114  大阪都はノー

 大阪市民の住民投票・・・判断は「現状維持」でした。反対705,585票、賛成694,844票、その差わずか1万票余り、たったの0.8%の差ですから、まさしく世論を2分したわけで、勝っても負けても、これでは万歳とは行きません。これを受けて大阪維新の会代表、橋下徹大阪市長が政界引退を表明し、改憲や野党再編への影響が予想されます。

■ 自民党支持層の42.7%が賛成、民主、共産、公明は反対鮮明
 産経新聞社が投票当日の2015年5月17日、投票所の出口で共同通信社、毎日新聞社、毎日放送、関西テレビと協力して調査を実施しました。その結果、年代や地域によって明らかな傾向がありました。
 まず大阪都を目指したのは維新の会です。これに反対した自民、公明、民主、共産が異例のタッグマッチ、維新の会対既成政党の形になりました。しかし、反都構想を主導した自民党の支持層の42.7%が賛成に回りました。憲法改正論議で維新の党との連携を視野に置く首相官邸では、菅官房長官が都構想に理解を示す発言をしており、大阪府連とのギャップが見えました。自民党の中でも総理を筆頭とする右派・主流派と、谷垣幹事長、二階総務会長などは若干ニュアンスが違います。自民党大阪府連にとっては維新の会は目の仇ですが、国政レベルで維新の会と手を結びたい首相官邸、大阪府連の立場を理解せざるを得ない党本部と、それぞれに微妙に立ち位置が違いました。一方、公明党の支持層は反対が87.3%に上り、共産党支持層は89.6%とほぼ9割、民主党支持層は77.7%が反対でした。無党派層は賛否がほぼ拮抗したようです。

■ 現役賛成、老人反対、男賛成、女反対
 次に年代別では、20〜50代で賛成が5割を超えたものの、60代は51.8%が反対、70歳以上は3分の2近くの63.8%が反対に回りました。乱暴に言えば、若者や現役世代は賛成、年金世代は反対ということです。もともと橋下氏は生活保護者割合日本一の大阪市の在り方に疑念を呈してきました。自民党は終盤、都構想が実現すれば、大阪市独自の敬老パスなどが維持できなくなると訴えました。60代超の有権者の投票行動には、高齢者福祉などへの不安感が投影されたと思われます。賛否を性別でみると、男性が賛成55.5%、反対44.5%と賛成が上回る一方、女性は賛成が48.0%、反対52%と賛否が逆転しました。

■ 地域差くっきり
 地域で見ますと、湾岸・南部で反対多数、市中心部では賛成が上回りました。賛成が多かったのは、オフィス街や繁華街のキタを抱える北区で、59.0%に達しました。キタに近い福島区も賛成が55.5%と上回り、ミナミの繁華街を抱え、多くの企業が集中する中央区も賛成が54.1%を占めました。市中心部で都構想実現を求める人たちが多かったと見られます。都構想の制度設計では税制格差を是正する財政調整を導入するとしているため、住宅街や中小零細企業が多い旭区は7割近くが反対でした。ベッドタウンの住民を中心に、市中心部と切り離されることへの懸念が数字となって現れたようです。西成、中央、西、浪速の各区と統合され、新「中央区」となる天王寺区は「反対」が顕著で、約7割に達しました。新「中央区」の官庁街として整備され、都構想による変革の象徴ともなっている西成区も反対が上回りました。

