351  遅い紅葉
 いよいよ12月、師走ですね。前回、11月は霜月だと書きました。書いた内容に訂正があります。ふじみ野こどもエコクラブの畑では、11月30日(土)の寒さで霜柱が立ち、熱帯原産のツルムラサキは黒くなってしまいました。オシマイです。しかし、「霜降り前収穫ですね」と書いたアスパラ菜は元気に青々とした緑の葉を輝かせています。「寒さに強くないので越冬はしません」と種袋に記載されていますが、霜柱が立っても元気と言うことは、どうやら「寒さ」のレベルが違うんですね。東北、北海道などの寒冷地では越冬無理としても、南関東では結構持ちそうです。同じく畑に植えている紅菜苔は元気ビンビン、野沢菜や高菜のように勢い良く葉を繁らせています。

■ アスパラ菜

アスパラ菜
 「アスパラ菜」は食べた時の歯ごたえと甘い風味がアスパラガスとよく似ている事からこう呼ばれるようになったそうです。中国野菜の花芽と茎を食べる野菜で、暑さに強い「菜心(ツアイシン)」と、寒さに強い「紅菜苔(コウサイタイ)」をこう配させ育成された新しい品種で、とう立ちした茎葉と花芽を食べます。「オータムポエム」という名称でも知られます。見た目は菜の花に似ていますが、菜の花のような苦味は無く、クセも無くほんのりと甘みがあり、紅菜苔(コウサイタイ)のようなヌメリは感じません。本来の露地栽培では春が旬の野菜ですが、寒冷地では秋採りです。
紅菜苔

■ 紅葉の季節
 11月と言えば紅葉ですね。北東北では10月下旬が盛りのはずですが、右写真見てください。雪の舞う時期にこの紅葉ですよ。信じられません。

 少年野球の西原小学校で拾い集めた桜の葉を、ビオラの植木鉢に並べてみました。緑→黄→赤→茶と色を変える見事なサクラ、花も綺麗で葉もキレイ。

弘前城公園の本丸へ上る坂道の紅葉(2019年12月1日「あずましの里通信」より)

■ 伊香保温泉の紅葉は終わり
 先週は毎月恒例の伊香保温泉に一泊で行って来ました。行きは、日本の道の駅でもトップクラスの人気を誇る「ららん藤岡」に立ち寄りました。伊香保への道すがら、黄色や赤の綺麗な紅葉が一部ありましたが、全般に今年はくすんでいる感じ、雨が多くて植物はまだ生命力を保ち、キリリとした寒さが来ないので、のんびりしているのでしょうか。

伊香保温泉の紅葉の名所;河鹿橋
 伊香保温泉の石段下の温泉街はモミジの紅葉が終盤ですが、石段街の上の伊香保神社や伊香保露天風呂に近い河鹿橋(左写真の上部の赤い太鼓橋)から見ると、紅葉は終わり、葉も落葉して、すっかり冬の様相です。榛名山の斜面に展開された温泉街は、標高差があるので、上と下では大違いというのがハッキリ分かります。
 温泉が流れる川底の色を見て下さい。伊香保温泉が「黄金の湯」と呼ばれるワケが分かります。滝を流れ落ちる水の色は色付いていないのに、その成分が長年付着して川底がまさしく金色!

全国紅葉マップ(2019年12月3日現在)茶:終り、赤:盛り、黄:色付き

■ 遅い紅葉
  2019年の紅葉は、「記録的な遅さ」とまでは言えませんが、やや遅い所が多くなっています。紅葉は、秋(9月〜11月)の気温が低いと早まり、高いと遅れます。2019年は、9月から10月にかけて、落葉樹が見られる地域としては全国的に平年よりも気温がかなり高くなりました。その上、11月まで多量の雨が続いたので、土壌水分がタップリとあります。したがって、九州の紅葉見頃の頃に、まだ東北でも紅葉が終わっていないという現象になっているのです。上右の図を見てください。紅葉盛りの場所が、仙台〜関東〜東海〜関西〜四国〜九州と連なっています。珍しい現象です。
 紅葉と言えば、モミジは全国的に赤く、イチョウは全国的に黄色い!何を当たり前のことを言っているんだと思われるかもしれませんが、この2種の樹木は寒冷地でも温暖地でも同じように色鮮やかなので、これらを植えることでいくらでも「紅葉の名所」は作れるのです。京都など典型的です。今の時期の京都は人混みを見に行くようなものです。

■ 作られた紅葉の名所
 全国の「みんなが行ってみたい」紅葉名所ランキングを見ますと、やはり「作られた紅葉の名所」が多くなっています。そうではなく、自然に形作られた紅葉の名所となると、やはり日夜の寒暖差が大きい山岳部や湖畔、谷などが挙げられます。南関東のように温暖なところでは、紅葉を通り越して茶葉となり落葉することが多くなります。北東北から北海道では、どこもかしこも綺麗な紅葉という風景が当たり前に見られます。
 京都は作られた紅葉の名所ではありますが、それでも観光客が殺到するのはその造形美にあります。右写真をご覧下さい。赤、黄、緑のマッチングが見事です。とりわけ足元の苔、その緑が美しい!これは手入れしなければ作り出せない美しさです。苔は全国的にもブームになっています。モスですね。
 いまパソコン部屋から見る川越街道の樹木の中で、ひときわ銀杏の黄色が見事です。ただ今年はまだ葉が青いイチョウも見かけます。これだけバラバラということはまだ寒さイマイチということです。

