大井ウエスト

夏の甲子園2018



大井ウエスト出身の選手も甲子園を目指そう!

2017年第99回の模様 → 夏の甲子園2017

 アゲホイ   注目チームと戦力展望   スポーツ新聞の事前予想   組合せと結果   全チーム登場して   2回戦   3回戦   準々決勝   準決勝   決勝 


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甲子園の行進曲

甲子園と言えばこの歌だ…栄冠は君に輝く(作詞:加賀大介 作曲:古関裕而) 少年野球の開会式の入場行進でもこの曲を使う。いつか甲子園をめざせ、という気持ちを込めて・・・

♪ 雲は湧き 光溢れて 天高く 純白の球 今日ぞ飛ぶ

♪ 若人よ いざ まなじりは 歓呼にこたえ

♪ いさぎよし 微笑む希望 ああ栄冠は君に輝く


ページTOPへ  甲子園の応援曲「アゲホイ

甲子園では近年、「アゲアゲホイホイ、もっともっと!」と、メガホン両手に、ええじゃないかとばかりに踊る応援を取り入れる学校が増えています。チャンスになると、野球部員らが掛け声とともにリズミカルに両手を上下させながら、「アゲアゲホイホイ」と踊り出します。実はこれ、2014年夏、兵庫県西宮市の報徳学園野球部で応援の指導役をしていた玄之内大(げんのうちだい)さん(22)=流通科学大4年=が発案した応援スタイルだそうです。ラテンの応援曲「サンバ・デ・ジャネイロ」を取り入れた応援を聞いて、そのノリの良さが気に入って、この曲に合いの手を入れて見たらどうだろう?と思いました。テンション「アゲアゲ」で、点を「ホイホイ」取れる掛け声を!そう「アゲアゲホイホイ」はどうだろう?しかしその夏、報徳学園は甲子園に行けませんでした。次の夏も、次の次の夏も、そのまた次もダメでした。2015年夏の兵庫大会準々決勝で報徳学園は明石商に惜敗しました。玄之内さんは「報徳の代わりに甲子園でとどろかせてくれ」と「アゲホイ」を明石商応援団に託しました。こうして「アゲホイ」が全国に知られるきっかけとなったのは明石商の応援でした。翌2016年春の選抜大会に出場した明石商は8強入りし、甲子園で披露された「アゲホイ」、音楽フェスのような応援スタイルは高校生たちの心を一気につかんだのです。当初はなかったダンス風味が加わり、各校が独自のアレンジを加えていきました。2016年夏には「アゲホイ」を使った学校は出場49校中2校でしたが、昨夏は24校に急拡大しました。今年、報徳学園は東兵庫大会を制して8年ぶり、明石商は西兵庫大会を制して初の夏の甲子園出場を決めました。ともに第7日(8月11日)が初戦です。大学で野球を続ける玄之内さんは、後輩たちの応援にも駆け付けます。夢だった夏の甲子園で「正調アゲアゲホイホイ」を披露する日がやっと訪れるのです。



