341  祭り

 昨週は牛に引かれて善光寺参りを思い付き、それならば信州戸倉上山田温泉の夏祭りを楽しめないかと思った。インターネット予約しようと思ったら、さすがお祭りなので満室のところが多い。1軒だけ空いていたので、ちょっと心配だったが予約した。高速道路ETC割引¥1,000を使い、善光寺に向かったが、混んでいたのでお参りはまたの機会にして、戻る方向だが、南の戸倉上山田温泉に向かった。長野県庁前から犀川に架かる丹波島橋を渡り、青木島の高山理化精機樺キ野営業所の脇を通って、途中昼食を食べるところを探しながら18号線を南下していると、ガストやサイゼリアがあって、これを見過ごして立派な構えの和食の店「みなもと」(長野市稲里町中氷鉋)を選んだ。いろいろな和食のメニューがあったが、壁に「500円ランチ!第2弾」と張り紙があって、8種類ぐらいのメニューがあり、その一番上の握り寿司ランチを頼んで見た。いくらなんでも500円は安過ぎるが、モノは試しだ。ところが出てきたお膳を見てビックリ!コハダ、マグロ、いか、えび、ミル貝、イクラ軍艦、玉子、穴子、タコマヨ軍艦、平目が各1貫とカッパ巻2個、かんぴょう巻2個にガリである。味は?かんぴょう巻で腕がわかる、美味い!しかもナント!冷奴とおしんこ、そしてアラ汁味噌仕立てが付いてきた。このアラ汁がまた美味い。お金を払う時に、なんか申し訳なくなった。1000円でも安いという内容なのに、これだけのものを1コインで頂けるとは・・・。


祭りの三区神酒所の向こうに虹が

 信州戸倉上山田温泉の夏祭りと煙火大会は、毎年海の日直前の土日に開催される。この夏祭りは、その名の通りクネクネと曲がる千曲川の水害に悩まされた温泉街として、水天宮を祀り、その怒りを鎮めるために始まった。134『夏祭り』(2005年8月8日)では、ここの祭りを「民踊流し」を中心に紹介したが、毎年この時期になると戸倉上山田温泉に行きたくなる。この温泉オリジナルの踊りも良いが、今年は花火を見ようと日曜宿泊とした。この温泉の宿は源泉掛け流しの宿で、加温も加水もしていない。したがって熱いが良い湯である。土用の丑の日なので宿は朝食のみとし、温泉街の鰻屋「うな竹」に入った。ここはうな重が出てくるまで時間がかかる。客の顔を見てからウナギを生け捕る。待つ間、ウナギの骨と白菜ときゅうりの浅漬けをつまみにビールをガブガブ、したがって二人で万札となる。


城山上空に上がる煙火大会
 例年この祭りの主役冠着太鼓というのが実に素晴らしい。戸倉上山田は49『真田と小山田』(2005年8月8日)で触れた更級(さらしな)の里、冠着山(かむりきやま)の麓に広がる美しい地である。更級は更科とも書き、もうおわかりだろう、ソバの里でもある。冠着山(かむりきやま)別名姥捨山を望む写真が載っているのでご覧あれ。更級と姥捨山は古くから月の名所として知られ、和歌などにも詠まれてきた。また、姥捨山は「姥捨伝説」でも知られ、小説の題材にもなっている(下記)。標高は1252mで、「田毎(たごと)の月」として知られるほど月が美しくみられる場所として古くから知られる。千枚田とも言われる田毎に月を映す多くの棚田が形成されるようになったのは江戸時代からとされている。山から見下ろす景観は、武田信玄と上杉謙信の甲越両軍が12年にわたり、5度戦った川中島の戦いの戦場であった。埴科郡戸倉町、更級郡上山田町、更埴市が平成15年9月1日合併し新たに千曲市となった。2日間に渡って、昼夜、太鼓を叩きまくる男女のメンバーは、恐らく体重も減るだろう、全身大変な痛みに襲われるだろう。素晴らしいファイト、演奏である。これだけでも感動だ。
 若者たちの力の限りの神輿の練り、温泉芸者のあでやかさに感動して、今年も大いに楽しんだ。西欧人も参加する「勇獅子(いさみじし)」の勇壮な舞いや、男神輿2基、女神輿2基の本練り、夜のクライマックスの煙火大会(通称「山の花火」)は圧巻だった。ワッショイの掛け声とともに繰り広げられる、若い男女が担ぐ神輿は素晴らしい。特に若い女の子のパワーはスゴイ!今や女のほうが祭りさえもリードする時代になったのだと実感する眺めであった。観光客には外人も多かった。白人やアジア系の人たちがたくさん居て、この祭りがガイジンにとっても日本の祭りの楽しさを感じるイベントとして定着しているのだと言うことがわかった。また観客の中に若い男女、小さな子連れの若夫婦が多いことも特徴である。若い人にとって楽しい祭り、これは真の楽しさを証明していると思われる。
 
