267  セクハラ
 若葉が目に染みる季節、若草色の、青葉というよりもっと淡い若葉が毎日目に見えて樹木を大きく膨らませてゆく様は、まさに命の躍動、心生き生き、ワクワク、入学や入社がこの時期であることは、実に自然です。若葉が心に沁みる季節と言い換えても良いでしょう。そんなときになんじゃこりゃ、このタイトルは!? 申し訳ありません。そうとしか言い様がありません。

■ 財務省次官のセクハラ発言
 森友学園、加計学園の問題で最強官庁・財務省が猛烈な批判を浴びている最中、女性記者に対する財務省の福田淳一事務次官のセクハラ発言報道まで飛び出して、財務省はこれを否定しました。セクハラは今や民間企業にとっては神経をとがらせるアイテムです。受ける側がセクハラと感じるものなので、相手はそう思っていないというケースがしばしばあり、当事者を集めてヒアリングしてもすれ違いというケースがよくあるのです。恐らく福田次官は冗談を言ったのでしょう。「言葉遊び」だったのかもしれません。しかし言って良いことと悪いことがあるという良識はどうしたのでしょう。

■ マスコミとインターネットの関係に要注意
 ただし注意すべき点は最近のマスコミとインターネットの関係です。米国ではトランプ大統領が大半のマスコミを敵にして「フェイクニュース」と指摘し、ツイッターで自らの考えを発信しています。日本でもこのところ安倍政権へのマスコミのバッシングと、インターネット上でのネトウヨの擁護という構図が定着し、安倍首相は一部マスコミを目の敵とし、インターネットに重心を移しています。しかしFacebookでの安倍昭恵さんの「いいね!」が批判を浴びたように、インターネットは諸刃の剣の面があります。インターネット上を飛び交う情報は6割以上がデマだと言われています。心しなければなりません。

■ 米国務省人権報告書「日本、職場でセクハラ横行」
 米国務省は2018年4月20日、約2百ヶ国・地域を対象にした2017年の「人権報告書」を公表しましたが、その中で日本について「職場でセクハラが依然として横行している」と指摘しました。報告書は、日本政府の調査を引用し、2016年に働く女性の3割がセクハラ被害を訴えていることを指摘、女性の平均月収が男性の73%にとどまっており、「日本の女性が職場での不平等な扱いに懸念を示している」と書いています。

■ 対応を誤った財務省
 福田事務次官のセクハラ発言報道を巡り、財務省は報道各社に女性記者への「協力」を要請しながら、その告発先が財務省の顧問弁護士であるという非常識な対応、驚きました。福田次官が自ら電話で女性記者を呼び出したと言われているのが事実なら、この報道の相手はわかっていたでしょう。その上で、名乗り出られるなら名乗り出てみろという財務省としての対応に傲慢さ、恫喝の意図がうすら見えます。更に矢野康治官房長の衆院財務金融委員会での答弁、「(名乗り出るのが)そんなに苦痛なのか」「『加害者』『被害者』と言っているが、本件は『加害があったかどうか』ということに疑義が生じている」という発言が端的に財務省高官の意識を象徴しています。旧態依然とした男社会がまだ財務省にはあるのです。セクハラは受ける側が感じるものだという問題の本質を理解していません。インターネット上で性被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)の運動が世界的に広がる中、日本だけが取り残されているのは、声を上げられないほどの男社会がいまだに存在していることを示しています。安倍首相の言う女性活躍社会の実現を、男社会の官庁が阻んでいるとすら言えます。野田聖子さんや橋本聖子さんが怒りの発言で、財務省にセクハラ問題への理解を促したのは当然です。

