326  高齢化
 ふじみ野エコクラブというのに引っ張り込まれて、毎週火曜日、金曜日に農作業をしています。つくづく思うのは、農業に必要な水の大事さです。ペットボトルで水を運んで水やりするのは大変です。梅雨よ来い、と強く思いました。お蔭で我が家の庭の作業が後回しになる間に、きゅうり、ミニトマトがグングン大きくなり、青紫蘇も一面に生えてきました。なす、ピーマン、カボチャ、ゴーヤも成長しています。

■ 梅雨入り
 やっと梅雨入りしましたね。7日、東海や北陸、東北南部とともに関東甲信も梅雨入りしました。関東甲信の平年の梅雨入りは6月8日ごろで、ほぼ平年並みの梅雨入りとなりました。一方で、九州北部から近畿は8日以降、晴れる日が多くなり、7日の梅雨入りは見送られています。気象庁によりますと、6月中旬までは梅雨前線は例年より南に停滞しやすい予想です。ただ、関東甲信には湿った空気が流れ込みやすいため、平年に比べ、曇りや雨の日が多くなる見込みだそうです。6月下旬から7月は梅雨前線が本州付近に停滞しやすくなり、いよいよ梅雨の最盛期、関東甲信の平年の梅雨明けは7月21日ごろですが、今年は盛夏をもたらす太平洋高気圧の本州付近への張り出しが弱く、梅雨明けが平年より遅くなる可能性があるそうです。

■ 高齢者の暴走事故
 高齢ドライバーによる深刻な交通事故のニュースが続きます。2019年6月7日早朝、千葉県・海浜幕張駅でタクシーが歩道に突っ込む事故がありました。タクシーを運転していた80歳の男性は、「アクセルとブレーキを踏み間違えた」と話しているそうです。プロでもトシには勝てないんですねぇ。6月4日、福岡市早良区の交差点に車が突入し、運転していた81歳の男性と、同乗していた76歳の妻が死亡し、男女計9人が死傷した事故、車は約600メートル手前から、対向車線を猛スピードで逆走し、歩行者ら7人も巻き添えにしました。事故を起こした男性は周囲に自主返納しようかなと漏らしていたそうです。結果的に、自らと妻の命を失う結果となりました。4月に東京・東池袋で88歳男性の暴走運転で3歳女児と母親が犠牲になった事故は社会問題化しました。重大事故が起きる度に運転免許の定年制や強制返納制度の必要性が言われます。悲しいかな、人は老いるものです。認知症が進む人もいますが、正常そうに見えても運動神経も反射神経も判断力も衰えるのは仕方ありません。これらすべてが事故の要因となり得ます。

■ 車を捨てることは人生を捨てること
 内閣府の調査によれば、80歳以上の4人に1人が車を運転しており、このうち6割近くは、ほぼ毎日運転しているそうです。運転を続ける理由はさまざまであり、継続して運転しているほど自主返納への関心は薄いと言われます。家族の説得にも応じない高齢者も多いようです。ただ、田舎へ行って見て下さい。野菜の直売場へ軽トラを運転してやってくる人、後期高齢者のおじいさんが多いですよ。コンビニが無い、ガソリンスタンドが無い、病院が無い、郵便局も無いという地域は日本で増えています。こういうところで車が無くて生きて行くことははなはだ困難です。だから田舎でも、できるだけ町へ移住して、ふるさとのむらを捨てる人が増え、過疎化がジワジワ進行しています。極論すれば、車を捨てることは人生を捨てることと言うのが田舎で起きている事象なのです。

■ 杉良太郎さんが運転免許証を自主返納
 俳優の杉良太郎さん(74)は昨年12月、警察庁特別防犯対策監に任命されました。その杉さんが6月7日、東京・東大井の鮫洲運転免許試験場を訪れて、運転免許証を返納したことがニュースになりました。最近は、都内では運転せず、青森に帰った際に運転する程度だったそうで、妻の歌手・伍代夏子さんにも相談したら、「いいんじゃない?」ということだったそうです。そもそもこの夫婦なら車は運転しないほうが良いでしょうね。運転手付きの車の後部座席に乗っているほうが絵になります。

