233  山崎

 8月23日は処暑でした。二十四節気の「暑さが止む」という意味、夏の暑さも衰え始める頃ということですね。夏の終わり、夏の果てを意味します。また8月下旬は秋出水と言われ、台風や秋の長雨による出水、河川の氾濫などが起き易い頃でもあります。収穫の秋を前にした自然の試練ですね。8月の東京は、ずっと雨続きでした。東京は40年振りの記録的な長雨となり、日照不足も深刻です。このまま夏が終わるのか?と心配しましたが、この1週間やっと雨が止んで暑さがぶり返したものの、やはり日照は少なく、今度は北海道と東北が大雨に見舞われました。東北の冷夏は心配ですね。夏は暑く、冬は寒いのが経済を活性化させるだけに、この冷夏は景気に悪影響を与えるでしょう。

■ 三日三晩の土用干し
 我が家の夏の定番は梅干です。「三日三晩の土用干し」と言って、ギラギラした夏の太陽で三日三晩干すと真っ赤になった梅干ができます。再び梅酢に漬けて、夏が終われば食べ頃です。ところが今年は雨続きでした。わずかな日照を見つけては干して、出掛けるときは心配なので取り込むといった状態で、結局8月の半ばまでかかりました。今年の出来はどうかなぁ?

■ 野菜が高値
 夏場の日照時間が1割減ると、個人消費が0.4%減ると言われています。この夏の日照不足の影響で、エアコンなどの家電や、飲料などの売り上げが落ちているほか、レジャー業界でも消費が落ち込み、経済損失は8月前半の2週間だけで2,400億円と試算され、このままだと、損失額はおよそ4,800億円にまで膨らむそうです。海水浴場やビアガーデン、アイスクリーム屋さんは大打撃を受けているでしょう。
 野菜が高値になっています。本来この時期には採れ過ぎて安くなるはずのトマトやきゅうり、葉物野菜、ネギなどが高い!代わりに一時期高かったジャガイモ、玉ねぎ、ニンジンなどが安くなっています。我が家はきゅうりとミニトマトが豊作でしたが、ゴーヤは小さいうちに黄色くなり、みょうがは余り出てきません。水やりは行なっていますが、どうしたのでしょう?

ネギ好き

■ 「やませ」が心配
 日本の米所の1つ、東北の太平洋側を中心に、「やませ」と呼ばれる冷たく湿った風が流れ込み、冷夏や日照不足に陥っています。米の正常な受粉がなければ、稲穂が実らず、秋の収穫に直接影響するため、米農家には不安が広がっているようです。思い出されるのが24年前、記録的な冷夏となった1993年は、米の生育不足で、「平成の米騒動」と呼ばれる事態となり、タイ米など外国産米の緊急輸入が実施されました。マズイ米でした。冷えるとクサイのです。政府が景気回復宣言をいったん取り下げたほどで、やはり気象というのは、日本経済全体にも場合によっては大きく影響するのです。
 また日照不足がもたらす悪影響としては果物の糖度不足があります。桃や梨、西瓜などです。冷夏だと西瓜を食べようという人も減るでしょう。

岩手県滝沢市の名産は西瓜です

■ 果物とラーメンの価格
 物価の実感として、全般に果物の価格が上がったと感じます。デフレニッポンと言われますが、安いのは卵、牛乳、もやしなどで、雑貨は百円ショップなどによって価格が抑えられているように感じますが、物価のバロメータであるラーメンは明らかに上がりました。東京オリンピック(1964年)頃は一杯60円でしたから、今の10分の1以下でした。うどん、そばも同様です。主食である米も上がりましたが、スゴイのはパンですね。1斤5百円などというパンが売れる時代になりました。そういう中で果物は明らかに上がりました。恐らく海外のインフレで、輸入物が上がったのではないでしょうか?国内の果物農家にとっては良いことですが、消費者には辛いことです。
 ところで余談ですが、駅前の食堂のラーメン価格でその地域の物価が分かると言われます。古いデータで申し訳ありませんが、ラーメンワンダーランドというサイトに「地域別ラーメンの平均価格一覧(平成12年)」が載っています。日本全国出張で飛び回っていた筆者が安いと感じたのは徳島市でした。全般に四国が安いと感じましたが、香川県高松市などは讃岐うどんの本場なので、うどんは安くておいしいものという概念が定着していて、ラーメンも安くなければ食べてもらえない、という土地柄のようです。東京は高い!今流行りのこってり系ラーメンなど、850円から1000円が相場かな?今は大衆ラーメンで650円、人気ラーメンで900円、1000円以上でも全く驚かない時代です。