■ 藏
 1995年東映の映画『藏』を見ました。この字は「蔵」の旧字体です。大正〜昭和初期、越後の銘酒『冬麗』の蔵元・田乃内家を舞台に、跡取り娘の盲目の美少女・烈を軸に苛酷な運命を生きる家族の愛憎と絆を描く宮尾登美子作品の映画化です。宮尾登美子さんも亡くなりましたね、2014年12月30日、88歳でした。
 大正9(1920)年、新潟県中蒲原郡亀田町の大地主で酒蔵『冬麗』の蔵元でもある田乃内家の当主「意造」と妻「賀穂」の間に女の子が産まれました。夫妻は過去8回妊娠した子をすべて失い、9人目にしてようやく授かった健康な女子に意造はあえて「烈(れつ)」という力強い名を付けます。
 烈は賀穂の未婚の妹で叔母の「佐穂」に育てられ、周囲の期待通り賢く美しく成長します。ところが、小学校入学を前に網膜色素変性症でやがて失明すると宣告されます。ショックを受けた烈は心を閉ざし、小学校にも行かず自邸に引きこもります。母賀穂は自分の生命に換えても烈の眼を治したいと思うあまり、病身も省みず越後三十三ヶ所観音札所巡礼の旅に出て、途中で倒れ 「自分が死んだら佐穂を意造の後妻とし、烈の母親として欲しい」と言い残し息を引き取りました。烈と佐穂は実の母娘同然の絆で結ばれており、佐穂自身義兄の意造にずっと密かに想いをよせており、誰もが佐穂が意造の後妻となるのが最良だと信じて疑いませんでしたが、度重なる家中の不幸に疲れた意造は、それをわかっていながら若い芸妓「せき」を後妻に迎えます。佐穂はいたたまれずに実家に帰ろうとしますが、佐穂を停車場に追い掛けて来た烈の懇願の前に、「生涯をかけて烈を守る」と、田乃内家に戻ります。せきは田乃内家の跡取りたるべき男子を産み、烈も可愛がっていましたが、思わぬ事故で死んでしまい、意造との夫婦仲も破綻します。意造自身も病に倒れ半身不随となり、烈も14歳の時に完全に失明してしまいます。すべてに絶望し酒蔵を手放す決意をする意造、しかし烈は全盲のハンディをも超えて自分が田乃内家と 『冬麗』の蔵を継ぐと宣言します・・・・・・・以下省略、実は最後が一番良いんだけどね(^-^)
映画のポスター
 ところで、この『藏』はドラマ、映画、舞台とすべてなったわけですから、宮尾登美子作品というのはやはり素晴らしいわけです。宮尾登美子原作の『藏』はドラマと映画どちらも見ました。ひとによってどちらが素晴らしかったか、感想はいろいろあるでしょうが、映画は宮沢りえの直前降板で一色紗英になりましたが、「烈」役としては、初々しい松たか子、一色紗英はどちらも評判良かったようです。「佐穂」と「意造」のほうで評価が分かれるでしょう。全体は当然ながら映画のほうが豪華キャストでした。蟹江敬三を久しぶりに見て嬉しかった。映画は松方弘樹がプロデュースに加わりました。音楽=さだまさし、服部隆之
 映画の監督は降旗康男、「高倉健」さんとのコンビで網走番外地シリーズ等も有名ですが、「駅・STAITION」「居酒屋兆治」「鉄道員」等、数々の名作を撮っています。
 右はいずれも降旗監督の作品です。この監督の好きな役者のタイプで、どういう映画を作りたい人なのかが良くわかります。

少年H

あなたへ

夜叉

鉄道員

■ 若さの秘密
 映画『藏』は20年前の作品なのに、浅野ゆう子や黒木 瞳はどうして今とそんなに変らないのか?女優の若さの秘密は何か?コラーゲンを注射してるというウワサもあるし・・・。そしたら気になるコマーシャルを見つけました。若さ、若さと検索したら・・・
 「わかさ生活」のコエンザイムQ10です。体内のエネルギーをつくるために必要となる補酵素のひとつだそうです。様々な生命活動の原動力を生み出すほか、強い抗酸化作用を持つことから、生活習慣病や老化の予防に役立つとか。コエンザイムQ10 は体のいたるところに存在しますが、20歳前後をピークに減少し、特に心臓や腎臓での減少が激しく、コエンザイムQ10 を摂取することが必要なんだそうですよ。 わかさ生活
「わかさ生活」

