お別れセレモニー | 感謝の手紙を頂きました | 西原小体育館改修工事完了 | 恐ろしい事件 |
2013先輩成人 | 秋季関東地区高校野球大会 | 怪物:佐々木麟太郎 | 高校野球秋季埼玉県大会 |
NPBで珍併殺 | 緊急事態宣言で活動休止 | NPBのアピールプレー事例 | 夏の甲子園 | 感動の東京五輪 |
台風が近づく空 | 若生正廣さんを悼んで | 練習手伝ってくれる先輩に感謝 | 高校野球選手権埼玉県大会 |
横田冬馬先輩 | 傘寿 | 西原小学校の環境整備 | ふじみ野市小学校児童数 | ウエストマスク | 溜り場松栄庵 |
ふじみ野市2021年度卒団生のお別れセレモニーは2022年3月13日(日)上野台小学校で行われました。例年行われていたお別れ大会が、まん延防止等重点措置が延長されて行えなかったため、残念ながらマスク下のセレモニーとなりました。その模様はふじみ野市少年野球連盟のホームページに掲載されています
西原小学校の子どもたちから「感謝の手紙」を頂きました。学校のために尽力して下さり、ありがとうという意味合いです。校庭に凍結防止の塩カルを撒いたり、グラウンドの小石を拾って怪我しないように整備したり、草取りしたりして常にきれいな校庭を維持していることへの感謝のメッセージが書かれていました。また、アクリルタワシが添付されていました。
2021年11月から始まった体育館改修工事が2022年2月末日で終了しました。この間、仮駐車場の設置や西門が使用できず、グラウンドが狭くなって、ホームベースの位置も移動するなどしました。完成した体育館は空調設備や床の改修、屋根の補修等が行われて素晴らしい施設となりました。入り口には車椅子用のスロープも設置されました。卒業式や入学式はピッカピカの体育館で行われます。仮駐車場だった校庭部分は業者の方が復旧されましたが、ウエストでは土をならし、ホームベースの位置を以前のように戻し、ピッチャープレートを新しいものに交換しました
2022年1月27日(木)21時過ぎ、ふじみ野市大井武蔵野で人質立てこもり事件が発生したというニュース速報が流されビックリ!NHKのニュース映像動画をスマホで観たら、アララ、見慣れた光景が!現場は、我々が少年野球の練習をしている西原小学校の校庭向かいの住宅だということが分かりました。西原小学校では当時体育館(下写真緑屋根)の工事中で、校庭の一部を臨時駐車場にしていました。いろいろなテレビ局の映像を見ましたが、立てこもり犯は住宅の住人で、散弾銃を持っている、理学療法士の男性が胸と腹を撃たれて救急車で運ばれた、30代の介護士男性は催涙スプレーのようなものを浴びて、逃げ出して東入間警察署に助けを求めて駆け込んだ、まだ40代の医師が人質になっているが撃たれて負傷している模様というニュースでした。警察官が多数駆けつけて近隣住宅を回り、避難を呼びかけているとのことでした。19歳大学生がインタビューに応じて、「一旦西原小学校に避難したが、警察官から散弾銃を持ってるようなので遠くまで弾が飛んで危険だから、750m先の大井西中学校に避難してくれと言われて来ました、早く解決してほしい」と話していました。50数世帯100人余りが大井西中に避難したとのこと。テレビ映像には住宅手前の駐車場が映っていました。危険なので校庭の先の300mほど離れたところから望遠で撮影しているようです。私たちがいつも練習しているところ、いつも行き来している道路のところの住宅で、こんな事件が起きるなんて、ビックリです。それどころか、この住宅のあたりには我がチームのOBやら現役チーム員が住んでるし、えらいこっちゃ!と思いながら朝までまんじりとも出来ませんでした。1月28日(金)は西原小学校、三角小学校、大井西中学校を臨時休校にするとのことでした。警察が説得していたら、朝方には、「人質は大丈夫だ、救出してほしい」と犯人が言っているという報道がありました。朝8時ごろ、警官隊が突入して犯人を確保し、警察車両で東入間警察署へ向かうのをヘリコプターが追いかけて空からずっと中継していました。ふじみ野救急病院前から道路はずっと渋滞、ここはふじみ野駅へ向かうバス通りなので、ちょうど通勤時間帯ですから、この時間は渋滞しているのです。犯人が緊急逮捕された後「NHKニュースおはよう日本」で高瀬アナが、三角小学校(下写真の大井西中より更に北で、写真には写っていません)を「みすみしょうがっこう」と言っていました。サンカクよりミスミのほうが普通なのかもしれませんね。
その後、悲しいニュースを知りました。人質だった鈴木純一医師(44)が死亡したとのこと、何とか助かって欲しいと思っていましたが、犯人逮捕時「心肺停止」というアナウンスがあったので、もし命を取り留めたとしても酸素が供給されない状態が長く続いて脳死状態になるんじゃないかと危惧していましたが、実は即死状態だったそうです。NHKで採り上げられるほど献身的な訪問医療をされていた方で、画像がいっぱい残っていて、コロナ禍で入院できない患者宅へ往診したり、パラリンピックの聖火リレーに出る方のサポートをしたり、その姿が映像で紹介されると、アッ見たことある、と思って、実は身近な方だったんだということを知りました。勤務医としての枠を飛び出して訪問医療に飛び込んだ熱血医師、涙ながらに患者のための医療を語る映像に感動しました。どうしてそんな方が殺されなければならなかったのか、先頃の大阪のクリニック放火事件同様、やるせない無力感に呆然としました。もはややすらかな眠りを祈るほかありません。66歳の犯人は以前からの住人ではなく、2年ほど前に引っ越して来て、近所付き合いも無かったようです。
1月29日(土)には通常練習があり自転車で出かけたら、関越道の道路沿いにタクシーがズラリ、なんじゃこりゃと思いました。後で分かったのですが報道陣が乗ってきて、貸切待機させていたみたいです。そして西原小に通ずる道へ来たら、望遠レンズ付きカメラを持った報道陣がひしめいています。規制線が張られ、パトカーがズラリ、警察官がいっぱいいて、報道陣が望遠付きのカメラを持ってひしめき合っていました。少年野球なので入れて貰えましたが、西原小学校の駐車場は鑑識の車がビッシリ、グラウンド整備して帰るときもまだ作業中でした。近所の我がチームの選手やOB、その家族の皆さんは大井西中学校に避難して大変でした。近隣住宅には警察官が戸別訪問して家族構成を聞き取り調査していたそうです。他にも怪しい人がいないか、調べたのでしょう。
実は今孤独な老人が増えています。町会の活動としては、そうした孤独な方たちをなんとか引っ張り出して活動に参加させ、お互いを見知って、災害はもちろん、何か困ったときに支援できるようにしようとしています。ところが新しく引っ越してきた方たちは町会に入りたがらない人が多いのです。お金取られるし、面倒だし、ということでしょう。しかしどこに誰が住んでいるかもわからないような地域社会になってしまったら災害の時に助け合うこともできません。地域のコミュニティづくりこそ、いま日本で求められている喫緊の課題です。
西原小学校の「学校だより」2022年3月号にはこの事件について、下記の通り説明が載っていました。
★非常事態を経験して・・
1月27日(木)夜に突然発生した発砲事件は全国に大きな衝撃を与えました。事件現場に隣接する本校には夜間でとても寒い中、多くの皆様が避難されました。あまりに突然の事で夜遅くだったため、職員の数も少なく戸惑いの中で様々な面でご心配やご不自由をおかけしました。より安全な大井西中学校に移動するまでの間、地域の皆様には大変冷静な態度で接していただいた事に改めて感謝と御礼を申し上げます。そして昼夜を問わず事件解決や子どもたちの安全確保に尽力いただいた警察・消防関係の皆様にも深く感謝申し上げます。今後この教訓を様々な場面で生かしていきたいです。
〇避難場所となった学校
約40〜50名の皆様が2時間程度本校図工室に一時避難されました。校舎内は警察・消防・市職員の皆様が任務の遂行に全力を尽くしていました。
〇校内で対応した職員
規制線が張られた中で残された職員は徹夜でマスコミ等の電話対応や教職員や保護者への連絡に当たりました。
〇子どもたちの心のケア
事件が解決した後も学校・PTA・地域・警察の四者で登下校の見守り活動を続けました。カウンセラーを県教委に要請して心のケアを図りました。
★警察官の皆さん「ありがとう」
2月4日(金)発砲事件後から本校の周辺を24時間警備している東入間警察署の警察官の皆さんに感謝の気持ちを込めて6年生たちが指編みのアクリルたわし10個をプレゼントしました。6年生たちは気持ちの籠った素敵な作品をお渡しできました。2人の先生方と6年生たちの温かな心遣いに多くの人が感動しました。
2022年1月10日(月・成人の日)、ふじみ野市ステライーストに於いて成人式(ふじみ野市ホームページ)が行われました。3回に分けて行われ、大井西中、東中学区だった人は第3部(15時〜)参加のため、その前に2013年先輩6人・・・内藤匠之介(主将)、川井田流碧(ルイ)、柿沼大翔、伊藤 優、巽 竜、湊 陽向(ヒナタ)と、同期の女性2名(あんじゅ&あさか)がお父さんやお母さんと共に挨拶に来てくれました。2013年は42勝6敗勝率8割7分5厘のウエスト史上最高成績、優勝5回の優秀な成績でした。大井ウエスト2013のページをご覧ください。ちなみに2022年4月1日から改定民法施行により成人は18歳になります。しかし18歳と言えば高校3年生の人が多いことから、ふじみ野市の成人式はこれまで同様20歳対象に行うと市から発表されています。
お父さんお母さんと一緒に
みんな立派になりましたね、成人おめでとう!
あれから8年...♪そんな時代もあったねと いつか話せる日が来るわ...そんな日が来ましたよ
ページTOPへ 先輩が次々練習手伝ってくれます
下の「練習手伝ってくれる先輩に感謝」の続きです。横田冬馬先輩はずっと練習に来てくれますが、2021年11月6日(土)には高校時代の野球友達も一緒に練習を手伝ってくれました。なんと、大井少年ファイターズだったそうです。有難いことです。
2021年11月3日(水・文化の日)には2015年度の井上陽太先輩が、大井西中時代同じ野球部だった友達と共にグラウンドに顔出して練習を手伝ってくれました。この友達は今夏県大会BEST16の秀明英光の野球選手だったそうです。卒業後は自衛隊に進むそうです。井上陽太先輩は大井西中で瀬戸尾侑宏先輩とバッテリーを組んでいただけあって、キャッチャー上手かったですね。夏に高校野球を卒業して、その挨拶に来てくれた長谷川大和先輩や長田頼先輩と同期ですが、彼らはリトルシニアに進み、大井西中野球部だった彼らとは道が分かれました。井上陽太先輩はウエスト時代、ここぞというところで打つ勝負強さが印象に残っています。詳しくは2015年のページをご覧ください。高校では野球ではなくバドミントンをやったそうです。秀明英光高等学校は、埼玉県上尾市にある私立の高等学校で、川越線の指扇駅からスクールバスが出ています。千葉県八千代市にある秀明大学の系列校で、水球部や硬式テニス部が強豪として知られています。全国大会でも優勝実績があり、特に男子水球部はインターハイ4度の優勝を誇り、オリンピック出場選手も輩出しています。野球もそこそこ強いですが、バトミントンは・・・知りません。
2021年第74回秋季関東地区高校野球大会には埼玉県から第一代表浦和学院、第二代表花咲徳栄が出場しました。花咲徳栄は1回戦で東海大相模(神奈川1位)に9-4で敗れました。東海大相模は2回戦で木更津総合(千葉1位)に4-1敗れましたが、来春の選抜高校野球大会出場が確定しました。浦和学院は1回戦向上(神奈川2位)に7-5勝利、2回戦で桐生第一(群馬1位)を5-0撃破しましたが、2021年11月6日(土)の準決勝で山梨学院(山梨1位)に2-2同点から延長10回に一挙7点取られて敗北、しかしセンバツのキップは手にしました。決勝は準決勝で木更津総合に5-2勝った明秀日立(茨城1位)と山梨学院の間で11月7日(日)J:COMスタジアム土浦球場で行われ、明秀日立が9-7で山梨学院を破り優勝しました。
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なお東北大会では岩手県第一代表として6年連続21度目出場の花巻東が優勝しました。10月22日の1回戦で東日本国際大昌平(福島2位)に6回コールド11−1で大勝、10月23日の準々決勝は昨秋覇者の仙台育英(宮城1位)に8−2で快勝、10月24日の準決勝では八戸工大一(青森2位)に延長10回4−3でサヨナラ勝ち、10月26日、宮城県の石巻市民球場での決勝では、聖光学院(福島1位)を4−1で下して初優勝しました。来春のセンバツ出場はこれで確定です。驚いたのは秋季東北大会での岩手県勢の優勝は1983年の第36回大会を制した大船渡以来38年ぶりだったことでした。菊池雄星、大谷翔平(いずれも花巻東)、そして11月6日(土)のプロ野球パ・リーグチャンピオンシップ第一ステージ初戦で、楽天相手に物凄いピッチングをしてファンをうならせたロッテの佐々木朗希(大船渡)と立て続けに“超”のつく大物選手を輩出してきた岩手県ですが、そんな彼らに続く存在となり得る逸材と注目されているのが花巻東高校の1年生スラッガー、佐々木麟太郎です。チームの指揮を執る佐々木洋監督の長男で、勝海舟の幼名を由来に名付けたそうです。入学直後からファーストの定位置をつかみました。183cm、117kg、背負う背番号は菊池雄星と大谷翔平が1年夏につけていた「17番」というのも何かしら意味深ですね。2015年に「スーパー1年生」として規格外の打棒を振るい、早稲田実時代に高校記録の通算111本を残した清宮幸太郎(日本ハム)でさえ、1年秋の時点では22本でした。打席に立つ姿はその清宮幸太郎や、今夏甲子園で活躍した智弁学園の前川右京をほうふつとさせます。佐々木麟太郎は東北大会までで既に47本、清宮幸太郎の倍以上のホームランを打っているのです。まさしく「怪物」の名がふさわしいですね。その佐々木麟太郎は「夏の悔しさ」を胸に秋の大会に臨みました。今年の夏、岩手県では優勝候補の筆頭とされながら、花巻東は岩手大会決勝でライバルの盛岡大付に敗れました。その「モリフ」が甲子園で大活躍したのは記憶に新しいところです。11月20日(土)に開幕する、各地区の覇者が集う明治神宮大会で佐々木麟太郎は一番の注目選手になるでしょう。
2021年夏季新人戦は県高野連主催の公式戦ではありませんが、選抜に繋がる秋季地区予選のシードを懸けた重要な大会です。その結果は埼玉県高校野球情報局の中で紹介されています→コチラをご覧ください。東部地区は昌平が花咲徳栄や春日部共栄を破って優勝しました。雨にたたられ、西部地区はBEST8止まり、北部地区は上尾、東農大三、国際学院、熊谷商のBEST4で中止されました。南部地区はBEST8で終了、西武台や大宮東、川口勢のほか、県立浦和や朝霞西の奮闘が光りました。西部地区は星野、川越工、川越東、聖望学園、武蔵越生、豊岡、山村国際、所沢商がBEST8、山村学園は聖望学園に11-10敗北。
秋季県大会は、9月上旬に行われる秋季地区予選大会を勝ち抜いた42校で争われ、完全無観客での実施となります(保護者も入場不可)。浦和学院と花咲徳栄がAシード、昌平と春日部共栄がBシードです。試合はやってみないと分からないと言いますが、秋季地区予選で山村学園が市川越に3-7で敗れて県大会に進めず、有名な選手を揃えているのにどうしたんでしょう。新チームになって期待大でしたが、聖望学園、市川越と強豪に負けました。寛太含めて頑張って欲しいものです。
秋季県大会の情報サイト
埼玉高校野球情報局のサイト→クリック
高校野球ドットコム→クリック
一球速報.com→クリック
県大会も蓋を開けたらビックリ続きです。夏季新人戦東部地区優勝のBシード昌平が浦和実に7-3敗北、4回集中打で一挙7点の浦和実の11安打を上回る13安打の昌平敗北、同じく準優勝の草加西が県立浦和に19−0敗北(5C)、朝霞西が立教新座に12-1敗北(5C)、星野が国際学院に7-6敗北、夏季新人戦初戦敗退の浦和麗明が熊谷商、春日部工を連破などがビックリニュースでした。シード校の浦和学院と花咲徳栄、春日部共栄はいずれも圧勝で三回戦進出です。
国際学院は埼玉県硬式野球界では聞いたことがありませんでした。伊奈町にあり、日本薬科大学さいたまキャンパスに隣接して、栄北高校がすぐ近くです。射撃部に関しては、何度も全国制覇している強豪校だそうですが、硬式野球部は無名でした。昨年秋季県大会地区予選で早大本庄を8-1(7C)で破り、これが初の県大会出場でした。今年は春季県大会、選手権大会と初戦敗退、それがいきなり夏季新人戦北部地区BEST4、秋季県大会地区予選で栄北を13-6(7C)で破り、秋季県大会一回戦では星野を破ったのです。二回戦で川越工に敗れましたが、コロナ禍で戦国時代に入った埼玉県を象徴するように、あらゆる高校にチャンスあり、逆に言えばいつ梯子を外されるかわからない、ユメユメ油断なさるなという状況になってきたということです。
9月23日(木・秋分の日)に三回戦8試合、このうち浦和学院−狭山清陵は、狭山清陵が野球部関係者に新型コロナウイルス陽性者が確認されて出場辞退したため、浦和学院の不戦勝となりました。Aシード花咲徳栄と川越工は最も僅差の試合、4-2で花咲徳栄が勝ちました。Bシード春日部共栄は聖望学園に7-2敗れました。他にBEST8に残ったのは、大宮東、上尾、浦和実、浦和麗明、川越東です。8強は来春地区大会免除となります。
25日(土)に準々決勝4試合が行われ、結果は予想通り、浦和学院と花咲徳栄のAシード校の他、聖望学園と上尾が余裕の勝利でした。
26日(日)準決勝は対照的な試合、浦和学院3−2上尾、花咲徳栄13−0聖望学園でした。浦和学院は初回、先頭打者からの3連打などで一気に3得点、結果的にはこの先制パンチの得点を守り抜いての辛勝でした。完投の宮城誇南投手が10安打されながら、10奪三振の力投で要所を締め、2失点完投勝利。上尾は攻めに攻めて相手の6安打を上回る二桁安打を放ちながら、あと一歩及びませんでした。一方花咲徳栄は1回に先頭打者からの5連打を含め、打者一巡16人9安打の集中打でいきなり10得点。結局5回コールドで聖望学園に圧勝しました。聖望学園は、好投手岡部大輝がいきなり打ち込まれ、まさかの初回降板、こんなことってあるんですか?という感じでした。浦和学院と花咲徳栄は秋季関東大会(10月30、31日、11月2、6、7日・茨城)に出場します。