■ 「山崎」がない
 いま、居酒屋やBARに「山崎」がない・・・と言われていますが、それでいろいろな店のリキュール売り場を回ったら、確かにサントリーの「山崎」のスペースが空です。もうひとつ、ニッカの「竹鶴」も同様です。
 「山崎」は日本のウイスキーの代表作であり、多くのファンがいるそうですが、「山崎12年」や「山崎18年」の年代物だけではなく、ノンエイジ(ノンヴィンテージ)までがスナックなどから姿を消しているのだそうです。どうも2008年頃にサントリーが「角ハイボール」を仕掛け、きれいな女…小雪を起用したCMから「角ハイボールがお好きでしょ」ブームが巻き起こり、、続いて菅野美穂(埼玉県坂戸市出身、夫は堺雅人)、井川遥と続いて爆発的にヒットし、今やコマーシャル不要状態になったようです。ウイスキーの人気が高まったところに、2015年のNHK朝ドラ『マッサン』でウイスキーの需要が爆発的に高まったことがひとつの理由のようです。しかし、だからと言って「山崎」や「竹鶴」といった高価なウイスキーがなぜ真っ先に売れるのか?
 実はこれら国産高級ウイスキーが国際的な賞を頂いたことで、スコッチの本場英国はじめ海外からの買い付けが増えたのだそうです。けれどウイスキーの生産には樽で熟成させる必要があり、時間がかかるのです。「山崎12年」や「山崎18年」はその名のとおり、一昔前に仕込んだものです。サントリーも『山崎』『白州』『響』を2014年から、前年の2割以上を目安に計画生産しているそうですが、それ以上の需要が殺到しているのが現状だそうです。英国などではデパートでもすぐ売り切れて、バーでも飲めないとのことで、ブーイングが起きているとのこと。今後も当分は続きそうな「山崎」狂想曲。もし店や酒屋で偶然「山崎」を見つけたら、すぐ買って、ジックリ味わって飲もうかな(^-^)

■ 閉店と新築住宅
 ふじみ野市でラーメン通のサイト人気ナンバー1だった上福岡の「田家ふくふく」が閉店しました。すぐ近くのうどん店「條辺」は相変わらず繁盛しています。「田家ふくふく」は行列の店ではなかったので、通に人気はあっても、何かがなかったのでしょう。我が家の近くの川越街道沿いの寿司「銚子丸」、長崎チャンポンの「リンガーハット」も閉店しました。食べ物屋の栄枯盛衰というのは、実に激しいですね。
 一方我が家の近傍は相変わらず新築ラッシュです。上福岡駅から、我が家の前を通ってさらに歩いたところに新築住宅が続々と建っています。ふじみ野市の地場のゼネコン近藤建設が「グレイティア上福岡」という17棟の住宅を新築中です。近藤建設は、よくラジオで「コン♪コン♪コンドー♪ケンセツ〜♪」とコマーシャルをやっていますので、聞いた人もいるでしょう。上福岡駅から徒歩14分で、敷地100.50u〜144.47u、建屋92.74u〜99.09u、売り出し価格3,780万円〜4,580万円、敷地もそれほど広くないし、建屋もそれほど大きくないのにこの価格です。駅近くは6千万円台ですから、まあ安く感じるのか?この現場のすぐ近くのミサワホームの物件5棟は、敷地150u、建屋120uぐらいで5千万円台で完売しました。
 建築中の職人さんたちの手際よさは見入ってしまいますね。テリトリー毎にいろいろな分野の職人さんたちがやってきます。その手さばきには「プロだなぁ〜」と、思わず見入ってしまいます。

