323  四万温泉
 雨が降りませんでしたが、やっと降る予報が出たと思ったら、強い雨だそうです。ただ、その後はまた長い晴れが続くそうです。畑をやっている関係で、雨が恋しいなどと言ったら、屋久島の住民に怒られますね。5月18日(土)、1時間雨量がこれまでで最大となる100ミリを越えました。気象庁は記録的短時間大雨情報を出し、「50年に1度の大雨」として警戒を呼びかけました。観光名所・縄文杉に通じる「荒川登山口」付近など複数箇所で土砂崩れが起きて、倒木などで道路がふさがれ、バス4台が立ち往生するなど、多数の人が孤立する事態となりました。鹿児島県は午後9時に陸上自衛隊に災害派遣を要請する事態となり、幸いなことに登山客は全員救出されました。ただでさえ年中雨の屋久島で「50年に1度の大雨」とは恐ろしいことです。
 また、5月19日(日)午前2時15分、気象庁は神奈川県西部にある箱根山の火山活動が高まっているとして、火口周辺警報(噴火警戒レベル2、火口周辺規制)を発表しました。気象庁によると、箱根山では5月18日(土)17時頃から、芦ノ湖の西岸を震源とする地震を中心に、火山性地震が増加しています。大涌谷周辺の想定火口域では、2015年以降活発な噴気活動が続いています。ロープウェーが営業停止し、草津温泉同様観光客減少が危惧されます。

■ 四万温泉
 そんな中、5月20日から四万温泉です。2015年4月第2週に四万温泉に行って来たことを、111『火山』(2015年4月19日)で紹介しました。温泉オタクである筆者は、いろいろな温泉を巡っています。群馬県では伊香保、四万、草津が定番です。他にも水上、猿ヶ京、万座、老神、磯部など、たくさんの名湯があります。筆者BEST3は、万座、四万、草津ですね。いずれも群馬西北部ですが、長野県高山村と接する嬬恋村の万座はまさに高原の白い濁り湯、下界を見下ろしながらの入浴は気分爽快です。やや東側、下った草津町の草津は強い酸性湯、脛に傷持つ人にはお勧めです。一方四万は中之条町で、群馬県中央を縦に走る上越新幹線や関越道よりは大分西ですが、草津町よりは大分東、新潟県湯沢町と接します。草津で荒れた肌を癒すのに四万温泉のアルカリ泉が良いということで「草津の上がり湯」と言われています。四万温泉については四万温泉観光ナビをご覧下さい。

■ 国民保養温泉地の第一号に指定された名湯
 四万温泉の泉質は源泉により多少成分量は異なりますが、ナトリウム・カルシウム−塩化物・硫酸塩泉です。平均pH7.7で、メタケイ酸も豊富な「美肌の湯」で、シットリした入浴感があります。湯量が多く、どの湯宿もジョージョーとお湯が掛け流されています。透明な、肌にやさしい湯で、飲めます。無料の浴場が3ヶ所、有料の施設が2ヶ所あります。川上から日向見、ゆずりは、新湯(アラユ)、山口、温泉口という5地区があります。ぐるっと巡ると7kmぐらいあります。四万ダムがあり、摩耶の滝や小泉の滝があります。日本の典型的な山あいの、川沿いの、谷あいにある温泉です。青春時代は毎年テニス合宿で行ってました。汗を流した後、豊富な掛け流しの温泉に浸かり、ビールを飲む、最高でした。そうそう、忘れてならないことは、四万温泉は昭和29年(1954)に国民保養温泉地の第一号に指定されたことです。同時に青森県の酸ヶ湯温泉、栃木県の日光湯元温泉の三温泉地が指定されたことで分かるように、「日本の名湯」として国がまずもって認定したということです。
  

■ 四万温泉湯宿の祖
 四万温泉は草津温泉湯治で荒れた肌を、江戸に帰る途中で癒すために立ち寄った湯と言われますが、群馬県のこの一帯は甲斐武田と越後上杉との戦いの場でもあり、特に真田昌幸や幸村の物語にもよく出てきますね。
 四万温泉の山口地区で、湯宿を最初に開いたと伝えられている田村甚五郎は、岩櫃城主である斎藤越前守基国に仕えていました。しかし、永禄6年(1563年)に真田行隆、信綱、昌幸などの武将を含めた甲斐武田氏の攻撃を受け、岩櫃城は落城し越後に逃れる事になりました。斎藤越前守に仕えた田村甚五郎は、四万を通って越後に落ちのびる斎藤氏を守るために四万温泉の山口地区に留まり追っ手を防ぐことになりました。やがてそのまま、四万温泉に土着することになり、その後、山口地区において湯宿を始めたと言われているのだそうです。
無料の河原の湯は四万温泉へ来る路線バスの終点近く、萩橋のたもとにある共同湯です。左からの新湯川と右からの四万川の合流地点にあり、その名のとおり目の前に河原があります。外観や内壁、湯船も石造りで洞窟風呂の雰囲気が味わえます。後方は四万グランドホテル 群馬県・四万温泉の積善館本館は、数少ない湯宿の建造物として群馬県重要文化財に指定されています。日本最古と言われる由緒ある建物です。積善館は、元禄4(1691)年から湯小屋を建て、湯宿として営業を始めました。その後、本館が建てられ、湯治客の増加した大正から昭和にかけてさらに増築されました