決勝戦・・・2021年9月28日(火)10時プレーボール 埼玉県営大宮公園球場
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
花咲徳栄 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1 | 2 |
浦和学院 | 0 | 0 | 3 | 2 | 1 | 1 | 0 | 3 | × | 10 |
Aシード対決となった浦和学院対花咲徳栄、過去10年秋の県大会では共に四度の優勝、他の二度は3年前の春日部共栄と昨年の昌平ですから、埼玉の高校野球はこのところこの二強のどちらかが頂点に立つパターンでした。直接対決は3勝1敗で浦和学院リードです。ただし夏の大会は花咲徳栄が甲子園が多かったですね。浦和学院は初戦10-0熊谷工、次が不戦勝、準々決勝は12-7大宮東と大差で勝ち進みながら、準決勝では上尾に苦戦の末、初回にあげた3点を守り切って3-2でなんとか逃げ切りました。一方の花咲徳栄は、初戦ふじみ野13-2、三回戦で川越工に4-2接戦勝利、準々決勝8-2川越東、準決勝では強豪聖望学園に13-0圧勝しました。こういう場合直近を競り勝ったほうが波に乗り易いもの、それはやはり気持ちの問題です。圧勝の勢いのまま臨んで相手を圧倒するパターンだって有り得ます。さあ、勝利の女神はどちらに微笑むか?浦学は上尾戦で完投勝利しているエース宮城誇南ではなく、先の甲子園でもナイスピッチングした金田優太をマウンドに送りました。花咲徳栄も準決勝聖望学園戦で投げたエース金子翔柾ではなく、川越工戦完投勝利の背番号10鈴木羚也です。立ち上がり、互いに0対0の緊迫した展開、花咲徳栄には望ましくありません。迎えた3回裏、一死から浦学1番・八谷晟歩が中前安打、2番大内碧真もセンターへヒットしましたがこれを後逸して浦学に先制点、金田優太がライトへタイムリーして2点目、更に2安打でこの回3点を奪って主導権を握りました。4回にも8番宮城誇南の右前打から、9番森塁がバントで送り、八谷晟歩のセンターへのヒットで1点、大内碧真が送りバント、金田優太がライトへタイムリーしてこの回2点目、5回にも森塁のタイムリーで6-0とします。6回表に花咲徳栄は四死球で二人ランナーを出し、5番増田空の中前打で1点返しました。しかしすぐその裏浦学は、花咲徳栄ピッチャー交代、鈴木羚也→飯島大聖に対し2番大内碧真が歩いて3番金田優太がレフトへ流し打ちヒット、4番伊丹一博がバントで送り、5番高山維月が引っ張ってファーストゴロの間に7点目GETして流れを渡しません。8回表浦学もピッチャー交代、先の甲子園では失点した芳野大輝です。金田優太は本来のショートに入り、内野がローテーションします。この回0点でその裏浦学は一死から金田優太がショート内野安打、1塁悪送球で二塁へ進み、4〜6番が連続安打、7番芳野大輝の代打;渡邉聡之介がライト犠飛して3点を奪ってダメ押し、9回表は浦学投手が浅田康成となり、2安打で花咲徳栄が1点返しましたがここまで、結局10対2の圧勝で、浦学が花咲徳栄を破り、森士前監督の後を継いだ森大監督が、まずは幸先良いスタートを切りました。
大井ウエストOBは・・・朝霞西のセンター・祐茉は4番打者、立教新座戦は3打数無安打でした。星野の背番号2・成は6回終えて6-2と国際学院にリードされて、7回から3人目の浅見投手をマウンドに送ったことに伴い、捕手として出場、打撃では2打数無安打に終わりましたが、守っては浅見投手をリードして犠飛の1点に抑える間に、味方がジワジワ追い上げ、9回裏2点GETして7-6、あと1点、二死2、3塁で打席に立ち、一打同点もしくは逆転サヨナラの緊迫の場面で、ボール1から打ってショートフライ、試合終了、残念でした。川越工の背番号2・聖は、二回戦で国際学院に3-1勝利、7番捕手でフル出場、許盗塁1、盗塁刺2で盗塁阻止率.667の強肩を披露しましたが、打撃は4打数無安打でした。Aシード花咲徳栄(柚はここまでベンチ入りしていません)との三回戦は、二回表に4安打集中されて3点先制され、その裏5番安打、6番送りバント、7番聖は一死2塁から四球を選び、8番打者の右前安打で1点返しました。9番送りバントで二死2、3塁としましたがここまで。聖は3塁残塁。4回裏には6番レフト前ヒット、7番聖はB1S2から3バントを成功させ一死2塁として、8番がレフトへタイムリー二塁打して3-2、1点差と追いすがります。9番送りバントで二死3塁としましたがここまで。5、6回は共に三者凡退、聖は6回裏空振り三振でした。7回表花咲徳栄に2安打で1点取られ4-2と突き放されます。9回裏川越工は一死から7番聖がセンターへヒットして反撃開始、8番四球で一死1、2塁、ここでホームランが出ればサヨナラ勝ち、9番代打でしたが見逃し三振、1番空振り三振でゲームセット。聖はまたしても残塁、この日3個目でした。川越工はキッチリした野球をしますね。9安打対4安打、打ち負けた試合でした。
2021年9月13日(月)NPBセ・リーグ、ヤクルト−中日戦(バンテリンドーム)で、ヤクルトが後味の悪い敗戦で3位に転落しました。1点を追う9回一死一、二塁でヤクルトは、下にも書いている川端慎吾背番号5を代打に送りました。叩きつけた川端の打球は1バウンドしてピッチャーを越えます。二塁手堂上が捕ってヤクルト一走西浦にタッチしようとするもできず、一塁送球しましたが、川端の足が一塁踏むほうが早くセーフ。中日の一塁手福田は二塁送球、ショートの京田が捕って(このとき京田は二塁ベースを踏んでいません)、ランナー西浦を一、二塁間で挟みます。ヤクルト二走古賀はこの間に三塁へ進みました。京田は一塁方向へ西浦を追って、チラッと三塁ランナーを見て、また西浦を追ったら一塁手福田が二塁方向を指さして何か言いました。京田は三塁ランナーをチェックしながら二塁に戻りかけ、一塁送球、福田が捕って、また二塁送球して京田にベースを踏めと言います。京田はベースを踏んで塁審にアピールしますが素知らぬ振り。本来はここでフォースアウト成立で二死一、三塁となるはずですが、塁審のジャッジがないので、京田はまた一塁送球、一塁手福田が捕って、西浦を追います。三塁走者の古賀が、本塁を狙って突っ込んだのを見て中日福田が本塁送球、タッチアウトになりました。ここではまだ二死です。中日は三アウトのはずだとリクエスト検証アピール、審判団が映像検証した結果、二塁フォースアウトが認められゲームセットとなったのです。ヤクルトの高津監督は収まりません。「セカンドがアウトなりセーフなり言っていたら、三塁走者はプレーを続けていなかったから、併殺ではなく、二死一、二塁ではないか」という主張です。抗議は15分ほど続きましたが、二塁フォースアウトのジャッジをしなかった嶋田審判は「二塁塁審としては(二塁)ベースを踏んだことは確認していない。だから、一塁走者はそのまま生きていて、ジャッジしていないのでアウトもコールしていない」と説明しました。責任審判の丹波球審は「ジャッジしていなかったらプレーが動くのは絶対なので、三塁走者はタッチアウト、一塁走者はフォースアウト」と話しました。映像を見ればより分かり易いですね→YAHOO!ニュース
しかし、これは首位争いしているヤクルトとしては口惜しいでしょう。同点または逆転のチャンスがあったのにゲームセットとなったのですから...
翌日NPBのセ・リーグ杵渕和秀統括と友寄正人審判長が神宮球場を訪れ、ヤクルトの高津臣吾監督らに説明して謝罪しました。友寄審判長は二塁塁審のジャッジについて、「一塁で打者走者がアウトと思い込んでいた」のが原因で、嶋田審判を厳重注意としたと説明したそうです。打者走者アウトなら一塁走者はタッチプレーとなるので、京田が二塁を踏んでアピールしてもジャッジしなかったということのようです。「二塁塁審の勘違いでした、ゴメンナサイ」と言われてもねぇ・・・
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まん延防止等重点措置でこわごわ活動
2021年は年明け早々COVID-19感染症を引き起こすSARS-CoV-2変異ウイルスがデルタ株に移行して猛威をふるったことによる感染第三波で2月7日までの「緊急事態宣言」に突入、期限の1ヶ月経っても収束無く3月7日まで延長、更に3月21日まで再延長されました。このため学校のグラウンドは使用不可、練習試合もダメ、富士見市親善大会、埼玉南部春季大会、ジュニア大会が中止され、ふじみ野市春季大会も開幕が3月14日から27日に延期となりました。
COVID-19感染第四波の兆しが見える中で3月21日に「緊急事態宣言」が解除されました。案の定感染者数がグイグイ増えて、4月20日から埼玉県でもさいたま市と川口市に「まん延防止等重点措置」が適用され、ふじみ野市にも4月28日から5月11日まで「まん延防止等重点措置」が発令されました。しかし収束無く、5月31日まで延長され、更に6月20日まで再延長されました。感染防止対策をしながらの練習、大会となりました。
6月20日でふじみ野市は「まん延防止等重点措置」が解除されましたが、さいたま市と川口市はそのまま継続され、7月20日再びふじみ野市に「まん延防止等重点措置」が適用されました。
8月2日から31日まで今年2回目の「緊急事態宣言」が発出され、8月8日には期限を9月12日まで延長するとの発表有り、その後9月30日まで再延長となりました。ふじみ野市とふじみ野市スポーツ協会から、大会の中止または延期の要請がありました。感染爆発が続き、小学生にまで感染が広がってきたため、ふじみ野市は市内小・中学校の夏季休業期間の延長に続き、分散登校や部活動の中止を発表しました。これに伴い緊急事態宣言中は、少年野球も休止となりました。9月24日(金)までふじみ野市内小学校は分散登校が継続され、中学校の部活動も休止となりました。埼玉南部秋季大会は中止となりました。
緊急事態宣言は2021年9月末で全面解除となりました。10月2日(土)から練習再開しますが、引き続きマスク、検温をお願いしました。感染はワクチン効果もあってか急激に減少し、秋の大会も実施されましたが、冬まで野球の時間は残り少ないのが残念でした。
COVID-19変異ウイルスのオミクロン株が出現し、海外で猛威を振るう中、日本政府は海外からの窓口を狭め流入防止に努めるも、やはり感染は拡大し、2022年1月20日から2月13日まで埼玉県全域が、「まん延防止等重点措置区域」に指定されました。しかし収束無く3月6日まで延長されました。2月上旬で感染ピークは越えましたが、高止まり傾向で、減少はするけれども緩やかな減少にとどまるとの予測で、まん延防止等重点措置は更に3月21日まで再延長されました。ただ重症者数も減り、医療逼迫でもないとの現状から、これ以上国民生活を規制できないとの判断から3月21日で全国的に解除されました。しかし富士見市親善大会は中止、埼玉南部春季大会は5月からに延長され、それに伴いジュニア大会は中止、ふじみ野市春季大会も開幕が3月27日からに延期となりました。
2019年に中国の武漢で発生した新型コロナウイルスパンデミック・・・COVID-19という感染症名となりました 2020年1月30日、WHO世界保健機関が国際的な緊急事態宣言を出しました 2020年2月3日に横浜港に到着したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」での感染確認で日本でも大騒ぎになりました 2020年2月27日、安倍晋三首相(当時)の突然の要請で3月から始まった全国一斉休校で日本中が大混乱に陥りました 日本での緊急事態宣言は1年半、上図のようなことが続いています。 2020年第一波は年度替わり3〜4月、第二波は夏休みと旧盆7〜8月、第三波は冬休みと年末年始11〜2月の長期間でした 感染症は、人が密集するほど、動くほど伝染しますから、人間活動の活発性に比例するため「波」になります 2021年第四波は2020年第一波に相当しますが5月まで長期化、第五波は2020年第二波に相当しますが2021年9月まで長期化しました 第六波が始まり、2022年1月からまん延防止等重点措置が始まって2022年3月まで続きました 第六波の大きさは上図でよく分かります。今後第七波も有り得ますが、治療薬も出て来ましたから、ウィズコロナのステージに入ったと言えるでしょう。 |
2021年8月20日(金)NPBパ・リーグ、日本ハム−楽天戦(札幌ドーム)で、日本ハムがまさかの走塁ミスでサヨナラ機を逃し、アピールアウトで引き分け・試合終了というケースが発生しました。3-3で迎えた9回裏日本ハムの攻撃、一死から代打のR・ロドリゲスが中前打で出塁し、杉谷拳士外野手が代走に起用されました。続く代打・郡の鋭い左翼への打球に足の速い楽天・オコエがフェンスの手前で追いつきダイレクトキャッチ、2塁を回って3塁方向に踏み出していた杉谷は1塁に戻りましたが、オコエからの送球を捕球した浅村栄斗二塁手が2塁ベースを踏んで審判にアピール、アウトが宣告されました。日本ハム・栗山監督がリクエストを要求しましたが、判定は変わらずに併殺プレーとなって試合終了となりました。
野球のアウトにはタッチ(英語ではタッグ)アウト、フォースアウト、アピールアウトがあります。アピールアウトは走塁に関して発生するもので、公認野球規則5.09(C)で次のように規定されています。
次の場合アピールがあれば、走者はアウトになる。
(1)飛球が捕らえられた後、走者が再度の触塁(リタッチ)を果たす前に、身体あるいはその塁にタッチされた場合。
(2)ボールインプレイのとき、走者が進塁または逆走に際して各塁に触れ損ねたとき、その塁を踏み直す前に、身体あるいは触れ損ねた塁に触球された場合。
(3)走者が一塁をオーバーランまたはオーバースライドした後、直ちに帰塁しないとき、(一塁に帰塁する前に)身体または塁にタッチされた場合。
(4)走者が本塁に触れず、しかも本塁に触れ直そうとしないとき、本塁に触球された場合。
今回のケースは(2)に該当します。フライが捕球された場合、走者にはリタッチの義務が発生し、元の塁に戻る必要があります。3塁走者のタッチアップが典型的ですね。今回は逆走で2塁→1塁と帰塁する必要があったのです。この帰塁時の踏み忘れは、最も発生しやすいアピールプレイでもあり、珍しいというほどでもありませんが、プロ野球では「プロ」だけに”珍プレー”になってしまいます。
なお(2)のケースで有名なのは1958年9月19日、ミスターこと長嶋茂雄のルーキー時代の出来事です。見事に柵越えを放った長嶋でしたが、喜びの余り1塁を踏み忘れ、アピールされて、ホームランは取り消しとなり、さらに1塁の踏み忘れなので記録はヒットですらなく「ピッチャーゴロ」となりました。どうしてピッチャーゴロ?1塁踏み忘れの幻のホームランはこれが初めての事例であり、この時に便宜的に記録が「ピッチャーゴロ」となったので、以降、1塁踏み忘れは「ピッチャーゴロ」とする、とされました。事例を作るのはさすがミスターですね。
アピールアウトは相手の走塁を見張っていなければなりません。審判もいちいち走者のベースタッチを確認していなければならないので、ウッカリということのないように常に「注目」している必要があります。ただし審判はもし気付いても素知らぬ顔をして、アピールされるまでアクションしてはいけません。
実際にアピールプレイを行うためには、
・ボールを追って守備をするプレイを行いながら相手の走塁を確認すること
・適切なタイミングで味方に送球を要求すること
・審判員に明示的にアピールすること
が必要であり、しかもボールインプレイ中に走者のいない箇所へ送球するわけですから、走者に不意をつかれ余塁を奪われるリスクがあります。ルールに基づいて正確に、しかも走者に隙を見せることなくアピールするプレイは頭脳戦とも言えるもので、だから野球は難しいとも言えますね。
昨年中止になった高校野球選手権大会・・・夏の甲子園は、2021年は第103回全国高校野球選手権大会として、新型コロナウイルスの影響でまん延防止等重点措置が発令されている兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で、8月9日から17日間の日程で開催されます。
■ 新型コロナウイルス感染防止対策をして実施
昨年の選手たちの口惜しさを思うと胸が詰まりますが、今年は甲子園大会史上初となる原則無観客で開催、生徒や保護者ら学校関係者は内野席に入場します。ブラスバンド応援が可能となり、楽器を使う生徒を各校50人以内に制限し、アルプス席に入場、大声は出さず拍手での応援を基本とし、太鼓の持ち込みも1個までですが、感染対策を講じた上で応援が可能になりました。やはりブラバンも甲子園の華ですからね。また選手とチーム関係者を対象に、大会前、初戦勝利後、準々決勝後にPCR検査が実施されます。大会前の検査では1638人が受診し、作新学院の部員2人の陽性が判明しましたが、大会本部は「個別感染」と判断し、同校の参加は認められました。新型コロナウイルス感染防止対策としては、試合中はベンチ内の監督、部長、選手、記録員は熱中症対策を十分に講じてマスクを着用、試合後は大声での校歌斉唱は控え、次チームとの入れ替え時の接触を避けるため、速やかにベンチを空けることとされています。また、球場の土の持ち帰りは×です。投手の球数制限としては1人・1週間500球以内です(ノーゲームや引き分けの投球数もカウント)。タイブレーク制は12回で決着がつかない場合、13回から適用され、無死一、二塁からスタートします。休養日は、従来の準々決勝翌日、準決勝翌日に加え、今年から3回戦終了翌日にも新設されました→雨天順延で無くなりました。準々決勝翌日には、全国高校女子硬式野球選手権大会の決勝(神戸弘陵―高知中央)が史上初めて甲子園で開催されます。
■ 感染で辞退の残念な学校も...
