス」と言えばプリンセス・クルーズの大型客船ですが、昔は同名で別の客船があったのです。ただしコレは今の遊びの船と違って洋上研修船でした。船の中で講義があり、ディスカッションがあり、みっちり勉強して意見を戦わしました。それでも船旅は楽しいものでした。片道飛行機で、香港〜広州〜台湾〜横浜をクルーズしました。

英国客船「コーラルプリンセス」1962年就航、乗客480人

プリンセス・クルーズの「コーラル・プリンセス」2003年就航、乗客2千人、乗組員895人

■ さまよえるクルーズ船
 新型コロナウイルス関連では、2月1日に香港を出発し、石垣島に寄港した後、那覇、長崎、福岡を経て2月15日に横浜港に入る予定だったクルーズ船「ウエステルダム号」は、台湾からも日本からも入港拒否され、日本以外の別の寄港先を探して調整を続けていると運営会社(米ワシントン州シアトル)が明らかにしました。船は日本時間2月8日未明時点で台湾沖付近を南下しており、「船がどこへ行くか、現時点では決まっていない」そうです。新型コロナウイルス感染者は確認されていないと運営会社は言っているそうですが、乗客1455人と乗員802人が乗船しており、この先どうなるのでしょう、心配です。今回の件で、いわば洋上の閉空間であるクルーズ船の旅行には翳りが出るのではないでしょうか。

■ 「嘘八百」とは
「語源由来辞典」によりますと、「嘘八百」とは多くの嘘を意味する言葉で、八百というのがそもそも数多いことを表すのだそうです。数字の「八」そのものが数多いことを表し、これは仏教由来とのこと。それより百倍ですから、八百となるともはやメチャクチャ多いわけです。江戸市中にはたくさん町があることを表す「八百八丁」や、大坂市中に橋が多いことを表す「八百八橋」なども、数多くあることを表現した言葉です。したがって、「嘘八百」となるともはや嘘だらけということになります。
 ところで上でメチャクチャと書きましたが、これは「滅茶苦茶」と書かれたりします。程度がはなはだしいことを表すときに使います。同じような言葉でムチャクチャというのもありますね。これは「無茶苦茶」と書かれたりします。どう違うのでしょう?結果に対して使うのがメチャクチャで、原因に対して使うのがムチャクチャなのだそうです。メチャクチャは結果的に悪い状態になっていることであり、ムチャクチャは原因に無理があるときに使われます。そうすると「めっちゃいいね〜」などと使われるのは結果が良かったときに使うのでしょう。日本語というのは外国人から見たら難しいでしょうね。

■ NHK朝ドラ
 1961年にスタートした「連続テレビ小説」は、2019年4月1日スタートの「なつぞら」で第100作を迎えました。「連続テレビ小説」は、朝に放送されていることから、"朝ドラ"と呼ばれ、時代を超えて長く親しまれてきました。月曜から土曜の8時15分から15分間という時代が長く続きましたが、2010年4月の「ゲゲゲの女房」からは、8時から15分間の放送となって、現在に至っています。朝ドラが始まった頃、視聴者は家庭の主婦が中心でした。しかし、徐々に女性の晩婚化や働く主婦が増加し、女性にとって朝はより忙しい時間帯となり、ゆっくり朝ドラを楽しめる人が少なくなってきました。一方、高齢化の影響で、リタイア後に"朝ドラ"を楽しむ高齢男性は増えてきています。

■ 朝ドラ視聴率の変遷
 右のトレンドグラフをご覧下さい。視聴率はず〜っと下降を続けてきて、2010年4月の「ゲゲゲの女房」から反転上昇しています。放送時間帯変更は成功でした。川越のお菓子屋さんの娘「つばさ」は、「翔んで埼玉」流に言えば「名物も名所も何も無い」埼玉県が初めて舞台となった朝ドラでしたが、ナント!13.8%、ダサイ!続く「ウェルかめ」で13.5%の大ピンチ、それゆえ「ゲゲゲの女房」でのNHKの打ち手は見事でした。松下奈緒と向井理、今でもドラマで大活躍ですね。「純と愛」で再びピンチかと思われましたが、「あまちゃん」で人気復活、「ごちそうさん」では主役の杏と東出昌大が役そのまま結婚しました(今ピンチです)。「花子とアン」、「マッサン」順調でしたが「まれ」で再び20%割れ、しかし「あさが来た」でいきなり23.5%と盛り返し、前回の「なつぞら」まで8作連続視聴率20%越えです。NHK朝ドラは、他の番組を引き離してNHKでも民放でも視聴率は断トツTOPです。
 今NHKBSプレミアムで「おしん」の再放送中ですが、乙羽信子も田中好子も今や故人、時代の流れを感じます。もう37年も経っていますから無理ありません。