■ 危険運転防止機能を搭載せよ
 警察庁の発表によりますと、昨年に運転免許を自主返納したのは全国でおよそ42.1万人で、そのうち75歳以上が29.3万人とのことです。年々返納者数は増加しているものの、返納率は75歳以上の免許保有者の5%だそうです。車は凶器にもなりますから、年老いて死亡事故でも起こしたら悲惨です。良くある「ブレーキとアクセルの踏み間違いによる急発進」、制御不能になって焦ると人間は足が突っ張るものなので、ますます加速するのです。今の車は電子制御ですから、これを防ぐソフトウェアは搭載できるはずです。運転操作のブレとカメラによって居眠り運転を察知して警告する機能さえ実用化されていますから、危険運転も防止できるはずです。場合によってはあおり運転を検知して「危ないよ」と警告することさえ可能ではないですか。車を凶器にしないために、そういう機能装備をメーカーに義務付けることも課題だと思います。

■ 健康寿命の延伸=予防医療の推進
 現代日本を象徴する事象は何か?人口が急激に減りつつあることです。出生数が史上最低を更新し、死亡数が史上最高を更新し続けていますから、人口減少数が史上最多を更新し続けることは当然なのです。人生100年時代・・・日本は世界有数の長寿大国で、平均寿命は男女ともに80年を超えています。厚労省の試算によると、65歳を迎えた人が特定の年齢まで生存する確率では、1990年生まれ(2055年に65歳)の女性の5人に1人が100歳まで生きると見込まれるそうです。高齢化が進めば、年々増加する医療費などの社会保障費が大問題となります。社会の持続可能性を高めるためには、現状10年程度の平均寿命と健康寿命の差を縮めることが必要となってくるので、健康寿命の延伸、すなわち食生活の改善や適度な運動、あるいは検査・健診などを行う予防医療の推進が叫ばれています。筆者は市から貸与された活動量計をぶら下げて、保健センターで毎月体組成計に乗り、データがサーバー管理されています。余熱利用施設エコパのバーデプールでウォーキングしています。火曜日、金曜日は農作業、土曜日、日曜日は少年野球です。結果、体組成計での体内年齢は、実年齢より18歳も若いのです。とはいえ、尿酸値を下げる薬、血圧を下げる薬、コレステロールの増加抑止薬を飲み、認知症予防の冬虫夏草サプリメントを飲んでいるのですから、人為的コントロールとも言えます。
馬鈴薯の うす紫の花に降る 雨を思へり 都の雨に
石川啄木「一握の砂」所収
梅雨の季節、東京の雨、渋民の雨、ジャガイモ畑、見事な連想

■ 老後に備え2000万円必要だよ
 6月3日に金融庁の金融審議会が発表した「高齢社会における資産形成・管理」の報告書について、波紋が巻き起こっています。“100年安心”とうたわれていた年金について「年金だけでは老後の資金を賄うことができないために95歳まで生きるには夫婦で2000万円の蓄えが必要になる」とし、現役期から「つみたてNISA」や「iDeCo」などを用い資産形成するよう促したのです。
 2004年当時、自民党とともに連立政権にあった公明党の提唱した「年金100年安心プラン」では、@保険料は18.3%を上限に2017年まで段階的に引き上げ、それ以上保険料が上らないようにするAもらえる年金はモデル世帯で現役世代の手取り収入の50%を確保する、としていました。2004年4月当時、自民党の森英介厚労副大臣も「100年後でも絶対大丈夫ということを申し上げます」と衆議院厚生労働委員会で発言していました。それが「2000万円の貯蓄が必要」になったワケは・・・年金積立金をもとに安倍政権が“株”に手を出したことが一つの要因でしょう。もともと年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)はリスクの低い国内債券を中心に積立金を運用してきましたが、2014年10月から、アベノミクスのもと株式投資の割合を大幅に引き上げました。2015年度には中国株が暴落し、GPIFは5兆円の運用損を負い、さらに2018年には10月の世界同時株安の影響を受けて、約15兆円もの損失を出してしまいました。国がいわばギャンブルに手を出したわけで、ずっと懸念されていましたが、安倍政権への高い支持率によって、問題視されてもいわば何処吹く風だったのです。それが何故今頃になって波紋が巻き起こったかと言いますと、今度の参議院議員選挙で争点化するのでは?と言うわけですね。