近藤建設のグレイティア上福岡

■ 戸建てとマンション
 今は不動産バブルでしょうか?少なくとも土地についてはそんな感じもあります。土地の売買が盛んに行われています。東京の高層マンション建築ラッシュはひと段落しました。今売れているのは億ションに近い高価なマンションなので、一般のサラリーマンにはちょっと高根の花です。ウォーターフロントのマンションに、親が住む郊外戸建てで育った子供たちが大人になって民族大移動のように移住し、東京は膨張しました。ところが今度はマンションで育った子供たちが大人になって、買おうと思っても高過ぎて買えません。都心に近い便利なところに戸建て分譲が4千万円から5千万円で売り出されると、周りに自然もあって、住んでみたいな、ということになるようです。しかも不動産神話を信じている親世代は、戸建てなら援助してやろうか、となるようです。しかも住宅ローンの金利が安い!筆者世代は住宅ローンを完済するのに借入額の倍払う時代でした。したがって今は住宅価額が高いように見えますが、ローンの支払額からみれば収入比でそんなに変わらないのです。おまけに減税特典を政府がバンバン広報して煽っていますから、これは買わなきゃ損、アパート暮らしとの二極化が進んでいます。少子高齢化で人口が減っているのに建設ラッシュ、やがては反動が来るでしょう。

■ バブル崩壊は?
 かつて日本では不動産バブル崩壊がありました。買わなきゃ損という風潮でローンを組んで不動産を買ったら、日銀が金融引き締めしたのでバブル崩壊したのです。今はどうか?日銀は金融緩和しまくって、ユルユル状態、企業は金融資産を持っていて借金しない、国民は将来の社会保障を信用していないのでコツコツ貯蓄する、借り手のいない日銀は国債を買う、株を買う、借金はどんどん膨れ上がる、米国のFRBよりずっと借金比率の高いECB(欧州)でさえGDP比30%に達していないのに、日銀は既に90%超、これはもう返せません。ECBでさえ、経済成長しても返済に10年ぐらいかかると言われていますから、成長戦略がさっぱり機能しない日本は死を待つしかないような状況です。
 日本よりもっと怖いのは中国の不動産バブルです。ただ中国共産党は力で崩壊を抑え込もうとするでしょう。だからまだ日本より先に崩壊することは無いように思います。借金で見かけ上景気が良いような状況を作り出すことこそバブルであり、成長戦略の実効化を追求するアベノミクスとは本来相容れないものです。政府と日銀が、矛盾したことをやっています。2018年から2020年、正念場です。

■ 孫正義ソフトバンク会長のエピソード
 孫正義ソフトバンク会長が下記のようなことを書いていました。国会の守衛から「こら、そこ歩くな!そこは議員さんが通る場所だ」と言われ、頭に来て言い返したんだそうですよ。以下転載します。
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 先日、所用があり参議院を訪れた時のことだ。入り口中央には赤じゅうたんが敷いてあり、私はなんら躊躇することなくそこから中へ入ろうとした。その瞬間、守衛から怒鳴られ制止された。
 「こら、そこを歩くな。横の通用口から入りなさい。そこは議員さんが通る場所だ」
 私は怒鳴り返した。「ちょっと待て。そんなことどこに書いてある。書いてもいないのになぜ、いきなり怒鳴られるんだ。そもそもどうして議員が赤じゅうたんの真ん中の入り口で、国民は通用口なんだ。俺は帰りも堂々と真ん中から出る。そして次に来るときも堂々と真ん中から入る。どうしても通したくなければ警察を呼んで逮捕してみろ」・・・・結局私は、真ん中から入り、真ん中から出たが、この出来事ほど今の議会制民主主義の歪みを表した象徴的な出来事はないだろう。まさに主権在民精神を忘れた代議制度だと言えるのではないだろうか。議員、代議士というのはその名の通り、主権を持っている我々国民の代理として国会で議論をする人たちだ。憲法で主権在民が謳われているように、一番えらいのは国民であり議員は国民の下僕であるはずだ。それなのになぜ議員が真ん中の赤じゅうたんの入り口で国民が脇の通用口なのだ。
 もちろん守衛が悪いわけではない。彼らは職務として決められたとおりにやっているだけだ。しかし、彼らも長年この仕事をしてきて疑問に思ったことは無かったのだろうか。私と同じ主張をした人はいなかったのだろうか。なぜ主権を持っている国民が通用口で、国民の代理人である議員が赤じゅうたんなのかと。もしかして我々国民もいつの間にか、一番えらいのは議員で、国民はその下などと卑屈な考えを持ってしまっているのではないだろうか。
 ちなみに私はいろいろな国の国家元首を訪問した経験があるが、一度たりとも通用口など通されたことはない。いつも堂々と正面から入っている。何故自分の国の国会に正面から入れないのだ。代議制民主主義は、物理的な制約や、情報の偏在、テクノロジーの稚拙さなどで直接民主主義が不可能であった時代での民主主義の実現のため作られたシステムだ。民主主義のシステムの根底にある精神は、主権在民であり、議員は国民の代理であるという考え方のはずだ。ところが日本においては、戦後の議会制度60年の歴史の中で、いつしか議員が権力を持っているかのごとく扱われ、主権在民の精神は薄らいでしまった。それは国民の政治への関心の低さにもひとつの原因はあると思う。