今回の甲子園大会を前に残念なチームも相次ぎました。今春の選抜大会を制し、今夏限りで退任する門馬敬治監督率いる東海大相模(神奈川)では、野球部内でCOVID-19クラスターが発生して、準々決勝を辞退し、やり切れない形で春夏連覇の道が絶たれました。甲子園に春夏を通じて34回出場し、二度の夏準優勝を誇る星稜(石川)も野球部内でクラスターが発生し、準々決勝を辞退。さらに、それぞれの地方大会のシード校だった福井商(福井)と中越(新潟)は、ともに初戦を迎える前にコロナによる出場辞退を余儀なくされました。一方で、学校関係者にコロナ感染が判明し、いったんは出場を辞退した米子松蔭(鳥取)ですが、多方面から辞退は可哀そうだとの声が出て、野球部員や部の関係者への感染がないことが確認され、大会日程にも余裕があったこともあり、県高野連が一転して出場を認めた例もありました。
■ 有力校
あるサイトで、地方大会での戦いぶりから実力番付を掲載していました(下表)。日刊スポーツでは浦和学院(埼玉)東海大菅生(西東京)愛工大名電(愛知)県岐阜商(岐阜)大阪桐蔭(大阪)智弁学園(奈良)智弁和歌山(和歌山)明豊(大分)の8校をA評価としています。
東 | 西 | |||
横綱 | 大阪桐蔭 | 大阪 | 明豊 | 大分 |
大関 | 智弁学園 | 奈良 | 東海大菅生 | 西東京 |
関脇 | 愛工大名電 | 愛知 | 県岐阜商 | 岐阜 |
小結 | 専大松戸 | 千葉 | 二松学舎大付 | 東東京 |
前頭一 | 智弁和歌山 | 和歌山 | 広島新庄 | 広島 |
前頭二 | 横浜 | 神奈川 | 浦和学院 | 埼玉 |
前頭三 | ノースアジア大明桜 | 秋田 | 近江 | 滋賀 |
前頭四 | 神戸国際大付 | 兵庫 | 盛岡大付 | 岩手 |
前頭五 | 敦賀気比 | 福井 | 明徳義塾 | 高知 |
大阪桐蔭はセンバツ初戦で智弁学園に敗れたものの、それ以降の公式戦は全勝です。総合力で優勝候補1にあげられています。今回も初戦で大阪桐蔭対東海大菅生が横綱大関の好カード。センバツ準優勝の明豊はエースの京本眞が調子を上げているそうですが、初戦での専大松戸戦が難関です。智弁学園は、センバツで不振だった主砲の前川右京が復調しているそうです。県岐阜商は、あの松下電器→秀岳館高校で一世風靡した鍛治舎巧監督(70)が率います。甲子園で51勝を挙げる明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督(65)との名将対決が注目です。
■ 開会式1日延期、その後3日連続雨で順延
8月9日は台風9号の襲来が予想されたため日程は10日に順延されましたので、8月10日から17日間、順調なら8月26日決勝戦となります→順延。開会式は入場行進を簡素化して行われました。山崎育三郎さんの「栄冠は君に輝く」独唱・・・素晴らしかったですね・・・やはり心配したように、戻り梅雨のように前線ができて、それも一週間ほど居座るようです。西日本中心に梅雨末期の大雨と似た気象状況となり、線状降水帯も発生して、命の危険を伴うような被害も心配されています。雨天順延も心配でしたが、やはり8月12日の大会3日目第一試合、ノースアジア大明桜(秋田)と帯広農(北北海道)の試合は、ノースアジア大明桜が5−0でリードして4回終了後、雨が強まり、試合が中断、結局ノーゲームとなりました。ノースアジア大明桜のエース風間は、秋田大会で最速157キロを出した今大会注目の右腕で、初回に球場表示で今大会最速となる149キロを記録して、4回まで2四死球を出したものの、無安打無失点の快投でしたが、残念でした。助かった帯広農は、今度は対策して臨むでしょう。結局8月13日も14日も雨で中止のため、休養日を減らすことで対応するようです。
■ 浦和学院は日大山形と二回戦
埼玉県代表浦和学院は出場校中49番目なので、二回戦からの登場です。34番目までの17試合が一回戦、35番目から48番目までが一回戦免除二回戦で、1番目の日大山形と2番目の米子東(鳥取)が開会式直後の試合です。18回目出場の日大山形は1回、佐藤の適時打で先制すると、3回には佐藤、伊藤の連続適時打で2点、6回には斎藤の適時打で1点と小刻みに加点し、流れを渡しませんでした。15回目出場の米子東は相手を上回る12安打を放ちましたが、あと1本が出ず、9回の1点止まりで、4−1で勝った日大山形と浦和学院が8月16日(月)10:30→順延(いつになるか雨次第ですね)に対戦予定です。
■ 大会4日目までの注目の試合と結果
1回戦では、智弁学園(奈良)が倉敷商(岡山)に10-3で快勝。スクイズなどの小技を絡め14安打の猛攻、西村が8回無失点と好投しました。大量リードしてもなおスクイズする血も涙もない攻撃、しかし倉敷商(岡山)も投手が代わった9回に意地を見せて反撃しました。
横浜(神奈川)は格上の広島新庄(広島)に9回2-0とリードされ、流れからして十中八九負け試合、9回裏2アウトから1番1年生の緒方漣が引っ張ってレフトスタンドへ大会第1号となる逆転サヨナラ3ランを叩き込みました。1年生のサヨナラホームランは史上初です。まさに野球は筋書きの無いドラマだと言われますが、それを実感させる試合でした。しかも横浜の選手たちは、相手の心情を慮って喜びの表現をしません、そのように叩きこまれているのでしょう。スゴイなぁと感心しました。二回戦は智弁学園(奈良)対横浜(神奈川)です。ところで名門横浜高校で1番打者が1年生でしかもショートを守っている、背も小さい、何者?と思って調べたら、生粋の横浜っ子で、入学してすぐ、春季大会からレギュラーショートだそうです。横浜高校の指導者たちがこんな上手い遊撃手は見たことが無いと言うくらいですから、只者ではありません。それにしても、スラッガーならともかく、あの場面であの思い切りの良い打撃がよくできるなぁと驚きました。
愛工大名電(愛知)は初出場の東北学院(宮城)にまさかの3-5敗北、宮城県勢は例年強いとはいえ、夏に初出場のチームに負けるとは...春夏を通じ史上初めて宮城県勢と愛知県勢との対戦が実現した注目の一戦でした。結局好投手は打てないもの、東北学院エースの9回完投勝利;伊東大夢投手(3年)が良かったということです。前評判では愛工大名電の投手陣こそ高評価でしたが、その先発:田村、救援:寺嶋投手を打った東北学院打線が素晴らしかったですね。引っ張らずセンターから反対方向へ、それも引き付けて、なかなかやれと言われてもできる打撃ではないので、これは今後も注目です。
8月12日の大会3日目第一試合、ノースアジア大明桜が5−0で帯広農にリードして4回終了後、雨が強まり、試合が中断、結局ノーゲームとなった後、13日も14日も雨で3日連続順延で迎えた15日も朝は雨、3時間遅れの午前11時から阪神園芸の神整備で始まった再戦の試合、ノースアジア大明桜が1回裏1点先制するも帯広農は3、4回1点ずつ取って逆転、しかし5回裏一挙3点で逆転したノースアジア大明桜は風間投手がその後をしっかり押さえて4-2勝利。お互いに力を出し尽くした良い試合でした。県岐阜商と明徳義塾(高知)の名将対決はやはり大激戦、守備の差で明徳義塾のサヨナラ勝ち。神戸国際大付(兵庫)と北海(南北海道)は北海が安打で上回りながら2-1で神戸国際大付が辛勝。第4試合は甲子園史上最も遅い19時10分プレーボール、小松大谷(石川)が5-0とリードし、高川学園(山口)が反撃、8回裏ついに6-6同点に追い着いて、9回裏四球3個で塁が埋まり、押し出し四球で高川学園がサヨナラ勝ち、ゲームセットは21時40分、史上最も遅い終了となりました。夜遅く・・・本来ならもう就寝したい時間・・・サヨナラ押し出し、辛い結末です。
大会4日目の8月16日第二試合センバツ準優勝の明豊(大分)はエースの京本眞が調子を上げているが、初戦の専大松戸(千葉)戦が難関だと上で書きましたが、明豊は1回表内野安打でランナー出るも盗塁死で三人で終了、その裏専大松戸は一死1、3塁の場面でランナー2盗、2塁送球の間に3塁ランナー本塁へ、ショートが送球カットして本塁送球するもうまくかわして重盗を決めました。わずか2安打で2点を奪い、流れを一気に引き寄せました。投げては深沢投手が奪三振11のナイスピッチング、打っても専大松戸は4人の投手から11安打、6-0で勝ちました。強い相手に先制パンチで浮足立たせた快勝でした。第四試合、初出場の鹿島学園(茨城)はエース・薮野哲也投手(3年)が先発、強打の盛岡大付(岩手)相手にナイスピッチングでしたが、4回2死から6番平内左翼手に初球右翼席中段に3ラン本塁打を浴びました。この1球が流れを変えました。盛岡大付の頭脳派エース渡辺翔真投手(3年)は、頭が良いので考える野球ができると関口監督が内野手から投手に抜擢、野球はやっぱり考える力が大事だと信頼しているそうです。初回からピンチの連続でしたが、緩急織り交ぜ打たせて取るピッチング、奪三振わずか4で125球完封、持ち味全開でチームを甲子園出場7大会連続の初戦突破に導きました。とは言え、大会前から強打と評判ではありましたが、高校通算56本塁打のスラッガー、3番金子京介一塁手(3年)の猛打賞を筆頭に、不動の4番小針遼梧右翼手(3年)、0-0で迎えた4回裏3ランホームランを打った平内純兵左翼手(3年)、上位打線の中で打順が変動し、守りもセンター始めどこでも守れる新井外野手(3年)など打席に立つと威圧感漂う打線です。試合終了後、勝者から先に引き揚げる決まりなので、盛岡大付が出て行くのを鹿島学園の選手たちが拍手で送り出しました。素晴らしい光景でした。
■ 疑問の残る降雨コールドゲーム
大会5日目の8月17日第一試合は上で「大阪桐蔭対東海大菅生が横綱大関の好カード」と書いたように、1回戦随一の注目の試合です。長雨のため、すでに4日間の順延、17日も雨予報ですが大会本部は試合決行を決定、16日夜から内野全面を覆っていた超巨大防水シートを外し、トンボをかけるなどグラウンド整備して小雨が降りしきるなか試合が始まりました。池田主将を中心とする大阪桐蔭の強力打線と、東海大菅生の層の厚い投手陣の対決がポイントです。序盤は大阪桐蔭がド迫力の猛攻でセンバツ8強の東海大菅生(西東京)を圧倒しました。1回2死二塁で4番の花田旭外野手(3年)が低めスライダーを強振し、バックスクリーンに甲子園初本塁打の先制2ランを放り込みました。1点差に迫られた3回には、先頭の藤原夏暉内野手(3年)が左翼ポール際にライナーでソロ本塁打を架け、前田健伸内野手(3年)もバックスクリーン右にライナーの豪快弾を打ち込みます。5回には主将の池田陵真外野手(3年)が左翼フェンス直撃の適時二塁打で加点しました。終盤は東海大菅生が反撃、内野全面が水浸しのなか、異例の「泥試合」の激闘になりました。5回から強い雨が降り始めて、東海大菅生の本田投手がマウンドで足を取られ、投球時にバランスを崩し、転ぶ場面が二度ありました。4点リードの7回表に雨脚が強くなりました。大阪桐蔭の松浦慶斗投手(3年)は球を制御できず、投球が上ずります。ロージンがすぐに濡れて粉が出なくなります。四球も絡んで3安打を集中されて3点を失い、1点差に詰め寄られました。マウンド周辺は水が浮く状態で、なおも二死2、3塁の窮地で空振り三振で窮地を脱しました。東海大菅生にしてみればここで同点になっていタラと思ったでしょう。そうなればグラウンド状態と雨の降り方からして、降雨ノーゲームとなっていたと思われます。試合は「泥試合」の中続行されました。7回裏、大阪桐蔭は二死から中前安打、四球、松浦の代打田近が右へタイムリー二塁打して2点加えて7−4でリードしました。審判さえスッテンコロリン、球審が何度も本部席に行って何か話しています。どんな好投手でもまともなピッチングが出来ない状況で2点取られたのは仕方ないと思われました。おそらく球審としてはこれでは危ないので試合を中止しようと考えたのでしょう。それでも続行、7回を終えた時点で試合は成立しました。この大会には「サスペンデッドゲーム」はありません。8回表東海大菅生の攻撃で打者が振った手からバットがスルッと抜けて大阪桐蔭ベンチに飛び込む事件がありました。右飛で一死、この状況ではフライアウトが一番確実です。左前安打の後、打席には投手の本田、打ってショートゴロ、ところがぬかるみでボールが止まります。これには藤原遊撃手も苦笑い、プッシュバントすれば皆ヒットになりそうです。というよりもグラウンドは完全に泥沼ですから、これはもう野球になりません。1、2塁にランナーを置いて、もしホームランが出レバ東海大菅生が同点に追い着きます。午前10時6分、球審が審判集めて協議し、一時中断となりました。雨が強まって以降、両チームとも四球が増えました。投手の手が滑るからです。結局そのまま再開することなく、午前10時38分、球審が試合終了を告げました。降雨コールドゲームです。東海大菅生の選手たちには口惜しい負けです。「タラレバ」が出る試合は、負けたほうには後悔が残ります。降雨コールドゲームは1998年1回戦の如水館−専大北上が7回裏2死、6−6の同点のまま降雨引き分け、再試合となって以来23年ぶりのことです。なおコールドで決着したのは、1993年2回戦の鹿児島商工3−0堀越(8回表鹿児島商工の攻撃、無死一塁)以来です。このとき堀越の1番バッターは現侍ジャパンの井端弘和コーチでした。3回裏にも降雨中断はありましたが、8回表はそれこそ「滝のような雨」でした。井端さんは、打ち切って続きをやる「サスペンデッド制」を導入すべきだと言います。サスペンデッドゲームは規定に無いとはいえ、本来7回時点の状態を見れば降雨ノーゲームとすべきでした。恐らく審判がたびたび本部席に行ったところを見るとそれを考えたみたいですが、大会の日程が遅れに遅れて焦っていた本部が続行を命じたのでしょう。しかし、それならば規定に無い「サスペンデッドゲーム」にするという決断をするのが情のある措置というものです。1993年当時と今では天気予報精度がまるで違います。NHK朝ドラ「おかえりモネ」では、気象予報士の朝岡(西島秀俊)がスポーツに気象情報を売って勝ちにつなげるビジネスをまさに企画中です。今はスーパーコンピュータが過去の膨大な情報とビッグデータから予報しますから、ピンポイントの降雨情報が時間トレンドで出てきます。大会本部は5回ぐらいで既に「泥試合」になることは分かっていたはずです。それでも続行させたのは本部の責任ですから、自ら責任を取るべきだったでしょう。28年前は3−0で残り2回、それでも釈然としなかったくらいですから、今回は逆転できるのでは?という状況で降雨コールドゲームを告げられた東海大菅生の選手たちは恐らくヘナヘナヘナと脱力感に崩れ落ちたのではないでしょうか。あまりに無情な仕打ちでした。
■ コロナで二校辞退、首傾げる面も...
