490  カルト

 いよいよ8月になりました。蝉が鳴く声を聴いていると、思い浮かぶのは前回書いた航空機事故、風鈴の音、高校野球球児の甲子園、戦争の記憶、水遊び、森林浴、西瓜をはじめ瓜系の食べ物、枝豆、焼肉、そうめん、そういったものでしょうか。筆者は毎朝仏壇に向かい、ろうそくを点け、線香をそなえ、チーンと鳴らして合掌しています。仏壇には祖先や父母、親戚、先輩、友人はじめ、色々な意味で親しかった人、お世話になった方の写真や、関連のお知らせなどの書き物が飾られています。実家は夫婦ともに曹洞宗の寺に仏事を託していましたが、今やふるさとを離れ、そうした宗教にこだわりはありません。ハッキリ言えば無宗教です。仏壇を拝んでいるのは、そうすることで心が落ち着き、仏壇を飾る人たちとの思い出や、感謝の気持ちが湧き出るからです。したがって、南無阿弥陀仏とも唱えません。親戚にはカトリックの信者も居れば、エホバの証人を信じている人も居ます。創価学会や幸福の科学の信者は居ませんね。人の心の内はわからないので、あるいは何かの宗教に心惹かれている人はいるかもしれません。それは自由だし、束縛されるべきものではありません。


我が家の仏壇

■ 信教の自由
 このエッセイは今回490回、前身のつぶやきは520回でしたから、合わせると1,010回、2003年1月13日から初めてもうすぐ20年です。その間宗教に関するテーマは避けてきました。一部、片隅でチョコっと触れることはあっても、正面切ってテーマとしては採り上げませんでした。それは何故かというと、宗教は心の問題であって、信ずるのは自由だし、他人からとやかく言われるべきものではないからです。だからこそ、つぶやくべきテーマでもなければ、ましてや賛同したり批判するようなことはしてはなりません。簡単に言えば避けてきたわけです。一方で宗教にどっぷりとはまった人たちは、自分たちの宗教に勧誘したり、時には特定の宗教に対し舌鋒鋭く批判する人も居ます。そういうものの一端に触れた時に、恐怖を感じる場合もあります。

■ 世界平和統一家庭連合
 安倍晋三元首相が銃撃されて死亡した事件をきっかけに、自民党の現職閣僚や国会議員と「世界平和統一家庭連合」(旧統一教会)との浅からぬ関係が次々と明るみに出ています。前身の「統一教会」は1968年、反共産主義を掲げる政治団体「国際勝共連合」を立ち上げ、当時から安倍氏の祖父、岸信介元首相ら自民党右派との結び付きが強かったとされます。憲法改正や同性婚反対など保守色の強い主張を掲げており、党幹部は「今もつながりのある人は安倍派に多い」と指摘しているそうです。安倍氏の実弟の岸信夫防衛相(安倍派)が過去の自身の選挙で旧統一教会のメンバーに手伝ってもらったことがあると公表したのを始め、つながりを隠そうともしない人が多く居ます。二之湯智国家公安委員長(茂木派)は、2018年に関連団体のイベントで「実行委員長」を務めたと明かしています。日本維新の会は、藤田文武幹事長ら国会議員13人が教会側と接点があったと公表、国民民主党の玉木雄一郎代表も、教会と関係が深いとされる「世界日報」の元社長から2016年に計3万円の寄付を受けたことを明かしています。

デコラティブ咲きのダリア

■ 統一教会と政治の関係
 「統一教会」と言えば筆者たちの世代では桜田淳子や山崎浩子の集団結婚のニュースが衝撃的でしたね。自らの意思ではなく、「真の父母様」から祝福される人と結婚する、ということの意味が良く分かりませんでした。ましてや合同結婚式の映像には恐怖すら覚えました。さらに1980年代以降になると、旧統一教会による「霊感商法」や、信者からの多額の献金集めが社会問題化しました。目の敵にされた共産党は、しんぶん「赤旗」で統一教会や勝共連合に対する批判キャンペーンを展開したようです。しかし一般メディアからは次第に忘れ去られ、社会問題化することもありませんでした。今になって、立憲民主党関係者は「今後、統一教会と政治の関係は大きな問題になる」と言っており、文化庁が2015年に旧統一教会から「世界平和統一家庭連合」への名称変更を認めた際、当時の下村博文文科相(安倍派)らの関与があったのではないかと、臨時国会で追及する構えのようです。

■ 政治と宗教との関係に対する認識の相違
 公明党の北側一雄中央幹事会長は7月28日の記者会見で、「旧統一教会はさまざまな事件が過去にあった。そういう反社会的な団体から支援を受ける、行事に参加することは慎重でなければならない。団体に利用されることにもなりかねない」と語りました。一方、自民党の福田達夫総務会長は7月29日の記者会見で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係が指摘されていることに関し、「わが党が組織的に強い影響を受けて、政治を動かしているのであれば問題かもしれないが、僕の今の理解だと一切ない」と否定し、「誤解を招くようなこと(報道)はしてほしくない」と注文も付けたそうです。「正直に言います。何が問題か、僕はよく分からない」と述べたことに関し、一部マスコミからは社会問題化している事件に対して、自民党の幹部ともあろう人がそんな認識で良いのか?信じられないという声が出ました。結局は政治と宗教との関係に対する認識の相違であり、公明党が「反社会的な団体」と言っているのに対し、自民党はそれを否定しているということですが、反日教義が教えられている団体なのだということを理解していないのでしょうか。日本の右派は嫌韓の人が多いのに、何故「世界平和統一家庭連合」を問題視しないばかりか、政治活動を支援してもらっているのか、不思議ですね。