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 もろ手を挙げて賛同します。

■ 現在の生活に「満足」・・・内閣府調査開始以来最高
 内閣府が2017年8月26日(土)公表した「国民生活に関する世論調査」によると、現在の生活に「満足」「まあ満足」と答えた人は合わせて約74%に上り、これまで最高だった1995年の72.7%を上回って、1963年以来最高となったそうです。内閣府の担当者は「景気が緩やかに回復しているため」と分析しているようです。生活はこの先どうなると思うかとの質問には、「同じようなもの」が65.2%で最も多く、「悪くなっていく」は23.1%。「良くなっていく」は9.4%とのこと。ここから見えてくることは、高度成長を遂げて、一億総中流社会だった1970年代、バブルの1980年代、失われた20年の始まった1990年代、どんどん諸外国に追い抜かれて行った2000年代、東日本大震災を始めとする災害の2010年代と経験した中で、成長し、活気があった頃は、もっと、もっとと欲望が膨らみ、現在の生活に「満足」しないわけです。まだまだ高みがありますから。しかしバブル崩壊などの痛みを経験した後は、その辛さから抜け出て少しホッとした分、「満足」するのです。これまで最高だった1995年の「満足」がこれです。では現在の「満足」は何でしょう?それは失われた20年から抜け出てホッとした「満足」です。つまり「満足」の前段には辛い時期があったということです。そう考えれば「満足」は良いことかというとそうでもないのです。生活がこの先「悪くなっていく」と考える人が4分の1ということは実に示唆的です。4分の1という数値はおおむね「分かっている」人の割合なのです。次のバブルが迫っていることを感じているんですね。

■ 小遣い・・・明治安田生命調査開始以来最低
 明治安田生命保険がまとめた「家計」に関する調査によると、夫婦が自由に使えるお小遣いの月額は平均2万5,082円で2007年の調査開始以来、最低となったそうです。男女別では夫が3万1,764円、妻が1万8,424円で、欲しいと思う金額をともに1万円以上下回っているとのこと。この男女差も問題ですが、子育て等で働いていない妻が一定割合居るからでしょうか?筆者が現役の頃は「小遣い」という概念はなく、自己管理でした(あくまで我が家の場合です)が概ね4〜5万円ぐらいかな?飲み代が大半でした。煙草を吸っていた頃は考えてみると無駄でしたね。煙草をやめたらずいぶん懐に余裕が出来ました。子育て時期に、会社から歩いて数分のところに住宅を購入し、仕事が忙しくて遊びにも行けないし徒歩通勤なので、ケンとメリーのスカイライン2000GTを売却したら、途端に生活に余裕が出来たのと似ています。クルマというのはガソリン代だけでなく、ずいぶんカネがかかっていたのだということを思い知らされました。
 明治安田生命はお小遣いについて「希望と現実の差は大きく、節約を余儀なくされている人が多い」と指摘し、「まだまだ(個人消費)回復への道のりは長い」と分析しました。配偶者に内緒にする「へそくり」は平均72万6,572円で、2016年に比べ約17万円減ったとのこと。同社は「賃金が伸び悩む中、飲食費や食品価格が上がり、へそくりに回す額が減ったのではないか」と見ているそうです。なんか涙が出てきますね(>_<)
(2017年8月27日)


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