91  減る年金

 衆院が解散され、12月2日(火)公示、12月14日(日)投票の総選挙となりました。有権者はしらけている人が多く、このままだと投票率が下がって自公の圧勝になるでしょう。12月14日(日)の投票日に何らかの理由で投票に行こうと燃え上がるような事態になれば別ですが・・・。今回の選挙の争点をNHK世論調査から見ますと第1位は景気対策、第2位は社会保障問題だそうです。国民は景気が悪いと思っているわけです。社会保障というのは、国民が先行きに不安を持っていることを示しています。中でも、第1は年金でしょう。将来年金は本当に貰えるのか?いま年金受給している人はこれからどんどん減るのではないか?今回はこれについて触れましょう。

■ ウソつかない、ブレないのが自民党だって?
 小選挙区295に比例180の計475議席、前回より5議席減ですが、違憲判決が出るであろう定数での選挙突入です。安倍首相は「与党で過半数」を目標としました。自民党は現有294議席で、議長1と公明党の31と合わせて326議席の巨大勢力です。3分の2ですよ。憲法改定可能です。公明が議席を維持すれば、自民は207議席で過半数ですから、88議席減らしても良い計算です。何のための解散か分かりませんね。与党幹部もさすがに「与党で過半数」ではまずかんべえと、絶対安定多数(与党が全常任委員長を独占、かつ全常任委で委員が過半数を占める議席数)の266議席を目指すと言い換えました。それでも60議席減ですよ。首相の目標が控えめなのは、野党の態勢が整わない以外、与党有利と言える要素に乏しいと思っているからです。
 日本国民の忘れっぽい事例を示しましょう。右は2年前の年末の選挙ポスターです。これで自民党が圧勝して安倍政権が出来ました。そしたらTPPは一転推進する、靖国参拝する、特定秘密保護法制定、集団的自衛権を内閣決定で行使と、自民党内の多数意見を押え付けての強権発動です。ネオコン安倍晋三は本来自民党では少数派でした。安倍晋三以上に右寄りの「次世代の党」とか橋下徹というのも居ますが、自民党は中道が主流だったのにいつの間にか右傾化しました。安倍に逆らえないのです。選挙に勝てば、手のひら返して良いのか?日本の有権者はどうせアホだからとなめられているのでは?

2012年衆議院選挙のポスターです・・・コレでいいのか?とツイッターで炎上中

■ 神城断層のズレ・・・何か、イヤな予感
 解散についてはウソをついても良いと過去の首相が言ったと新聞に載っていました。しかし政権公約のウソはダメです。筆者のふるさと、東日本大震災被災地の人たちは今回の解散には頭に来ています。そこで安倍晋三総理は、長野県白馬村の地震被災地を慰問後、岩手県陸前高田市に行きました。
 長野県北部で起きた地震は、太平洋プレートとユーラシアプレートが押し合っている境界で起きた断層のズレによるものです。したがって局部的に被害が出ました。神城断層は本州中央部を縦走する「糸魚川−静岡構造線断層帯」の北部に位置し、今回の震源地のすぐ西です。気象庁によると、余震は南北約20kmの帯状に分布しており、神城断層の場所とほぼ一致しています。今回の地震のメカニズムは、地盤が北西と南東の両方向から押され、東側が隆起する逆断層型です。国土地理院によると、神城断層の西側で地盤が南東方向に約29cm動き、約12cm沈下する地殻変動が観測されました。いずれも神城断層が動いた場合と矛盾しないということです。現地調査した東北大の遠田晋次教授(地震地質学)は、地震で動いた断層を長野県白馬村で発見、断層の東側が約90cm隆起していたとのこと。余震は神城断層の北部に集中しています。東日本大震災以降、地震や火山噴火の危険性が飛躍的に高まっているそうです。西ノ島、御嶽山、阿蘇も、あっ、そー、八甲田山も、まさか、富士山は?

長野県北部地震2014年11月22日22:08震度6弱

■ 11月30日は「年金の日」
  厚生労働省のホームページによりますと、11月30日は「年金の日」だそうです。“ 国民が「ねんきんネット」等を活用しながら、高齢期の生活設計に思いを巡らしていただく日”として、11月30日(いいみらい)を「年金の日」とすることとしたそうで。今後、各団体等と協働した取組により、「ねんきんネット」等を利用して年金記録や年金受給見込額を確認していただき、高齢期に備え、その生活設計に思いを巡らせていただくことを呼びかけて行くそうです。

■ 年金を貰うまで生きられるか?
 2013年4月から男性に関しては老齢厚生年金の報酬部分の支給開始年齢が61歳以降へ引き上げられました。対象は1953年4月2日以降に生まれた人です。この引き上げは順次行われ、最終的に25年度には1961年4月2日以降生まれの男性の老齢厚生年金の支給開始が65歳からになります。
 年金に関して現役世代が最も気になるのが、現在の制度を維持できるのかということでしょう。厚生年金の保険料は2004年10月分から上がりました。毎年0.354%ずつ引き上げられ、2017年9月以降は18.3%に固定されます。従来13.58%→2004年10月分から13.934%、6.967%を雇用主と従業員被保険者で折半する形です。2005年10月14.288%、2006年14.642%、2007年14.996%、2008年15.350%、2009年15.704%、2010年16.058%、2011年16.412%、2012年16.766%、2013年17.120%、2014年17.474%、2015年17.828%、2016年18.182%、2017年18.3%
 各公的年金制度の財政収支のデータを寄せ集めて出した2010年度の保険料の総合計額は28兆6853億円。一方、総給付額が48兆8095億円もあって、そのカバー率は58.8%にすぎません。結局、運用収入や国庫負担に加えて積立金の取り崩しで帳尻合わせをしているのです。しかし、積立金もいずれ底をつきます。制度を維持させようとしたら、総給付額を減らすために、支給開始年齢のさらなる引き上げなどの対応が迫られます。厚生労働省は、支給開始年齢を68〜70歳に引き上げるプランを練っています。これまでは高齢者に優しい政策のためどんどん長寿が進みましたが、今後は高齢者医療や介護の負担増が進み、長生きするにはカネが必要になります。年金を貰うまで生きられるか?貰えたとしても受給期間は短いのでは?そういう不安感を現役世代は持っています。

■ 人生50年は第二次世界大戦頃
 年金問題が騒がれているのは、高度成長時代を支えてきた団塊の世代が定年を迎えて、財源が無くなってきたためです。日本の年金制度の歴史は浅いのです。日本の公的年金制度は第二次世界大戦前の軍人の恩給制度に端を発します。戦前から船員保険はありました。戦争中の1942年に厚生年金保険ができました。団塊の世代のTopが生まれた1947年の平均寿命は男50歳、女54歳です。信じられますか?(注:ちなみに江戸時代は30歳台、大正時代末期で男42歳、女43歳でした。人生50年と言われたのは、やっと第二次世界大戦前後なのです)