■ 年金支給水準の見通し公表は参議院選挙後?
 国民年金や厚生年金などの公的年金は、物価や賃金の見通しや人口推計などを基に、今後100年間の支給水準の見通しを示すため、5年に1度、財政を検証することが定められています。5年振りの今年の検証は、中長期の実質経済成長率がプラス0.9%からマイナス0.5%までの6つのケースを想定して行うほか、受給開始年齢を引き上げた場合の支給見通しなども試算することにしていて、政府・与党は検証結果を踏まえて制度改正に向けた議論を本格化させる方針です。政府・与党内からは、現役世代が減少し高齢化が進む中、将来の支給水準が現在よりも低くなることは確実で、参議院選挙の前に結果を公表すれば争点化するおそれがあると懸念する声も出ています。このため財政検証の結果の公表は参議院選挙後にずれ込むのではないかという見方が強まっており、厚生労働省は「丁寧に作業を進めている」とし、過去例なら5〜6月発表ですが、今年は具体的な公表時期が決まっていません。
 人口が急減していてなおかつ平均寿命が延びている、誰がどう考えたって年金支給は下がります。あたかもこれからの世代の問題のように言う向きもありますが、とんでもありません。今現在の受給者も確実に下がって行きます。いわば年齢が上がるのと支給額が下がるのとの追いかけっこですね。それでも仕方無いと諦める人たち、GPIFでの大損は仕方無いのですか?人口減対策も含め、つくづくと徳川幕府は偉かったな、と感心します。第5代将軍の頃までの施策は素晴らしい!今はウソが多過ぎます。「丁寧に」とか言われるとむかつきます。

■ 丸山穂高衆議院議員(3期)
 6月6日、衆議院本会議で丸山穂高議員に対する「糾弾決議」の採決が行われ、「全会一致」で可決されました。「北方領土取り返すには戦争」発言や「女を買いたい」発言に加えて、“新潮砲”がロシア人幼女へのセクハラ問題も報じており、もう目も当てられません。本人は辞職しないという弁明書を出し、病気だという診断書をもとに国会にも出てこず行方不明です。信じられない人ですね。大阪19区(貝塚市、泉佐野市、泉南市、阪南市、泉南郡)選出です。関空があって、あのふるさと納税で総務省と真っ向対立した泉佐野市がありますね。政策・主張は、選択的夫婦別姓制度の導入→どちらかといえば反対、日本国憲法の改正→賛成、集団的自衛権の行使を禁じた内閣法制局の憲法解釈の見直し→賛成、日本の核武装について→今後の国際情勢によっては検討すべきだ、女性宮家の創設→反対、日本の環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)参加→賛成、まあ大体どんな人かわかりますね。

