2 太陽経済
■再生可能エネルギーによる地域再生事例
■脱石油依存 今日本は30兆円もの巨額のお金をアラブの王様たちに払っています。税金の総額に近いお金です。原発の停止で天然ガス輸入が増えて、日本は貿易赤字国になりました。今や世界はエネルギーの奪い合いの様相を呈しています。19世紀は石炭の世紀で英国が中心でした。20世紀は石油の世紀で米国が中心でした。21世紀はどうなるでしょう?原子力と言う声が大でしたが、福島の事故で怪しくなりました。米国も落ち目となりましたが、シェールガスの開発で再び脚光を浴びています。 1973年にエジプトとシリアがイスラエルを攻撃して第四次中東戦争が起こりました。これをきっかけにオイルショックが起きて、2.5USドルだった原油が倍の価格となり、日本もトイレットペーパー騒ぎなどが起きて、物価が23%も上昇し「狂乱物価」と言う言葉が生まれるほどのインフレとなりました。1999年に9.9ドルだった原油は一時140ドルを越え、今は90ドル台ですが、もはや石油価格が下がることは無いと思ったほうが良いでしょう。電力消費全体は、オイルショックの1973年度以降、着実に増加し、2.5倍に拡大しています。電灯の使用電力量は3.9倍に増大し、鉱工業の使用電力量の増加は約1.6倍にとどまったため、電灯と業務用電力などを含む民生用需要が約6割を占めるに至っています。
■デンマークに学ぼう デンマークは、人口500万人ちょっと、北海道の約半分の面積に、北海道程度の人が住んでいる国です。病院と学校は無料で、国民一人当りの発展途上国への援助は世界最大。税金は、直接税と間接税を合わせて約50%。酪農を中心とした農業国のデンマークが、環境先進国として知られるようになったのは、1973年の石油危機がきっかけでした。デンマークのエネルギー自給率は、1972年にわずか2%でした。それが、1973年の石油危機をきっかけに、エネルギー自給に取組み始め、今や何と156%になりました。最初の計画では、原子力発電も入っていましたが、後に市民の反対で取りやめました。ずっと力を入れて来たのは、風力発電、バイオガス、麦わら、ゴミ発電などの再生可能エネルギーです。風力発電では、15万世帯が5,500基を所有し、個人の所有率は85%にもなるそうです(2004年)。しかも食料自給率は300%です。 ■21世紀は太陽エネルギーの世紀 さて日本はどうしたら良いでしょうか?もちろんデンマークやアメリカのように風力の活用もあります。洋上発電も考えられます。更に有望なのは太陽です。これは巨大な核融合炉とも言えるもので、地球に降り注ぐエネルギーの5000分の1で人類の必要消費が賄えるうえ、世界の人口増加とともにこれからますます重要になる食糧生産などにも不可欠です。何より世界中誰にも公平で無料です。日本は太陽電池で世界をリードしてきました。21世紀のエネルギーは太陽の世紀で、その中心は日本であるべきです。 ■太陽経済とは 「太陽経済」とは、このエネルギーの利用とその周辺に生まれる新しい経済であり、「太陽・水・緑」をキーワードに、単なる発電にとどまらず、さまざまな技術と制度との組み合わせによって、電気自動車の普及や農業による地域活性化、リサイクルといった社会システムを含む概念となっています。 また「太陽経済社会」とは、太陽経済によって経済と環境が両立し、地域格差が小さく、少ない資源で効率的な生活が送れる社会を指しており、循環型社会、環境社会、共生社会などと共通するコンセプトです。2030年には電力の25%〜35%を自然エネルギーで賄うことが予想されています。 ■新しい産業革命が始まります この21世紀には石油経済から「太陽経済」へ、新しい産業革命が始まります。太陽経済とは、技術と英知によって、人類が毎年の太陽の恵みで暮らすことを可能にする新しい経済です。