■ 1961年国民皆年金制度発足
 1948年、国家公務員の年金(共済)が始まりました。1950年、戦後5年の平均寿命は男59.6歳、女67.7歳です。1947年からの3年間で男9.5歳、女13.8歳、すごい伸びですね。戦争が終わったからです。平均寿命の計算式は?→“平均寿命”は「今、生まれたばかりの子供が、何も無ければここまで生きられるであろうと予測された年月のこと」です。ですから、私達大人の“平均寿命”はもっともっと短いのです。これは、乳幼児期の死亡率や感染症や戦争、大きな震災等により多数の尊い生命が奪われると途端に短くなります。アフリカやアマゾン等の原住民のように、環境衛生が極端に悪いところでは「10人の子供が生まれても成人まで生きていけるのは約2割」と言われています。そのほとんどが乳幼児期に感染症等で亡くなってしまうそうですが、例えば、その生き残った2人が、1人は40歳まで生き、もう1人は80歳まで生きたとしましょう。残りの8人は平均して5歳としておきます。すると、この人達の“平均寿命”は
   合計年齢÷人数で計算出来ますので、(40歳+80歳+5歳×8人)÷10人=160歳÷10人で16歳
となります。この数字は日本の“江戸時代”(約30歳代と言われている)よりも低くなってしまいます。また、例えば、10人生まれたうちの1人が15歳、1人が25歳、6人が50歳、2人が60歳まで生きたところでは、合計年齢(=15歳+25歳+60歳×6人+70歳×2人)÷10人=540歳÷10人=54歳の“平均寿命”となります。 。1955年、戦後10年経ったときの平均寿命は男63.9歳、女68.4歳です。1959年に国民年金が始まり、1961年国民皆年金となり、国民全員が年金保険料を払う時代となったのです。翌1962年に地方公務員共済開始、1965年=戦後20年の平均寿命は男67.7歳、女72.9歳、1975年=戦後30年の平均寿命は男71.8歳、女76.9歳、オイルショックで景気が悪くなり、年金財政は苦しくなってきます。

■ 1986年基礎年金制度導入
 1985年=戦後40年の平均寿命は男74.8歳、女80.5歳、伸びる寿命で年金支給対象者は増える一方、このままでは日本の年金制度は崩壊するということで、1986年基礎年金が導入されました。1995年=戦後50年の平均寿命は男76.4歳、女82.8歳、2005年=戦後60年の平均寿命は男78.5歳、女85.5歳、2009年の平均寿命が男79.59歳で世界5位、女:86.44歳で世界一、やっと寿命の伸びが止まり、年金制度や後期高齢者医療制度などによって、今後の寿命は低下してくると予測されています。

■ 2011年は節目の年〜団塊の世代Topが年金フル支給に
 このように見てきますと、国民皆年金となった1961年と、基礎年金が導入された1986年が大きな節目です。2011年は国民皆年金となった1961年から半世紀、基礎年金が導入された1986年から四半世紀の節目の年です。団塊の世代のTopが64歳、Lastが62歳で、この人たちが塊となって老人化していくことで、日本の年金制度の正念場を迎えました。団塊の世代のTopが64歳になって2011年から老齢厚生年金に加えて老齢基礎年金の支給が始まり、年金がフル支給になりました。団塊の世代のLastの人達から老齢基礎年金の支給は65歳になります。

■ 段階的に遅くなる年金支給開始年齢
 厚生年金支給開始年齢の引き下げ問題に触れましょう。老齢基礎年金も老齢厚生年金も65歳から支給されます。昔は年金と言えば60歳から支給されるものだという概念がありました。1994年に65歳から支給することに向けて、60〜64歳の間は特別支給という扱いにして、老齢基礎年金に該当する部分を特別支給の老齢厚生年金(定額部分)、老齢厚生年金に該当する部分を特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)という形に改訂しました。その結果2000年度までは60歳から年金が支給されますが、2001年度以降3年ごとに1歳ずつ特別支給の老齢厚生年金(定額部分)の支給開始年齢が引き上げられることになりました。この結果男で2013年度、女で2018年度をもって上図の特別支給の老齢厚生年金(定額部分)は無くなります。
 また2000年の改訂によって特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)も2014年度から3年ごとに1歳ずつ支給開始年齢が引き上げられることになりました。この結果男で2025年度、女で2030年度をもって上図の特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)は無くなり、完全に65歳からの老齢基礎年金老齢厚生年金になります。
 具体的には下図を見ればわかりますが、昭和16年4月1日以前に生まれた男性と昭和21年4月1日以前に生まれた女性は60歳になると年金が支給されました。それ以降の人は老齢基礎年金に相当する「定額部分」の支給開始年齢が3年ごとに1年づつ先延ばしになります。団塊の世代の最後:昭和24年4月2日以降に生まれた男性と昭和29年4月2日以降に生まれた女性は60歳から老齢厚生年金に相当する「報酬比例部分」は支給されますが、「定額部分」は無く、65歳から老齢基礎年金が支給されます。そして昭和28年4月2日以降に生まれた男性と昭和33年4月2日以降に生まれた女性は「報酬比例部分」の支給開始も61歳からとなり、以降3年ごとに1年づつ先延ばしになります。そして昭和36年4月2日以降に生まれた男性と昭和41年4月2日以降に生まれた女性はついに老齢基礎年金老齢厚生年金65歳からの支給になります。男で2026年、女で2031年です。


表:段階的に遅くなる年金支給
男性出生日 女性出生日 60歳 61歳 62歳 63歳 64歳 65歳〜
〜昭和16年4月1日 〜昭和21年4月1日 報酬比例部分 老齢厚生年金
定額部分 老齢基礎年金
昭和16年4月2日
〜昭和18年4月1日
昭和21年4月2日
〜昭和23年4月1日
報酬比例部分 老齢厚生年金

×

定額部分 老齢基礎年金
昭和18年4月2日
〜昭和20年4月1日
昭和23年4月2日
〜昭和25年4月1日
報酬比例部分 老齢厚生年金

×

×

定額部分 老齢基礎年金
昭和20年4月2日
〜昭和22年4月1日
昭和25年4月2日
〜昭和27年4月1日
報酬比例部分 老齢厚生年金

×

×

×

定額部分 老齢基礎年金
昭和22年4月2日
〜昭和24年4月1日
昭和27年4月2日
〜昭和29年4月1日
報酬比例部分 老齢厚生年金

×

×

×

×

定額部分 老齢基礎年金
昭和24年4月2日
〜昭和28年4月1日
昭和29年4月2日
〜昭和33年4月1日
報酬比例部分 老齢厚生年金

×

×

×

×

×

老齢基礎年金
昭和28年4月2日
〜昭和30年4月1日
昭和33年4月2日
〜昭和35年4月1日

×

報酬比例部分 老齢厚生年金

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×

×

×

×

老齢基礎年金
昭和30年4月2日
〜昭和32年4月1日
昭和35年4月2日
〜昭和37年4月1日

×

×

報酬比例部分 老齢厚生年金

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×

老齢基礎年金
昭和32年4月2日
〜昭和34年4月1日
昭和37年4月2日
〜昭和39年4月1日

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報酬比例部分 老齢厚生年金

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老齢基礎年金
昭和34年4月2日
〜昭和36年4月1日
昭和39年4月2日
〜昭和41年4月1日