ページTOPへ   注目チームと戦力展望

 第100回全国高等学校野球選手権は、阪神甲子園球場で8月5日に開幕します。八つのブロックトーナメントがあり、うち六つでは3勝すればBEST8、残り二つでは2勝すればBEST8に進み、各ブロック優勝チームで決勝トーナメントの抽選が行われます。一回戦免除の8チームは、2勝でBEST8に進めますが、第7日の第三試合から4試合、報徳学園(東兵庫)−聖光学院(福島)、白山(三重)−愛工大名電(西愛知)、二松学舎大付(東東京)−広陵(広島)、浦和学院(南埼玉)−仙台育英(宮城)と、いずれも好カードが揃いました。第8日の第三試合からは二回戦になります。
 史上初の2度の春夏連覇を目指す優勝候補筆頭大阪桐蔭(北大阪)は、2日目の第2試合で二年前の優勝チーム作新学院(栃木)と対戦、センバツ初戦敗退とは言え、作新学院(栃木)は伝統的強豪校だけに、大阪桐蔭にとってはこの試合がまず鍵となります。ここを突破すればBEST8は間違いないでしょう。「注目されることは避けて通れない。そこは覚悟の上ですが、正直言って、異常なほどの過大評価を受けていると思います」と西谷浩一監督(48)は言いますが、これは過去の経験から甲子園に絶対は無いことを良く知っているからこその言葉です。とは言え、万能選手の根尾を筆頭に主砲・藤原、エース柿木、大型左腕・横川、3番キャプテン中川、二塁手で長打連発の山田と、6人ものドラフト候補を擁するスター軍団は、往時のPL学園のような抜群の戦力を誇ります。1塁踏み損ねから這い上がった中川主将を筆頭とするチームワークは、重圧の中でこそ実力を発揮するのではないでしょうか。北大阪大会準決勝でライバル履正社の前に9回二死ランナー無しと崖っぷちに追い詰められてから勝った底力はやはりスゴイ!前人未到の2度目の春夏連覇は夢ではありません。
 有力チームは下記のように三つのスポーツ紙が予想しています。各紙ともAとしているのはやはり大阪桐蔭(北大阪)です。しかも2紙が特Aとしているように、やはり抜群と見ていますね。他にはセンバツ準優勝の智弁和歌山(和歌山)木更津総合(東千葉)横浜(南神奈川)を挙げていますが、智弁和歌山(和歌山)はずっと大阪桐蔭が眼の上のたんこぶとなってきました。これまた初戦の近江(滋賀)戦が鍵となります。近江は投手陣が充実しており、滋賀大会で与四死球がわずか4個ですから、四死球から崩れることが無いので、いかに打ち崩すかがポイントです。ここを突破しても第95回大会優勝の前橋育英(群馬)−近代付(南大阪)の勝者との二回戦と気の抜けない対戦が続きます。前橋育英は春の関東大会王者・健大高崎を群馬大会決勝戦でサヨナラで下し、甲子園を決めただけに強いチームです。エース恩田慧吾は140キロ前後の直球とキレのある変化球をコースに投げ分け、計40回で防御率は1.58の好投手です。野尻が投打の大黒柱の木更津総合は3年連続出場、初戦が強豪敦賀気比(福井)、福井大会は準決勝まですべてコールド勝ち、5試合で48得点、中でも2人で21打点を挙げた高橋と阪口の3、4番が強力です。ここを勝ち上がっても興南(沖縄)土浦日大(茨城)の勝者と二回戦、同じブロックにはセンバツBEST8の花巻東(岩手)創成館(長崎)もいます。勝ち抜くのは容易ではないでしょう。横浜は今大会注目のスラッガー万波というスーパースターが居ます。投手陣もエース板川(3年)が柱ですが、左腕・及川雅貴(2年)は、最速152キロを誇り、元U15日本代表で、W杯では最優秀防御率を受賞した投手です。1年生にも注目選手がおり、筆頭はヤクルトで活躍した度会博文氏を父に持つ度会隆輝(1年)で、U15日本代表の三番打者として活躍し、大会最優秀選手にも選ばれた逸材です。代打の切り札として出てくるでしょう。しかし、同じブロックに花咲徳栄(北埼玉)が居ますので、ここは花咲徳栄を応援したいところです。
 2紙がAとしているのは聖光学院(福島)星稜(石川)創成館(長崎)です。聖光学院(福島)は12年連続15回目と甲子園の常連ですから、全国から優秀な選手が集まってくるので、毎年そこそこ上に行きます。しかし初戦の相手・元祖「アゲホイ」の報徳学園(東兵庫)は強敵です。遊撃で1番打者を務める小園は素晴らしい守備力を持ち、ドラフト1位候補です。渡辺友、林、木村、岡崎と複数の実力派投手が揃っています。石川大会5試合を無失点で勝ち上がった星稜(石川)は、星稜史上最強では?と言われているくらいで、5試合37イニングで四死球六つ、失策は三つだけ、決勝の金沢学院戦は22-0という驚異的なスコアで、主砲の南保(なんぼ)が3発、竹谷が4発と、1試合で7本塁打の長打力は魅力です。二年生エースの奥川は150キロ投手、下級生にも逸材が揃っています。創成館は失策がわずか1と守備の安定度抜群です。