■ 対応を誤ったテレビ朝日
 テレビ朝日は女性記者から相談を受けた上司が、組織としての対応にすべきところ、「本人が特定されるおそれがある。報道は難しい」と諭したところが間違いでした。女は弱いということを意識していたと言えます。相手がいわば官僚のトップ中のトップであるとは言え、報道機関であるテレビ朝日にとってこれを公にしても不利益をこうむることはなかったのではないでしょうか。テレビ朝日がこの上司の行動も女性記者の週刊新潮への連絡も共に不適切だったとの見解を出しましたが、このままではウヤムヤになると考えた女性記者の行動は、セクハラ問題を象徴するものです。本人のためを思っての上司の説諭のように見えますが、上司が採り上げてくれないなら、と、このようなリークをするしかセクハラに立ち向かう道が無かったという現状をこそ憂うべきです。
 ネット上では早速この女性記者や上司に対する非難が沸き起こっています。女性記者の意図的行動だとして財務省を擁護するような声が溢れているのです。これでは「#MeToo」ではなく「#YouToo」だと言われても仕方無いのではないですか。

奥入瀬渓流の新緑

■ 見習うべきは岩手日報の行動
 テレビ朝日が見習うべきは岩手日報の行動でした。2017年12月6日付の紙面で、同社の女性記者が10月中旬にヨーグルトで有名な岩手県岩泉町の伊達勝身町長(74=当時=)からわいせつ行為を受けたと報じたのです。伊達・岩泉町長は2016年8月の豪雨災害でたびたびマスコミに登場して一躍有名人となっていました。岩手日報は同日午前11時から記者会見を開き、女性記者が被害を受けたとする当日、報告を受けた上司が電話で伊達町長に抗議、約1週間後、盛岡市を訪れた伊達町長に同社役員が会って抗議文を提出したことなどを明かしました。さらに、刑事告訴の可能性を示唆、記者が示談交渉に応じていないことも明らかにしました。この間に時間が経過したのは伊達町長がセクハラを認めて謝罪しなかったため、最終的には報道したわけです。直ちに上司が抗議し、社としても抗議しても応じなかったことで、おそらく岩手日報の社内でもけんけんがくがくの議論があったのでしょう。だから時間がかかったと思われます。この報道で当然ながら岩泉町民の非難が殺到し、町長は辞職しました。

■ 日本では夫婦に主従関係が?
 NHK BSプレミアムの朝ドラ再放送の「マッサン」で、スコットランドから両親の反対を押し切って日本に来たエリーが、日本における女の扱われ方にビックリする場面がありました。戸籍調査の警察官にエリーが「ご主人の名前は?」と聞かれて「ご主人?」、「旦那さんの名前や」「旦那さん?」と意味が解りません。「夫の名前は?」と聞かれてやっとわかりました。その後、エリーは教会の牧師様の妻であるキャサリンさんから教えてもらいます。「Husbandを表す言葉は「夫」、「旦那様」、「ご主人様」や。夫は家の王様や。Kingや。Wifeは家の奥のことをする人やから「奥さん」、「嫁」と言うんや。「嫁」いう字も家の女と書く。妻はHouse maid、女中や」と言うのです。日本では夫婦に主従関係があるのか...と驚きました。マッサンが帰宅して二人で食卓に着いたとき、エリーは訊きます。「マッサンはこの家の王様?」マッサンは「違う。夫婦は対等なパートナーじゃ」と答えます。エリーは安心しました。
 日本語で自分の配偶者のことを話すとき、「妻」「夫」と言うのが普通ですが、いまだに日本社会では「家内」「主人」と言うケースが多いようです。大阪の人はよく妻を「嫁」と言います。妻が夫を「旦那」という場合もありますね。夫が妻を「ウチの奥さんが」と言うことも良くありますが、「ウチのワイフが」と言うほうがシャレてます。

■ 土俵上の女人禁制を見直す議論を
 兵庫県宝塚市で2018年4月6日に開かれた大相撲春巡業「宝塚場所」で土俵上でのあいさつが認められなかった中川智子市長(70)は、4月19日(木)東京都墨田区の日本相撲協会を訪れ、「土俵上は女人禁制という伝統に基づく方針について、見直しの議論を始めること」などを求める要望書を提出しました。文書での回答を求めており、芝田山広報部長(元横綱大乃国)が受け取ったそうです。要望書では他に、「巡業において、開催地首長のあいさつは男性女性を問わず同じ場所ですべきであり、土俵上か土俵下かは別として、平等に同じ場所とすること」「千秋楽の表彰式や巡業での首長あいさつなど、セレモニーにおいては、女性も男性と同じように土俵に上がれるよう、議論を始めること」を求めました。
 市長は「(芝田山部長が)理事会で議論を始めると明言した」と明かし、「真摯に対応してもらった。一刀両断で議論しないと言われることもありえると思っていたから良かった。しきたりであり、差別の意識はないという話だったが、見直す時が来ている」と改めて訴えました。理事会での結論を受けて、半年後にまた協会を訪れるつもりだそうです。