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報酬比例部分 老齢厚生年金

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×

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老齢基礎年金
昭和36年4月2日〜 昭和41年4月2日〜

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老齢厚生年金

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×

老齢基礎年金


■ 2013年問題〜2021年問題
 さらに2013年に還暦を迎える男性(1953年4月2日生まれ以降)は60歳では年金が出ず、61歳からやっと老齢厚生年金が出て、65歳から老齢基礎年金が出ます。これは『2013年問題』と言われ、この年で定年になった人は、1年間どうやって収入の道を確保するか?が課題です。しかも住民税は前年の所得に対して課税されますから、これまでの日本企業や役所のように60歳で定年になって収入の道が断たれると、所得税はともかく、住民税を払いながら貯金を取り崩すしかなくなります。そして国民皆年金となった1961年4月2日以降生まれの男性からは、年金が65歳支給となります。還暦後5年間無収入という人達が2021年に60歳になるのです。もう、目の前です!

■ やがて70歳〜?更に支給開始年齢繰り下げも・・・
 厚生労働省は2011年10月、60歳から65歳へと段階的に引き上げている厚生年金の支給開始年齢について、2030年度を想定している引き上げ完了時期を9年繰り上げて2021年度とする案を社会保障審議会年金部会に示しました。「3年に1歳ずつ」を「2年に1歳」へと速めることで、男女とも2021年度から65歳支給に完全移行する案です。また、支給開始年齢そのものを68〜70歳へと遅らせる案も提示し、68歳とした場合の引き上げスケジュールを公表しました。
 また60歳以上で働いている人の厚生年金をカットする「在職老齢年金制度」に関し、60〜64歳の減額基準を緩める案も示しました。賃金と年金の合計額が月28万円を超えると年金が減らされますが、この基準を65歳以上と同じ「46万円超」へと緩和する案と、60〜64歳の平均所得に合わせた「33万円超」とする2案です。
 ここから見えてくることは、高齢の人ほど優遇されている実態です。しかし現在の給付額をそのままにしたままでは、若い世代の理解を得るのは困難でしょう。

■ 1986年2階建て年金へ
 これまでの日本の年金制度は、民間サラリーマンを対象とする厚生年金保険、公務員などを対象とする数種の共済組合、自営業者などを対象とする国民年金というように分立していました。しかし、1985(昭和60)年の改正により全国民共通の基礎年金が導入され、厚生年金や共済組合は、その上乗せとして報酬比例の年金を支給する制度に再編成されました。老齢基礎年金の上に老齢厚生年金が乗る形なので2階建てと言われる所以です。

■ 年金支給の繰り上げ、繰り下げによって支給額が変わる
 自営業者等の「
第1号被保険者」は国民年金に加入が義務付けられ、20〜59歳の間保険料を払い込まなければなりません。老齢基礎年金が支給されるのは65歳からであり、それより前から支給して欲しい場合は減額されますが申請すれば可能です(減額された年金の繰上げ支給…早いほど減額される)。他に収入の術が無い人はそれも選択肢です。逆に66歳から70歳のどこかまで支給しなくて良いよと申請すれば増額されます(増額された年金の繰下げ支給…遅いほど増額される)。当面食うに困らぬお金があって、長生きに自信のある人は、健康年齢を過ぎた後になるべく多い年金をもらおうと考えるならそれも良いかもしれません。

 働いて収入があったり、金融資産の多い人は、年金支給開始年齢を繰り下げることで、老齢基礎年金(国民年金)の支給額を増やせます。ただ、繰り下げたことでその間は年金支給がありません。人間の一生を考えた場合果たして繰り下げはお得なのでしょうか。右のグラフは、老齢基礎年金の支給額を累計したものです。標準の支給開始年齢65歳の累計支給額を上回るのは66歳支給開始で78歳、67歳で79歳、68歳で80歳、69歳で81歳、70歳支給開始だと82歳になってしまいます。年金支給開始を繰り下げると年金が増額されるのは良いですが、年金支給開始までの空白期間の収入をどう確保するのか、また思わぬ病気を患ってしまった場合はどうすればいいのかなど不安なこともあります。2009年の平均寿命が、女:86.44歳で世界一、男79.59歳で世界5位、今後高齢者への年金や医療政策によって寿命が短縮されて行きますから、少なくとも男は支給開始を繰り下げる意味はなさそうです。
そこで次の方法はどうでしょうか

奥様分の年金だけを繰り下げる
 ご主人の年金は標準の65歳で受給を始め、奥様の年金分だけを繰り下げ受給するのです。ご主人の年金だけでは不足する分は定年後も働き続けるなり、個人年金や自分年金(貯蓄の取り崩し)を使うのです。この方法が良いのは、女性の方が寿命が長いので長く年金を受け取れる可能性が高く、生涯年金受給額が高くなることです。
体調が崩れたら受給開始する
 65歳の時受給の繰り下げを選んでも、66歳を過ぎれば月単位で受給を開始できます。もし体調を崩して、ご主人の年金収入だけでは生活が苦しいようなら無理せず受給を開始すればいいでしょう。


■ 厚生年金第2号と第3号被保険者
 サラリーマンやOLは、「
第2号被保険者」という名称で、70歳未満で正規雇用されている限り厚生年金保険料を払い続けます。第2号被保険者の被扶養配偶者は「第3号被保険者」と呼ばれ、20〜59歳の間、つれあいが第2号被保険者である限り自分自身で保険料を払わなくても良いのですが、つれあいが第2号被保険者でなくなって自分が60歳未満なら60歳になるまで国民年金に加入して保険料を払わなければなりません。夫が定年退職した専業主婦が、手続きを忘れていて年金加入期間が少なくなった、ということが問題になっています。救済云々が言われていますが、お金をもらうのですからウッカリとかいうのは論外です。社会保険事務所(現在は年金事務所)が教えてくれなかった?甘えるな!ということですね。また2007年4月以降は離婚によって第3号被保険者が厚生年金の分割を受けられるようになります。

年金保険料や、その算定基礎となる標準報酬月額表については、毎年変わりますので、右の日本年金機構のホームページで調べてください

注)日本年金機構は、社会保険庁の廃止に伴い、2010年1月1日に発足しました。社会保険事務所は年金事務所と名称が変わり、社会保険業務センターは廃止されました。これに伴って様々なサービスが縮小されています。日本年金機構のホームページを参照して調べる能力のある人は良いとして、ない人にはキツイ状況ですネ。

特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分) 老齢厚生年金
特別支給の老齢厚生年金(定額部分) 経過的加算額
老齢基礎年金

60〜64歳

65歳以上

[2018年度までの年金構造]

経過的加算額とは? 65歳以降の老齢厚生年金は、老齢基礎年金に上乗せする形で、報酬比例部分が支給されます。それまでの定額部分が老齢基礎年金に、報酬比例部分が老齢厚生年金に相当します。しかし、当分の間は老齢基礎年金の額より定額部分の額のほうが多いため、65歳以降の老齢厚生年金には定額部分から老齢基礎年金を引いた額が加算されます。これを経過的加算といい、65歳以降も60歳からの年金額が保障されることになります。

■ 自分の年金はいくらぐらい支給される?
 自分の年金額がどのくらいになるか知りたい場合はどうすれば良いでしょうか?

