333  雑草
 本日、関東甲信が梅雨明け、平年より10日遅れ、昨年より30日遅れでした。今回は記念すべき第333回、3が三つ並ぶなんて・・・それでタイトルが『雑草』・・・なんなのコレ?と思われるかな?実は少年野球のグラウンド、埼玉県ふじみ野市立西原小学校の校庭に生える草が、長い梅雨で勢い良く生い茂り、抜きやすい草と地面に這いつくばるようにガッシリ根を張る草が有って、後者が手を付けられないほど抜いても抜いても出てくるのです。何という名前でしょう?とりあえず・・・「雑草」というわけです。

■ 雑草という草はない
 有名な話ですが、入江相政「宮中侍従物語」によりますと、昭和天皇が留守中に、お住まいの庭の草を刈った侍従の入江相政に天皇は尋ねられたそうです。
 「どうして草を刈ったのかね?」
入江は、ほめられると思って、「雑草が生い茂って参りましたので、一部お刈りしました」と答えました。すると天皇は、
 「雑草という草はない。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない。注意するように」と諭されたのだそうです。
 確かにおっしゃる通り、植物自体には本来雑草も雑木もありません。しかし、私たち下々の者は、そんな高邁なモノの考え方はしません。可愛い花を咲かせたり、美しい葉を持つモノには名前を付けて愛でます。しかし食べられない、眼の保養にもならない、人間の役に立たない草木は「雑」なのです。確かにどんな草にも名前はあります。しかし、雑草の名前は積極的に覚えようとはしません。

■ 畑の雑草
 ふじみ野こどもエコクラブの畑は埼玉県立ふじみ野高校のグラウンド隣り、ちょうど野球部が練習している1塁側です。たまにファウルボールが飛んできます。畑なので土が軟らかく、ありとあらゆる雑草の宝庫です。なかでも野アザミやエノコログサ、オニタビラコ、カヤツリグサ、カタバミ、スギナ、スベリヒユ、ハキダメギク、ワルナスビなどの繁殖力には眼を見張ります。恐らく数十種類、いやもしかすると百種類以上の雑草が生えているのではないでしょうか。野アザミは見方によっては花がきれい、エノコログサ別名ねこじゃらしも抜きやすく、風に揺らぐ姿は、可愛い面があります。カヤツリグサは繁殖力が強く雑草の中でも最強と言える雑草です。刈っても刈っても生えてきます。
野アザミ

エノコログサ

カヤツリグサ
 イヌタデやカタバミの生命力も強靭です。特にカタバミは、葉っぱが緑色と赤褐色のものがあって、三つ葉の葉っぱも花も可愛いものの、茎を引っ張ると、根がゾロロロ〜と随分長くはがれてきて、これが繁殖力の強さなんだなと感心してしまいます。
 イタドリ(スカンポ)は根が強い!ところで、同じような草でスイバやギシギシとの違い、分かりますか?イタドリの茎は竹のように節があって中空になっています。皆タデ科です。

イヌタデ

カタバミ
 スベリヒユは見るからにおいしそう、それもそのはず世界的にも古くから食用にされていて、様々な効能がある植物として扱われてきました。食べ方は生でサラダにしたり、トルコでは麦と煮込んだスープにしたり、中国では炒めるなどして食用、漢方に用いられたり、とても栄養があるそうです。薬草としての効能があること、オメガ3脂肪酸と言う栄養素を豊富に含むスーバーフードであることが最近注目されています。山形では山菜扱いだそうですよ。仲間のポーチュラカはとても可憐な花を咲かせて、人気の園芸品種です。ワルナスビは名前の通りたちが悪いですね。
スベリヒユ

ワルナスビ

■ グラウンドの雑草
 西原小学校の校庭は、普段スポーツで踏み固められて地面が堅いので、オオバコ、オヒシバ、メヒシバ、コニシキソウのようなものしか生えません。オオバコは中国では車前草といわれ、車(牛車・馬車)が多く通る轍(わだち)によく生えることからこの名がついたそうです。踏みつけに強く、人などがよく踏む道端などの場所でよく見られます。抜くのが大変な草です。弱ったカエルをこの葉陰におくと元気になるという俗説からカエルバともいわれるそうです。種は日本薬局方に収録された生薬でもあります。
オオバコ

コニシキソウ

■ 厄介なオヒシバやメヒシバ
 校庭の除草で最も苦労するのが、オヒシバやメヒシバです。同じイネ科の植物で、どちらも茎の先に放射状に穂をつけ、名も雌雄の違いだけですが、近縁ではありません。ヒシバ(日芝)とは、日の当たるところによく生える芝のような草という意味で付けられた名前のようですが、頭に雄(男)と雌(女)の文字が付けられて区別されています。右写真で分かる通り穂が太くしっかりしていて、いかにも強そうなのがオヒシバです。それに比べて、メヒシバは全体に細身で弱々しく、いかにも雌といった感じです。
 オヒシバにはしっかりとした茎があり、別名「力草(チカラグサ)」や「相撲取り草」と呼ばれます。大地にしっかり根をはるので引っ張っても簡単に抜けません。しかもある程度大きくならないと、引っ張っても途中で切れてしまい、根が残るとそこからまたグングン成長します。
 メヒシバは比較的簡単に抜くことが出来ます。しかし、雑草として厄介なのは実はメヒシバなのです。草取りを丁寧に行っても、圧倒的にメヒシバの方が生き残ります。