タイプの違った投手陣が充実しており、6人の投手を揃えています。近代野球では100点のエース1人よりも、80点の投手を複数揃えた方が強いと言われています。相手打線を見て、効果的な投手を先発させ、合ってきたなと見たらサッと代えるという采配が出来るチームが有利です。左腕の川原、二番手の戸田という140キロ超の投手のほか、酒井、伊藤、七俵(シチヒョウ)、佐藤が居て、昨秋の神宮大会準決勝で、七俵−川原−伊藤の継投で大阪桐蔭に7-4で土を付けました。大阪桐蔭が負けたのはこれが最後で、以降無敗です。最強王者に引導を渡したのですから、有力チームの一つです。ただ強豪揃いのブロックに入ったので、まずは勝ち抜くことが容易ではありません。斬り込み隊長1番峯は長崎大会全試合で安打を打ちました。初戦の創志学園(岡山)はメチャクチャ打つチームで、岡山大会で5試合連続本塁打を放ち観衆を驚嘆させた金山が打線をけん引、決勝で150キロを計測した2年生エース・西を、全試合無失策の守備陣が支えます。明徳義塾(高知)の馬淵監督は、このところ甲子園常連でしたが今年は高知商に敗れ、出場を逃しました。「大阪桐蔭を倒す学校があるとしたら?」と問われて、その独自の情報網から「創志学園じゃないかという話を聞いた」と披露したそうです。
 龍谷大平安(京都)は、京都大会6試合で75安打70得点、チーム打率4割5分7厘(出場校中2位)、準決勝までの5試合すべてコールド勝ちで、失点はわずか3(出場校中2位)、盗塁数が24(出場校中3位)と走攻守でバランスのとれたチームです。強面の原田監督が、試合終了後「お前たち、最高だぜー」と吠えるので有名、甲子園でも聞くことができるか注目です。「アゲホイ」応援の明石商(西兵庫)は140キロ台の直球を投げ込む福谷、制球力に秀でた左腕加田ら投手陣が強力で、主将の右田は打率6割超です。初戦で当たる八戸学院光星(青森)が難関です。八戸学院光星は、打率.410(出場校中5位)、本塁打数9本(出場校中2位)、失策1(出場校中2位)と破壊力のある打撃と堅守が持ち味のチームで、甲子園経験が多いことが強みです。南埼玉代表は、今春以降、埼玉県内の公式戦で無敗の浦和学院で、実際に埼玉県営大宮公園野球場で毎年見ていた中で、久々にモロさの無いチームが出来上がりました。センター方向から反対方向へのチャンスに強いしぶとい打力と甲子園出場チーム最多の30盗塁という走力が光りますが、投手陣の充実振りが安定感の要因です。森士監督にとっては初戦の仙台育英(宮城)戦はリベンジの絶好の機会ですが、仙台育英は昨年12月に部員の飲酒と喫煙の不祥事発覚で半年間の対外試合禁止処分を受け、甲子園の名物監督の一人、佐々木順一朗監督が引責辞任しました。それでも這い上がってきた強豪相手に、浦和学院は理詰めの攻めを見せるでしょう。唯一の不安は現選手が甲子園馴れしていないこと、魔物に負けぬことです。ここを勝ち上がっても二松学舎大付(東東京)広陵(広島)の勝者と第2戦、強豪が続きます。北埼玉代表は、昨夏に全国制覇を果たした花咲徳栄です。4年連続の夏の甲子園です。打撃面では、杉本と羽佐田が5割超と好調、下位の田谷野、新井も4割台と切れ目がなく、全6試合で計62安打。投げてはエース野村が計31回で4失点と安定した投球を見せています。ただ昨年のような勝利の方程式が無く、投打にわたって野村におんぶというところが不安、守備が安定しているのは強みですが、まだ成長途上という感じで、甲子園で1戦ごと成長できるかが鍵ですが、2戦目がおそらく優勝候補横浜、ここが関門です。
 そのほかの注目チームは、ノーサイン野球が看板の若き高橋利和監督(32)率いる常葉大菊川(静岡)、選手たちに考えさせる野球は甲子園でどんな力を発揮するか。エース右腕の漢人(カンド)をはじめ3投手にはいずれも試合を作れる安定感があります。1番ショートの奈良間は静岡大会で打率.818、2本塁打で注目の選手です。逆転の日大三(西東京)は投手が複数いる上に打線が活発で、主将の3番ショート日置航内野手(3年)が中心、左腕の背番号10河村を軸とした投手陣の出来次第では上位進出も狙えるかもしれません。初戦の折尾愛真(北福岡)の爆発的打棒を抑えられるか?大会屈指のスラッガー・松井が主将を務め、北福岡大会の6試合で6本塁打を放った野元は、投手としても頼りになる存在です。東北の怪物・金足農業(秋田)の吉田輝星のピッチングも楽しみです。最速150キロを誇り、侍ジャパン高校代表の一次候補にも名を連ねています。秋田大会は決勝までの全5戦計43回を一人で投げ抜き、投球回数を上回る57三振を奪った甲子園ナンバーワン右腕の呼び声高い投手です。「日本一の下克上」白山(三重)はお隣の愛工大名電(西愛知)との対戦、さあ、どうなるか?