これもダリアです

■ 日本はエバ国家、アダムに捧げるべき国
 世界平和統一家庭連合は朝鮮半島のキリスト教の土壌から発生し、文鮮明によって1954年に韓国で創設された新興宗教団体・宗教法人です。旧名称は世界基督教統一神霊協会で、学生を狙った「原理運動」を展開していました。その思想で世界を統一しようという教えです。日本ではキリスト教系大学も多く、それら大学では学生に対し、「マインド・コントロール」に惑わされるなと教育していました。統一教会が確立した「マインド・コントロール」の手法を、その後の新興宗教勢力であるオウム真理教をはじめとするカルト宗教が模倣して行くようになったと言われています。その教義は、日本が"エバ国家"で「サタン(悪魔)の国」であるため、贖罪として「金のなる木」の役割を担い、"アダム国家"である韓国と国内外の統一教会にすべてを捧げるべきというものです。欧米ではカルト宗教とみなされており、フランスでは反セクト法により、ロシアでは対テロ法により、統一教会を規制と監視対象としています。教団の運営資金の7割は日本が担っているそうです。日本人女性をマインドコントロール(洗脳)し、韓国人男性と強制的に結婚させて韓国の血の入った子を産ませることで、「日本の穢れた血」を浄化するという教えが合同結婚式(信者は「祝福」と呼ぶ)に繋がっているそうです。これをカルトと呼ばずして何と言う?という感じですね。

■ カルト
 カルト宗教とは何でしょうか?カルトは元来は英語圏で正統的キリスト教の「教会」をchurch、その分派をセクト(sect)と呼ぶのに対し、過激で異端的な新興宗教集団をカルト(cult)と呼ぶのだそうです。ただしヨーロッパでは、カルトとセクトは同義語とのこと。カルト団体の特徴は、虚偽に基づいた非科学的主張を信じていないことへの恐怖心を煽り、親団体の組織名を隠した強制的又は詐欺的な入信勧誘・多額の寄付金強要による経済的搾取や性搾取を含む人権侵害など様々な反社会的活動のため、世界各国で社会問題になっています。カリスマ的指導者を中心とする小規模で熱狂的な信者の集まりであり、SDGs・就活・ボランティアなどのイベントを開催するなど、巧妙な勧誘手法がとられているため、注意が必要とされています。1995年のオウム真理教事件以後、マスメディアで犯罪行為を犯すような反社会的な集団を指して用いられ、社会的に認知されるようになりました。

フロックス・ドラモンディ(キキョウナデシコ)

■ オウム真理教
 オウム真理教は麻原彰晃こと松本智津夫を教祖とするかつて存在した日本の新宗教団体です。宗教法人を隠れ蓑にしながら武装化を図り、松本サリン事件、地下鉄サリン事件等数々の凶悪事件を引き起こしました。2018年7月、一連の凶悪事件の首謀者であった13人に死刑が執行されましたが、その後も教団の本質に変化はなく、松本への絶対的帰依を強調する「Aleph」をはじめとする主流派と、松本の影響力がないかのように装う「ひかりの輪」を名乗る上祐派が現在も活動しています。警察では常時これら団体を監視しています。
 筆者は警視庁の要請により第七サティアンの捜索に迷彩服にガスマスク姿で入ったことが有ります。あの金ぴかの仏陀の像の裏に隠されていたサリン製造プラントの検証のためです。地下鉄サリン事件に用いられたサリンは隣のプレハブ棟の机の上で実験的に作られたものでした。農薬製造プラントと偽られたサリン製造プラントは完成間近でした。もしこれが稼働していたらと思うと戦慄を覚えました。印象的だったのは捜索にオウム真理教信者の若者がヘッドギアをして立ち会い、案内をしてくれたことです。警視庁や山梨県警、長野県警の警察官も彼らに対して一切威圧的な態度はとらず、丁寧に協力をお願いし、彼らも素直に応じていました。いかにも頭が良く、世の中の若者の模範となるべき人間だなという印象を持ちました。それがカリスマ指導者を信じているわけですから、宗教というものは恐ろしいと思ったものです。後日会社として、井上警視総監(当時)からデッカイ感謝状を頂きました。

盛岡ではさんさ踊りが3年ぶりに行われます サッコラ チョイハ ヤッセ〜! ハラハラハラセ〜!

■ 光る空
 このところ連夜、北の空がピカッと光ります。音は聞こえませんが、落雷であることは明らかです。ニュースでは群馬県藤岡市近辺で、短時間大雨警報が出ているとのこと、この辺りには、昔の会社の仲間たちがたくさん住んでいるので心配しています。どうぞ被害がありませんように....
(2022年8月1日)


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