 いろいろな方法がありますが、日本年金機構のホームページの「年金見込み額試算」というボタンを押して見るのがよろしいでしょう。4種類の方法が載っております。60歳未満の人は、簡易試算ならホームページ上で可能です。

 また、年金事務所(旧社会保険事務所)で、50歳以上の人に関する「年金額(見込)」を無料で試算してくれます。手続に際しては、本人が「年金手帳」及び「印鑑」を持参します。「委任状」があれば、代理人でも可能です。また、年金額の試算は、どの年金事務所でも可能です。試算は、コンピュータの動いている時間に限られます。

 50歳以上の方は個人記録に基づいた年金見込額試算の申込ができます。 これは日本年金機構が管理している業務記録に基き、上記下線部のどこでもクリックしますと申込画面が開きます。結果は郵送で届きます。申込が多数となっている時には、回答が届くまで1ヶ月程度を要する場合もあるそうです。

65歳未満の老齢厚生年金額

特別支給の老齢厚生年金=[定額部分]+[報酬比例部分]+[加給年金額]  詳細は日本年金機構のホームページ参照

注)加給年金厚生年金保険の被保険者期間が20年以上または40歳(女性の場合は35歳)以降15年ある方が、定額部分支給開始年齢に達した時点で、その方に生計を維持されている配偶者や18歳到達年度の末日までの間の子または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子がいる場合に支給されます。


65歳以上の老齢厚生年金額

老齢基礎年金と老齢厚生年金([報酬比例部分]+[加給年金額]
老齢基礎年金は加入年数40年ずっと保険料を納め続けた人の満額は下がり続けています。平成元年=1989年に666,000円でした。完全自動物価スライドで1990年681,300円、1991年702,000円、1992年725,300円、1993年737,300円、1994年747,300円、そして1994年10月に780,000円へドンと上がり、1995年785,500円、1998年799,500円、1999年804,200円、2000年〜2002年は物価が下がったので減額すべきところ、当時の自公政権が選挙を控え高齢者の怒りを買うことを恐れ、スライドを凍結しました。2003年797,000円、2004年794,500円、2006年792,100円、2011年788,900円、2012年786,500円、バブル崩壊後のデフレの影響で年金支給額はじわじわ下がっています。2014年度は772,800円となりました。老齢厚生年金の報酬比例部分は60歳〜64歳の報酬比例部分と同じで加給年金額も同じです。


■ 再就職すると年金はどうなるのか?
 定年後の生きる糧として公的年金は重要な関心があると思います。60歳で定年退職後正社員として再就職すると厚生年金に加入することになり、在職中は年金が一律2割カットされ、以降賃金収入が多いほど年金が減らされ、一定額以上の収入があると年金支給が差し止められるのが以前の制度でしたが、上述のように60歳を超えても働かざるを得ない時代になりましたのでこれらの仕組みは変更になりました。また更に前には標準報酬月額をもとにして在職老齢年金を計算していましたので、企業によっては月例給与を抑えて賞与に回すというやり方で年金受給を増やそうとするところがありました。そこで直近1年間の賞与を加えた総報酬月額相当額をベースにすることとなり、こうしたテクニックは通用しなくなりました。
 70歳未満の方が会社に再就職し、厚生年金保険に加入すると、老齢厚生年金は、月例給と賞与によって決められる総報酬月額相当額と1ヶ月当たりの年金額の合計収入に応じて計算され、年金が支給されます。計算結果の年金支給月額がマイナスになる場合は年金は支給停止となり、加給年金額も支給停止となります。

65歳未満の在職老齢年金

加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金月額(基本月額と言う)総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の場合は全額支給、28万円超ならば総報酬月額相当額が46万円超か以下か、さらに基本月額が28万円超か以下かによって4通りの計算方法があります。  詳細は日本年金機構のホームページ参照


65歳から70歳までの在職老齢年金

加給年金額を除いた特別支給の老齢厚生年金月額(基本月額と言う)総報酬月額相当額の合計額が46万円以下の場合は全額支給、46万円超ならば

 年金支給月額=基本月額−(基本月額総報酬月額相当額46万円)÷2

詳細は日本年金機構のホームページ参照


70歳以上の在職老齢年金
以前は70歳以上になればいくら収入があっても年金は100%支給されましたが、2011年から65歳以上と同じ方式になりました。ただし厚生年金保険料は払う必要はありません。

詳細は日本年金機構のホームページ参照

ただし、正社員でなく、パートタイマーや契約社員で、厚生年金の加入適用対象外の人(正規雇用社員の3/4未満の労働時間の人)は年金の減額はありません

60歳以上の方がどういう形で働くのが良いのか、働く意欲と生活に必要な収入と様々な角度から考えるべきでしょう。ただし、人手不足と言いながら、実は高齢者にはあまり就職先はありません。お掃除とか、交通誘導などしか無いのが実情です。

■ 募る老後の不安
 定年退職後の生活に不安を感じる最も大きな原因は定年後の収入です。2013年の総務省家計調査によりますと、二人以上の世帯の世帯主の負債と貯蓄は、30代までは負債のほうが多く、40代ではほぼ拮抗していて、50代では貯蓄1,595万円、負債607万円、差額およそ1千万円、60代以上では貯蓄2,384万円、負債148万円、高齢者は年金を受給しながら貯蓄を取り崩して生活する構図です。少子高齢化が進み、団塊の世代が定年を迎えた今、世の中は若者すら雇用不安の時代、まだまだ体力があると言っても仕事が無い退職者たちにとっては公的年金の他には貯蓄を取り崩して生活している現状のようです。場合によっては繰り上げ支給を選択している人もいるでしょう。
これから定年を迎える世代の老後は、公的年金だけでは老後の生活がおぼつかない可能性があります。

■ 老後の生活も様変わり
 将来収入源の割合は変わるとしても、定年後の収入源としてどんなものが考えられるのか?「60歳以上世帯の生活資金源」調査では
 2004年:公的年金72.9%、就労収入41.9%、貯蓄の取崩し23.0%、個人年金など19.5%、不動産収入6.2%、子供からの援助6.2%、利子配当1.9%
 2011年:公的年金87.0%、就労収入25.8%、貯蓄の取崩し25.1%、個人年金など33.6%、不動産収入6.6%、子供からの援助5.6%、利子配当3.8%
でした。団塊の世代が60歳を越えた2011年は、就労収入が減って公的年金に頼る人が多くなったことと、個人年金の比率がグンと上がっています。団塊の世代が老人になると、この世代が最も人口が多いですから、当然高齢者の雇用情勢は悪くなります。現在後期高齢者以上の方たちが定年を迎えた頃は、海外旅行に行くなど、豊かな老後を楽しんでいました。高齢者の雇用情勢も今ほど悪くなかったので、現在以上に働いていました。団塊の世代は公的年金受給に不安を感じていたので、個人年金保険に加入して、それを補おうとしていたわけです。年金暮らしの方は将来不安のため、お金をむやみに使わなくなってきました。老後も様変わりしてきたと言えるでしょう。