穂の違い 左:メヒシバ、右:オヒシバ

■ 雑草の女王
 このメヒシバの強さの秘密は、茎に作る節にあります。その節から根を出します。茎をどんどん伸ばして節を作り、そこから根を張って栄養や水分を補給し、さらに茎を伸ばしてテリトリーを広げて行くのです。さながら陸上自衛隊の匍匐(ほふく)前進のようなものですね。次々に根を張りますから、ネギ・サツマイモなどの畝では、茎と張り合うように高さに負けまいと直ぐに立ち上がり、太陽を求めて伸びあがります。オヒシバと違って、したたかな生き方をするのです。

オヒシバの若い頃 これくらい成長すれば抜けます
 
メヒシバは次々節を作り根を出して ドンドン拡がっていきます
 そしてまた厄介なのは茎の先につけた花穂です。種子は一株あたり2万〜6万粒種子を実らせると言われていて、一度に発芽せず逐次発芽して来ますから、取っても取っても生えてきます。だから、メヒシバは「雑草の女王」と呼ばれたり、世界十大害草に選ばれているのです。この「雑草の女王」も太刀打ち出来ない野菜があります。それは「オクラ」です。暑さにも強く草勢が強いオクラが育っている畝では、この「雑草の女王」も育たずひょろひょろ。女王の面影が見られません。

■ 土用のうなぎ
 7月27日は土用の丑の日でした。うなぎ屋さんは大賑わい、売り切れで早々閉店した店もありました。前にも書きましたが、埼玉には「うなぎ」の名店が揃っています。浦和や川越です。特に、浦和の別所沼が有名ですね。江戸時代、うなぎが生息していた川や沼がありました。江戸と京都を結ぶ中山道、日本橋から3番目の宿場町として栄え、多くの人が行き交い賑わいを見せていた江戸時代の浦和周辺には、川や沼で魚釣りをする行楽客の姿がありました。地物のうなぎが評判となり、わざわざうなぎを食べるためにここへ訪れる人もいました。大正時代に入ると、都市開発が進み天然のうなぎは姿を消してしまいます。しかし、うなぎが採れなくなってしまった後も、蒲焼店は伝統の味を守るべく営業を続けてきました。浦和のうなぎ、その美味しさの秘訣は「白焼き」にあります。うなぎを蒸す前に軽く焼きを入れ、旨味を一度閉じ込めます。そこから更に焼きとタレ付けを繰り返し、深い味わいに仕上げていくのがこだわりです。

うな重

浦和うなこちゃん
 浦和うなこちゃん・・・さいたま観光大使である「浦和うなこちゃん」は、浦和のご当地キャラクターです。やなせたかしさんがデザインした愛らしい表情が評判です。そのモチーフはもちろんうなぎです。浦和のPRのため、各種イベントに出没したり、オリジナルの「うなぎ小唄」を披露したりと精力的に活動しています。浦和地区内には、うなこちゃんの石像が数箇所設置されており、浦和駅前や公園、うなぎ店の店舗などでその姿を見ることができます。

■ 盛岡さんさ踊りの曲線美
 毎年この時期は夏祭りが各地で盛んに行われます。踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃソンソン・・・日本踊る夏祭り10選
秋田・西馬音内盆踊り…重要無形民俗文化財
盛岡さんさ踊り…世界一の太鼓大パレード
山形花笠まつり…ハァ ヤッショ マカショ
浅草サンバカーニバル…日本最大サンバ踊り
岐阜・郡上おどり…徹夜おどり
鳥取しゃんしゃん祭…因幡の傘踊りを大衆化
徳島・阿波おどり…阿呆がいっぱい
高知・よさこい祭り…土佐の夏の風物詩
熊本・火の国まつり…おてもやんに乗って
沖縄全島エイサーまつり…本場のエイサー
 上記10選には入っていませんが、「仙台すずめ踊り」や「越中おわら風の盆」なども有名ですね。春の植え付けと秋の収穫の間、暑くて農作業もままならぬ、ならば踊って過ごそうよ!札幌YOSAKOIソーラン祭りは6月なので除外。
 ギネス認定の盛岡さんさ踊りは、8月1日から4日まで盛岡市の目抜き通りで行われます。何と言っても女性の艶やかな曲線美が最高ですね。

盛岡さんさ踊り(2018)