■ スカーレット視聴率ピンチ
 現在放送中の「スカーレット」の視聴率では異変が起きています。第1話の視聴率は20.2%でしたが、1週目の平均は19.8%と20%の大台を割ってしまいました。2週目の土曜日12日目で22.4%の最高を記録しましたが、14週目の平均は18.2%と最低を記録し、平均視聴率が下がっていることを示しています。

■ 女性陶芸家の波乱万丈な物語
 主人公の川原喜美子は三姉妹の長女で、大阪で生まれ、9歳の時に滋賀県の信楽に転居します。幼い頃から家族を支えてきた頑張り屋な女の子です。中学を卒業後は大阪で就職し「荒木荘」という下宿屋の下働きから住み込み賄い婦を立派にこなします。しかし、大阪の仕事をやめ地元の信楽へ帰ることになり、幼馴染の照子のお父さんが経営する丸熊陶業に就職します。ここで絵付けの仕事に惹かれ、ふか先生の弟子になります。やがてここで十代田八郎と出会い、信楽焼の虜になった喜美子は、男社会の陶芸の世界に自ら飛び込み、歩みを始めるのです。自らの窯を築き、喜美子オリジナルの信楽焼を作り出そうと奮闘、結婚、出産、モノを作り出す情熱と喜びを糧に、失敗や挫折にめげず生きていく女性陶芸家の波乱万丈な物語です。
 「スカーレット」は脚本、監督、演出、すべて女性です。面白いのですが、ちょっと今までの朝ドラのパターンと違います。戸田恵梨香の熱演は見事です。しかし、穴窯を二週間焚き続けるという喜美子に「危ない、そんなことしたら窯が壊れてしまう、火事になる、喜美子は女や、そんなことして欲しうない」と言う夫・八郎(松下洸平)の説得もはねつけて女性陶芸家の道を突き進み、認められます。喜美子の作品を見て八郎は黙って去っていきます。やがて進路をめぐり話していた武志から「お母ちゃんは陶芸家としてやりたいことをやって成功した代わりに大事なもんを失ったんや」と言われてしまいます。武志が父と同じ京都の美術大学を受験することから、息子の武志の中に居る父親の大きな存在、女性陶芸家としての道を選んだ喜美子の覚悟の代償を知ります。自立する強い女故に、ふか先生、八郎と大事な人が新天地を求めて喜美子から去って行きます。次に去る人は誰でしょうか?

 朝ドラ視聴率の変遷




 朝ドラ視聴率の推移

■ 今までの朝ドラとの違いが視聴率に反映か

 やっと馴れた「荒木荘」の皆さんとの別れ、ふか先生との別れ、八郎と結婚したと思ったらもう武志が大きくなっていて、結婚、出産の部分が飛ばされて、視聴者と喜びを分かち合う場面なし。八郎が苦労して認められるまでの喜美子の支えは入念に描かれます。弟子の女の子が入門し、怪しい雰囲気になって去っていく、それから喜美子は穴窯にとりつかれる、八郎が家を出て行く、すると武志がいきなり高校生になっていて、八郎はどうした?と気になります。喜美子が先生と呼ばれる身分になっていて、八郎と離婚したことがアナウンスされます。ハッピーになりそうになっては、スルリと逃げていく、今までの朝ドラと違うところです。視聴者が見たい部分よりも、いかに女が男社会で生きていくのが困難なことなのか、そしてそのために犠牲にしなければならないこともある、それを喜美子を通して訴えたい、これが制作者たちの意図であり、結果が視聴率に反映しているのでしょう。
(2020年2月9日)


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