■ 年金制度を変えたい厚労省
 厚生労働省は「労働時間が週20時間以上」の人を厚生年金に加入させる案を提案しています。現状では年収130万円以上になれば年金と健康保険の保険料を払わなければなりませんが、制度が改正されると保険料負担者が急増すると考えられます。たとえば時給900円で1日5時間、週25時間、月間100時間働いているパートタイマーの方は、月収9万円(年収108万円)ですが、2014年でひと月約8,560円の厚生年金保険料のほか、健康保険、雇用保険を払わなければならなくなります。手取りは月2万円近く減ります。一揆が起きそうですよね?現在は正規雇用者の労働時間の3/4未満である短時間(パート)労働者は厚生年金の対象になりません。厚生労働省はここにメスを入れたいわけですが、厚生年金適用拡大が短期的には短時間労働者や雇用する側の企業の負担増大になることから法律の中に検討規定を設けるにとどまっています。

■ 取れる人からは取ろう厚生年金保険料
 また現在は第3号被保険者という制度があって、これは働く旦那の奥さんが専業主婦だった場合、年金保険料を払わなくても良いという制度です。以前は専業主婦も保険料を払うか払わないかは任意でした。すなわち将来年金を貰おうと思ったら払い続けたのです。その後ある時点から「専業主婦も家事をこなしながら夫を助けて働いている」という考え方から保険料を払わなくても将来年金を受給できるという制度に変わりました。子供を育てるために家事をこなす専業主婦の役割を重視するという面から意義がありました。ところが今や働いていない婦人のほうが珍しい社会に変わりました。そこでまた取れる人からは取ろうという方向に考え方が変わってきています。60歳以上の人でも、パートタイマーでも、取れる人からは取ろうというわけですね。

■ 国民年金保険料を払わない人が増加
 フリーターが増えて厚生年金のように源泉徴収でないため、国民年金保険料を払わない人が増えてきました。納付率は1996年度:82.9%、2003年度:63.4%と釣瓶落しの状況です。そこで必死の努力で2012年度:64.4%と支えましたが、2013年度:62.3%、2014年度4〜5月:55.1%です。沖縄の36.8%は特別として、大阪46.7%、東京51.1%、埼玉51.2%などは、「いざとなったら生活保護のほうがマシ」と考えているのでは?とすら思わせます。日本で最も生活が豊かな北陸三県や新潟、長野、岐阜、三重、和歌山など、日本の中央部は60%を越えています→厚生労働省のプレスリリース。特に20歳台では50%を割り込んでおり、これを回復させるのが緊急の課題です。

■ 年金保険料徴収方式の大議論
 それならば保険制度ではなく税金から年金を払うようにしようとか、いや誰でも払わざるを得ない消費税を目的税方式にするのが良いとか、所得比例の所得税方式が良いとか、スウェーデン方式の保険制度がベストとか大議論が巻き起こりました。厚生年金基金制度が崩壊の危機にあり、企業の代行返上が続出、また厚生年金の保険料率が上がることから、財界からは厚生年金制度そのものの見直し論が巻き起こっています。ただ懸念されるのは、免除制度や納付猶予制度を導入するなどの仕組みを作っていることで、見かけの納付率は上がるでしょうが、やはり本来の道を突き進みたいところです。
 日本の年金制度が崩壊するのでは?とか、正社員減少、パート/派遣社員の増加、失業や無職者増加で若者の保険料の徴収率が50%を切っているとか、どうせ徴収できないのなら税金を年金財源に当てようとか、いやそれではまじめに保険料を払ってきた正直者が馬鹿を見る、と言った議論が沸騰し、このままでは時々刻々と制度崩壊に向かっていますから、日本国政府は国民に現実を説明して「痛みを分かち合う」こと、具体的には年金受給者の給付の切り下げ、保険料の徴収ができる社会システム作り〜法改正、制度の変更、率のアップを早急に行わないと、将来世代につけ回しして、ますます政治不信に陥るのでは?と危惧されてきました。2004年度の年金制度改正で、将来の保険料負担を固定し、その範囲で給付を行うという、新たな年金財政の運営方法に変わりました→クリック。これで、基礎年金保険料は2017年から16,900円固定、厚生年金保険料は総報酬の18.3%(事業主との折半)になります。受給者が増えると一人当たりの支給額が減ります。

■ 基礎年金保険料の半分は国庫負担=税金から

 公的年金に明日は無いから民間の個人年金保険にしようとの考え方があります。しかし公的年金が将来も存続する前提ですが、支払った保険料総額に対する支払われる年金額の面から見ますと国民年金のほうが絶対的に有利です。これは保険料の一部を国が負担しているからです。2009年から国庫負担が2分の1になりましたから、ますます国民年金の有利性が増しています。国の負担ということはすなわち税金から払われているということです。したがって年金保険料を払わない人は税金の戻りを放棄していることになりますね?加えて公的年金には本人が障害者になったときの障害年金や、配偶者(主に夫)が死亡したときの遺族年金などがあります。したがって若者には公的年金の保険料を払うように説得、指導したほうが良いことになります。にもかかわらず、廃業届を出して厚生年金を払わず営業を続けるような企業があるのですから、情けなくなりますね。

■激増する社会保障費・・・痛みを分かち合う政治の力を!
 日本の社会保障給付は年々激増しています。その7割を占めるのは介護、年金、高齢者医療の給付です。2025年度の給付総額は141兆円と2010年度より4割増えるのに、支える現役世代は減ります。消費税を15%に引き上げても社会保障の持続は困難とされています。2000年度に介護保険が導入されたとき、30.1兆円だった医療費は、2010年度には36.6兆円で、前年度より1兆4000億円も増加、また70歳以上の高齢者の医療費は16.2兆円です。介護費も3.6兆円から8兆円以上に膨らんで、政府の目論見は大きく外れました。高齢者に不利な政策を訴えたら選挙に負けるという社会が定着している現状を打破するには、国民に刃を突き付ける凄みを持った剛腕の政治家が求められますが、いまだかつてそんな政治家は現れません。