■ 株反転なのに円高基調
 前回「日経平均株価4日続落、円高進行も重荷」と書きました。一転米国ダウ平均株価が反転上昇したことにつれて日経平均株価も持ち直しています。円高は相変わらずですから、日本経済には重しですね。なぜダウ平均株価が持ち直したかと言いますと、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長が貿易摩擦の激化に懸念を示し「景気拡大を持続させるため適切に行動する」と述べたことが要因です。FRBが金融緩和で経済を支えるとの見方が急速に高まり、「政策金利の引き下げが近くあるのでは?」と、市場でにわかに早期の利下げ観測が高まったのです。チョット待って、そもそもパウエル議長は貿易摩擦はまずいよ、と言ったわけですね。それによって景気が悪くなることを心配した発言なのです。景気が悪くなれば金利の引き下げはもちろん考えられるわけで、今現在景気拡大中の米国経済にとってトランプ米大統領の政策はいかがなものかと懸念を示したら株価が上がる・・・なんて前向きなんでしょう。それならドルが強くなるはずなのにそうはなりません。つまり為替のほうは貿易摩擦による先行き不安で、比較的安全な円を買うのです。為替だけ円高ドル安なんてどうみても理不尽ですね。日経平均株価はダウ平均株価連動ではありますが、その連動比率はドンドン差が開いており、これは為替のせいです。円高になれば日経平均株価には下げ圧力になるのです。トランプ米大統領は日本政府の為替操作を問題視していますが、日米の経済格差を考えれば、すなわちずっと景気拡大中の米国にくらべ、20年以上、いや30年近く景気低迷が続いている日本経済の実態を見れば、どう考えてもドル高円安であるべきなのにそうはならない、為替操作を問題視するなら逆じゃないかと言いたくなります。上記下線部については、下で解説します。日本国民はいったいなぜこんな状況がずっと続いているのに怒らないんだろう?と不思議ですね。ドMなのかな?

葵の花

■ 米中日独韓;GDP40年の推移
 下のグラフをご覧下さい。GDP(国内総生産)の40年のトレンドです。左は名目GDP、右は購買力平価で見たGDPです。左で見ると日本は15年上昇して、その後25年上下しつつも横ばい、増えていません、低迷していることがわかりますね。米国はどうですか、うなぎのぼりです。中国はこの15年で急上昇、まさに天にも上る勢いとはこのことです。グラフの縦軸を変えれば分かりますが、ドイツも韓国も安定して上昇しています。まさに日本だけ停滞しているのです。
出典:「世界経済のネタ帳
 では購買力平価で見ればどうでしょうか。右のグラフでは中国が米国を抜いていますね。日本、ドイツ、韓国は同じように上昇しています。「購買力平価で見る」とはどういうことでしょうか?購買力平価とは、モノの価格に注目して外国為替レートの変動を説明する考え方です。例として、為替は1ドル=100円のときに同じ品質のハンバーガーが、日本では1個100円、米国では1ドルで売られていたとします。その後に日本はデフレで価格維持、米国ではインフレで2ドルで売られるようになりました。するとハンバーガー1個で比較すると100円=2ドル、購買力平価では為替1ドル=50円となるのです。すなわち景気拡大が続いてインフレで、物価も上がるけれど給料も上がるという米国に対し、中国ではそれをはるかに上回るペースで拡大しているのに、日本では給料はわずかしか上がらない、社会保険料の増加で手取りは減っているので物価が上がっては困るのです。したがって購買力平価で為替を考えると日本は円高とならざるを得ない、するとGDPはドル換算したらグンと高く見えるというわけです。したがって名目では横ばいだった日本のGDPが、右のグラフでは順調に伸びているように見えますが、それはデフレの産物だったということになります。米中独韓に比べて日本の経済政策はどうなのよ、と考えると悲しくなります。この低迷している25年の間に諸外国の国民は所得が増えて、日本だけ増えない、だから国際連動の通信料金が家計に占める割合が高くなっているように見える、だから下げなさいと政府が携帯各社に要求する、違うんです、所得が増えないほうが国際連動していないのです。トランプ米大統領の要求に対し日本国政府が毅然として対応するような姿勢を示せなければ、この状態は今後もずっと続くでしょう。もちろんそれは中国に対してもロシアに対しても同じことです。
 近年、日本を訪れる外国人が増えています。日本の物価はこの10年で3%しか上昇していませんが、例えば、インドネシアの物価は62%も上昇しました。この間に調整力が働いて円とルピアとの為替は28%円高になりましたが、物価上昇率の差には及びません。来日したインドネシア人は、一昔前に比べて日本の物価がずいぶん安くなったと感じるはずです。こうしたことが、訪日客増加の要因なのです。
(2019年6月9日)


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