太陽からのエネルギーを活用し、資源とエネルギーを節約し、水と食糧を確保して、人類は自らを救い、人間性を守ることが可能になります。産業革命以降、続いてきた石炭経済、石油経済に終りが見えてきました。21世紀の半ばには石油が枯渇に向かうと予測されるのに、石油消費が増え続けるからです。しかも、化石燃料の消費で温暖化ガスが増え、異常気象が発生しています。 太陽経済は電気が中心です。太陽光や風力、水力、海水熱などで発電します。その電気で、水を分解してできる水素もクリーンな燃料です。太陽経済は平等です。埋蔵が限られる石油と異なり、太陽は世界中を照らします。石油は使えば使うほど値上がりしますが、風力や太陽光発電は普及すればするほどコストが下がります。 ■21世紀の太陽経済を担うのは日本 太陽経済は、節約して豊かになる、節約経済でもあります。例えば、電気自動車は必要エネルギーが大きく減ります。家電や住宅、オフィス、工場も、省エネ・省資源型に変えられます。携帯電話やパソコンや自動車からは、貴重な金属資源が回収できます。 また日本は世界の農村と農民を助け、水と食糧問題を解決する力もあります。優れた農業関連技術とインフラ整備、砂漠緑化や淡水化や浄水化などで最先端の技術があります。我々が世界で活躍し、日本の技術と社会の仕組みが世界の標準にならなくては、宝の持ち腐れです。 まず日本社会が真っ先に太陽経済に変わらなくてはいけません。国民が主役です。個人と企業が実行する、地域で取り組む、そして政府が、行政が太陽経済を強く後押しすることが不可欠です。 ■日本最大級250MWのメガソーラー事業 太陽経済の会会員の日本IBM株式会社他6社との共同提案で採用された、岡山県瀬戸内市にある500haの塩田跡地で建設する日本最大級250MWのメガソーラー事業と地域活性化について説明します。温暖で降水量が少なく日照時間が長い瀬戸内海気候を利用して、古くから塩の生産が盛んだった岡山県瀬戸内の地に、1956年錦海湾の岬と岬をつなぐ大堤防を建設し、干拓された500haの日本最大の大塩田が出現しました。 塩業技術の進歩と世界貿易の進展もあいまって50年後の2009年、塩業事業者が破たんし塩業製造の長い歴史の幕が閉じられ、広大な塩田跡地が残りました。環境調査の結果、塩田跡地内の排水が止まると浸水によって、市民の安全を脅かすことが判明しました。 瀬戸内市では市民の安全安心の確保のために跡地を取得し、塩田跡地周辺住民らで組織された検討委員会による活用基本構想に掲げる「地域の活性化」「文化の振興」「環境の保全」のための提案を募り、跡地活用の事業者を公募しました。そして、8社の提案から「瀬戸内Kirei未来造り連合体」の案を採用いたしました→瀬戸内市のホームページ参照。日本のエーゲ海と言われる瀬戸内市は、竹久夢二の出身地で、武久顕也市長は、筑波大卒後農業を営み、町議の後町長選に落選して英国に留学し、バーミンガム大学に留学してMBAを取得、日本に戻って監査法人トーマツで自治体支援のコンサル、関西学院大学大学院の准教授を勤めた後、前市長の病気辞職で無投票当選したという、かなり変わった経歴ですが、学者でもあり、素晴らしい識見を持った方です。塩づけになった広大な土地が、これから世界の最先端をいく日本最大のメガソーラーを軸として活力を生む場所に変わります。 ■瀬戸内Kirei未来造り連合体が施工 「瀬戸内Kirei未来造り連合体」の事業者代表としてくにうみアセットマネジメント株式会社が付き、太陽経済の会会員の日本アイ・ビー・エム株式会社、東洋エンジニアリング株式会社、自然電力株式会社、ゴールドマン・サックス証券、NTT西日本、ジャーマンインターナショナルで構成されるJVが、岡山県瀬戸内市にある500haの塩田跡地で計画する日本最大規模の「メガソーラー」が導く「まちづくり」を行います。