ページTOPへ スポーツ新聞の事前予想
昨年の花咲徳栄優勝を予測した報知に注目です。他紙に比べてA評価が多い、逆にAとしなかったチームは?
北より南へ 日刊スポーツ スポニチ 報知  三紙総合評価   結果 
 聖光学院  福島   V 2回戦敗退(報徳学園)
作新学院 栃木     W 1回戦敗退(大阪桐蔭)
花咲徳栄 北埼玉     W 2回戦敗退(横浜)
浦和学院 南埼玉     W 準々決勝敗退(大阪桐蔭)
木更津総合 東千葉 U 3回戦敗退(下関国際)
横浜 南神奈川 U 3回戦敗退(金足農)
星稜 石川   V 2回戦敗退(済美)
龍谷大平安 京都   W 3回戦敗退(日大三)
大阪桐蔭 北大阪 特A 特A T 優勝!(金足農に勝利)
明石商 西兵庫   W 1回戦敗退(八戸学院光星)
智弁和歌山 和歌山 U 1回戦敗退(近江)
広陵 広島   W 2回戦敗退(二松学舎大付)
創成館 長崎 V 1回戦敗退(創志学園)

嬉しいことに、埼玉2代表校;花咲徳栄と浦和学院は共に有力校に入っています。大会主催の朝日新聞の記者たちが集まって毎年事前予想を立てますが、概ねハズレます。♪曇りガラスを手で拭いて ♪あなた世間が見えますか・・・と朝日新聞の記者たちの眼を疑って来ました。一昨年の第98回は第1群5校;横浜、履正社、秀岳館、東邦、花咲徳栄でしたが、横浜と履正社がいきなり二回戦でつぶしあい、本命横浜が消えました。履正社、東邦、花咲徳栄が三回戦で消えて秀岳館だけが残りましたが、準決勝で第4群の北海にまさかの敗退、結局第2群の二番手だった作新学院が三回戦で花咲徳栄を破った勢いで波に乗って優勝しました。昨年第99回は第1群5校;大阪桐蔭、秀岳館、中京大中京、横浜、作新学院で、花咲徳栄が第2群トップでしたが、筆者は花咲徳栄を優勝候補と見ていて、その通りとなりました。ナント!二回戦終わって第1群5校中、大阪桐蔭しか残れませんでした。大阪桐蔭は三回戦で十中八九手にしていた勝利がスルリと逃げて仙台育英のサヨナラ勝ち、1塁手中川の足がベースを踏むのが一瞬遅れ...痛恨の足、足、足...
このように優勝候補の本命に挙げられても、西谷浩一監督が引き締めに躍起となるのは、春とは違って三年生にとっては最後となる夏の甲子園には「魔物が棲んでいる」と言われるからです。記念すべき第100回は、朝日新聞の記者たちの事前予想をやめました。代わりに三つのスポーツ紙の予想を掲載しました。断トツ本命は大阪桐蔭、続く第2群は智弁和歌山、木更津総合、横浜、第3群は創成館、星稜、聖光学院、第4群は浦和学院、花咲徳栄、龍谷大平安、明石商、広陵、作新学院の13校です。一回戦でいきなり大阪桐蔭と作新学院がつぶしあいますので、スポーツ三紙のBEST8予想は、星稜、大阪桐蔭or作新学院、智弁和歌山、横浜or花咲徳栄、木更津総合or創成館、龍谷大平安or明石商、聖光学院、浦和学院or広陵ということになります。花咲徳栄は二回戦で横浜を食えるか、浦和学院は2試合目の三回戦広陵がヤマです。