■ 霞ヶ関カンツリー倶楽部の対応
 これで思い出すのはオリンピックのゴルフ競技、2020年東京五輪のゴルフ会場「霞ヶ関カンツリー倶楽部(以下霞ヶ関CC)」(埼玉県川越市)が女性を正会員として認めてこなかった問題で、IOCが「差別を禁じた五輪憲章に抵触する」との見解を示し、大会組織委員会と日本オリンピック委員会(JOC)が2017年2月、霞ヶ関CC側に規則の改定を要請した案件です。女性正会員を認めていない霞ヶ関CCの規則について、小池百合子東京都知事は同年1月、「非常に違和感がある。クラブのみなさんが、女性会員なり、女性のプレーを認めるべきだとまず思う」と指摘していました。同CCは理事会や会員への説明会を複数回開催し、対応を協議しました。会員の中には、「補助金を貰っているわけでもなく、伝統でも有り、規約を改定する必要は無い」との意見が多かったようですが、同CCは2017年3月20日、臨時の理事会を開き、規則を改定し、女性正会員を容認する決定をしました。出席した理事が全員一致で議決しましたが、国民世論を勘案した素晴らしい協議・決定であったと思います。

■ 川内優輝選手がボストンマラソン優勝
 公務員ランナー川内優輝(31)選手=埼玉県庁=が2時間15分58秒でボストンマラソン初優勝を飾りました。日本勢では1987年大会の瀬古利彦さん以来31年ぶり8人目、9度目の快挙だそうです。世界最高峰シリーズ「ワールド・マラソン・メジャーズ」での日本勢初制覇でもあります。昨年の世界陸上王者で前回覇者のジョフリー・キルイ(ケニア)を終盤抜いての優勝ですから価値があります。季節外れの寒波に襲われ、スタート時は気温3.3℃。冷たい風が加わり、体感温度は0度を下回っていました。開催すら危ぶまれる悪条件ですが、川内優輝選手にとっては、本人曰く「最高のコンディション」でした。最初はトップに飛び出して、現地の中継放送でも「目立ちたがり屋さんなのね」と揶揄されていました。やがて後方へ後退しましたが、雨に打たれ、風に吹かれても、必死の形相で前を追い、35キロでは1分31秒差に開いたキルイを40キロ過ぎでついに逆転、公務員ランナーが海外エリートを倒し、122回目の伝統大会に「君が代」を流したのです。
 川内優輝選手は帰国してすぐ埼玉県久喜市本町の県立久喜高校に出勤し、竹本淳校長や同僚らからボストン・マラソン優勝の快挙を祝福され、花束とケーキを受け取り「感謝しています。とてもうれしい。自分でもまさか優勝できるとは思わなかった」と満面の笑みを浮かべたそうです。埼玉県の上田知事も手放しで褒めるガッツ、仕事にも一生懸命取り組んで、周囲からも優秀な公務員と評価が高いのはさんざん報道されていますから誰でもご存知でしょう。

■ 来春プロ転向
 川内優輝選手は帰国して空港で、来春に県庁を退職してプロに転向する意向を表明しました。公務員ですから出場料は受け取れませんが賞金は頂けます。しかしお金の問題よりも、二刀流では記録の更新が難しいからとの理由、もっともです。勤務先の上司や同僚、県庁職員らは突然の発表に驚きと寂しさを感じながら「尊重してあげたい」「ずっと応援したい」とエールを贈ったそうです。

■ 元日ボストンでギネス世界記録
 また、川内優輝選手は「2時間20分以内における最多完走数」を今年元日に米ボストンで行われた大会で76回とし、これまでの記録を上回りギネス世界記録に登録されました。川内選手は2018年3月25日、地元久喜市で開かれたマラソン大会会場で公式認定証を受け取り「100回を目指し、頑張りたい」と笑顔を見せました。認定証の授与を受け川内選手は「(ギネス世界記録は)うれしい。他の選手が年3、4回のところ、(川内選手は)10回程度出る。走りたいという気持ちが記録につながった。当面の目標は区切りの良い100回。もっと先まで頑張っていきたい」とさらなる記録更新に意欲を見せました。