■ 佐々木朗希の登板回避問題
 第101回高校野球選手権大会の話題トップは岩手・大船渡高校の163km右腕佐々木朗希投手ですね、と前回書きました。そして岩手の決勝で佐々木朗希は登板することなく、大船渡は花巻東に2-12で敗れました。このことについて喧々諤々の大議論が巻き起こりましたが、大勢は「登板回避した国保監督の英断を評価する」という意見です。桑田真澄さんはそう言うだろうな、と思いました。菊池雄星は、「一番近くに居る監督がそういう決断をしたのなら従うしかないでしょう。大谷翔平も佐々木朗希も、マンガのヒーローみたいなカッコ良さがありますね」と自分を棚に上げて言いました。大谷翔平も「監督の決断には従うしかない」、と言いつつも、「高校野球をやるものなら甲子園に行きたいと言うのが何より一番のはずです」と言いました。智弁和歌山の前監督高嶋さんは、「監督の決断にはとやかく言うべきではない。ここで壊れるんやったらプロに行っても壊れる、高校球児が何を目指してやってるんか、いうことを考えたら、出たかったんじゃないですか」と言いました。極めつけは張本さんですね。「絶対、投げさすべきなんですよ。大体、予選で4回(佐々木は準決勝まで4試合に登板)しか投げてないんですよ。合計で430、450(球)くらいしか投げてないのよ。昨年、吉田輝星(秋田・金足農)が800(球)くらい投げているんですよ、1人で。1年生から3年生まで必死に練習して。やっぱり、甲子園は夢なんですよ」と言いました。
 実は筆者は少年野球にも球数制限の波が押し寄せていることは承知しつつも、決勝戦は佐々木朗希が監督に訴えてマウンドに上がるのでは?と思っていました。連れ合いのお兄さんは岩手県でも鳴らした野球人です。「決勝戦は楽しみですね」と言うと、予想外の醒めた返事が返って来ました・・・「どっちでもいいよ」・・・これを聞いてハッとしました。多分、佐々木朗希は投げないだろうと予想したのではないでしょうか。花巻東の佐々木監督は、手練手管で相手を攻略することを普段からミッチリ練習しています。たとえ相手が佐々木朗希だろうと、守備を引っ掻き回すようないろいろなことを仕掛けるはずです。それでも豪腕佐々木朗希が花巻東打線を力でねじ伏せるかもしれません。しかし甲子園でそれが2回、3回と続くでしょうか?そう考えると、花巻東が甲子園に行ったほうが活躍を期待できるのでは?・・・「どっちでもいいよ」と言うことになるわけでしょう。
 ともあれ、佐々木朗希は戦わずして敗れました。一番口惜しかったのは本人ではないでしょうか。張本さんの発言には猛批判が巻き起こりましたが、高校野球好きの人なら本音は同じはずです。ただ国保監督としてはこうするしかなかったのも理解できます。佐々木朗希にはメジャーやNPB(日本プロ野球)からも熱い視線が注がれていました。高校野球だけの選手じゃない、と考えれば苦渋の決断でしょう。今夏もスタンドから、負けて脱力した多くの高校三年生を見ました。必死に練習した2年チョットが終わるとき、口惜しいなんてものじゃありません。ヘナヘナと力が抜けてしまうのです。「君にはまだ未来がある」それはそうでしょう、でも...
 2019年7月26日(金)午後、大船渡高校野球部報告会が母校体育館にて盛大に行われ、戸田公明大船渡市長も駆けつけました。校長先生、生徒会長、応援団、選手代表の挨拶が行われる中、市長は「全国的に注目されるプレッシャーを乗り越えて決勝戦まで見事な戦いぶりでした。一丸となって頑張ってきた監督と選手諸君、そして応援に駆けつけた生徒、教職員、保護者、関係者の皆様大変お疲れ様でした。多くの市民が感動し励まされ、明日への元気と勇気を沢山いただいたことに感謝します」と述べました。

大船渡高校体育館の壇上で、選手たちに感謝の言葉を述べる戸田公明市長

■ ラグビー
 2019年7月27日に行なわれたワールドカップ前哨戦「パシフィック・ネーションズカップ(PNC)」の開幕戦。東日本大震災の津波で被災した小中学校の跡地に、W杯のために新設された釜石鵜住居(うのすまい)復興スタジアムお披露目第一戦です。真夏の日差しが降り注ぐなか、「富来旗」とも呼ばれる大漁旗が揺れる釜石のスタジアムは1万3千人の観客で埋まりました。W杯仕様の新ジャージーを来た日本代表が対戦するフィジーは、ランキングで日本よりふたつ上の世界9位です。日本代表はフィジー代表と比べ、平均身長で5cm低く、平均体重も5kg以上軽い、しかし34−21で快勝した日本、スタジアムは大きな歓喜に包まれました。2016年の秋にジェミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が就任して以来、ランキング上位に勝ったのは初めてです。過去3勝14敗と苦手としていた相手から、実に8年ぶりに白星を挙げました。PNCは残り2試合(トンガ戦@8月3日、アメリカ戦@8月10日)。釜石の地で好スタートを切った日本代表、ガイジンが結構入っているけれど、頑張れ!
(2019年7月29日)


次回へ    前回へ    最新ページへ    つぶやき最終回