■ 高齢者の怒りを民主党に転嫁した自公
 2000年から2002年の間、物価が下落したにもかかわらず年金額を据え置いたことにより、基礎年金の額は2.5%高い水準にあったので、2011年までにこの分の年金を減額しようということになっていましたが、やはり当時の自公政権が選挙を控え高齢者の怒りを買うことを恐れ、実施を引き延ばしてきました。民主党政権になって、このままではいけないということで2015年4月までに段階的に調整することになりました。2013年夏の参議院議員選挙が終わってから引き下げることで民自公が合意しました。この直後の衆議院議員総選挙で民主党は大敗、自公が圧勝しました。なんのことはない、高齢者の怒りを買うことを恐れて年金を減額せず、その修正も先延ばしした自公が、民主党にそのしわ寄せを被せて、高齢者の怒りをそちらに転嫁したわけです。なんというずるいやり方か。

■ 特例水準解消のための年金減額
 基礎年金支給額減額は、それまでの支給額786,500円から、2013年10月に778,500円(約1%減)になりました。2014年4月は、2013年の物価変動率0.4%、名目手取り賃金変動率は0.3%と、ともにプラスの値になりました。このため、改定ルールにより、2014年度の改定率は名目手取り賃金変動率の0.3%を基準とした値になりました。特例水準解消のため年金額は1%引き下げられる予定でしたが、改定率が0.3%だったので相殺され、その結果、0.7%の引き下げとなりました。これにより、2014年度の特例水準のスライド率は3月までのスライド率である0.968を0.7%引き下げた0.961(=0.968×0.993、少数第4位以下を四捨五入)になり、772,800円となりました。月額では64,400円です。2015年4月からは「マクロ経済スライド制」が適用されますから、物価上昇によって名目支給額は増えて、実質は下がります。更に最後の調整で0.5%減、トータルで2.5%調整が完了となります。

■ 得した人、あおりを受けて損する人
 本来2000年から2002年に下げなかった恩恵を受けたのは、1948年生まれ以前の人で、そのあおりを1949年生まれ以降の人が被ります。もちろん1948年生まれ以前の方たちも今後は減額されるのですから、この13年間減額されずに今も受給している方たち、特に後期高齢者と言われる方たちが一番得したわけです。本来はこうした方たちの年金を減額して、昨年から年金支給対象になった人たちに影響が及ばないようにすべきだったはずです。今の年金受給者たちは、払った保険料が少ないのに年金支給額が多いのです。既得権が守られて、若い人ほど減額されていくのですから、年金に対する不信感が増していくのは当然です。

■ 大卒者は老齢基礎年金が少ない
 老齢基礎年金は20歳から60歳までの40年間すべて納付済みである場合の年金額になります。納付済み期間が40年(480ヶ月)に満たない場合は、その期間分が減額されて支給額が計算されることになります。したがって大学卒の人は、例えば22歳3ヶ月で就職して厚生年金の被保険者となり65歳まで働いた場合、老齢基礎年金は22歳3ヶ月から60歳までの453ヶ月が年金期間なので満額×(453/480)となります。厚生年金は保険料を払い続けるほど増えますから、65歳まで働けばそれだけ年金額が増えます。高卒で、卒業後すぐ就職して、60歳以上まで働き続けた人は、老齢基礎年金は満額受給ですが、20歳前の期間は保険料を払っているのに対象外、このあたりが年金制度の変なところです。

■ マクロ経済スライド制でさらに減るか?年金支給額
 さらに今後は「マクロ経済スライド制」が適用されることが2004年に決まっていましたが、2000年〜2002年の賃金・物価スライド凍結の是正が出来ない間はマクロ経済スライドも出来ませんでした。したがってやっと調整が終わる2015年4月からマクロ経済スライドに移行するわけです。この制度は、賃金や労働力人口といった社会全体の保険料負担能力(支える力)の減少が反映されたスライド調整率によって改定されることになります。公的年金の被保険者数の減少率(実績値)が-0.6%、平均的な年金受給期間(平均余命)が伸びる率で-0.3%、2025年まではスライド調整率は▲0.9%と決められました。賃金や物価の上昇があった場合でも、その上昇率が0.9%を超えなければ年金額アップの改定は行なわれません。例えば賃金や物価の上昇が1%だったら、マクロ経済スライドで0.1%の年金アップになります。物価が下落しているような場合には、物価下落率分だけストレートに下げます。すなわち上げは少なく、下げは素直にということですから、支給額は確実に下がって行きます。
 2014年は物価上昇が2%程度と見込まれますから、マクロ経済スライドで1.1%の年金アップになります。そこから最後の調整で0.5%減ですから、最終的に0.6%の年金アップになります。基礎年金支給額が満額の人は月額64,400円ですが、2015年4月は64,780円ぐらい、名目上はアップですが、物価上昇分から見ると実質減となります。

■ GPIF
 政府が成長戦略のひとつと位置づけた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の新たな運用方針が2014年10月31日に発表されました。約130兆円に上る積立金などの資産のうち、株式の割合を従来の24%から50%に倍増させるのが柱です。GPIFが発表した新たな運用の目安は、国内債券35%(従来は60%)▽国内株式25%(同12%)▽海外債券15%(同11%)▽海外株式25%(同12%)。実際の運用構成が目安からずれることもあり、その許容幅は国内債券で上下10%(従来は上下8%)、国内株式で上下9%(同6%)、海外株式で上下8%(同5%)に広げられました。国内株式は最大で全運用額の34%まで持つことができるようになります。約130兆円を運用しているGPIFですから、株式に割り振る資産構成を1%増やすだけで1.3兆円の資金が株式市場に流れ込みます。国内株式についてこれまでの資産構成が12%だったのが25%になるのですから17兆円程度が株式市場に流れ込むことになります。日銀の量的緩和追加措置と併せて、株価を上昇させる要因になりますから、インパクトは強烈です。しかし、実態が伴わない金融政策ではその効果は持続しません。実態がともなわなければ株価は下がり始めるでしょうし、そうなるとGPIFは高値を掴むことになります。つまり、年金資産が毀損するリスクがあります。政権の浮揚のために、国民の大切な年金資産をこのように使ってよいのか、とても心配です。
 そもそも前身の年金福祉事業団は、グリーンピア事業などに年金資金を投じて、結果的に公的資金を乱用して流失させた前科がありますが、誰が責任をとろうと失ったお金は返ってきません。グリーンピアは利権を生み、厚生労働大臣経験者の地元に重点的に建設され、結果的に二束三文で売却されました。とても心配です。

■ 金融資産1億円超、100万世帯に ゼロは3割
 11月28日朝日新聞朝刊によりますと、安倍政権下で進んだ株高で、富裕層が増えているそうです。預貯金や株式、投資信託などの金融資産を1億円以上持っている「富裕層世帯」は、2013年に初めて100万世帯を超えた一方で、資産を持たない「ゼロ世帯」も3割と高止まりしているとのこと。
 富裕層の規模は、野村総合研究所が1997年から2〜3年ごとに推計しています。資産から負債を引いた純金融資産保有額をみると、2013年は1億円以上が100万7千世帯で、前回の2011年より2割強増えました。全世帯に占める割合は約2%で、50世帯に1世帯は「富裕層」がいるというわけです。
 資産額の増加は株価の値上がりが主な理由です。2013年末の日経平均株価は1万6291円31銭で、2011年末の2倍近い急激な上昇です。富裕層の資産規模は、2013年に計241兆円となり、2011年より28.1%増えました。株式や投信をたくさん持っていた世帯ほど、恩恵を受けているわけです。