大会本部は8月17日、新型コロナウイルスに集団感染した宮崎商と、感染者1人の東北学院(宮城)の2校の出場辞退を発表しました。宮崎商は陽性者13人、保健所から8人が濃厚接触者と判定され、集団感染では試合は難しく参加取りやめは致し方ありません。しかし「辞退」だとチームの意思になります。大会本部は「参加差し止め」との判断をすべきでした。一方で、東北学院は 「試合に出場することで当事者が特定される恐れがあり、生徒の将来に影響を及ぼす可能性がある」(阿部恒幸校長)ことを理由に学校の判断で辞退したみたいです。大会本部は「学校の判断を尊重するが、慎重に検討してほしい」と伝えたそうです。参加してもらう立場であり、「辞退します」という学校を引き留めるのは難しいですが、感染した本人や濃厚接触者が特定されて本人たちに何の不利益があるのでしょうか? 感染したことが本人やチームの責任だと考える人はほとんどいないでしょう。むしろ甲子園に行かなければ感染しなかったはずですから、高野連や大会本部のほうに責任があるはずです。学校側が生徒の将来に影響を及ぼすことを心配するのは、いじめ社会の日本ならではです。むしろ自分が感染したためにチームのみんなが辞退しなければならなかったことに責任を感じて苦悩することのないように祈るばかりです。こういう場合、表向きの理由以外の何かがあるかもしれませんね。愛工大名電を破った東北学院はこの大会今後の注目校だっただけに残念でなりません。
■ 8月18日は雨天中止、19日は第一試合が降雨ノーゲーム、第二試合も翌日に順延
8月18日は前日の泥試合にSNSで大会本部への猛批判が起きたことを受けて試合の中止を決定、これで過去最多6日目の順延となりました。19日はやはりシトシト雨が降り続くとの天気予報、しかし第一試合;1回戦最後の試合:日大東北(福島)対近江(滋賀)の試合が始まりました。近江(滋賀)が1−0とリードして迎えた5回裏の攻撃、二死満塁で、打者は4番津田基内野手(2年)、6球目でフルカウントとなったところで、雨脚が急激に強まり、午前9時3分に中断となりました。あまりの雨に、ブラスバンドの音もかき消されるほどでした。マウンドと本塁にシートを敷いて、小雨になるのを待ちましたが、内野グラウンドは一気に水浸しとなりました。延々2時間以上にわたる中断が続き、選手たちの身体が冷えることを心配しました。結局11時25分、審判が水浸しのグラウンドに姿を現し、ノーゲームを宣告しました。ノースアジア大明桜−帯広農戦(12日)以来の降雨ノーゲームとなります。二回戦最初の試合の西日本短大付(福岡)−二松学舎大付(東東京)の第二試合も、午前8時30分ごろから球場入りして待機していましたから、コンディション上も無理だということで第一試合共々、20日の第一試合、第二試合に順延となりました。一回戦が終わってないのに二回戦をやるというのも異例です。中止〜順延続きで大会本部が焦る気持ちも分かりますが、選手たちのことを考えたら、もう少し天気予報を検討して、科学的に判断すべきではないかと思いますが、この日も民間気象情報会社も交えて午前5時半と6時半に協議、8時過ぎに少し雨が降るが、試合終了までは持つだろうとのことで試合を行うとの判断に至ったそうです。しかし筆者もずっと天気予報を見ていましたから、甲子園球場のピンポイント時間帯別降水量予測と、阪神地方では目まぐるしく天気が変わり、所によって大雨も、という予報からして開始は様子を見て午後からにするのでは?と見ていましたから、「えっ、やるの?」と思いました。第一試合だけでもとにかくやる、雨が降ったら次の試合のチームは待たせるとの判断は、大会本部の焦りの現われです。確かに24日ぐらいまでずっと甲子園球場の予報は雨マークの連続で、もう猛暑日もありません。23日、24日はまた本格的雨の予報です。焦る気持ちは分かりますね。
■ 高野連はサスペンデッドゲーム導入を検討
日大東北(福島)対近江(滋賀)の試合が2時間22分の中断の末に順延となり、今大会7度目、史上最多を更新しつつあります。大会本部はオンライン会見に対応し、昨年も継続試合導入を議論していたことを明かし、この大会終了後サスペンデッドゲーム(継続試合)について検討する考えを表明しました。8月17日第一試合のように試合が成立した後ならばコールドゲームになるということですが、継続試合制度があれば、この試合でも審判は5回途中で試合を止めていたはずです。12日のノースアジア大明桜−帯広農戦、19日の日大東北対近江戦、いずれも降雨ノーゲームとなりましたが、サスペンデッドゲームとなればお互いスッキリしたのではないでしょうか。
■ 8月19日気を取り直して二試合
8月19日第三試合は天候の推移を見極めながら、午後3時ごろの開始を目指すと発表されました。とにかく小降りなら試合を組む、ナイターもやるという悲壮感漂う覚悟ですね。その京都国際(京都)−前橋育英(群馬)の試合は、長打力のある竹田、中川が打線の軸の京都国際(朝鮮学校で全校生徒わずか136人、男女半々)に対し、2年生エース高橋光成(現西武)の活躍で2013年夏に初出場で甲子園を制した前橋育英は、制球力が高いエース外丸と皆川の打力が注目でした。京都国際はセンバツで初戦突破、東海大菅生との2回戦、4−2でリードしながら9回裏逆転サヨナラ負けの口惜しさを晴らしたいところでした。ふたを開けてみると投手戦、京都国際の2年生エース森下瑠大投手が2〜4番を抑えて4安打完封、低めに球を集めて奪三振10のナイスピッチングでした。センバツの反省から強気で内角を攻める中川のリードも良かったですね。一方前橋育英の外丸投手(3年)は前評判通りの好投手、2回、先頭の京都国際4番中川捕手(3年)にカウント2−2から高めに入ったスライダーを左中間スタンドに運ばれ、先制を許しましたが、被安打4、奪三振7の力投報われず。京都国際はバッテリーの活躍で勝利しました。次の二回戦智弁和歌山は宮崎商の辞退で不戦勝、第四試合の作新学院(栃木)−高松商(香川)は共に優勝経験のある伝統校対決、佐藤、林の防御率0点台の2枚看板と堅守が持ち味の作新学院に対し、高松商は県大会2本塁打の浅野翔吾外野手(2年)の打撃に注目でした。その浅野は2番でした。古い野球では2番打者はつなぐのが役目で、バントやヒットエンドランなど小技に長けた打者を置きましたが、近代野球ではとにかく早く点を奪って優勢に試合を進めようという考えから、チーム随一の好打者を3番ではなく2番に置くようになってきました。MLBエンゼルスの大谷翔平がそうですね。現在40号、MLBのホームラントップ独走の打者が2番です。日本でいえば、ソフトバンク柳田、巨人坂本、ヤクルト山田ですよ。いずれも強打者、一発長打のポイントゲッターです。アウトカウントが増えるバントは不要、もちろん場面によってはバントもできる技能を持つも、好機を広げてクリーンアップにつなげられる役目も求められます。バットを高く掲げた浅野選手のフォームは、まるで4番打者、3回、強烈な左前打で先制点を叩き出し、3、4番でさらに2点を追加しました。好投手の揃う作新学院ですが、2番にいる浅野がイヤだったみたいです。強打を意識して慎重になり、2度、四球で歩かせました。8回浅野は二死後に再び左前打、勝ち越し点につなげ、この日は2安打2四球1打点の大暴れでした。全49代表で唯一、メンバー18人全てが3年生で構成されている作新学院は、大会前にPCR検査で、部員2人が新型コロナ陽性と判定され、甲子園に来てみれば順延続き、苦しい戦いでした。最大5点ビハインドも、8回二死2、3塁から渡辺翔偉捕手(3年)の中前2点適時打で一時同点に追い付く粘りを見せました。4点を追う9回には二死走者なしからチャンスを作り、途中出場の平塚恵叶外野手(3年)が中前適時打を放ち、最後の意地をみせましたが、この日の1試合だけで4失策、堅守に綻び、10失点で思わぬ大敗でした。
■ 8月20日試合開始遅らせるも四試合消化
8月18日に降雨ノーゲームとなった、本来であれば1回戦最後の試合;日大東北(福島)−近江(滋賀)、2回戦最初の試合;西日本短大付(福岡)−二松学舎大付(東東京)の二試合が8月20日の第一、第二試合でした。この日の甲子園の天気予報は夜まで曇り、降水確率は20〜40%ですが、四国から淡路島付近に雨雲があるとのことで、久々に4試合まともに出来そうだなと思ってテレビをつけたら、甲子園は晴れ間が見えるのに、内野全面を防水シートで覆っています。「アレ〜、どうしたんだろう?」と思ったら、アナウンサーと解説者も「どうしたんでしょう」と首をひねっています。ネットで見たら、天候不良が予想されるため、第1試合の開始時間を遅らせると、試合開始15分前の午前7時45分に決定したとのこと、さんざんSNSで叩かれて大会本部もビビってるわけですが、こんな天気予報のときこそ直ちに始めるべきです。結局1時間遅れで始まりました。日大東北のエースで4番吉田達也投手(3年)の3球目、強い投ゴロ打球が右足すねに直撃で無念の降板、散々雨でたたられた末にこのアクシデントではまさに泣きっ面に蜂ですね。6番島滝悠真捕手(3年)のバックスクリーン弾含む3安打4打点の活躍で近江が8-2で快勝して、近畿6府県の代表が史上初めてすべて初戦を突破しました。
続く第二試合は投手戦、西日本短大付(福岡)は注目の右腕エース大嶋柊(3年)が力投しましたが、打線の援護無く、東東京の二松学舎大付の左腕エース秋山正雲(3年)に4安打完封負け。
三重の2年生エースの上山颯太投手が7安打されながらも樟南(鹿児島)に完封勝ち。敦賀気比(福井)と日本文理(新潟)との越前越後対決は両軍合わせて30安打の壮絶な打撃戦を制した敦賀気比が8-6で勝ち、前評判通りの強打線を証明しましたが、打ち合いなら負けないぞと14安打放った日本文理の打力も素晴らしいものでした。
■ 8月22日から更に甲子園入場規制強化、ブラバンもチアも×
兵庫県に緊急事態宣言が発出され、さらに全国的にも新型コロナウイルスの感染が急拡大しているため、大会本部は20日、22日の第1試合ノースアジア大明桜(秋田)−明徳義塾(高知)戦から、甲子園に来場する学校関係者の範囲をさらに限定、ブラスバンド(吹奏楽部)やチアリーダー、応援リーダーの生徒、野球部のOB・OGは来場できないことになりました。
■ 8月21日は激戦の連続、散った浦学、貫禄の智弁学園(奈良)
8月21日(土)は激戦の連続、石見智翠館(島根)が弘前学院聖愛(青森)を4-3で破り、江の川時代以来18年ぶりの白星。島根大会決勝でノーヒットノーランを達成した石見智翠館のエース右腕、山崎琢磨投手(3年)はなるほど、素晴らしい投手ですね。何よりマウンドでの気迫がピッチャーとして持つべき一番の要素です。弘前学院聖愛の頑張りにも目を瞠りました。これぞ高校野球という試合でした。
浦和学院(埼玉)は1回表2点先制して幸先良いスタートでしたが、日大山形はその裏、佐藤主将の適時二塁打などで同点。3回には佐藤の適時打、梅津の適時二塁打で2点を勝ち越し、5回まで斎藤、6回からは滝口が登板して8回に浦学が1点差に迫り、更に9回裏二死満塁、この日猛打賞の4番キャプテン吉田瑞樹捕手(3年)の打席、浦学を30年間率いてきた森士監督(57)が全幅の信頼を置く選手、遊ゴロに倒れ、森士監督最後の試合となりました。甲子園通算48試合で28勝だった森士監督は試合後、「甲子園で1勝するという厳しさを、あらためて思い知らされたような試合でした」と振り返りました。確かに総合力では上回る感じでしたが、野球は強いものが勝つとは限りません。両校は毎年練習試合する仲ですが、このところはコロナでかないませんでした。試合終了後日大山形の荒木監督は森士監督とグータッチして、30年間の労をねぎらいました。
森士監督最後の夏・・・「甲子園で1勝することの難しさを思い知った」(デイリースポーツより)
日本航空(山梨)が5-3で新田(愛媛)を破り、16年ぶりの16強入り。学校法人日本航空学園は山梨県甲斐市に本部があり、山梨キャンパスの他、石川県能登空港と北海道千歳空港にキャンパスがあります。山梨と石川に高校、大学校は能登空港と北海道千歳空港にキャンパスを持ちます。能登里山空港に降り立つと、大相撲遠藤関の等身大写真が置いてあり、空港を出るとすぐ日本航空学園の看板があります。試合前の20日に、JAL日本航空株式会社から差し入れとして「うどんですかい(UDON de SKY)」が届いたそうです。1回戦も完投した左腕ヴァデルナ・ファルガス投手が踏ん張って、5回まで1安打の快投でした。7回、新田・古和田主将の痛烈なライナーが腹部のあたりを直撃し、痛みをこらえながら続投、しかしここから満塁のピンチを招き、押し出し死球、犠飛、適時打を許し3失点。それでもリードを守り抜き完投しました。
智弁学園(奈良)が横浜(神奈川)との名門対決を5-0で快勝、プロ注目の主砲・前川右京外野手(3年)が1番打者ですから脅威ですね。バックスクリーン左横のカメラマン席に飛び込む特大の本塁打を含む3安打4打点と活躍しました。左腕エースの西村王雅(3年)も好投し、1回を除き毎回走者を許しましたが粘り強い投球で初戦に続き8回を無失点。9回は右腕小畠一心投手(3年)が締めました。横浜(神奈川)の1年生エース杉山遙希投手の力投を跳ね飛ばした智弁学園の打力はさすがでした。同じく1年生で1番ショートの緒方選手も堅実な守備とマルチヒットで将来が楽しみです。
■ 8月22日は明徳義塾の頭脳、長崎商の打力、モリフの総合力が光りました
8月22日(日)の結果は明徳義塾(高知)8-2ノースアジア大明桜(秋田)、高川学園(山口)3-4神戸国際大付(兵庫)、専大松戸(千葉)2-6長崎商(長崎)、沖縄尚学(沖縄)0-4盛岡大付(岩手)となりました。
明徳義塾(高知)の馬淵史郎監督(65)はさすがですね。甲子園53勝目は明桜の最速157キロ右腕・風間球打投手(3年)を崩すために球数多く投げさせてマウンドから引きずりおろして後半勝負という作戦でした。それしかないのは予想つきますが、そのためにとった手法が素晴らしい!打者にじっくりとボールを見極めろと指示し、鍛えられた打者たちはその通りフルカウントまで持ち込むべく、追い込まれたらファウルカットで粘ります。しかしこの日の風間投手は直球の伸びが良く、最後は三振というケースにもなりますが、変化球のコントロールが悪いのでどうしてもボールが多くなります。出塁したら一回戦では盗塁ゼロだったのに走らせます。盗塁死してもなお走らせます。風間投手がけん制しないことを一回戦のデータで把握し、セットポジションに入ったら3秒以内に投げることまで分かっていましたから、走者にはGOのタイミングを計らせました。それでも明桜の捕手の強肩に刺されます。刺されても刺されても走る、これは機動力で崩すぞという明確なメッセージでした。結局、風間投手に4回までに94球を投げさせ、投球数が100球を超えた5回、2−1と勝ち越しました。結局、139球を投げさせ6回でマウンドから降ろしたのです。こうなれば投手が代わった7回には一死満塁からスクイズを仕掛け、これが空振り、ここからナント!三重盗で1点を追加、さらに2点適時打で5−1として、9回には3点を加えるという王者の戦いぶり。それにしてもやれと言われたことができるチームを作り上げるのはスゴイ!150キロの速球について行くために、速球投手に投げてもらって、練習を積んできたそうです。だからファウル出来るんです。明桜としては明徳義塾の代木〜吉村リレーに対し各1点ずつしか取れませんでした。何か工夫が欲しかった、ここが百戦錬磨の馬淵監督との違いですね。何せ勝つためには星稜の松井秀喜を全敬遠するという人ですから。
神戸国際大付(兵庫)の期待の選手は阪上翔也投手(3年)です。3番を打つ阪上は1回裏、自ら先制2ラン。2-1とリードした5回には一死3塁で右前打打たれ同点にされましたが、これをライトが後逸(失策)、打者走者が一気に生還して逆転されました。ランニングホームランではなく1ヒット1エラーです。7回、同点に追いついた神戸国際大付、今度は阪上が勝ち越しの適時打を放って、投げて打って高川学園(山口)に競り勝ちました。
専大松戸(千葉)は1回戦で今春センバツ準優勝の明豊(大分)を深沢鳳介投手(3年)が完封しました。これを見ていて容易には打てない投手だからこの試合も深沢投手で行くだろうと思っていたら、新聞の予想では岡本陸投手(3年)が先発だろうとのこと。威力のあるストレートを上から投げおろし、縦割れのスライダーやカーブ系の変化球を織り交ぜて多彩なピッチングが持ち味だそうです。しかし上位下位まんべんなくつながる打線の長崎商は共に13安打の打撃戦の末に熊本工を破りました。どこからでもチャンスを作れます。岡本先発を読んでいた長崎商は、計11安打を浴びせ、5回途中降板に持ち込むと、代わった深沢にはインコースの球は打ちづらいので、真ん中とか外とか、ストライクを取りに来るストレート系に絞って打てと指示し、7回に得点を奪いました。予定通り城戸−田村の継投で6-2と格上の専大松戸を下しました。