ページTOPへ  2018年夏の甲子園 組合せと結果
埼玉高校野球情報局のページにリンクします
【第1日:8月5日】 開会式 9時00分      
1回戦 10時30分 藤蔭(大分) 4−9 星稜(石川)
1回戦 13時00分 済美(愛媛) 5−4 中央学院(西千葉)
1回戦 15時30分 慶応(北神奈川) 3−2 中越(新潟三重)
【第2日:8月6日】 1回戦 8時00分 山梨学院(山梨) 12−14 高知商(高知)
1回戦 10時30分 作新学院(栃木) 1−3 大阪桐蔭(北大阪)
1回戦 13時00分 北照(南北海道) 2−4 沖学園(南福岡)
1回戦 15時30分 旭川大(北北海道) 4−5 佐久長聖(長野)
【第3日:8月7日】 1回戦 8時00分 佐賀商(佐賀) 1−4 高岡商(富山)
1回戦 10時30分 智弁和歌山(和歌山) 3−7 近江(滋賀)
1回戦 13時00分 前橋育英(群馬) 2−0 近代付(南大阪)
1回戦 15時30分 益田東(島根) 7−8 常葉大菊川(静岡)
【第4日:8月8日】 1回戦 8時00分 日南学園(宮崎) 2−0 丸亀城西(香川)
1回戦 10時30分 金足農(秋田) 5−1 鹿児島実(鹿児島)
1回戦 13時00分 大垣日大(岐阜) 9−3 東海大星翔(熊本)
1回戦 15時30分 花咲徳栄(北埼玉) 8−5 鳴門(徳島)
【第5日:8月9日】 1回戦 8時00分 横浜(神奈川) 7−0 愛産大三河(東愛知)
1回戦 10時30分 花巻東(岩手) 2−4 下関国際(山口)
1回戦 13時00分 創志学園(岡山) 7−0 創成館(長崎)
1回戦 15時30分 興南(沖縄) 6−2 土浦日大(茨城)
【第6日:8月10日】 1回戦 9時30分 敦賀気比(福井) 1−10 木更津総合(東千葉)
1回戦 12時00分 日大三(西東京) 16−3 折尾愛真(北福岡)
1回戦 14時30分 羽黒(山形) 1−4 奈良大付(奈良)
【第7日:8月11日】 1回戦 8時00分 龍谷大平安(京都) 3−2 鳥取城北(鳥取)
1回戦 10時30分 明石商(西兵庫) 8−9 八戸学院光星(青森)
2回戦 13時00分 報徳学園(東兵庫) 3−2 聖光学院(福島)
2回戦 15時30分 白山(三重) 0−10 愛工大名電(西愛知)
【第8日:8月12日】 2回戦 8時00分 二松学舎大付(東東京) 5−2 広陵(広島)
2回戦 10時30分 浦和学院(南埼玉) 9−0 仙台育英(宮城)

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第8日:8月12日(日)第2戦;浦和学院(南埼玉)−仙台育英(宮城)が最後の登場チームです

