471 どんと肉
今回テーマの「どん」とは何か?うどんと丼である。丼で食べるものと言えば、カツ丼、親子丼、玉子丼、天丼、うな丼、いろいろある。うどんは温飩で、食べる容器が丼である。
■どん兵衛 渋谷駅ナカ店 |
渋谷駅山手線のどん兵衛渋谷駅ナカ店 |
■「どん兵衛」と「赤いきつねと緑のたぬき」の比較
ところで、その後スーパーをいくつか覗いてみたところ、「どん兵衛」を置いていない店がいくつかあった。こういう店には「マルちゃん」すなわち東洋水産の「赤いきつねと緑のたぬき」が置いてある。赤いきつねと緑のたぬきのほうが安いから、どん兵衛と並べたら、売れ行きが違うからだろう。味は?緑のたぬきとどん兵衛天ぷらそば、そばそのものは互角、つゆはどん兵衛のほうが出汁が利いて旨い。緑のたぬきは味が濃い。ただ値段差を考えたら、緑のたぬきに軍配か?では赤いきつねとどん兵衛きつねうどんのほうは?つゆはやはりどん兵衛だ。赤いきつねの麺は、どん兵衛に比べてやや縮れている。どん兵衛の麺は、太ストレートでツルツルとしていてなめらか。値段差を考えてもどん兵衛に軍配。
■牛丼値下げ
松屋の牛丼が値下げになった。320円→280円で、すき家と並んだことになる。以下は松屋のホームページから・・・ |
松屋の牛めし |
吉野家の牛丼 |
■牛丼戦争
牛丼については363『牛丼戦争』(2009年12月27日)で触れた。この月にすき家が並盛280円に値下げし、現在の独走態勢のもととなった。牛丼チェーンで牛丼専門は吉野家のみであり、価格面で最も安かったすき家がどんどん店舗を増やし、減っている吉野家との差は開く一方だ。松屋は味噌汁が付くので人気があり、好調に店舗数を増やしているがまだ吉野家には追い着いていない。2011年12月現在、すき家1748店、吉野家は1189店で、業界3位の松屋は870店である。業界4位のなか卯は490店で、すき家を経営するゼンショーの子会社だ。大阪発祥のなか卯は2010年からすき焼き風の和風牛丼として好評である。2004年のBSE騒動によるアメリカ産牛肉の輸入禁止以降、牛丼販売再開後における牛丼使用部位の牛肉調達コストは、米国産牛肉が条件付輸入状態で流通量が限られていることからコスト高となっており、すき家が使うオーストラリア産牛肉と比較すると1.5倍で、2001年当時の同食材の市場価格と比較すると2倍強となっていることで、牛丼チェーン店が使用する牛肉の仕入産地によるコストの差が大きくなっている。アメリカ産牛肉にこだわる吉野家は、値下げしたくても出来ないのだ。一方松屋はアメリカ、カナダ、オーストラリア、メキシコ、中国など各地のものを使う。なか卯はメキシコらしい。
牛丼用牛肉の部位は「ショートプレート」(ばら肉)である。ファット(脂肪)比率が格段に高く、価格が圧倒的に安い、という特徴がある。オーストラリア産牛肉は脂肪が少ないのでパサパサした食感なのと、やや臭みがある。これは餌が穀物ではなく牧草主体のためのようだ。そこですき家はタレをどぎつくしてにおい消ししているのでは?筆者はすき家と松屋の牛丼は食べない。
■牛肉
さて肉の話、牛肉、豚肉、鶏肉の相場はどうか?日本では、2010年の口蹄疫に続き、2011年は東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故による放射能汚染、安愚楽牧場、焼肉チェーン店での生食による集団食中毒と、牛肉を巡る情勢は極めて厳しく、年が明けても出荷制限が行われた4県(福島県、岩手県、宮城県、栃木県)を含め、牛肉消費はなかなか回復してこないのが現状だ。昨今のレストラン離れ傾向と、若者のダイエット志向で霜降り牛肉が敬遠される傾向も原因のひとつとされている。2012年は、徐々に消費回復に向かうようだが、米国からの圧力で、夏以降の北米産の月齢規制の緩和も現実になりそうで、松屋もこのあたりを見込んでいるのでは?その前に吉野家との差を詰めておきたいのだろう。