1回戦8-0圧勝の沖縄尚学(沖縄)は、エース当山が沖縄大会からずっと無失点を続けています。一方の盛岡大付(岩手)は「マッスルパワー」が売り、とにかく中軸は柔道の重量級みたいな選手が揃い、筋骨隆々で当たれば打球はピンポン玉のように飛んで行きます。「体格ではどんなチームにも負けない」と自負しているそうです。一回戦もこの日も本塁打がポンポン飛び出しました。しかし凄かったのは1番松本龍哉三塁手(3年)です。6回には先頭打者の三ゴロをさばくと、次打者の打球は三遊間を抜けそうな強烈な当たり、これをダイビングキャッチするや、立ち上がって一塁送球、間一髪アウト。続く打者も軽快な動きでサードゴロをさばき、この回すべてのアウトを一人で処理しました。守備が好調だと打撃も良し、4打数4安打でした。バックの好守備に応え、渡辺翔真投手(3年)が初戦の鹿島学園戦に続く甲子園2戦連続の完封、完全試合まであと4人、というところまで行って1安打されて苦笑いでした。見ていると「どうして打てないんだろう?」と思うような投球で、球もそんなに速くないし、変化球もそんなに切れるわけでもない、一回戦13安打放った沖縄尚学の打者に言わせると、「緩急と高低を投げ分けられ、直球も手元でピュッと伸びた」そうです。すなわち打者との心理戦で打ち気が無いと見るや高い球でストライクをとり、打って来ると見たら緩く落として、追い込んだら手元へ直球、速く見せて、上手く打たせて取ったというわけです。この頭脳的投球が、次も続くか見ものですね。沖縄尚学のエース当山も力投しました。当山だから「マッスルパワー」の盛岡大付(モリフ)打線を抑えてきたと言えますが、4回に4連打で2点先制され、8回には4番小針遼梧外野手(3年)に左翼スタンドに突き刺されると、6番新井流星外野手(3年)にもバックスクリーンに運ばれ、破壊力満点の「盛付劇場」第2幕を下ろされて力尽きました。
■ 8月23日は1試合だけで二回戦終了、BEST16が揃いました
8月23日(月)の対戦は二回戦最後の試合、大阪桐蔭(大阪)−近江(滋賀)の1試合のみが行われ、他は休養となります。雨で史上最多七度の順延に加え、新型コロナウイルス感染者が出て辞退したチームが出たために、三回戦=BEST16へ松商学園(長野)と智弁和歌山(和歌山)が不戦勝で進出するという事態となりました。特に智弁和歌山は全く試合をしていないのにBEST16となりました。優勝候補一番手の大阪桐蔭は、一回戦東海大菅生(西東京)、二回戦近江(滋賀)という強豪と対戦し、勝ったとしても二試合完封勝利の盛岡大付(岩手)が相手ですから、くじ運とは言え、タフな試合が続きますが、優勝候補と言われるからにはどこが相手でも勝つしかありません。センバツ一回戦で智弁学園(奈良)に負けてから、西谷浩一監督(51)は「粘る野球」をチームに徹底させました。そのせいもあってか、智弁学園に負けて以降は全勝、春の近畿大会を制し、大阪大会でも負けている試合を粘って終盤ひっくり返して勝ってきました。初戦3発の本塁打を放った大阪桐蔭との試合を控えて近江(滋賀)の多賀章仁監督(62)は「負けて元々ですから元気を出して頑張りたい」と控えめなコメント、それでも近年の印象は好投手を揃え、攻撃でもしぶとい野球をするチームと言えるでしょう。大阪桐蔭の西谷監督は「2年生なのに投手で4番の山田君が気持ちも強い投手だし、山田君からエース・岩佐君(3年)のリレーという守りからリズムを作っていくチームだと思う。バッテリー、投手をしっかり攻略できるようにやっていきたい。簡単に打てる投手ではないので我慢比べのような展開に持っていき、粘って粘って粘り抜いて、こちらの選手が人と人が絡み合うようなしぶといゲームにしたい」と語っていました。
始まってみると大阪桐蔭が一気に主導権を握りました。1回表、近江先発の山田陽翔外野手(2年)が本来のリズムをつかめず制球が定まらないところを逃さず、猛攻を仕掛けます。1安打2四球で2死満塁から宮下隼輔内野手(3年)が左越えに走者一掃の適時二塁打を放ち、幸先よく3点を先制しました。先発竹中勇登投手(3年)も1回、1、2番を四球で歩かせましたが、後続を断ちました。2回には大阪桐蔭先頭の松尾汐恩捕手(2年)が速球をとらえてバックスクリーンに本塁打を放って4-0、このまま突っ走るかな?と思いました。しかしこの後山田投手が本来のピッチングを取り戻し、6回まで追加点を許さない好投。3回裏近江一死1、3塁で西山嵐大外野手(3年)が投前スクイズを決めて1点を返したのが結果的には流れを変えました。4-0であってもまず1点取れば選手の勇気が出てくるはずと考えた多賀監督の采配はさすがベテランです。4回には新野の右越えソロ本塁打、5回は1死満塁から山田の左犠飛で3−4と1点差に迫ります。ジリッ、ジリッと追い上げて、7回表から山田に代わりエース岩佐直哉投手(3年)を登板させ、山田はライトに回します。そして7回裏二死1、2塁から新野の右前適時打で遂に同点に追い着きました。そして8回裏大阪桐蔭は遂にピッチャー交代、2年生の川原嗣貴投手が登板します。無死から珍しく大阪桐蔭ショートの名手;藤原夏暉(3年)がボール手につかず春山陽生外野手(3年)がエラーで出塁、ここは当然送りです。しかし2者連続犠打失敗で二死となります。それでも1、2番連続四球で満塁とし、途中出場の3番・山口蓮太朗内野手(3年)の右翼線2点タイムリー二塁打で2点GET、6-4と逆転しました。7回から登板した岩佐投手は期待に応えて1安打無失点の好投で大阪桐蔭打線を沈黙させました。このゲームではいくつかの守りのポイントが近江にありました。1回表一死1、2塁から大阪桐蔭4番花田旭外野手(3年)が右中間にライナーを放ちましたがこれを最後は飛んでキャッチしたライト明石楓大外野手(3年)の美技、結果的にはこの後3点取られましたが、ここで抜けていればそれどころではなかったかもしれません。3回表大阪桐蔭先頭4番花田の飛球を背走キャッチした近江・横田悟遊撃手は1年生ながら守備を買われての先発でしたが、2回にはゴロをエラーしていたものの大事には至らず、ここでの美技で花田は2個目のヒットを損しました。島滝悠真捕手(3年生)の盗塁阻止2個も素晴らしかったですね。局面打開で機動力を使ってくる大阪桐蔭に対し、ストライク送球を続けました。単に捕球して素早く送球ではなく、捕球後胸を張ってしっかり腕を振って狙って2塁手前低めにランナーが滑り込んでくる足の位置に投げました。捕球したグラブのところに走者の足が来る、一丁上がり!という感じでした。9回表大阪桐蔭先頭7番野間翔一郎外野手(3年)の痛烈なピッチャーライナーを岩佐投手がキャッチしたプレーも、気合が入っていなければ捕れない打球でした。随所にファインプレーが出た近江(滋賀)の多賀章仁監督は試合後のインタビューで「信じられないです。まだ勝った実感が沸きません。甲子園に育ててもらっている感じ。1、2回に失点して一番心配していた感じになってしまい、はちゃめちゃなゲームになるんじゃないかと思いました」と話しました。
大阪桐蔭の西谷監督が何故先発投手を代えなかったのか、疑問でした。2点返されたあたりでスパっと代えるかなと思いました。試合後「打順の巡りとかいろいろあってうまく導けなかった」と話しました。竹中投手は打撃も定評がありますが、この日は三振、三ゴロ、三振でした。2回戦を勝ち上がった場合、この日から1週間で5試合の過密日程が待っており、投手の球数制限も見据えてのことでしょうか。竹中投手をどうして同点まで引っ張ったのか?西谷監督の勝負勘には定評がありますが、この試合に関しては流れから言って疑問でした。「次の試合のことなんて考えていなかった」と話した西谷監督でしたが、2番手川原投手(2年)の起用については「ブルペン捕手と相談して、川原の状態がいいので起用した」そうです。これ自体は二死取ったところまでみても正しかったでしょう。初戦力投したエース左腕の松浦慶斗投手(3年)は登板機会がなく、最速154キロ右腕の関戸康介投手(3年)も登板機会がないまま大会が終わりました。「本来やらなければならない野球を相手にやられてしまった」と話した西谷監督ですが、いくら「我慢比べのような展開に持っていき、粘って粘って粘り抜いて、しぶといゲームにしたい」のだったとしても、先発は引っ張り過ぎ、野球は流れですから、相手に行きそうだと思ったら、投手はいっぱいいるのですから代えるべきでした。代えないことで我慢比べみたいな展開に自ら持って行ってしまった感じでした。恐らく攻撃がここまで抑えられることが誤算だったのでしょう。「この試合は練習試合100試合分の価値がある」と話した近江の多賀章仁監督は次戦、25日に盛岡大付との対戦です。
ベビースターラーメン大好き;西谷監督の腹を見ると、なんとなく、いつも身近に見ている監督みたいですね(日刊スポーツより)
■ 8月24日は三回戦の前半4試合、いずれも熱戦
8月24日(火)はいよいよ三回戦の前半4試合、さすがにすべて熱戦でした。京都国際6−4二松学舎大付(延長10回)、智弁和歌山5−3高松商、三重3−6敦賀気比、日大山形4−5X石見智翠館でした。日大山形は継投の滝口が誤算、四球連発で自滅、勝てる試合をムザムザ落としました。浦和学院戦でこの投球だったならば浦和学院が楽勝で、実力的には石見智翠館にも勝ったでしょう。勝負の”タラレバ”は負けたほうが言うものです。いずれにせよ日大山形にとっては口惜しい試合でした。宮崎商のコロナ辞退のためずっと待たされていよいよ初登場の智弁和歌山は、イチローさんの指導もあって勝利。二松学舎大付が敗れ、関東の1都6県(東京、栃木、群馬、茨城、埼玉、千葉、神奈川)がベスト8を逃したのは1981年以来40年ぶりです。
■ 8月25日は三回戦の後半4試合、BEST8が揃いました
8月25日(水)は三回戦の後半4試合です。結果は智弁学園7−1日本航空、明徳義塾2−0松商学園、長崎商5−6神戸国際大付(延長10回)、近江7−4盛岡大付でした。長崎商は1回表2点先制、4回に同点に追い着いた神戸国際大付は7回に2点取って逆転、しかし長崎商も8回表同点に追い着いて4-4で延長戦、10回表長崎商が1点先行しますが、その裏地力の神戸国際大付が逆転サヨナラ勝ち。盛岡大付はエース渡辺を先発させなかったのが裏目に出て、3回までにやらずもがなの3点を与えてしまい、3回1アウトから登板、さすがのピッチングでピシャリと抑えます。盛岡大付は3回裏近江先発2年生右腕・山田陽翔投手から2点GETして追いすがります。しかし山田陽翔投手が6回まで投げて、その後をエース右腕岩佐直哉投手(3年)が締める“必勝パターン”にはまり、近江の10安打を上回る15安打と打ちまくりながら、最初に取られた3点が重しになって追い着けませんでした。甲子園では疲れていてもパターンを崩さないことが勝利への道、それを守った近江の勝ち、監督の経験差かな?これでBEST8が揃いました。なお春秋の関東大会には山梨県も出場していて、その日本航空も敗れ、関東勢は完璧に居なくなりました。
■ 8月26日は準々決勝4試合
準々決勝は智弁和歌山以外みな際どい試合でした。石見智翠館はエース山アの踏ん張りでここまで勝ち上がったものの智弁和歌山の前に力尽きました。順当ならここは浦和学院が来るはずでした。京都国際は0-0から8回表敦賀気比に2点先行されたもののその裏同点としサヨナラ勝ち、2年生主体のチームでありながら、諦めない力強さを感じます。準々決勝まで圧勝で勝ち進んできた智弁学園は、馬淵監督率いる明徳義塾・吉村投手のトルネード投法に苦しめられ、8回までわずか2安打1点、一方エース西村投手がいつも通りの力投でこれまた8回まで3安打1点に抑えて迎えた9回表に本塁打を打たれ小畠一心投手の救援を仰ぎました。明徳義塾・吉村投手に対し9回は打順1番から、連続ヒットで最も怖い前川右京を迎えデッドボールで無死満塁、4番山下陽輔にもぶつけて押し出し同点、5番岡島光星遊撃手がヒットして逆転サヨナラ勝ち。明徳義塾は勝ちが見えたことで逆に固くなったか...神戸国際大付−近江は信じられない試合でした。近畿大会で神戸国際大付に逆転負けしている近江は、2年生右腕・山田陽翔投手が6回まで投げて、その後をエース右腕岩佐直哉投手(3年)が締めるのが“必勝パターン”です。この日の山田投手は絶好調、4回まで完全試合ペースでその間に味方は3点GET、しかし5回表先頭打者4番西川侑志捕手(3年)にホームランを打たれ、6回にも1点取られて、予定通り3-2でリードして7回からエース岩佐直哉投手にスイッチしました。近江は7、8回に2点加えて6-2、楽勝かと思いました。ところが6−2で迎えた9回2死無走者から、まさかが待っていました。神戸国際大付は代打攻勢に出ます。あと一つアウトを取れば良いエース岩佐がヒット、ヒット、相手打線につかまり、救援で再登板した山田も2点打を浴びるなど4失点で追い着かれました。さあ、ワッショイ神戸国際大付、なお二死2、3塁、ここで勝ち越せば、流れからして神戸国際大付が勝ったかもしれません。近江の多賀章仁監督(62)は「最後は金足農(秋田)戦を思い出した」そうです。3年前のこれまた夏の準々決勝、1点リードで迎えた9回に2ランスクイズで逆転サヨナラ負けした試合のことです。しかし今回は近江が後攻めであることがこの時とは違いました。最後は山田投手が川西を三振に仕留め、勝ち越しを許しません。その裏一死1塁で打席には主将の春山、3球目を右前へ、エンドランのサインが出ていた一塁走者が、2、3塁回って頭からホームに飛び込んでサヨナラ。8月27日(金)は休養日です
■ 8月28日(土)準決勝は猛暑の試合でした
大会14日目の準決勝は近畿勢対決となりました。第1試合は智弁和歌山5−1近江、ここまで圧勝で勝ち上がった智弁和歌山は、エース中西聖輝(3年)の安定度が抜群、4安打、奪三振10で近江を抑え込みました。大阪桐蔭、盛岡大付という強豪を破り、準々決勝では神戸国際大付にサヨナラ勝ちと、快進撃してきた近江でしたが、2戦で26安打14得点と伝統の強打を誇る智弁和歌山が相手では、2年生右腕・山田陽翔投手が打ち込まれた時点で勝ち目無し。というのも前日神戸国際大付に9回二死走者無しから4点差を追い着かれたエース岩佐投手が投げられる状態ではなかったからです。結局この試合も11安打の智弁和歌山の圧勝でした。第2試合は智弁学園(奈良)3−1京都国際、2年生の多い京都国際は、初戦から2試合連続完投を果たしたエース左腕・森下瑠大投手と、準々決勝で先発して好投した平野順大投手の2年生コンビが聖地で躍動してここまで来ましたが、それというのも2戦連発の中川勇斗捕手(3年)の巧みなリードに負うところ大でした。一方の智弁学園はエース西村投手が先発して終盤小畠一心投手(3年)にリレーして勝つというのが定番です。前川右京外野手(3年)を軸に打撃陣も強力ですが、準々決勝では明徳義塾・吉村投手に抑え込まれ、やっとのことで逆転サヨナラ勝ちしました。準決勝では背番号10小畠一心投手がマウンドへ、京都国際は平野順大投手、双方とも二番手の先発でした。投手戦で迎えた4回表四死球で出た走者を置いて智弁学園8番打者小畠一心が一振り、レフトフライと思われた当りは浜風に乗ってレフト越えスタンドイン、3-0と均衡が破れました。京都国際は5回からエース左腕・森下瑠大投手をマウンドへ、5回裏1点返して反撃ムード、しかし小畠一心投手が崩れません。再び投手戦がっぷり四つのまま試合終了。京都国際は校歌が韓国語なのも話題、来年が楽しみな学校です。
■ 8月29日(日)決勝は智弁対決
決勝は8月29日(日)14時プレーボールです。ここまでの展開を見ると智弁和歌山は強力打線だけでなく、バントや機動力も使うので強そうですが、エース中西聖輝(3年)が準決勝完投ですから、豊富な投手陣だけに別の投手を出してくるかもしれません。本家の意地がある智弁学園は、スクイズなども駆使する攻撃ですが、前川右京(3年)が打つかどうかが勝負の分かれ目の気がします。準決勝出番が無かったエース西村投手が満を持して出てくるでしょう。
さあ、このように予想しました。YAHOO!JAPANニュースで勝利予想の投票画面があり、筆者は智弁和歌山に入れました。7対3で智弁和歌山に票が傾きましたが無理もありません。序盤ドドンと点を取って逃げ切る強さ、鉄壁の守り、強力投手陣、どれをとっても負ける要素がありません。もし負けるとすれば打撃を封じられて、焦りで浮足立つ場面が出てきたときだろうと思っていました。高校野球放送は地デジのNHKのほか、BS朝日でも中継しています。NHKの解説者はお馴染みの方々ですが、BS朝日は高校野球のかつての名監督たち、その解説が楽しみでした。決勝戦は1998年に史上5校目の春夏連覇、甲子園通算5度優勝の元横浜監督・渡辺元智さんでした。試合前、智弁和歌山に分があると話しました。「私の経験上、高校生がベストコンディションを維持できる限度は1週間程度。初戦(2回戦)がコロナによる不戦勝となり、なかなか試合ができなかった智弁和歌山は今が最初のピーク。一方、1回戦から戦っている智弁学園は長雨による調整の難しさもあり、ピークを過ぎてしまっているように見えます」とのこと。「智弁和歌山は打撃の質が変わってきています。直球にめっぽう強い伝統の強打に、変化球への対応力が加わってきている。追い込まれてからミート打法に切り替えるしぶとさもあり、打線に切れ目がない。イチロー氏の熱心な指導のおかげかもしれません。投手陣もエースの中西君を筆頭に、盤石と言っていいでしょう」と続け、「智弁学園にも強みはあります。それは、エースの西村君を温存できたこと。本格派には強い智弁和歌山打線も、緩急を駆使する西村君が休養十分で投げてくれば、なかなか点は取れないと思います。調子を落としている前川君、山下君といった中軸がミート打法に徹し、バントを絡めて1点をもぎ取っていけば、ロースコアの展開に持ち込めるのではないでしょうか」とのことでした。
■ 決勝先発・・・智弁和歌山は誰?