ギネス世界記録公式認定証を受け取り、市民ランナーに祝福される川内優輝選手
=2018年3月25日、久喜市総合運動公園= 埼玉新聞より

■ 生垣向きの植物…モッコウバラ
 最近いたるところで目にするモッコウバラは、生垣やアーチとして近年とみに増えました。春から初夏にかけての気候のよい時期に、つるにたくさんの小さな花をつけ、優しい香りを漂わせる花です。その素適な花姿を初めて目にしたときはビックリしたものです。中国原産のバラの原種の1つだそうです。つる性のいわゆるつるバラと呼ばれ、枝には他のバラのようなトゲがなく、4〜5月に花を咲かせます。花は直径2〜3cmほどと小柄です。薄黄色の花が圧倒的に多いですが、白い花の品種も有り、こちらの方が強い香りを放ちます。日本には江戸時代に黄色の八重咲き品種が渡来したそうです。和名は、インド原産の植物からとれる芳香剤の「木香:モッコウ」の香りに似ていることから付けられたといわれています。

■ 肥料の与え過ぎに注意
 モッコウバラは強健で、育てやすい初心者向けのバラです。高温多湿の環境でも、病気の心配が少ないのが利点です。ただ、寒さに弱いため、寒冷地での栽培には向きません。日陰でも育ちますが、日当たりの良い場所で育てると花つきがよくなるので、場所を考えましょう。モッコウバラは、苗を鉢植えか、地植えにして育てます。10〜11月が植え付けの適期だそうです。ホームセンターなどで見ると結構高価です。根についた土はほぐさず、そのまま植え付けましょう。モッコウバラの花が咲かない場合は、肥料の与え過ぎかもしれません。養分が少ない環境でも子孫を残すために花を咲かせる花ですが、長期間肥料を与えたり、与える量が多かったりすると、子孫を残さずまだ生長しようとして、花を咲かせないのです。植物はすべからく適度に飢えさせるのが良いようです。6〜7月上旬に剪定を行います。花が咲き終わってから新芽がつく夏前までに剪定しておくと、翌年たくさんの花が咲くそうです。樹形のバランスを見ながら、花の咲き終わった枝を半分くらいまで切り落とすのがコツです。

モッコウバラ

■ 生垣向きの植物…トキワマンサク
 ふじみ野市・三芳町の余熱利用施設エコパの生垣はトキワマンサクです。国道254号線;川越街道を挟んで我が家の向かい側の「コナズ珈琲」の庭にも植栽されています。エコパのバーデプールから夜にライトアップされて輝く葉は、まるで花が咲いているように綺麗です。冬は葉が綺麗で、春にはピンクの花が咲きます。白い花の品種もありますが、やはり赤色系のほうがいいですね。銅色や緑色の葉っぱを密に茂らせ、春になるとピンク色の花を咲かせるトキワマンサク。出回っている数が少ないことから、生垣に仕立てれば個性的な庭を作ることができます。また、剪定にもよく耐え、自分好みの樹形に仕立てて楽しめますよ。トキワマンサクは、自然と樹形が整うので特別な剪定は必要ありません。樹形が乱れているときだけ、花が終わった6月中に枯れた枝や伸びすぎた枝を根元から切り落として行けば良いようです。幹の近くに密集する短い枝は間引いて風通しを良くします。剪定の時期が遅れると、花芽を切ってしまい、翌年の花付きが悪くなってしまうので、花が終わった6月中がポイント、注意してください。トキワマンサクは、枝をよく伸ばし、樹高も調節しやすいことから、鉢植えにしても十分楽しめます。マンションなどでも見かけます。花の咲く姿を見ながら春の訪れを感じられる素適な植物です。
生垣に大人気

葉が美しく、夜のライトアップに輝きます

花もピンク色で華やか
(2018年4月22日)


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