■ 青葉まつり
 2015年5月17日(日)仙台の青葉まつりを楽しみました。以前も行きましたが、定禅寺通りや勾当台公園は大変な人出で、三越デパートの周りは押すな押すなの人だかり。
 起源は1665年、江戸時代・仙台藩最大の祭りの仙台祭です。明治に伊達政宗公を祭る青葉神社の祭礼として始まった「青葉まつり」に由来し、定禅寺通・中央通・勾当台公園・市民広場・仙台駅前などを会場に、過去最多となる140祭連・約4000人が「仙臺すずめ踊り」を披露しました。「時代絵巻巡行」も行われ、武者行列を先陣に、青葉神社のみこし渡御や11基の山鉾巡行、すずめ踊りの大流しなどが壮大な時代絵巻を展開。勾当台公園や市民広場を会場に参加型イベントも大賑わいでした。仙台のすずめ踊りは、伊達家の家紋が「竹に雀」であったこと、はね踊る姿が餌をついばむ雀の姿に似ていたことから「すずめ踊り」と名付けられました。 『仙臺すずめ踊り』は、「すずめ踊り」の原型をとどめつつも、老若男女どなたにでも楽しめるよう練り直されました。 笛や太鼓に合わせて、特にきれいな女のひとたちのあでやかな踊り、子ども達の可愛い踊り、男たちの勇壮な踊り、『すずめ踊り』は、新しい仙台のまつりにふさわしい踊りとして甦りました。皆さんもどうぞ機会があったら仙台へ行って見て下さい。

仙台すずめ踊り

■ 幸楽苑の路線転換
 幸楽苑は1954年(昭和29年)、電力会社を定年退職した新井田司さんが福島県会津若松市に「味よし食堂」を開店したのが始まりです。現代表取締役社長の新井田傅さんの実父です。6坪の店舗、3人の従業員の雨漏りする食堂が、幸楽苑のはじまりでした。当時のメニューは、うどん(20円)、天ぷらうどん(25円)、らーめん(35円)でした。1962年現社長の新井田傅さんが18歳で店を継ぎました。1964年東京都の『幸楽飯店』で修行し、この店の名前にちなんで、現社名となった経緯があります。1967年『味よし食堂』を『幸楽苑』に改称しました。1970年株式会社幸楽苑に改組。1980年福島県郡山市芳賀町に本部工場機能を移転しました。会津若松の隣は喜多方で、あの太麺は美味しいですね。
 さて、その幸楽苑の中華そば(290円)が無くなり、極旨醤油らーめん(390円税込421円)は残っていますが、このたび司(520円税込561円)が新発売、創業者の名前を付けたところに、並々ならぬ決意を感じます。麺もこれまでの幸楽苑の麺とはかなり変わって、細いストレート麺で、食感がやや博多ラーメンに似た小麦感だそうです。筆者はまだ食べていませんが、ネットのラーメンオタクの間ではいま話題沸騰です。ただしあまり良い意味ではありません。ボソボソとした感じの麺だ、とか、今までの中華そばのスープの方が好みだ、とか、看板メニューの中華そばの1.8倍の価格の新ラーメンに切り替えた今回の幸楽苑の路線転換はおそらく失敗するだろう、とか、しばし幸楽苑とはお別れだ、とか、あまり良い話はありません。餃子無料券は評判が良いみたいですね。
 醤油ラーメンの価格は大勝軒や風風らーめんの650円が中心です。行列のラーメン屋は800円から1000円です。520円はしたがって高くはありません。

幸楽苑の「司」
 幸楽苑の中華そばは、これまでが余りにも安かったし、ライバルの熱烈中華食堂日高屋の中華そば(税込390円)が安いので、さてどうなることやら。アベノミクスでデフレ路線から脱却したというわけではなく、新井田傅社長としては「これが幸楽苑のラーメンだ」、と宣言したわけでしょう。
(2015年5月18日)


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