智弁学園は当然ながらエース左腕の西村王雅先発でした。5人の好投手を揃える智弁和歌山は誰で来るかな?と思っていたら、背番号18の伊藤大稀が先発でした。「なるほどなぁ」と思いました。中谷監督の伊藤大稀への信頼度が分かるエピソードがあります。ひとつは、高松商戦で5-1リードして9回裏二死走者無し、ここまで浅野翔吾(2年)の本塁打1本に抑えてきたエース中西聖輝投手(3年)だけに楽勝と思われたのに、ここから四球、中前安打、死球で満塁となり、ショートゴロを名手大西拓磨がまさかの二塁悪送球で2点取られ、ここでマウンドに伊藤大稀を送ったことです。もちろんエラーによる失点ですから中西が全面的に悪いわけではありません。しかし、あとアウト一つから満塁にして失点した流れの悪さを断ち切るためには、ここでスパっとピッチャー交代しなければいけないという中谷監督の勝利への執念、さすがだなぁと思いました。
■ 智弁和歌山は市和歌山の小園−松川越えが課題、どうやって倒したか
もうひとつは県大会決勝戦で、先発を伊藤大稀投手に託したことです。智弁和歌山には甲子園に向けて大きな壁がありました。小園健太投手−松川虎生捕手のバッテリーが強力な市和歌山です。昨秋は新人戦、和歌山大会、近畿大会と3度続けて市和歌山に敗れ、4年ぶりにセンバツ出場を逃しました。市和歌山はセンバツ準優勝の明豊(大分)に二回戦で1-2敗北、0-1で5回から登板した小園投手、松川のタイムリーで6回裏同点に追い着いたものの、直後の7回表にヒット〜犠打〜代打のタイムリーで1点献上、そのまま敗れました。この試合もかぶりつきで見ていて、市和歌山が小園先発で勝つだろうと予想していましたが意外な結果でした。大分・明豊はこれで波に乗って決勝まで進みました。
選手権大会和歌山大会ではすべてコールドで決勝まで勝ち上がった市和歌山に対し、智弁和歌山は延長戦でやっと勝つなど苦しい試合が続きながら「負けない野球」で勝ち上がりました。「甲子園で勝つより市和歌山を倒すほうが難しい」と考えていた中谷監督がマウンドに送ったのが伊藤大稀投手でした。小園投手から点を取るのは難しい、後半勝負に持ち込んで、疲れが出てきたところで点を取って、中西で逃げ切るというプランだったそうです。これが見事にはまって、5回まで0-0、6回裏に高嶋奨哉(3年)が先制適時打を放ち、7回表伊藤大稀投手がピンチを迎えるとエース中西聖輝投手がリリーフしたものの同点に追い着かれましたが、その裏すぐさま大仲勝海(3年)がライトへタイムリー二塁打、更に岡西佑弥(2年)が右越えのタイムリー二塁打で2点取って突き放し、8回裏二死1、2塁のチャンスを迎えると、ここで三遊間の深い遊ゴロ、2塁送球、1塁走者・俊足キャプテン宮坂厚希が2塁に滑り込まず、ベースを蹴って3塁へ向かう、慌てた二塁手がランナーを追う、ランダウンプレーを誘う間に大西拓磨がダメ押しのホームイン、実はこれ、イチローさんに指導を受けた走塁だったそうです。二塁封殺されればおしまいですが、ギリギリなら滑り込むより駆け抜けたほうが速い、アウト覚悟で挟殺プレーに持ち込んで1点取る野球を指導されたそうです。
■ 貝塚ヤング→市和歌山、川端監督の思い
ちょっと脱線して市和歌山の小園健太投手−松川虎生捕手の話です。日本の少年野球は断トツで大阪府が強く、高校野球ではかつてのPL学園や今では大阪桐蔭、履正社のような超強豪が居て、そこに進めばレギュラーすら難しく、他の高校では甲子園は難しいので、全国に散って甲子園を目指す選手が多いわけです。甲子園に出てくる選手たちの出身校を見ると大阪が多いのはこのためです。兵庫県伊丹市の昆陽里小の児童でつくる少年野球チーム「昆陽里タイガース」の坂本勇人投手−田中将大捕手のコンビが八戸学院光星と駒大苫小牧に進んで共に甲子園に戻ってきた話などは有名です。小園−松川コンビは大阪府の南端、和歌山県に接した貝塚市にある中学生の硬式野球チーム『貝塚ヤング』の出身です。古い話で恐縮ですが、バレーボールのニチボウ貝塚は有名でしたね。『貝塚ヤング』の隣のグラウンドで『貝塚シニア』が練習していて、コチラのほうが歴史が古く、ポピュラーだそうです。『貝塚ヤング』の川端末吉監督(67)は、2015年にヤクルトが優勝した年に首位打者にも輝いた川端慎吾内野手の父親で、妹の川端友紀さんも元女子プロ野球選手です。川端監督の選手育成法は本人任せ、放任主義で、自分達で練習メニューを作って野球ノートで報告させる、基本は楽しんで、なのだそうです。そうは言っても、いい選手が集まってきて、卒業したら公立高校では必ずレギュラーになれるという選手たちを育てられるわけですから、何か素晴らしい指導法があるはずです。息子の川端慎吾選手が「親父には怒られたことが無い」というくらいですから、怒って指導するわけではないようです。小園も松川も自宅に帰ってからの自主練習で見えない努力を続けたそうです。つまりは動機付けが出来る監督だということです。松川は中学1年、リトルでピッチャーとサードだったそうですが、貝塚ヤングに同級生が居て、その親の紹介で川端監督が誘って6月に入団、そのとき「キャッチャーをやりたい」と申し出たとのこと。入団して直ぐ、1、2年生のジュニア選手権大会があり、初戦からキャッチャーで4番、1打席目にライトオーバー、2打席目もフェンス直撃、3、4打席は敬遠だったというのですからスゴイですね。地元出身の小園は小学校6年生の12月に貝塚ヤングの野球教室から入団したそうです。入った時は、そんなに球も速くなく、ピッチャーとたまに外野とファーストを守っていたそうです。しかし川端監督はやがて小園のピッチャーセンスに注目しました。「間の取り方、マウンドさばき、雰囲気とか、ピッチャーをするために生まれてきたんちゃうか、というモノを持っていた。マウンドに行ったら、すべてを任せられる」という投手だったと言います。中学では二日間で10イニング以内という厳しい投球制限があるため、たくさんのピッチャーが必要になります。当時8人のピッチャーが居て、全員135キロ以上の球を投げたというのですからスゴイなんてものではありません。3年生ピッチャーの身長は177〜178cm、小園は180cmだったそうです。小園健太投手−松川虎生捕手のバッテリーで3年の夏は全国優勝しました。当然高校の有力校から誘いが来ます。川端監督は、自分の息子の出身校市和歌山を松川に勧めました。小園には他県の甲子園常連私学の誘いもあって、強豪校の練習も見学に行ったそうです。大阪桐蔭の西谷浩一監督もよく来ていたそうです。最終的には松川が一緒に市和歌山に行こう、と小園を誘ったそうです。川端監督は、「二人はプロ野球に行くべき選手だ、大阪桐蔭に行って万一埋もれるよりも、市和歌山でスカウトの目に留まって欲しい」と送り出しました。最後は智弁和歌山に負けてしまいましたが、二人は今秋ドラフトの目玉でしょう。
■ 決勝の試合経過
2021年8月29日(日)14時プレーボール 阪神甲子園球場
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 |
智弁和歌山 | 4 | 0 | 0 | 0 | 0 | 1 | 1 | 2 | 1 | 9 |
智弁学園 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
先攻の智弁和歌山は、智弁学園エース西村王雅の立ち上がりを捉えました。先頭のキャプテン宮坂厚希が初球・低めのスライダーを捉えてセンターオーバーの二塁打、サイレンが鳴り終わらないうちに2塁ベースに立っていました。2番左打者の大仲勝海にはバントをさせるかなと思いました。智弁和歌山は中軸でも犠打で先制点のお膳立てを作るような堅実な場面を良く見てきたからです。しかしこの打席で大仲勝海はピッチャーから背番号4が見える構えから低めのスライダーを引っ張ってライトへ安打で続いて無死1、3塁となりました。そ〜か〜なるほどなぁと思いました。無死1塁ではなく2塁ですから、ムザムザバントしてアウトカウントふやす必要はありません。この2番打者なら最低でも進塁打を打ってくれるはずだと中谷監督は考えたのでしょう。智弁学園は強打線だし、ピッチャー西村のエンジンがかかったら容易には得点できない、ここはまとめてドドンと行こう、ということで打たせたら、目の覚めるような痛烈なライト前ヒット、当りが良過ぎて宮坂3塁止まり、3番角井翔一朗はフルカウントから直球見逃し三振、1球も振らずにアウトというのは決勝の重圧か、智弁和歌山で3番を任せられる打者とは思えません。一死1、3塁から4番徳丸天晴が低めの直球を打ってセンターフェンス手前まで飛ぶ大飛球、これは楽々犠飛で先制点確実ですが、特筆ものは1塁走者大仲勝海のタッチアップでした。これを見て智弁和歌山はスゴイと思いました。なおも5番岡西佑弥(2年)がライトへ安打して二死1、3塁から6番渡部海(2年)が2-2から高めのスライダーを打ってセンターへタイムリー二塁打、7番高嶋奨哉も1-2からスライダーを打って三遊間を破る連続タイムリーで一挙4点を先制しました。西村王雅投手はこの大会で安定したピッチング、失点しないまま終盤ダブルエースの小畠一心投手へつなぐというのが必勝リレーでした。しかし好投手でも立ち上がりに苦しむのは良くあること、ましてや夏の甲子園決勝、相手は兄弟校です。力が入るのは当然です。春のセンバツ準々決勝で明豊(大分)戦に先発、5回で5失点、4-6で負け投手になったのは力んでしまったため、以降打たせて取るピッチングに変える契機となりました。しかし智弁和歌山は好球必打、振らせようと思った球は振ってくれず、ボールを見極められました。追い込んでもファウルで粘る、そして決め球のスライダーをねらい打たれました。結局1回で35球も投げてしまいました。
対する智弁学園は1番に前川右京を入れてきました。これは前にもありましたが、強打の智弁和歌山相手では少しでも前川右京の出番を増やして、得点機会を増やそうということでしょう。これまた攻撃的な作戦です。「前川右京(3年)が打つかどうかが勝負の分かれ目の気がします」と上で書きましたが、前川右京の出番前に早くも4点取られてしまいました。1回裏その前川右京はセンターへ上手くミートして安打、強打せずチームバッティングで出塁しました。ところが後続凡退、盗塁死もあって3人で攻撃終了。ショート大西拓磨の見事な守備が光りました。
2回表智弁和歌山の攻撃は、二死から2番大仲勝海が初球の高め直球をプッシュバント、前打席で痛烈に一・二塁間破っているので二塁手が深く守っています。自分も二塁手ですからこの場面で何をやられたらイヤか分かっていたのでしょう。高校野球に限らず足の速い左打者の二塁前へのプッシュバントはヒット確率が大きいのです。右打者でもピッチャーもファーストも捕れない位置へ転がすとヒットになることが多いのですが、これは余程の技術が無いと出来ないので、小学生などではほぼ無理ですね。ピッチャーもファーストも打球に向かい、セカンドが捕って1塁送球しようとしたら誰も居ない、大仲勝海ヘッドスライディングしてセーフ、見事でした。しかし続く3番角井翔一朗はフルカウントからスライダー見逃し三振、いったいどうしたんでしょう?西村投手この回は15球でしたが、2回で早くも50球です。その裏智弁学園は、4番山下陽輔が四球出塁、バントで送って6番・植垣洸が強い当たり、ライト前へ抜けるかというゴロをセカンドの大仲勝海が追って最後はダイブしてキャッチ、起き上がって1塁送球セーフ!ヒットです。この間にランナーホームインして1点返し、なおも二死1塁から、8番・谷口綜大が放った当たりをライトが突っ込んで捕ろうとしてボールが後ろへテンテンテン、2点目が入り、一気にランニングホームランを狙った谷口は上手い中継プレーで本塁タッチアウトとなりましたが、早いイニングで2点を返して反撃態勢に入りました。なおこのライトへの当たりは1ヒット1エラーではなく、三塁打です。捕れば大ファインプレーでした。
3回表智弁和歌山は安打、四球で一死1、2塁のチャンスを作りましたが無得点、西村投手76球。その裏智弁学園三者凡退、伊藤大稀投手41球、いいペースです。
4回表智弁和歌山の攻撃は、2回表と同じく9番大西拓磨、1番宮坂厚希が凡退するも、二死から2番大仲勝海がセンター前にヒット、どうにも止まりません。しかし3番角井翔一朗がフルカウントからカーブに空振り三振、これで三打席連続フルカウントからの三振です。西村投手はここまで92球ですが、2回以降立ち直ってボールにも伸びが出てきました。その裏、智弁学園は3番岡島光星がセンターへヒット、4番山下陽輔が四球出塁、ここで智弁和歌山の中谷監督がピッチャー交代、伊藤大稀投手からエース中西聖輝にスパっと代えました。これは早めの継投だなと思いました。前日124球完投している中西です、疲れはあるでしょうが大丈夫かな?と思いました。送りバントで一死2、3塁になり、迎えるは先制点タイムリーを打っている6番・植垣洸です。空振り三振に仕留め、7番打者も空振り三振、見事な無失点リリーフでした。結果論ですが、これが勝負の分かれ目でした。
5回表智弁学園エース・西村王雅は完全にエンジン全開、智弁和歌山を三者凡退に仕留めます。しかしその裏智弁和歌山エース・中西聖輝も力投します。2点ビハインドですから智弁学園は9番西村に代打を出さざるを得ません。しかし二死となって1番前川右京がヒットで出るも無得点。
6回から智弁学園も、同じく準決勝で完投勝利の背番号10小畠一心が登板します。7番高嶋奨哉は高く打ち上げてピッチャーとサードの間、ショートも出てきましたが三塁手に任せます。オットット、これを三塁手が落球し、打者走者高嶋奨哉は二塁到達です。「浜風ですか?」と聞くアナウンサーに解説の渡辺元智さんは「いや、青空ですよ。高く上がった球は青空に吸い込まれて見えなくなることがあるんです。アッと分かった時にはもう遅い、こういう雲一つない青天のときにはよくあることです」とのことでした。8番中西聖輝の1塁ゴロは3塁送球、高嶋が挟まれてランダウンプレーの間に中西が2塁到達、ランナー入れ替わりの形になりました。右への当たりですから2塁走者は当然3塁に向かいます。しかし素早い送球で、このままでは3塁タッチアウトになると感じて急ブレーキ、自分が挟まれている間に打者走者を2塁に行かせようと逃げました。良く鍛えられた走塁だなぁと感じました。9番大西拓磨はセフティバント、小畠捕って1塁送球、しかし落球、守備のミスが2つ重なり一死1、3塁のピンチ、1番・宮坂厚希がライトへ適時打して1点、5-2、しかしライトからの好送球で大西拓磨は3塁タッチアウト、ここで打席には3打数3安打の2番大仲勝海、四球で歩き二死1、2塁、さあ3番ここまで3打席3三振の角井翔一朗、今度こそやってくれるだろうと思ったらストライク1から低めのカーブを打ってファーストゴロ。次の1点をどちらが取るかが勝負の分かれ目との解説でしたが、ダブルエースの小畠一心を出して二つのエラーで失点したことで、流れは大きく智弁和歌山に傾きました。6回裏智弁和歌山は打撃不振の3番角井翔一朗に代えてレフトに須川光大を入れました。角井翔一朗は今大会活躍してきましたがこの試合は不振、投手との相性もあるので仕方ありません。
7回表、智弁和歌山は、二死から6番渡部海(2年)がセンターへヒット、7番高嶋奨哉がレフトオーバーのタイムリーツーベースで1点追加、6-2となりました。その裏智弁学園は7番中陳六斗のヒット、1番前川右京の二塁打で二死2、3塁としますが無得点。
8回表、智弁和歌山は、9番大西拓磨ヒット、1番宮坂厚希が送りバント、あわよくば自分も生きようというセフティバントでしたが、大きくリードしていてもこの貪欲さは相手に与えるプレッシャ大ですね。2番大仲勝海またしてもヒットで4打数4安打、3番角井に代わってレフトに入っていた須川光大は見逃し三振2アウト、4番・徳丸の2点タイムリーツーベースで8-2とリードを広げ、その裏智弁学園は4番山下陽輔がヒットで出たものの無得点。同じ4番がヒットしていても打線になっているかどうかで結果が大きく違います。
9回表、勢いに乗る智弁和歌山は、先頭打者6番・渡部海(2年)がレフトスタンドに飛び込むソロホームランで9-2ダメ押し。7点差となったその裏、優勝をかけたマウンドに好投を続ける中西聖輝が上がります。もう楽しくてたまらないという感じでニコニコしながら、中西は7番中陳六斗を空振り三振、8番谷口綜大はイイ当たり1塁ライナー、9番小畠一心に代打も空振り三振、最後まで智弁学園に付け入る隙を与えず91球で試合を締め、エースとしての役割を見事に果たしました。勝った瞬間マウンドに集まるのかと思ったら、相手に対しての礼儀から喜びの表現を抑えた智弁和歌山でしたが、校歌を歌う間も、嬉しくてたまらないという中西聖輝の表情が印象的でした。
「前川右京(3年)が打つかどうかが勝負の分かれ目の気がします」と上で書きましたが、前川右京は4打数3安打の大活躍、3番岡島光星も2安打、4番山下陽輔も2四球1安打、これでどうして?ということは、打線にならなかったということです。前川右京1番が裏目でした。しかし試合終了後泣きじゃくる仲間を一生懸命励ましていた前川右京の姿に、やるべきことはやったが負けは負けという残酷さを見ました。スラッガーながら大きいものを狙わず、チームバッティングに徹してチャンスメークした前川右京にとっては、この経験が宝物になって行くのではないでしょうか。
■ 就任3年で優勝・・・中谷仁監督が名将に名乗り
智弁和歌山を21年ぶり3度目の頂点に導いた中谷仁監督(42)は、前任の高嶋仁名誉監督(75)から名門校を引き継ぎました。高嶋仁さんにとっては年齢もさることながら、「根性の野球」というスタイルが変わらざるを得ない時代になったことで、引退を決断したのでしょう。智弁和歌山では2年時の1996年センバツで準優勝、1997年には主将を務め、同校初の夏の甲子園優勝を経験しました。同年ドラフト1位で阪神に入団し、楽天、巨人でもプレーしましたが、捕手で通算111試合に出場して打率1割6分2厘、4本塁打、17打点と、花開くには到りませんでした。高校野球とプロ野球には一時壁が出来て、プロ経験者は高校野球の指導者にはなれないという時期が続き、2013年にこれが解禁になって、2017年春に智弁和歌山のコーチに迎えられました。2018年8月に監督に就任しましたが、智弁学園と智弁和歌山両方の監督を務めたレジェンドで甲子園68勝の高嶋仁さんの後任を引き受けるのはよほどのプレッシャだったのではないでしょうか。とにかく選手目線に立って、一緒に努力しようとしたそうです。選手から「まるで同級生だ」と言われるそうですから、その指導ぶりがわかります。名門智弁和歌山の監督なのに、各地の名監督に教えを乞うたそうです。すると結果はすぐ出ました。2019年にセンバツ8強、夏は16強に導いたのです。そして今回の優勝について「めちゃくちゃうれしかった。大きな壁だった市和歌山・小園健太投手を超えられたことで、今大会1戦1戦、小園君に比べたら何とかなるという気持ちを持って戦えた」と語りました。高嶋仁名誉監督は試合後のインタビューで中谷仁監督の決断を讃えました。「流れを見て、決断するのが速い、さすがはプロ野球経験者だし、捕手だったからピッチャーのことも分かっている」と褒めて、市和歌山との決勝戦でも先制タイムリー、この試合でも活躍した孫の高嶋奨哉については「前の打者たちへの配球を見て自分にはこういう球が来るだろうと考えて、その球を狙っていた。野球は考えるスポーツだから、頭を使わないと勝てない。そこが良かったね」と言いました。内心は嬉しくてたまらなかったでしょう。
■ イチローさんと智弁和歌山
マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務める日米通算4367安打の英雄;イチローさん(47)=本名・鈴木一朗=が、どうして智弁和歌山を指導したのか?母校:愛工大名電も強豪で、今大会の前評判は智弁和歌山より上でしたが、初戦で初出場の東北学院(宮城)に負けてしまいました。その東北学院はひとり新型コロナウイルス感染者が出たため出場辞退してしまいました。愛知県の愛工大名電高校は、イチローさん以外にも、ソフトバンクの工藤公康監督や、ホームラン王2回の山崎武司さんもOBの強豪ですが、なぜ母校よりも智弁和歌山を選んだのか?恐らく高校時代に余り良い思い出が無いのでしょう。野球で、プロとアマは長い間断絶してきました。1960年代、プロによる強引な引き抜き事件があったことで確執が生まれ、プロ野球関係者がアマチュアを指導するのは完全NGになったのです。冗談ではなく、プロ野球選手が自分の子供とキャッチボールが出来ない時代が長らく続きました。その後、徐々に雪解けが進み、指導者になるための資格を取得すれば指導は可能になりましたが、条件は“プロ球団を退団していること”です。イチローさんは米マリナーズに籍を置いていますが、球界への功績から特例でOKとなりました。2019年3月に引退したイチローさんは、アマ野球界の発展のために貢献したいと常々口にしていました。12月、高校生の指導に必要な「学生野球資格」を取得するための研修会を受講しました。そして指導する相手に選んだのが智弁和歌山でした。2018年に智弁和歌山の試合を観戦したイチローさんは、高校野球ファンの間で“魔曲”と呼ばれる名曲『ジョックロック』を奏でて応援するブラバンと「C」のマークを形成する応援団に感銘を受け、それを伝え聞いた学園関係者が連絡して、2019年オフには同校教職員チームと草野球で試合をする仲となりました。そして2020年12月、イチローさんは3日間、非常勤コーチとして野球部を指導しました。この時期は市和歌山に負けてセンバツ絶望のどん底でしたが、練習を見たイチローさんは、手抜きしない練習振りに目を瞠ったそうです。走塁では「なるべく動きはシンプルな方がいい。やらないといけないことが増えると野球は難しくなる」、「緊迫した時は全体を見る。筋肉が緊張するとパフォーマンスが下がる」などアドバイスをしました。打撃練習では身ぶりを交えた指導に加え、お手本でポンポンホームランを飛ばし、部員たちをビックリさせました。選手たちはイチローさんの一挙手一投足を見逃すまいと観察したそうです。宮坂厚希主将が印象に残っている言葉は、3日目の終わりに言われた『ちゃんとやってよ』でした。受け継いだ技術を、実践し継続してほしいとの意味でした。「イチローさん、ちゃんとやりましたよ」・・・優勝して胸を張って言えたでしょう。
■ 甲子園の思い出
HP管理人は2000年夏甲子園球場のスタンドに居ました。青森光星学院高校を応援するためです。今は八戸学院光星という名前になっていますが、カトリックのミッションスクールで、硬式野球部は全国的にも強豪として知られています。2000年のエースは広大投手で、我が「鶴ヶ岡三丁目町会」会長の息子さんです。少年野球「鶴ヶ岡少年野球クラブ」のエースでした。管理人と広大のお母さんはかつて、「埼玉県東入間学童野球連盟」の事務局を一緒にやっていました。それが今は「鶴ヶ岡三丁目町会」の役員で一緒なのですから運命的ですね。広大が青森光星学院高校に進んだのは、当時甲子園に行こうとしたら確率が一番高かったからでしょう。当時の青森県は光星学院か青森山田が甲子園で、光星学院のほうがずっと確率高く、全国から優秀な選手が集まっていました。中心選手は大阪や兵庫が多かったため、青森光星学院ではなく、「大阪構成学院」と揶揄されることもありました。エースは埼玉県出身・広大で、リリーフは珍しく地元青森県出身の根市寛貴というパターンで継投していました。2000年夏の甲子園では、2回戦10-8丹原、3回戦4-3九州学院、準々決勝2-1樟南と勝ち進み、青森県勢として1969年太田幸司投手の三沢高校以来のベスト4に進出しました。管理人は準々決勝の応援に行ったのですが、当時埼玉県入間郡大井町の野球関係者が大型バスを仕立てて応援に行くのに応募したのです。夜行日帰りのつもりでした。BEST8まで進んだだけでもスゴイ、鹿児島の樟南高校相手ではここまでだろうと参加者たちは内心思っていました。甲子園のスタンドで、青森県の高校だから応援は少ないだろうと思ったらとんでもない、ブラバンも確か4つ5つぐらいの友情応援の大混成吹奏楽団、3試合目ですから意気も合っています。地元大阪、兵庫出身の選手が中心なので友情応援の吹奏楽団が集まったみたいで、大音量の物凄い応援でした。甲子園はテレビで見るのとスタンドでは大違い、鳥肌が立つ経験でした。試合は夏の甲子園で初めて根市寛貴投手が先発、手に汗握る緊迫した試合で、広大がリリーフして勝ちました。さあ大変です。準決勝は翌日、帰るわけには行きません。急遽大阪・江坂のサニーストンホテルを予約して一同宿泊、大型バス1台分の人たちが当日予約で良くぞ宿泊できたものと思います。実は地下鉄御堂筋線江坂駅に繋がっている大同生命ビルの最上階には筆者の勤めていた会社の大阪支店があり、六甲連山が見えて見晴らし最高でした。当時飛ぶ鳥を落とす勢いの企業だったのでこんな立地が出来たのです。近くにスシロー本社もあります。
当然ながら江坂駅前で祝勝大宴会、この界隈は出張するたびに飲み歩いていたので、店は良く知っていました。ただし山口組の関係で、少々ヤバイこともあり、そのあたりはちゃんと...