■ デフレの象徴:牛丼の吉野家が国産米100%にするそうですよ
 牛丼店「吉野家」を展開する吉野家ホールディングスが、牛丼などに使うコメを国産米100%にする方向です。国産米価は戦後最低水準の暴落だからです。農林水算省によれば、今年9月の国産米の相対取引価格(税込み)は60kg当たり1万2481円。これに対し、今年度の米国産主食用短粒種(主に、国産米と同じジャポニカ米)の価格は同1万3738円となり日米価格が逆転しました。ゼンショーホールディングスが展開する牛丼店最大手「すき家」は、従来通り国産米100%の方針を貫いています。松屋フーズの「松屋」では、都市部の店舗を中心に、松屋で使用するコメの5割以上をオーストラリア産米に依存していますが、今後、吉野家やすき家の“2強”と同じ国産米になるでしょう。
 一方、国産米価の下落を上回る速度で、米国産牛肉の価格が上昇しており、牛丼全体の原価率(昨年度は約37%)は上昇傾向にあるそうです。牛丼に使われる米国産のバラ肉(ショートプレート)の価格は11月中旬に1100円を突破し、昨年9月の2倍にまで上昇しました。米国産牛肉は、昨年、月齢30ヶ月以下まで輸入規制が緩和され、価格低下が期待されていました。ところが、円安の進行や、米国で発生した干ばつによる飼料不足で、米国産牛肉の価格は逆に高くなった上、中国など新興国の需要も旺盛で、当面、値下がりは期待できないのだそうです。

吉野家の牛丼

■ 牛丼・アベノミクスは値上げの方向へ
 牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーHDが発表した2014年4〜9月期連結決算は最終損益が22億円の赤字(前年同期は4億400万円の黒字)になりました。多くの店舗の深夜営業を休止した影響が出たほか、牛肉価格の上昇が重荷になったそうです。2014年3〜8月期が大幅増益となった吉野家HDは牛肉の価格が安かった頃に積み増した在庫を使ったことでコストを抑えました。松屋フーズは安い牛丼をやめて、従来の並盛りより90円高い「プレミアム牛めし」など高単価商品を伸ばし、4〜9月期の経常利益は横ばいを確保しました。アベノミクスにとって、デフレの象徴牛丼、牛めしは好ましくないものですが、恐らく長い目で見ると値上げ方向でしょうね。

■ もうひとつのデフレの象徴:幸楽苑「290円中華そば」販売中止
 幸楽苑は、同社の看板「290円中華そば」をやめて、520円の新しょうゆラーメンに主力商品を切り替える計画と発表しました。新主力商品は、中細麺のしょうゆラーメンで、この10月から岡山県限定で販売開始したものが好評なので、来年4月からは商品名を変更したうえで全店に投入するそうです。方針大転換のもう1つの理由が、昨今の食材費・電力料・人件費の3大コスト増です。2014年度第2四半期(4〜9月期)実績でも、人件費が前年同期比1.8%増、光熱費が同5%も増加するなど、利益を圧迫しています。この経営環境下では290円の価格で中華そばを提供していくのは困難なのでしょう。ただ、看板商品が無くなるマイナス影響は大きいはず。そもそも290円では儲かるはずはありませんが、この商品が他のメニューも安いのでは?というイメージを与えていたはずです。売上比率は17%と低くなっているそうですが、幸楽苑の290円中華そばをメニューから探すのは困難ですよ。390円プレミアム醤油を全面に出しているので、こちらがお勧めと言うのがミエミエです。
幸楽苑の「290円中華そば」

■ ラーメン・アベノミクスやいかに?
 幸楽苑の新井田社長に言わせるとライバルは日高屋や王将ではなく、長崎チャンポンのリンガーハットだそうです。390円ラーメンの日高屋はコストパフォーマンスで問題にしていないようです。王将はラーメン屋ではなく中華食堂だと見ています。大勝軒や風風ラーメンなどは650円、それに比べるとリンガーハットの長崎チャンポン540円は具材の豊富さと味に比べて低価格で人気があるので、こちらがターゲットと言うことでしょう。ただ、首都圏では290円の安さに惹かれて来店する客も多いと見られ、ギョーザや“ちょい飲み”などで結果的に600円台の平均客単価につながっていると思われます。高単価路線への乾坤一擲の大転換に、はたして既存の得意客がどう反応するのか。これがうまくいけば、脱デフレを目指すアベノミクスがラーメン業界にも波及したことを意味するのですが、果たしていかに?むしろ幸楽苑の低価格路線脱却で、日高屋の出方が注目ではないでしょうか。

■ J1のV争い最終節持ち越し、浦和レッズはまたもファンの期待を裏切る
 残り2節のJ1は2014年11月29日、前節まで首位の浦和が4位の鳥栖と1-1で引き分け、2位のガンバ大阪が神戸に3-1で勝って、ともに勝ち点62で並びましたが、ガンバ大阪が得失点差で7点の差をつけ首位に立ち、浦和が2位に後退しました。負ければJ2降格のセレッソ大阪に勝った鹿島が勝ち点60で3位となり、優勝争いはこの3チームに絞られて最終節(12月6日)に持ち越されましたが、勢いからしたらガンバでしょうね。J2に落ちて這い上がったチームの強さです。今期守備力で優位を保った浦和レッズでしたが、先週22日(土)本拠地浦和ドームでのガンバ大阪との決戦、まさかの0-2敗戦で、スタンドを真っ赤に埋め尽くした日本一のレッズサポーターの期待を裏切りました。筆者夫婦は、この日は都内をふるさと応援でツアーしていて、最後はJR川口駅前のキュ・ポラ広場のイベントで飲んで食ってリンゴ箱を抱えて帰途につきました。北朝霞の駅前の馴染みの飲み屋さんでおいしいお酒と魚と寿司を頂いて帰ろうと、京浜東北線に乗り南浦和で乗り換えるとき、武蔵野線が遅れています。構内放送で「東浦和駅での乗客混雑のため」と言っています。着いた電車から大量の乗客が降車してきて階段を登れません。一本後の電車にするしかありません。乗客の服装で何があったか分かりました。そしてその様子で結果も分かりました。こういうときは触らぬ神にたたり無しです。29日の浦和は前半を0-0で折り返し、勝ちたい重圧でチャンスを作るも決められません。後半22分に反則でPKを得て、キャプテン阿部がゴール左隅へ決めて先制点を挙げました。しかし、後半ロスタイム、あと1分というところでコーナーキックを与え、鳥栖のDF小林に同点ゴールを決められて引き分けました。これでは優勝は難しい・・・(>_<)

