8  元気な50代

 団塊の世代が50代になり、その子供達が結婚して孫が生まれ、第3世代へと引き継がれる。一方で戦争を経験した親たちは次々とこの世を去っている。この世を去るにあたり、あの忌まわしい戦争の記憶は蘇るのだろうか?戦争の記憶が残るのは60代以上であろう。いつでも世界各国どこかで戦争の無いときはなかったが、このところやっと落ち着いて、内戦はあっても国家間戦争は収まったかに見えた。今またキナくさい情勢になっている。人は古来戦い続けて、その中で子を産み世代を継承してきた。戦いは所詮欲の為せる業である。正義の戦いと銘打ってもその裏には必ず”欲”がある。しかし攻撃されたら反撃しなければ我が身も家族も滅んでしまう。白旗を掲げたからといって命が保てる保証は無い。とんでもない権力者がいてその私利私欲のために戦わざるを得なかったのならばまだ恩赦の道は残されているかもしれないが…。

■ 団塊の次の世代
 おっと、脱線してしまった。ここでつぶやく主題は50代であった。団塊の世代とは昭和22年から24年ごろに生まれた人々を指すという。学年で言えば1950年4月1日生まれまでも広く含め、戦後ベビーブーマー世代と捉えて良い。堺屋太一さんの小説から生まれた言葉である。さだまさし中島みゆきは昭和27年生まれであるから団塊の世代の次世代である。しかし言葉はなんだが、おじさん、おばさんのはずで、それにしては今八面六臂の大活躍である。ともに現在売出し中の幻灯舎から著書を出版している。さだまさしが文化放送の「セイヤング」、中島みゆきがニッポン放送の「オールナイトニッポン」のパーソナリティを長く務めるなど共通部分が多い。互いに才能を評価している。「頑張ろう!」ではない。「元気を出そう!」というのが二人に共通のメッセージと思える。

■ さだまさし
 知人が岩手・安比高原のリゾートホテルのルームオーナーであるが、さだまさしも同じで、冬の安比高原スキー場の滑りを満喫し、夜はホテルで酒をたしなむ。あるときホテルのスタッフが結婚することになり、盛岡で披露宴が行われた。知人も招かれてはるばる東京から出席した。ところがスピーチがさだまさしの後だったからたまらない。あまりにも面白過ぎて会場内が沸き立った後だったからすっかり霞んでしまったとぼやいていた。ただこれがさだまさしのキャラクターであり、超多忙な芸能人でありながら、遠方の知人のために時間を割き、酒を酌み交わす。見知らぬ人とすぐ友達になる。したがって全国いや外国も含めて友人がものすごく多い。ふるさと九州・長崎への貢献度も高い。詞の内容も高い評価を得ている。

♪あ、あ〜あああああ〜あ、ああ〜あああああ〜♪
♪う、う〜ううううう〜う、ううう、う、ううう、う、う〜♪
フジテレビ系のドラマ「北の国から」の主題歌である。北海道富良野を舞台として黒板五郎とその子、純と蛍がたくましく生きていく姿を描いたこの作品は、1981年から始まり、子供だった吉岡 秀隆と中嶋 朋子が大人になるまでまさに視聴者の人生と「共に生きた」ロングランドラマとなった。脚本:倉本 聰。
この主題歌と北海道の広大な大地、厳しい冬の自然、春の喜び、これが見事にマッチして名作を支えた。
コンサートは3000回を突破した。歌よりトークが長いと言われ、それがまた楽しい。会場が爆笑の渦となる。歌手であり、レストランを経営し、映画を監督し、ラジオやドラマにも出演し、作家であり、とにかく凄まじくいろいろなことをやっている。
昭和27(1952)年4月10日長崎市生まれ。本名:佐田雅志。著作:「精霊流し」など


■ 中島みゆき
 一方中島みゆきは北海道を地盤として活動し、あまりTVに出ることは無かったが、ラジオやコンサートで根強いフアンを持っている。『時代』、『わかれうた』、『悪女』、『空と君のあいだに』など、ヒットチャートの第1位を獲得する歌を作詞・作曲、松任谷由美(荒井由美・ゆーみん)とともにニューミュージックの女王などと呼ばれた。その才能が評価され、他の歌手にも曲を提供してきた。研ナオコの『あばよ』『かもめはかもめ』、加藤登紀子『この空を飛べたら』、桜田淳子『しあわせ芝居』、柏原芳恵『春なのに』、工藤静香『黄砂に吹かれて』『慟哭』など、数多くのヒット曲を生み出している。1989年から言葉の可能性を探る実験的ステージ「夜会」をスタート。コンサートを越えた演劇的アプローチが高く評価され、今や年末の恒例行事となっている。歌の詞からもシリアスな人間像を思い浮かべるが、実はかなり笑い上戸の面白い人だ。谷川俊太郎を尊敬しているというだけあって、その詞は素晴らしい。ほやが嫌いで、寝ることが趣味という。

♪風の中のすばる
♪砂の中の銀河
♪みんな何処へ行った 見送られることもなく
♪草原のペガサス
♪街角のヴィーナス
♪みんな何処へ行った 見守られることもなく
♪地上にある星を誰も覚えていない
♪人は空ばかり見てる
♪つばめよ高い空から教えてよ 地上の星を

♪つばめよ地上の星は今 何処にあるのだろう

NHKのおなじみ「プロジェクトX・挑戦者たち」の主題歌である。この曲はNHKの社会情報番組部が中島みゆきさんに「無名の人々の光を、歌にしてください」と注文して作られたそうだ。「番組に登場する、実在の方々の人生に尊敬を込めて、制作スタッフの情熱に少しでも添うことができればと願いながらこの曲を書きました」と当人は言っている。

昭和27(1952)年2月23日、北海道札幌市生まれ。本名:中島美雪。著作:「問う女」など

さあ、みなさん、元気にいきましょう!

(2003年3月1日)


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