■ 残念会の大宴会
準決勝は江坂から大型バスに乗って甲子園球場の駐車場で下りてスタンドイン、相手は智弁和歌山です。さしもの大混成吹奏楽団も、智弁和歌山の「C」の人文字と、この年から採用された名物応援曲『ジョック・ロック』や『サンバ・デ・ジャネイロ』に乗ってのスマートな応援にはかないません。青森光星学院は広大が先発、根市寛貴がリリーフして大接戦、智弁和歌山に5-7と敗北、惜しくも決勝戦進出はなりませんでした。帰りのバスに乗って、途中京都で高速を降りて、残念会の大宴会、広大の家が大判振る舞いして応援してくれた方たちをねぎらってくれたのです。前夜の宿泊代も含めれば大出費だったでしょう。しかし、自分の息子が甲子園に出て、しかも準決勝まで活躍してくれたら、借金してでもと考えるのが親心でしょうね。やりたくても出来ない人がほとんどです。
■ 強打の智弁和歌山が野球スタイルを変えて頂点に
結局2000年夏の甲子園で智弁和歌山は優勝したのですが、このときの1大会通算100安打と13本塁打の記録はいまだに破られていません。以来、智弁和歌山には「強打」「豪打」のフレーズが付いてまわるようになりました。ただ、当時抽選で組み合わせが決まった瞬間、ナインは言葉を失ったそうです。初戦の新発田農に勝ったら、2回戦が甲子園最多優勝の中京大中京(愛知)、さらに勝っても3回戦は当時前評判1のPL学園(大阪)と巧者;明徳義塾(高知)の勝者でした。組み合わせを見て、頭の中が真っ白になったとのこと。センバツ大会で準優勝していましたから、どこが来ても怖くないというものではありません。春と夏では違うのです。当時の智弁和歌山は1学年10人の少数精鋭で(今は中谷仁監督の方針で13人が基本で、県外生が少し増えました)、理由は部員が多いと指導者が全員に目を配れないためと、卒業後の進路をみられるためでした。和歌山県有数の進学校で、学校・監督の方針で部員は大学進学が基本でした。高嶋仁監督時代は県外生は1学年2人までに制限していました。これは、県代表である以上は地域の理解が必要であり、甲子園に出場した時に県代表として応援してもらうため、などが理由として挙げられていたのです。2000年は中京大中京(愛知)、PL学園(大阪)を撃破して準々決勝の相手は柳川(福岡)、センバツでは同じく準々決勝で対戦し、1-0で勝ったものの、エース香月良太(元巨人)は大会ナンバーワン右腕でした。延長11回サヨナラ勝ち、準決勝で光星学院(青森)を破った智弁和歌山は春夏連続して決勝に進出しました。夏の頂点を争う相手となったのは東海大浦安(千葉)でした。センバツの決勝では東海大相模(神奈川)に敗れていたため、同じユニフォームの学校には負けられないと、高嶋仁監督をはじめ、全員が意気込み、取ったら取り返される展開の末、20安打11得点と打ち勝ち、全国制覇を成し遂げたのです。ちなみに高嶋仁監督時代は「打ち勝つ野球」でしたが、中谷仁監督は「負けない野球」、そのためには良いピッチャーが複数必要です。投手が多くなると部員も多少増やさなければならないので、1学年3人増やしたのでしょう。2000年以来21年ぶりに優勝した智弁和歌山はまさに「負けない野球」を実践して頂点に立ちました。
新型コロナウイルス第五波の緊急事態宣言下で行われた東京五輪は、7月23日開会式、8月8日閉会式の17日間、日本が金メダル27個、銀メダル14個、銅メダル17個、合計58個のメダルを獲得して幕を閉じました。13年ぶりに復活した種目のソフトボールと野球で日本が金メダルを獲得しました。次のパリ五輪ではもうこの種目はありません。
■ ソフトボール13年ぶりの金メダル
日本チームに勢いをもたらしたのは「ソフトボール」です。次回パリ五輪では競技種目から外れるのは、競技人口が少ないので仕方ありませんが、日本では野球と共に人気のスポーツです。その理由は、サッカー等ほかの球技と違い、体力面以外の頭脳的プレーが勝敗を分けるので、日本人に向いているからです。どうしても日本人は体力で欧米人やアフリカなどには劣りますが、頭を使うスポーツは得意です。ただし上野由岐子さんだけは体力でもガイジンには負けていません。金属バットをへし折るなんて考えられません。
日本は予選リーグ、4勝同士の全勝対決で米国に1-2サヨナラ負けしましたが、決勝進出が決まっていて、いわばこの試合は文字通り試し合いでした。上野投手、後藤投手を温存してもここまでできるんだと示したことで、金メダルは可能だと思いました。決勝は7月28日横浜スタジアムで行われ、世界ランキング2位の日本は世界1位のライバル・アメリカと対戦しました。試合は1回表先攻日本、米国の先発はこの五輪のために一度競技をやめたのに戻ってきたキャット・オスターマン投手、ベテランであることが顔ににじみ出ています。1番山田恵里選手(デンソー)がピッチャー強襲ヒットで出て、内野ゴロの間に三塁まで進みましたが、無得点。その裏米国は一死から2番がセンターオーバー三塁打、3番三振ですがこれを我妻悠香捕手(ビックカメラ高崎)が後ろへ逸らし打者走者振り逃げ、サードランナー本塁突入、ホームベースをカバーした上野由岐子投手(ビックカメラ高崎)が捕手からの送球を受けてタッグ!アウト!うまく足でブロックして、ホームベースを完全に隠さないようにしてオブストラクションを避けた見事なプレーでした。2回表日本は8番市口侑果選手(ビックカメラ高崎)がライトへ大きな当たりを放ちましたが、米国の好守に阻まれました。2回裏四球で出したランナーをピッチャーゴロ併殺で切り抜けました。3回表日本は9番渥美万奈選手(トヨタ自動車)がクサイ球カット、10球粘ってフォアボールを選びます。これを見てアメリカはピッチャーをカルダに交代、デッドボールでチャンスが広がりますが抑えられました。3回裏上野投手が三者凡退に抑えたことで日本に流れが来ます。4回表、5番指名打者藤田倭選手(ビックカメラ高崎)がヒットで出て山ア早紀選手(トヨタ自動車)がバントで送り、我妻悠香選手のピッチャーゴロの間に3塁に進み、2アウから9番・渥美万奈選手がセカンドゴロ、1塁ヘッドスライディング〜セーフ!タイムリー内野安打となって日本が1点を先制しました。続く5回には2アウトから当たっている4番山本優選手(ビックカメラ高崎)がセンター前ヒット、アメリカはピッチャーをエース;モニカ・アボット投手(トヨタ自動車)に交代、バッテリーミスの間に山本優選手はセカンドに進塁、5番・藤田倭選手が外角球を狙いすましてライトへ流し打ちのタイムリーヒットを打って追加点をあげました。投げては先発したエースの上野由岐子投手が5回まで無失点に抑えました。6回表には我妻悠香選手がセンター前ヒットで出ますが後続倒れ、その裏先頭バッターをレフト前ヒットで出したところで今大会絶好調の後藤希友投手(トヨタ自動車)にスイッチします。後藤投手は怖い1番を三振に切って取りますが、2番打者にセンター前ヒットされ一死1、2塁のピンチを招きました。これまた怖い3番のイイ当たりがライナーでサード山本優選手を襲い、左腕に当たって跳ねた球を三遊間方向に走っていたショートの渥美万奈選手がダイレクトキャッチ、すぐさま2塁送球、市口侑果選手キャッチしてランナー戻れずダブルプレーという信じられないような好守があって無失点で切り抜けました。この場面、普通ならグラブをはじいて打球が落ちるのに、何故か腕に当たったためにライナーのままだったのが幸いしたわけで、滅多に見ないケースでした。7回表にはセンター前ヒットで出た原田のどか選手(太陽誘電)を置いて5番藤田倭選手がレフトへ大きな当たり、ホームランを腕を伸ばしてキャッチするというファインプレーで阻まれました。両軍勝ちたい思いが必死のプレーに現れます。さあ、いよいよ米国最後の攻撃、7回裏には先発した選手は1回だけ再び出られるため、上野投手が再登板、センターフライ、ファーストゴロ、そしてキャッチャーファウルフライで抑えて、日本が2対0で勝ち、13年前の北京大会から3大会ぶりに復活し、その時以来の金メダルを獲得しました。ここまでの経過を見てお分かりのように、日本は毎回ランナーで攻めに攻め、米国は大会を通じてノーエラーの日本の守備力と上野由岐子投手の力投の前に抑えられ、日本が勝つべくして勝った試合でした。宇津木麗華監督は、「今まで上野のおかげでソフトボールで優勝することは夢じゃないと思わせてくれたし、今回も上野が必ずやってくれると思った。本当に上野に感謝したい」と活躍をたたえていました。そして決勝戦のヒーローは皆ですがあえて一人挙げるなら渥美万奈選手ですね。好守もさることながら、非力なのに何が何でも自分の役割を果たすんだという気迫が打席で感じられて、素晴らしい選手だと思いました。
■ 日本が野球で初の金メダル
東京五輪・野球競技は予選全勝の日本が、2021年8月7日(土)、横浜スタジアムで行なわれた決勝に臨み、日本がアメリカにソフトボールと同じく2−0で勝利、1984年のロサンゼルス大会以来37年ぶり、正式競技となった1992年のバルセロナ大会以降では、初の金メダルを獲得しました。3回裏に8番・村上宗隆(ヤクルト)のソロホームランで先制した侍ジャパンは、8回裏にも3番・吉田正尚(オリックス)のヒットで三塁に進んだ山田哲人(ヤクルト)が、外野からの送球が逸れて捕手が捕れないのを見て本塁突入、滑り込んで・・・セーフとなって加点しました。この勇気のある走塁が、貴重な追加点を呼び込み、ここまで何とか持ちこたえてきたアメリカには、決定的ダメージになりました。このリードを、先発の森下暢仁(広島)以下、千賀滉大(ソフトバンク)、伊藤大海(日本ハム)、岩崎優(阪神)、栗林良吏(広島)の無失点継投で守りきり、隙のない野球で頂点に輝きました。当たっていない4番鈴木誠也(広島)をどうするか決勝戦前には話題になっていましたが、稲葉監督の性格からして、あくまで4番鈴木誠也を崩さないだろうと見ていましたがその通りでした。この試合で鈴木誠也はマルチヒットを放ち期待に応えました。予選・決勝を通じて、投手陣も良く、守りも良い日本が金メダルを取れたのは当然という海外メディアの見方でしたが、ハッキリ言って楽な試合は一つもありませんでした。初戦など負けるかと思いましたが、選手たちが采配の拙さをリセットする頑張りで勝利しました。MVPには山田哲人(ヤクルト)が選ばれました。韓国戦での走者一掃の一打は特に見事でした。ベストナインには、日本からは右投手部門で山本由伸(オリックス)、捕手部門で甲斐拓也(ソフトバンク)、遊撃手部門で坂本勇人(巨人)が選ばれました。柳田悠岐(ソフトバンク)は全5試合にフル出場、直前に右脇腹の違和感のアクシデントもありましたが、稲葉監督から見たらこの選手は日本の中心として欠かせません。初戦のドミニカ共和国戦で2点を追う9回1死から、サヨナラ劇につながる内野安打を全力疾走でもぎとったプレーなど、日本代表のプライドを感じさせたプレーでした。山田哲人のMVPは文句無しですが、大会を通じて一番のヒーローは日本チームから見たら甲斐拓也捕手ですね。決勝では5人の続投による完封リレーを引き出した甲斐のリードの巧みさが際立ちました。相手も強肩を知っているため走れない、打撃でも曲者ぶりを発揮して走者を進める、相手から見たら一番イヤな選手だったでしょう。米国メディアは「オリンピックのアメリカチームは、現役メジャーリーガーは招集できないため、元メジャーやマイナーの選手で構成されたチームです。それが日本のオールスターを相手によく戦ったと思います」とコメントしました。元メジャーとは言え、日本のNPBでプレーしている選手たちは米国へ帰れば現役メジャーですからちょっと失礼な言い方ですが、確かに現役プロ野球のバリバリの選手で構成されたのは日本と韓国ぐらいです。メダルを獲れなかった韓国は国内のメディアやネットで叩かれて大変みたいですね。
2021年8月7日(土)は横田冬馬先輩が来てくれました。午前中に2013年度の主将だった内藤匠之介先輩が差し入れ持ってグラウンドに顔出してくれました。聖望学園で高校野球で活躍したことは2019年度のトピックスで紹介しました。今は大学2年生ですが、下の「練習手伝ってくれる先輩に感謝」の懐かしい顔を見てこれは自分も忘れられてはなるまいと思ったようです。この日は練習を手伝うでもなく挨拶だけで帰りました。2013年度のチームはいまだにウエスト最多勝ですが、内藤匠之介先輩はショートを守りながらレフトフライもセンターフライも捕ってしまうような広範囲の守備力の上に強打でした。他の選手が失敗しても冨士川監督は選手を集めて内藤匠之介主将を叱りました。「お言葉ですが...」と言うこともなく、ふてくされることも無く、叱られても一生懸命の姿にチームワークが強固となり、自分たちで考えて指示し合って試合で力を発揮する素晴らしいチームが出来ました。
8月8日(日)は台風の影響で大雨になるという予報でした。台風9号、10号、11号が西から東の太平洋南方に綺麗に三つ並び、更に10号と11号の間に熱帯低気圧があって、これが関東沿岸部に大雨をもたらすとの予報でした。7日(土)は川越の霞ヶ関カンツリークラブで東京オリンピック女子ゴルフ最終日、稲見、畑岡、笹生(フィリピン代表で出場)が頑張っています、天気もってくれ...と祈りながら時々スマホをチラリ 昼頃に突然の強い雨・・・しかし間もなく止み、雷雲ではないのでそのまま練習続行、一緒に練習していた上福岡第五クラブは早めに引き上げましたがウエストはバント練習、ふじみ野リトルシニアの丹下大河と山ア洸が来てくれたので手伝ってもらいました。最後は翌日プールになるであろうと思いつつもしっかりグラウンド整備して終了としました
高校野球の名監督のひとり 若生正廣(わこう・まさひろ)さんが2021年7月27日午前6時18分 肝細胞がんのため仙台市泉区のご自宅で死去されたとのこと 70歳でした 高校野球を愛するものとして 安らかな眠りをお祈りします 若生さんは仙台市出身で 1987年に埼玉栄高の監督に就任されました 1993年に母校・東北高の監督となりましたが 当時上福岡シニア(現在のふじみ野リトルシニア)で関東大会出場など活躍していた嶋重宣さん(愛称赤ゴジラ 上福岡第五クラブ出身 現埼玉西武ライオンズ三軍コーチ)は若生監督を慕って東北高校に進学し 春夏3回甲子園出場 その後広島東洋カープに入団して首位打者となったこともあります 2003年夏の甲子園でダルビッシュ有(現米大リーグ パドレス)を擁して準優勝した若生さんは2004年春・夏の甲子園で優勝候補ながらいずれも9回2死までリードしていて逆転負けという不本意な結果に終わり 健康上の理由で退任しました 翌年には福岡・九州国際大付高の監督に就任しましたが 2007年に靱帯が骨のように固まり両足に痺れや痛みを伴う難病の「黄色靱帯骨化症」を患って歩行に杖が欠かせない身体となってしまうも指揮を執り続け 2009年夏に27年振りに同校を甲子園出場に導き3回戦まで進みました 2011年春の選抜大会直前に宮城の自宅が東日本大震災で被災しましたが 九州国際大付高の選手たちは監督の不幸を跳ね返すように奮起して決勝で東海大相模に敗れたものの準優勝に輝きました 2015年に埼玉栄高の監督に復帰し 2019年に勇退されました 埼玉県では急に埼玉栄高が強くなって やはり監督の力とはすごいものだと思わされました 甲子園に春夏計11度出場の名将のご功績に感謝し・・・・合掌
このところ2008年度の青木一也先輩、2010年度の横田冬馬先輩、2013年度の川井田流碧先輩はじめ、様々な先輩が代わるがわる練習を手伝ってくれて、選手を指導してくれています。チームが強いときには先輩が来てくれるのかナと思っていましたが、どうもそうではないようです。今年の選手たちは昨年のように大会が続々中止になって、強いのに試合ができないという不遇ほどではありませんが、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が続く中でも小学生の健全育成が重要だという文科省の方針のもと、中止になった大会はもちろんありますが、昨年以上に試合の機会には恵まれてきました。ただ敗戦続きで、指導者たちも、どうやったらこの子たちに強くなってもらえるか、叱咤激励、暗中模索、試行錯誤・・・四文字熟語がグラウンドを飛び交っています。そんなときに、COVID-19第五波襲来で、またもや2021年8月2日から8月31日まで緊急事態宣言が発出され、試合が出来なくなってしまいました。しかし2021年7月31日(土)、8月1日(日)にはカンカン照りの中、2005年度の冨士川文太先輩、2010年度の横田冬馬先輩、2012年度の杉浦辰哉先輩、2014年度の渡辺巧真先輩が来てくれました。さらに高校野球を卒業した2015年度の長谷川大和先輩と長田頼先輩も顔出してくれました。有難いことですね