京都の紅葉

■ なぜ緑なのに「青々」と言うのだろう?
 「緑、黄、赤」と言えば信号機ですね。横型だと赤が右、縦型だと赤が上です。車が左側通行の日本では、樹木の枝で隠れて見えないことの無いように、「止まれ!」である赤色の配置をこのようにしているわけです。信号機もほぼLEDになりました。前から疑問に思っていたのです、「なぜ信号機の緑色を青と言うのだろう?」・・・明らかに青と緑は違います。英語では「Green Light」と言って、国際的には信号は「緑・黄・赤」とされています。緑の草原を見て「青々とした」って言いますよね。なぜ緑々と言わないのでしょう?青信号は緑色、青リンゴは鮮やかな黄緑色で、青汁だって葉っぱの深緑色です。常夏の青い海がいくらエメラルドグリーンでも「海が青くてきれいだね」と言います。どうして?
 すると先日テレビでやっていました。時間は平安時代にまで遡るのです。かつて日本には色を表す言葉は4つしかなかったのだそうです。「赤」「白」「黒」そして「青」。それですべての色彩を伝えなければならないので、今よりも幅広くそれらの色の名は使われるようになりました。青、緑だけではなく紫や灰色までも青という言葉にしたのだそうです。青と緑に分かれるのは平安時代末期から鎌倉時代になってからだそうです。すなわち緑は日本では新参者で、古来よりの色は「赤い」「白い」「黒い」「青い」と形容されますし、「黄」と「茶」も「黄色い」「茶色い」と名前に「色」と「い」をつけて形容詞になりますが、「緑」は「緑い」や「緑色い」とはならず「緑の」となるのです。

■ 氷温の話
 前回、氷温について紹介しました。氷温域にさらされた食材は「凍るまい」として、細胞内にあるでんぷんやたんぱく質を分解して水溶性の糖やアミノ酸を生成して甘くおいしくなるのです。今や「氷温庫」で人工的に野菜や果物、肉、野菜の旨みを引き出して出荷するようになり、イカの一夜干しの氷温ざらしなど、高価ですが甘くて美味しいですよ。
 この「氷温」の発見の歴史は新しいのです。鳥取県食品加工研究所長だった山根昭美農学博士が1970年、鳥取名産の二十世紀梨を用いて低温貯蔵試験中に、失敗して梨を凍らせてしまって青くなったのですが、食べてみたら甘くなっていて、「何だコレは!」とビックリして、食品が凍らずに生き続けることのできる未凍結温度領域を発見したのです。従来の食品貯蔵学の概念をくつがえしたこの温度域を「氷温域」と名付けました。その後、山根博士は研究所を辞めて、「公益社団法人日本氷温食品協会」を鳥取県米子市に設立。同時に、氷温技術の研究開発をめざす「株式会社氷温研究所」も設立しました。

■ 多摩川の話
 前回、昔は多摩川から荒川に向かって南西から北東へとたくさんの分流が流れていて、我が住むふじみ野市にも多摩川が削った崖線が3本あることを紹介しました。多摩川は、昔は玉川と呼ばれる暴れ川で、武蔵野台地を縦横無尽に流れていたそうです。青梅を扇頂とする広大な扇状地を形成し、現在の武蔵野台地の基盤となった川です。一時期は荒川へも流れ込んでいましたが、武蔵野台地にあったすべての丘陵(狭山丘陵を除く)を削り去り、平坦な地を作りました。その後、武蔵野台地の隆起により、多摩川中流は台地の南縁へ押しやられ、現在のように多摩丘陵の北縁を流れるようになったのです。ちなみに、この古多摩川の流れの跡が目黒川を生み出し、神田川を生み出して、その他の川も生み出してきました。ある意味では、多摩川は川たちの母とも言えます。武蔵野台地は、関東平野の北東縁を荒川、北西縁を入間川、南西縁を多摩川に挟まれた面積700kuの台地です。その範囲は東京都区部の西半分、立川市、福生市、青梅市東南部などの市部の一部、そして所沢市など埼玉県の入間地域や志木市など新座地域を含み、川越市が武蔵野台地の北端に位置します。なお狭山丘陵は埼玉県所沢市・入間市と、東京都東村山市・東大和市・武蔵村山市・西多摩郡瑞穂町の5市1町に跨っている、東西11km、南北4kmの規模で広がる丘陵です。最高地点の標高は194mです。
武蔵野台地…北縁が荒川、南縁が多摩川
(2019年12月4日)


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