冠着太鼓の伴奏に乗って女神輿の疲れを知らないパワーには恐れ入る 男神輿は夜にはいなせな若い女の子4人が乗る
 日本三大祭りと言えば京都八坂神社の「祇園祭」、大阪天満宮の「天神祭」は文句なし、3つめは東京「神田祭」の支持者が多いが、東北なら「ねぶた祭」という人もいるし、九州に行けば「博多どんたく」を入れる人もいる。「長崎くんち」を入れる人もいる。明治の日本三大都市(東京、大阪、京都)の代表的祭りである、神田(東京)、天神(大阪)、祇園(京都)というのが無難なところか。神田明神は東大のある本郷、秋葉原電気街〜末広町、御茶ノ水〜湯島聖堂、湯島天神、上野不忍池に囲まれた、東京としては緑の多いところにある。5月に行われる神田祭については→クリック。京都「祇園祭」、大阪「天神祭」は夏祭りであり、日本三大夏祭りと言えばこの二つのほか東京・千代田区永田町の日枝神社の「山王祭」があげられる。
 日本の夏を彩る祭りと言えば、なんと言っても「東北夏祭り」であろう。昼は暑いが、夜になると涼しくなる東北は、浴衣を着流して帯に団扇を刺し、生ビールを飲みながら楽しむには最高である。皆さん、出かけてみませんか?不況ではありますが、東北の夏は短い。夏を惜しんで、さあ出かけよう。
ちなみに東北の主な夏祭りの日程は下記の通り、この夏、東北へ!  注:筆者は東北のまわしものです(^_^)
盛岡さんさ踊り   8月1日(土)〜4日(火)
青森ねぶた     8月2日(日)〜7日(金)
秋田竿灯まつり   8月3日(月)〜6日(木)
仙台七夕まつり   8月6日(木)〜8日(土)
山形花笠まつり   8月5日(水)〜7日(金)
 長寿 

 2009年7月16日の厚生労働省発表によると、日本人の2008年の平均寿命は女性が86.05歳、男性79.29歳で、いずれも3年続けて過去最高を更新した。平均寿命の延びは「医療水準向上により、三大死因のがん、心臓病、脳卒中の死亡率が下がったことが大きい」そうだ。1950年代に主要先進国中ワーストだった日本の平均寿命は劇的に延び、今後も衰える兆しは見られない。百歳以上高齢者も女が3万1千人、男が5千人になったという。「人生百年」時代、長寿は昔からめでたいこととされてきたが、今は年金問題、医療費問題など、歳を取ってもろくなことがないような世の中になってきた。ただ、軍人だった父を持つ家庭や、公務員だった親を持つところでは、長生きしてくれたほうが年金収入が貴重であり、親を大事にしている面がある。しかし年金生活に入ってまだ年数の少ない人たちは、戦後核家族になって親とも同居せずに暮らしてきて、子供も自分の面倒をみてくれないだろうと考えている人が多く、夫婦二人の老後を送りながら、年老いた親の介護をしなければならず、親が亡くなるとやがてひとり暮らしになって行く。子供に財産を残すことも無いと考えて、老後の蓄え以外のお金は楽しく使おうと、ゴルフや旅行、グルメにいそしむ。上記の姥捨(姨捨とも書く)伝説については深沢七郎が『楢山節考』(1956年)にて著述している。また柳田國男の『遠野物語』にはダンダラ野へ棄老するという風習が紹介されている。そして井上靖は浄土を求めた歴代住職に倣って船倉に老僧を閉じ込めて熊野から沖に流した室町時代の逸話『補陀落渡海』に注目して作品としたという(Wikipediaより)。年老いた母を口減らしのために背負って山へ置いてきた息子、覚悟して静かに眼を閉じた老母を直視できず、一目散にオイオイ泣きながら山を駆け下りる。しかし息子は思い直して、やはり翌日山に戻った。人間の愛の絆は断ち難い。老々介護が言われる現代日本、姥捨山の山道を登りながら、母を背負った息子の肩が震える、母の思い、息子の思い・・・。親を預けた介護施設、老人病院のベッドの上で点滴だけで長い年数生き続ける人、いったいどちらが人間らしいと言えるのだろう。高齢化社会はこれからの日本をどう変えて行くのだろうか?
(2009年7月26日)

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