新型コロナウイルスの影響で昨年は高校野球選手権埼玉大会が中止となり、その代替となる独自大会が行われました。今年は7月9日〜7月27日の日程で大会が実施されます。前年より1チーム多い149チームが参加します。開会式は7月9日県営大宮球場で開幕試合を戦う2チーム(東農大三、川越南)と選手宣誓を行う星野高校の星静流主将のみが参加して「開始式」を9時〜実施。応援については楽器、メガホン、エアスティックの使用禁止(ただし太鼓1台は可)。1、2回戦は学校関係者・保護者のみで無観客、3回戦以降は有観客(各球場で観客数制限あり。県営大宮は応援団体含め最大5,000人)入場料は高くなって全席自由で一般(中学生以上)1,000円。小学生以下、引率者がいる少年野球・中学生チーム(引率者・保護者は有料)、障害者(要障害者手帳)とその介添え者1人は無料。チケットは完全前売りで球場での当日販売はありません。
主催:朝日新聞社のサイト
埼玉高校野球情報局のサイト
高校野球ドットコム
一球速報.com
組合せ
【展望】春の県大会3年ぶり優勝の浦和学院、準優勝の花咲徳栄の二校が今夏も本命でしょうが、昨秋の県大会で初優勝し、春も4強の昌平、春4強の上尾、Cシードの浦和実、埼玉栄、春日部共栄、立教新座、Dシードの秀明英光、大宮北、早大本庄、大宮東、本庄東、叡明、川口市立、細田学園が有力です。昨夏の独自大会優勝の狭山ケ丘はどうした?昨年の主力が卒業したので...山村学園はどうした?強力メンバーを揃えながら取りこぼしたのでシードされませんでした。やはり有力校のメンバーはリトルシニア出身の選手がズラリと揃っています。中でも浦和学院や花咲徳栄は全国から選手が集まって埼玉県出身の選手は先発メンバーから探すほうが困難、他の私学有力校も近隣都県からの選手が目立ちます。そんな中でひときわ目を引くのが昨秋県準優勝の細田学園、先発メンバーは少年野球で見たことのある選手やリトルシニア出身でない選手たちも居ます。失礼ながら良くぞこのメンバーで...と他校のメンバーと見比べると驚きます。判官びいきの方には断然お勧めの有力校です。大井ウエストOBは武蔵越生に長谷川大和(3年)、細田学園に瀬戸尾侑宏(3年)、山村学園に長田頼(3年)と松原寛太(2年)、花咲徳栄に熊倉柚(2年)、星野に田口成(2年)、川越工に澤口聖(2年)、朝霞西に倭祐茉(2年)が居ます。
【三回戦まで】2021年7月9日(金)県営大宮球場での開会式は、雨のため2時間遅れで行われました。選手宣誓は星野高校の星静流主将、開幕試合は東農大三が6-2で川越南に勝ちました。朝霞西は一回戦、2015年に決勝進出して花咲徳栄に敗れた白岡との対戦、3-2で勝利、二回戦は蕨を7-1で破り、三回戦でDシードの大宮東に1-8敗れました。7月17日(土)で三回戦が終わりました。ここまでシード校で敗退したのは本庄東のみです。いきなり好カードで注目された浦和学院VS聖望学園は期待通りのデッドヒートを6回に一気にひっくり返した浦学が終わってみれば8回コールド勝ち、細田学園VS狭山ヶ丘は細田学園2番長久保佳敬(亀小クラブ出身)、3番瀬戸尾侑宏(ウエスト出身)が共に4打数2安打で5-2と細田学園勝利、公立の雄・上尾VS川越工は川越工の澤口聖(ウエスト出身)が後半出場、追い上げるも届かず3-4でBシード上尾に敗れましたが、よく頑張りました。他のシード校はいずれも圧勝でした。山村学園は2、3回戦勝ち進み、長田頼は共に代打で出ましたが凡退。2回戦勝ち上がった武蔵越生の長谷川大和は先発では出ていませんでしたが、三回戦の相手はBシードの昌平です。昌平は昨年のゴールデンメンバーは卒業しましたが、プロ注目のスラッガー:吉野創士が3番センターです。1回表武蔵越生が2点先制、2回裏4点取られて逆転されるも、3、5回に1点ずつ返して追い着くという粘りを見せ、結局6-8と敗れはしたものの、昌平を上回る10安打の健闘は見事でした。長谷川大和は代打で出て三振に終わりました。星野は三回戦でふじみ野に先制され、7回表にも2点追加されて3-0から7回裏一挙4点GETして逆転し、そのまま逃げ切りました。
【四回戦】7月19日(月)BEST16が揃いました。浦和学院は東農大三に8-0コールド勝ち、花咲徳栄は3-1で西武台を破りました。上尾は川越東に8-4勝利、昌平は正智深谷に11-2コールド勝ちしました。山村学園はDシード大宮東に7-0コールド勝ち、星野は慶応志木を9-7破りました。細田学園は熊谷商に1-4、瀬戸尾侑宏の本塁打虚しく4回戦敗退、がっぷり四つでチャンスを生かしきれたかどうかが勝敗を分けました。最もシュアな3番打者の瀬戸尾侑宏は通算14打数7安打1本塁打の見事な成績でした。
【五回戦】7月22日(木)浦和学院はノーシードから勝ち上がった坂戸に10-0コールド勝ち、山村学園の五回戦の相手は埼玉県大会5連覇中のAシード花咲徳栄です。2019年の決勝戦と同じ顔合わせ、花咲徳栄は1-5と4点ビハインドの9回表、一挙4点GETして追い着きましたが山村学園がその裏サヨナラ勝ち、リベンジを果たしました。得意のマシンガン継投がここでも生きました。新しい高校野球のスタイルを感じさせました。Bシード昌平は武南に8-7辛勝、Dシード川口市立を破った星野は、Cシード埼玉栄を破った西武文理にも4-3サヨナラ勝ちしました。他にBEST8に進んだのは熊谷商を4-3下したCシードの立教新座、滑川総合に9-8競り勝った公立の雄ノーシード川口、Dシードの秀明英光に4-2勝ったCシードの春日部共栄、Bシードの上尾に2-0完封勝ちした伝統校ノーシード松山です。
【準々決勝】7月24日(土)レジデンシャルスタジアム大宮(旧大宮市営球場)で9時春日部共栄(Cシード)9−2松山(7C)、11時半昌平(Bシード)5−3星野、県営大宮球場9時浦和学院(Aシード)2−0立教新座(Cシード)、11時半川口10−5山村学園(延長11回)でした。星野と山村学園は惜敗。星野は昌平に1回表1点先取されるもその裏3点GETして逆転しましたが、直後の2回と6回に1点ずつ返されて同点とされ、8回終わって3-3と大接戦でしたが、9回表2点取られて力尽きました。山村学園はここまで4試合先発して失点0自責点0で2回キッチリ抑えてきた佐藤(実)が2回表3点取られて先行されました。しかし打力で明らかに上回る打線がその裏1点返し、3回にはここまで4試合2番手で登板し1イニング失点0自責点0の小泉が登板していつも通り0点で抑えます。すると3回裏1点返しますが追い着けません。4回にはここまで4試合、3番手で自責点0の田中が登板します。しかし失点2で5-2と突き放されました。5回表は抑えて、その裏2点返しましたがやはり追い着けません。6回には井上(颯)が登板、いつも通りの絵に描いたような継投でこの回も抑えます。7回には石下が登板、2安打浴びるも2奪三振で切り抜けます。ここまでの5投手で7イニング失点5自責点4は五回戦までではアリエナイ数値、川口打線が積極的でした。しかし山村学園は7回裏ついに追い着きます。ここで一気に逆転すればあるいは勝ったかもしれません。8回には福田が登板します。花咲徳栄戦では失点4自責点4で土壇場同点に追い着かれ、石下の救援をあおぎました。しかしこの試合では既に6人目、もうピッチャーは他にいません。両チーム互いに追加点ならず試合は延長戦に入ります。川口は10回から3人目舛田投手となりました。11回表川口打線が火を噴いて一挙5点、もはや山村学園打線でも追い着く気力を失わせる猛攻でした。山村学園のマシンガン継投は結局ここで力尽きました。同じように継投を上手く使う浦和学院との違いは、浦和学院が野手と投手の二刀流のピッチャーなのに対し山村学園は投手専門なので一度引っ込んだら二度と登板できないことです。したがって歯車が狂えば戻せません。お互いに15安打の打撃戦でしたが、総合力では明らかに山村学園が上でした。いつでも勝てると思っていたわけではないでしょうが、一気に追い着く、一気に逆転すれば流れを持って来れたでしょう。野球は強いほうが勝つとは限らないということを如実に見せつけた試合でした。長田頼は代打で内野ゴロに倒れました。
【準決勝】7月25日(日)県営大宮球場、浦和学院6−1春日部共栄、昌平7−4川口とシード上位校の順当勝ち
【決勝】7月27日(火)雨のため28日(水)に順延、県営大宮球場で浦和学院10−4昌平、やはり浦和学院は強かったという印象でした。浦和学院13安打、昌平5安打、その上浦和学院は2本塁打と長打もあります。久々の甲子園ですが、強力なエースに頼る野球から継投を上手く展開する野球へと変質する中、時代の流れに沿ったチーム作りをして来ました。甲子園では既にその名を轟かせていますが、今期をもって森士監督は退任すると優勝インタビューで電撃発表されました。まだ57歳ですが、30年の区切りで引退すると2年前、秋季大会準決勝で花咲徳栄に敗れた時から決めていたそうです。余りにも長くやり過ぎてはいけないという思いだったのでしょう。浦和学院の野球部長は長男の森大さん(30)です。ご苦労様でした。甲子園を花道に頑張ってください
2010年度の横田冬馬先輩がこのところずっと練習を手伝ってくれて、選手を指導してくれています。小学校6年生の時は、埼玉南部秋季大会で1回戦から決勝まですべてコールド勝ちのブッチギリの強さで優勝しました。シーズン前半は不振にあえぎ、年間通しても20勝止まりでしたが、この大会だけは神がかりみたいでした。大井ウエストの伝説となった大会です。この原動力が横田冬馬選手の活躍でした。投手や捕手を務め、ピッチャーとしては超緩球で相手を翻弄しました。緩急を付ける上にコントロールも良いので、相手打者が面白いように打ち取られました。防御率1.87ですよ。打っても3割5分2厘、最多犠打、打点王でした。つまりチーム貢献度が高かったということです。下写真は5月29日(土)の練習終了時、選手たちに訓示しているところです。「練習して、頑張って、結果を出せ、それが指導してくれている人への答えだ」というような内容でしたが、自らの経験から、ピッチャーとしての心構え、守備の基本、バントの大切さ、走塁など、あらゆる面で指導してくれています。しかしながら試合になるとなかなか結果を出せない選手たちに、歯がゆい気持ちもあるでしょうが、こうやって先輩が来てくれるのはありがたいことです。他の先輩も来てくれますよ。6月6日(日)には川井田兄弟が手伝ってくれました
皆さま傘寿ってご存知ですか?「八十寿(やそじゅ)」とも言い、傘の字の略字の八十に由来します。長寿祝いの色は金茶です。長生きしたことを祝う年祝いの儀式は、「還暦」だけが満年齢で60歳、その他は数え年(生まれた時を1歳と数え、1月1日が来ると2歳と数える)で祝います。70歳:古希、77歳:喜寿、80歳:傘寿、88歳:米寿、90歳:卒寿、99歳:白寿、100歳:百寿、108歳:茶寿などを祝います。この後は不要ですね。2021年に傘寿(さんじゅ)を迎えられた方がウエストに二人居られます。さてどなたでしょう?当たっても何もアゲマセン(^_^) ヒント・・・そのうち一人は下の西原小学校の環境整備をしてくれている人、もうお一人はよく野菜をくれる人です
2021年5月29日の土曜日に、西原小学校の山ア祐一校長が、校舎西側の入口付近の除草を一生懸命やられてました。今年3月に大井西中学校の校長を定年退職され、4月から再任用で西原小学校の校長になられました。休みなのに一人で作業されていて、頭が下がりました。そこで学校南側のフェンス沿いの除草をしていたら、山ア祐一校長から「皆さんがこうして学校の環境整備をしてくれるので、西原小学校はいつもきれいになっています。本当に有難うございます」とお礼を言われてしまいました。平山さんが校庭の小石拾いからネット補修、草取りをしてくれていることは、今や西原小学校では有名になっています。この日もトイレの前の除草をされていました。今年は校庭だけでなく、校舎西側の手洗い場横の木の伐採や、プール裏の木の伐採と除草までしてくれて、見違えるようにきれいになっています。ボランティアとはいえ、土日のウエストの練習の時だけでなく、平日にも作業されているんですよ。いやはや、本当に頭が下がります。
第一線を退いた高齢者が、孫世代の小学生と一緒にグラウンドで活動するのは、社会的には一石二鳥です。それは地域共同での子育てになり、世代間の繋がりになり、どちらにとっても良いことだからです。核家族化でおじいちゃんに怒られる、褒められることが少なくなりましたね。親だけでなく、家族以外の人と接するのは小学生の成長に繋がります。おじいちゃんは体力の維持だけではなく、子どもの成長に直に触れることで、新しい家族ができたのと同じことになり、肉体面でも精神面でも老化の防止になります。グラウンドで草取りでも良いのです。校庭をきれいに維持してくれれば学校も喜んで、市も優先的に校庭を貸してくれるでしょう。
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2021年4月時点のふじみ野市小学校の児童数
小学校 | 児童数 | 少年野球チーム | 前身 |
大井小学校 | 443 | 大井ブルーウィングス | 大井ブルーウィングス |
亀久保小学校 | 596 | 大井亀少クラブ | 大井亀少クラブ |
駒西小学校 | 501 | 上福岡イーグルス | 上福岡イーグルス |
福岡小学校 | 622 | 上福岡JFG | 上福岡ジュピターズ |
上野台小学校 | 829 | 上野台ファイターズ※ | |
さぎの森小学校 | 413 | 上福岡ジャイアンツ | |
鶴ヶ丘小学校 | 591 | 鶴ヶ岡少年野球クラブ | 鶴ヶ岡少年野球クラブ |
西小学校 | 534 | 上福岡第五クラブ | 上福岡第五クラブ |
東原小学校 | 557 | 大井少年ファイターズ | 大井少年ファイターズ |
東台小学校 | 173 | 新設 | |
元福小学校 | 231 | 上福岡パワーズ | 上福岡パワーズ |
西原小学校 | 205 | 大井ウエスト | 大井ニッショウ |
三角小学校 | 543 | 大井トライアングル | |
合計 | 6238 | 9チーム |
少年野球チームの母体となる小学校の児童数は、東台小学校、西原小学校は別として、単独チームとしての上福岡パワーズの元福小学校が最少で、上福岡JFGの三小学校の合計は、その8倍にもなります。その意味では上福岡パワーズが毎年単独でチームを作り、低学年でもチームを作ってきたことは特筆に値します。二小学校で構成される大井少年ファイターズと大井ウエストは生徒数が7百人台で多く、以下ブルーウィングスの4百人台のほかはおおむね5百人台で、元福小学校の2百人台は極めて少ないわけです。ふじみ野市では上野台小学校がひと頃減少したものの、近年では一転増加に転じ、校舎を増設しました。現在はふじみ野市随一のマンモス校ですが、元々は隣り合っていた上福岡第二小学校と上福岡第四小学校が学校統合して上野台小学校になったので、当然と言えば当然なのです。東原小学校と鶴ヶ丘小学校も児童数が増えて校舎を増設し、その後撤去しました。東原小学校はふじみ野駅が出来たことで児童数が増えたので、新たに東台小学校を設けて東原小学校の生徒を分割・移転しましたが、東台小学校は先行き児童数が減って東原小学校に統合される見通しで、そのあかつきには校舎が老人施設に転換される予定です。またビバホームやピアシティを中核として周辺に新築住宅、マンション建設ラッシュが起きた三角小学校の児童数が増えました。
上野台小学校の児童数が増えたのはUR「コンフォールふじみ野」(昔の住宅公団上野台団地)の再開発と周辺の住宅新設が主因でしょうが、今後旧イトーヨーカ堂跡地に長谷工の「Brillia
City ふじみ野」が建設されます。しかし上野台小学校はこれ以上児童を収容できませんので、恐らく元福小学校に通うようになるでしょうから、元福小学校の児童数が増えるでしょう。
2021年3月に、2020年度父母会から「West」のロゴマークが入ったマスクをプレゼントして頂きました。有難うございます。大切に使わせて頂きます
より大きな地図で 埼玉県ふじみ野市大井武蔵野394−9 を表示 |
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