9  アレルギーが増えたのは何故?

 花粉症の季節がやってきた。これに限らずシックハウス症候群や食物などのアレルギーが増えているそうだ。それぞれにアレルギーが増えた原因は異なる。新たな物質に対するアレルギーは仕方ない。

■花粉症は腹の虫がいなくなったから?

 ある有名な大学病院の教授が言うには、食物アレルギーの増加は子供のうちから清潔な食べ物に慣れてきたために体内に抗体が出来ないことと、寄生虫がいなくなったので悪いモノを食べてくれないからだそうだ。そういえば昔は腹の中にサナダムシがいるから虫下しを飲めなどという話があった。歳がわかるね(^-^)。線虫とかぎょう虫とか回虫という虫だったように思う。回虫は人間固有の寄生虫で、ほとんどの症例ではおとなしく、ただ消化管の中でウニウニしているだけである。人体固有の寄生虫は、基本的には生命を脅かすほどの悪事はしない。なぜなら、宿主が死んだら共倒れするからだ。

■エキノコックス
 ところで話はそれるが、2003年3月7日のニュースで、キタキツネなどに寄生し、人に重い肝機能障害を起こす寄生虫「エキノコックス」に関東地方の飼い犬が感染していたことが確認された。国内では北海道だけにいるとされるエキノコックスが関東で見つかったのは初めてだ。清潔な食べ物を食べるから寄生虫の卵も口に入らない。たまには下痢するようなものを食べてヒトはたくましく育っていく?なにしろ賞味期限がうるさくなったし、コンビニでは時間が来たら弁当を捨てる。太った浮浪者の所以である。


梅の季節は花粉の季節でもある


■1960年代から現れた花粉症〜人工的なもの

 日本人の花粉症患者は全体の15%とも20%とも言われている。これは1960年代になって明らかになった病気である。人間の身体というのは異物が侵入してくるとこれを撃退するために抗体ができて異物を排除するという「免疫機能」がある。ところがこの反応が過剰だと逆の働きをして「アレルギー」を引き起こす。「アトピー」というのも同様だ。アレルギーを起す原因物質をアレルゲンと言い、その代表がスギ花粉である。花粉(抗原)を吸い込むと抗体がからだの中にでき、別に花粉は悪者ではないのに誤解するのである。抗体は鼻の粘膜の表面にある肥満細胞にくっつき、そこへ再び抗原(花粉)が入ると、抗原抗体反応が起き、化学伝達物質としてヒスタミンなどの刺激物が肥満細胞から飛び出す。これが神経や血管に作用し、鼻水が出たり、くしゃみ、目のかゆみなどの症状が出る。花粉はスギ以外にヒノキやイネ、ブタクサなど各種あるが、やはりスギが圧倒的だ。なぜ1960年代以降に出て来たかというと、雑木の山を計画的に植林してスギを植えてきたので、それが成長して花が咲き、大量に舞うようになったからと言われている。いわば人工的に作り出されたものと言えるが、アレルギーを起こさない種類のスギが最近開発されたそうだ。でもこの苗を植えても効果が現れるのは20年先だそうで、めでたし、めでたし!?重症の患者は「杉を伐採してしまえ!」と思うだろうが、そうは問屋が卸さない。日本林業は今極度の不振で、輸入材に押され、山で木を切り倒しても、それを運んだだけの原価で輸入材の市場価格になってしまう。製材したり、小売へ運ぶコストが出ない。かくして花粉症患者の悩みはこれからもずっと続くのである。間違っても、短気を起して山に火をつけないでください。花粉症については下記のホームページが日本では一番有名だ。
くわしくは慈恵医大耳鼻科の花粉症のページ

■花粉症対策のクリーンルーム
 花粉症対策は、花粉がついたものをふき取る、頭や身体を洗う、室内をクリーンルームにする、その時期だけ沖縄へ行くなどいろいろあるが、クリーンルームは高いのでそんなお金の無い方はメーカーに相談しても無駄です。花粉は30〜50μ(ミクロン)mと粒径が大きいのでたとえばHEPAフィルタは通過しないが、ガーゼのマスクだと8割方通過する。筆者もいろいろ試して見たが、たしかにガーゼのマスクは効かない。ところがいいものがあった!医療現場でお医者さんや看護師さんが着用しているサージカルマスクである。これも性能によって各種ある。結核感染から医療関係者を守るために開発されたマスクは、HEPA並みの性能である。結核菌の大きさは、長さ1〜4μm、幅が0.3〜0.6μmなので、感染防止効果を期待するなら、0.3μm程度の微粒子を通過させないような高性能フィルタを使用したマスクでなければならず、当然価格も高い。しかし前述のように、花粉は粒径が大きいので『不織布』を使ったマスクで十分だ。プレフィルタと同じ素材だが、花粉を9割方カットする。不織布を使った手術用使い捨てマスクで国内のおよそ9割のシェアを占めるのは(株)サンエムパッケージという静岡県の中小企業である。昭和41年創業の同社は、元々ボール紙の加工メーカーで、「倒産の危機を救ってくれたのは、『不織布』という素材との出会いがあったから」と創業者の三宅会長は語る。このサージカルマスクはガーゼ品より安いのに効果抜群なのでお勧めする。

■他人を馬鹿にするとたたりが・・・
 鼻はこれで良いが眼はどうする?これが困ったもの。ゴーグルをして仕事するわけにはいかぬ。先般、テレビ番組で「シジュウム茶が効く」と紹介されるやいなやシジュウム急上昇で、全国で注文殺到、売り切れ続出だそうである。
 さて花粉症の話題の最後に。筆者が花粉症になったのは6、7年前だと思うが、それまでは「自分は杉木立に囲まれて育ったので花粉症などかかるわけがない。都会育ちの軟弱者め!」と他人を馬鹿にしていたものであるが、やはり他人を馬鹿にしてはいけない。だれかの怨念でたたりが現れたのだろうか?昨年までは戸田市医療保健センターに2月中旬頃には行き、日本ベーリンガー・インゲルハイム鰍フ”アレジオン10”という錠剤や目薬を2週間分もらっていた。しかし今年はやめた。4月から健康保険の本人負担分が3割に増えるからではない。このわけは最後に。

■花粉症対策は念仏でセルフケア

 アレルギー体質に変化するのはどういう原因があるのだろう?花粉が増えた、街の構造変化のせいだ、食生活が変り抗体ができやすくなった、ストレスのせいだなど諸説あるがまだハッキリしていない。筆者の説では、@たたりA流行に乗り遅れまいと自然に反応する感受性B他の人と違ってデリケートなのよ、のいずれかだと思うのだが・・・。もともと花粉は体に悪いものではないから、悪いと思うほうが悪い。そこで薬に頼らず、「花粉は体に悪くない」と念仏を唱えて、全身の細胞にこれを浸透させようと考えた。今日も念仏、明日も念仏、なんまいだ〜。
(2003年3月8日)


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