牛肉輸入はオーストラリアが4分の3を占め、アメリカ、ニュージーランドと続く。月齢規制緩和となれば、米国産が一気に増えるのでは?日本人が年間に食べる牛肉量は年間12kg。牛肉国として知られるアメリカ、オーストラリアの約3割前後となっている。牛肉消費トータルはやはりUSAが世界一である。牛肉を最も食べる国民が多いのがアルゼンチンで、日本人の約6倍の量を食べ、牛肉が主食化している。
■豚肉
牛肉と豚肉の相場は相反するのがこれまでの常識だった。牛が高ければ豚が安い、豚が高くなれば牛が安くなった。2011年の豚肉相場は、8月までは口蹄疫、猛暑による受胎率低下で国内生産が減少したこと、さらにセシウム問題で牛肉代替需要が入ったことで高水準で推移した。しかし、9月以降はチルドポーク輸入が高水準を維持する一方で、国内生産も徐々に回復したため、一転して下げ基調を強め、年末相場も盛り上がりに欠ける結果となった。豚肉輸入はアメリカが断トツで4割を占め、カナダ、デンマークと続き、ガクッと落ちてメキシコ、チリと続く。2012年は、牛肉消費回復で豚肉消費が例年レベルに戻ると見込まれ、軟調な相場展開が続くと見込まれる。
日本人の豚肉消費は年間約17kgであり、世界では低い部類に入る。豚肉を最も食べる国はデンマーク。トータルでは中国であり、日本の5倍だ。もっとも人口からすればもっと消費は増えて行くだろう。そこで三菱商事は中国に巨額の投資をして豚舎を建設した。もっぱら中国の国内消費向けである。豚が増えれば飼料が必要、そこでオーストラリアや米国、カナダなどから飼料を持っていく、これでまた商社はもうかる。なお、韓国、台湾も豚を良く食べる。
■鶏肉
12月の鶏肉相場は、潤沢な輸入量と国内生産量が回復に転じ過剰感が出たことで、モモ肉で前月比8円安の599円、ムネ肉で17円安の232円となった。国内生産は寒波対策の徹底で増体も良く供給が予想を上回ったため、最需要期のクリスマスがあったものの、11月を下回り、モモ肉で600円台を割り込むという“異常な年末相場”となった。ところで日本の輸入鶏肉が何故地球の裏側のブラジルなのだろう?それは鳥インフルエンザの関係で、アジア、ロシア、EU諸国などが輸入停止、米国とメキシコも一部地域が輸入停止になっているためである。
世界で最も鶏肉を食べる国はアメリカで、日本人の約4倍。
■日本人男性は男らしくない?
英Guardian紙にて、「性に対して興味を失いつつある日本人」を取り上げた”Japan
leads the way in sexless love”という記事が掲載された。記事では、「今日の日本人男性は男らしくない」という話から始まり、「ひきこもり」や「草食男子」、「未婚率の上昇」、「男らしくないポップスター」といった日本の状況を紹介している。そして、東京に長く住んでいるという日系アメリカ人による「日本人女性は社会的にも経済的にもより強くなると同時に日本人男性は内向きになり、仮想世界に入り浸り、そして現実より仮想世界を好むようになった」というコメントとともに、「2ちゃんねるでは『現実の女性は好きではない』『バーチャルなガールフレンドの方が良い』といったコメントが寄せられている」などといった状況が解説されている。また、記事の最後には結婚しない40代女性の「私たちは人間としてより進化してしまったのかもしれない」という衝撃的(?)なコメントも掲載されている。
(2012年1月21日)