このJVの下には清水建設や中国電力、ソーラーパネルメーカー、PCS(パワーコンディショニングシステム)メーカー、IT企業、交通機関、デジタルコンテンツ企業、金融機関などの第2連合体が付きます。太陽経済の会は現在20名、提携会社あわせて60名が今このプロジェクトに携わっております。 瀬戸内市の永続的な発展を実現するには「再生可能エネルギーの証券化」が有用です。森ビルさんが不動産を証券化している手法と同じです。証券化されることで投資、販売が可能になり、設備を国民経済にお返しすることが可能になります。年6%の利回りを想定しています。当然金融庁の規制が働くことになります。自治体が作った第3セクタがあちこちで倒産していますが、証券化され、上場されると、設備は減価償却が可能になり、自治体は倒産のリスクから解放されます。設備耐用年数は25年、故障率は年0.5%を想定しています。20年間の固定価格買取終了後設備を廃棄する?そんなことは事業としてはあり得ません。設備が永続的に更新され、維持発展されるためにも証券化が有用なのです。今年中に着工する予定です。2012年7月1日から2013年3月31日までの太陽光発電固定価格は42円/kWhで20年固定です。その後は下がると言われていますが、恐らく37円/kWhというところがフェアでしょう。参入事業者は全国で雨後の筍のように生まれています。ビジネスチャンスはあと2年ぐらいでしょうか? ■都会から田舎への逆流現象が起きる さらに、このプロジェクトから波及する交通整備、観光、事業継続ビジネス、文化・芸術コンテンツをはじめ、様々な分野に広がるビジネス機会についても説明しましょう。 昔は「おじいさんは山へ芝刈りに」・・・すなわちバイオマスエネルギーの時代でした。これが蒸気機関の発明による産業革命以降劇的に変わりました。そして石炭、石油といった化石エネルギーに依存してきて、田舎から都会へ人々は移動し、お金も移動し、企業も地方から都会へ移り、今や製造業は海外へシフトしています。おじいちゃん、おばあちゃんの息子も娘も田舎へは帰ってきません。企業も帰ってきません。過疎が進み、工場跡地はさびれ、耕作放棄地が増えて、山野は荒れてきています。地方の不動産価値は減少しています。 しかしこれからは変わります。世界中で新興国経済が伸びて、エネルギー需要が増えました。人口が増えて食糧問題が発生し、空気や水と言った人間や動植物が生きて行くうえで無くてはならないものに危機が忍び寄っています。新興国が先進国同様のエネルギー消費をしたら大変なことになります。すなわちこれからは「農と食」が人類にとって一番の課題となり、そのためのエネルギーが必要になります。このとき、これまで見捨てられてきた田舎の不動産はにわかに輝き出します。 ■地域づくりが目的 自然エネルギーを作り出す設備ができ、そのエネルギーを使った植物工場ができ、人口も都会から逆流、お金も逆流して来るのです。先進的な設備を勉強しに来る「技術教育旅行」が盛んになります。そのためには交通網整備が必要になります。瀬戸内市では津山高専と組んで「自然教育学科」を作ってもらうことにしました。自然エネルギーについて勉強する人を呼び込んで、やがて地元に就職してもらいます。日本の先進的設備を学ぶために海外からもお客様が来ます。単なる観光を超えた国際交流が始まります。そのためのまちづくり、デジタルコンテンツについても提案しています。太陽経済の会は、単なる設備事業者ではありません。究極は地域活性化が目的なのです。地域づくりが目的ですから、クライアントは知事や市町村長や、農協、漁協、交通機関、ひいては地域住民そのものです。見捨てられていた国土を生かすために、是非私たちにご相談下さい。 ■環境配慮型植物工場によるイチゴ栽培
■大寒波
|