■ 第65回NHK紅白歌合戦の出場歌手決定
 総合司会は有働由美子アナウンサー、紅組司会は連続テレビ小説『花子とアン』のヒロインを演じた吉高由里子、白組司会は嵐が5年連続です。初出場は、紅組はHKT48、May J.、薬師丸ひろ子、白組はV6、SEKAI NO OWARIの計5組。
 マッサンの主題歌「麦の唄」で中島みゆきが2回目の出場です。初出場となった12年前の紅白では黒部ダムからの中継でプロジェクトXの主題歌「地上の星」を歌い、2番の歌詞を間違えたことで話題になりました。しかし、滅多にテレビに出ないので、一目見ようとこのときの瞬間視聴率は50%を越えました。そして「地上の星」はこれ以降ますますヒットしてオリコンのロングヒットの記録を作りました。中島みゆきは「黒部の時には一生の思い出だわと感激のあまり歌詞を間違えました。この度はまさかの2度目出場。来世までの思い出だわと感激のあまりまた何か仕出かさないように頑張って歌わせていただきます」と自虐を交えたコメントをNHKを通じて発表しました。
 この人は「日本の歌姫」と言われ、日本を代表する女性シンガーソングライターの1人です。中国では70曲がカバーされるほどで、日本より外国で人気があります。20代、30代、40代、50代とオリコンヒットチャート1位記録を持っており、60代でも行きそうです。「夜会」とか「縁会」というコンサートで有名で、大晦日にはいつもコンサートを行っていました。筆者より2歳下ですが、富士フイルムのトータル・エイジング・ケア化粧品「ASTALIFT」シリーズイメージキャラクターとして、「松田聖子」とともに起用されました。この二人の、いつまでも変わらずに生き生きと活躍を続ける姿が、今も未来も変わらぬ輝きを放つフォトジェニックな肌を目指す「ASTALIFT」の商品コンセプトにふさわしいことが起用の理由だったそうです。第2弾は「松田聖子」と「松たか子」になりました。松たか子は結婚7年目にして子供を産むことにしたそうで、妊娠を発表しました。おめでとうございます。

中島みゆき
 V6が初出場もびっくり、まあNHKの『軍師官兵衛』と『朝イチ』のヒットがあるから、当然かも。でも出たことがあるとばっかり思っていました。

■ NHK紅白歌合戦は朝ドラリンク
 昨年の紅白では、朝ドラとしては異例の約30分にわたって特別コーナー「連続テレビ小説『あまちゃん』“特別編”」が設けられ話題を集めましたが、今年の紅組司会を務めるのは、今年上期の『花子とアン』で主人公を演じた吉高由里子。また『花子とアン』主題歌を歌った絢香、『マッサン』主題歌を歌う中島みゆき、さらに昨年上期の『あまちゃん』をきっかけに再び歌手として脚光を浴びている薬師丸ひろ子が実にデビュー36年目で初出場と、まさに朝ドラ勢が揃いぶみとなりました。『あまちゃん』をきっかけに視聴習慣がついた若者も多く、その後の『ごちそうさん』や『花子とアン』、そして現在放送中の『マッサン』と、いずれの作品も平均視聴率20%を上回る安定した数字をキープしています。このことからも、朝ドラが“日本の朝の象徴”として復権したことが窺えます。
 え〜(@_@)薬師丸ひろ子が初出場ですか?『セーラー服と機関銃』で歌手デビューし、いきなりの大ヒットだったので、てっきり出たことがあるとばかり思っていました。昨年は『あまちゃん』コーナーにゲスト出演し、自身が演じた鈴鹿ひろ美として「潮騒のメモリー」を歌ったことで話題となりましたので、紅白に本出場したことが無いことが分かって、ディレクターが改めて1年遅れの登場を狙ったのでは?と筆者は想像します。我がカラオケ定番曲ですが、歌う時は来生たかおの「夢の途中」を歌います。1番の歌詞が1箇所違います。
  来生たかお・夢の途中・・・♪夢を嘆いても 胸を痛めても ほんの夢の途中♪
  薬師丸ひろ子・セーラー服と機関銃・・・♪夢のいた場所に 未練残しても 心寒いだけさ♪
  ♪このまま、何時間でも 抱いていたいけど♪
おっと、キリが無い。同名の映画『セーラー服と機関銃』の主題歌として来生たかおに歌ってもらうことにしていましたが、主演の薬師丸ひろ子に歌ってもらおうじゃないかというアイデアが制作者の間で出たそうで、申し訳ないけれど薬師丸ひろ子の歌唱力じゃあと筆者は疑問でしたが、あまり抑揚の無い淡々としたリズムでありながら、当時他の作曲家には無かった鮮烈なリズム感、姉の来生えつこの素晴らしい詞が相俟って、その上薬師丸ひろ子の透き通った素人っぽい歌声も受けてオリコン1位の大ヒットになったようです。来生えつこにはどうしても「夢の途中」というフレーズにこだわりが有ったらしく、「セーラー服と機関銃」では夢の途中にマッチしないため、来生たかおのファンであった薬師丸ひろ子との競作になり、「夢の途中」のほうが若干早くリリースされましたが、映画の影響で「セーラー服と機関銃」のほうが大ヒットしました。筆者は「夢の途中」の歌詞のほうが好きです。「ほんの夢の途中」って、カッコイイじゃないですか。人間いつまでもこうでありたいものです。

■ NHK紅白歌合戦2年連続福田こうへい出場
 福田こうへいが昨年に続いての出場、おめでとう!
 筆者と共に岩手県雫石町観光大使ですが、出す曲が次々ヒットして、なまりを駆使したトークがおばちゃんに大受け、コンサートに行くと、カラオケおばちゃんばっかり、自分の息子を見るようなまなざしで可愛がっている様子です。今や演歌界1の人気歌手です。

福田こうへい、バックは盛岡市玉山区から見た岩手山、この山も火山です
出場歌手一覧(カッコ内は出場回数)
【紅組】絢香(7)、E-girls(2)、いきものがかり(7)、石川さゆり(37)、HKT48(初)、AKB48(7)、SKE48(3)、NMB48(2)、神田沙也加(2)、きゃりーぱみゅぱみゅ(3)、香西かおり(18)、伍代夏子(21)、坂本冬美(26)、椎名林檎(2)、天童よしみ(19)、中島みゆき(2)、西野カナ(5)、Perfume(7)、藤あや子(20)、松田聖子(18)、水樹奈々(6)、水森かおり(12)、miwa(2)、May J.(初)、ももいろクローバーZ(3)、薬師丸ひろ子(初)、和田アキ子(38)
【白組】嵐(6)、五木ひろし(44)、EXILE(10)、関ジャニ∞(3)、クリス・ハート(2)、郷ひろみ(27)、ゴールデンボンバー(3)、三代目 J Soul Brothers(3)、SMAP(22)、SEKAI NO OWARI(初)、Sexy Zone(2)、T.M.Revolution(5)、TOKIO(21)、徳永英明(9)、AAA(5)、長渕剛(4)、氷川きよし(15)、V6(初)、福田こうへい(2)、福山雅治(7)、細川たかし(38)、ポルノグラフィティ(13)、美輪明宏(3)、森進一(47)
(2014年11月29日)


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