2015年4月四万ダムの堤防下の原っぱで猿達が盛んに草の新芽をつまんでいました

四万温泉のやまぐち館は日本で最もおもてなし評価が高い宿のひとつ

■ 四万温泉 国民宿舎四万ゆずりは荘
 今回は国民宿舎四万ゆずりは荘(群馬県吾妻郡中之条町四万4345)に泊まっています。 じゃらん口コミ総合4.4、「普通=3.0」が評価時の基準ですからかなりの高得点です。お風呂4.6、接客・サービス4.4、夕食4.3など、これは期待できそうだと思って予約しました。

四万温泉にある柳原白蓮の歌碑
山のあなた ひるも夜もある 灯のひかり
しつかなるかな 四万のやまなみ
 四万川の渓谷を見下ろす標高650メートルの山あいにある、温泉街の喧騒から離れた静かな旅館とのことで、昔から四万温泉には頻繁に行っているので、中之条町営の国民宿舎があるなぁと言うのは知っていました。さらさらと流れる清流の瀬音を聞きながら、源泉かけ流しの天然温泉と、和風旅館ならではの和食膳(朝・夕)を楽しむか・・・ふっふっふ
ゆずりは荘裏で撮影したモズだそうです
木の芽もまだ萌え始めですね(2019年5月5日)
5月20〜21日はすっかり新緑でした
 チェックインは13時から、翌朝10時のチェックアウトまで長くお風呂が楽しめます。柔らかいお湯を一晩中何度でも、思う存分堪能できるのは、古来からの温泉ならではですね。露天風呂からは四万川の渓谷の景色が眺められ、解放感満点です。まだ新緑なんですよ。もういちど若草色の緑を楽しめて最高です。男女別露天風呂と大浴場は、夕食時に男女入替されます。更に11時の清掃時にもう一度男女入替されると説明書には書いてありましたが、朝食後にまた入浴したら、来た時と同じほうにまた入れ替わっていました。清掃時以外24時間入浴可能というのは有難いですね。

■ リピーターに人気のワケが判明
 18時スタートの夕食は、約12品の和食膳です。上品でヘルシーなメニューです。ガラス張りのお食事処では、眼下に四万川を望む絶景の中で、ゆっくりとお酒を飲みながら美味しいお料理を堪能しました。朝食は8時からの和定食。四万温泉の湯で焚いた特製のおかゆと味噌汁が人気で、コーヒーサービスもあります。
 この宿はリピーターに人気だそうです。その理由が分かりました。夕食が始まってしばらくしたら、なにやらピアノとサクソフォーンの音が聞こえてきました。曲が終わったら、お客様たちが何やらパチパチと拍手します。アレ?演奏者の姿は見えないのにどうして拍手?と思ったら、3曲目ぐらいに扉が開いて、ゆずりは荘支配人がサックスを吹きながら入ってきました。もう一つの扉も開いて、きれいな女性がピアノをひいています。この生演奏が名物だったのです。「テネシーワルツ」や「川の流れのように」など、懐かしい調べが奏でられました。さながらディナーショーのようで、お客様はみんな喜んでいました。これを目当てに来るのか、と納得した次第です。やがて食事が終るとお客様がロビーのソファに座って、リクエストしながらのミニコンサート、ゆったりとしたひとときを過ごしていました。
 ところで、食事処からも露天風呂からも、白いコブシの花をドデカクしたような花が咲いている凄く背の高い木が見えました。葉もデカイ!朴(ホオ)の木でした。花も葉も、とても大きくて奇麗です。
 ゆったりとした時間が過ごせました。やはり四万温泉は最高だ!また来よう。

ホオノキ(朴の木)はモクレン科の落葉高木

外観
 
ロビー
 
客室10畳

北側露天風呂
 
南側内風呂は広い
 
南側露天風呂

夕食の一例、写真とは違い、ご飯はお釜で炊き込みご飯、鍋は牛でした
 
朝食…ヒメマスの開き焼きながら...
ゆずりは荘の露天風呂の浴槽上には屋根がかかっていますが、朝の露天風呂の廂からはゴーゴーと雨が落ちます。スゴイ雨、昨日は青い清流だった四万川が茶色い濁流となって水嵩が増しています。今日は山の観光は無理ですね。途中で時間を潰し、ふじみ野市に帰ってエコパへ行こう!
(2019年5月21日)


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