BEST8候補;星稜(石川)、大阪桐蔭(北大阪)は順調な滑り出しでしたが、智弁和歌山(和歌山)は甲子園の魔物に食われました。上で「投手陣が充実している近江(滋賀)」と書きましたが、その通り、見事な継投策で智弁和歌山に残塁の山を築かせました。高知商(高知)は壮絶な打撃戦の末に山梨学院(山梨)を下し、その強打を見せ付けました。作新学院は仕方ありません、相手が大阪桐蔭ですから、それでも善戦したのはさすがです。前橋育英(群馬)はエース・恩田が前評判どおりの打たせて取る投球で、9回103球で今大会初完封を成し遂げました。日南学園も、辰己が初戦の丸亀城西戦で9回99球で完封しました。金足農(秋田)の150キロ右腕・吉田輝星が、今大会1投手の実力を披露しました。ただ速いだけではなく、ピンチになるとギアを入れ替えます。140キロ台後半の速球投手も打ち崩してきた鹿児島実(鹿児島)打線が14三振を喫しました。「見たことも無いキレ」があって、「漫画のような浮き上がってくるような球」だったそうです。「ベンチで見てると何故あんな球を振るんだろうと首傾げていたが、いざ打席に立つと振っていた」と打者が呆然としていました。打席に立つと、メラメラしたオーラを感じたそうです。確かにスター性を持った投手です。ネット裏のNPBスカウト連中も唸ったスゴイピッチングでしたが、本人は「30点」、「低めのツーシーム、チェンジアップを見送られ、ストレート一辺倒で三振を取るしかなかった」そうです。花咲徳栄は危なかったけれど、最後に地力を見せました。横浜は3本塁打無失点で圧勝、やはり優勝候補だけのことはあります。創成館を完封した創志学園(岡山)の2年生エース西純矢は、甲子園には来れなかったものの高校屈指の右腕、岩手・大船渡の佐々木朗希と並び称せられる剛腕を見せ付けました。9回投げて被安打4、与四死球0、奪三振16です。優勝候補の一角の創成館が手も足も出ないというのはスゴイの一言です。上で「創成館はタイプの違った投手陣が充実しており、6人の投手を揃えています。近代野球では100点のエース1人よりも、80点の投手を複数揃えた方が強いと言われています」と書きましたが、失礼しました。近代野球でも100点のエース1人にはかなわないわけです。これで創志学園(岡山)は馬淵監督の予言通り、一躍注目の存在となりました。木更津総合は敦賀気比をものともせず、前評判通りの強さを証明しました。日大三(西東京)と愛工大名電(西愛知)の強打は脱帽モノでした。辛くも接戦を制したのは済美(愛媛)、慶応(北神奈川)、佐久長聖(長野)、常葉大菊川(静岡)、龍谷大平安(京都)です。明石商(西兵庫)は八戸学院光星(青森)に、聖光学院(福島)は報徳学園(東兵庫)に振り切られ、昨年の準優勝チーム広陵は二松学舎大付(東東京)の継投策に抑え込まれました。浦和学院は渡辺が期待通りの6回完璧ピッチング、さらに残る3回を3人の投手が完封リレー、豊富な投手陣を見せ付けました。打っても佐野、蛭間などの打棒炸裂、優勝候補の貫禄を見せました。結局本命・大阪桐蔭、第2群;智弁和歌山、木更津総合、横浜、第3群;創成館、星稜、聖光学院、第4群;浦和学院、花咲徳栄、龍谷大平安、明石商、広陵、作新学院の13校中6校が姿を消しました。やはり夏の甲子園は予想通りには行かないものだということが分かります。浦和学院の相手は二松学舎大付になりましたが、まあ問題ないでしょう。花咲徳栄は相手が横浜だけにキツイですね。

【第8日:8月12日】 2回戦 13時00分 星稜(石川) 11−13 済美(愛媛)
  2回戦 15時30分 慶応(北神奈川) 6−12 高知商(高知)
【第9日:8月13日】 2回戦 9時30分 大阪桐蔭(北大阪) 10−4 沖学園(南福岡)
  2回戦 12時00分 佐久長聖(長野) 4−5 高岡商(富山)
  2回戦 14時30分 近江(滋賀) 4−3 前橋育英(群馬)
【第10日:8月14日】 2回戦 9時30分 常葉大菊川(静岡) 3−0 日南学園(宮崎)
2回戦 12時00分 金足農(秋田) 6−3 大垣日大(岐阜)
2回戦 14時30分 花咲徳栄(北埼玉) 6−8 横浜(神奈川)
【第11日:8月15日】 2回戦 8時00分 下関国際(山口) 5−4 創志学園(岡山)
2回戦 10時30分 興南(沖縄) 0−7 木更津総合(東千葉)
2回戦 13時00分 日大三(西東京) 8−4 奈良大付(奈良)
2回戦 15時30分 龍谷大平安(京都) 14−1 八戸学院光星(青森)

ページTOPへ  2回戦を終えて

1回戦免除2回戦の4チームは、報徳学園(東兵庫)、愛工大名電(西愛知)、二松学舎大付(東東京)、浦和学院(南埼玉)が3回戦に駒を進め、BEST8候補の聖光学院(福島)と広陵(広島)は姿を消しました。1回戦勝ち上がった2回戦最初の試合は、済美(愛媛)が優勝候補の一角;星稜(石川)に今大会二度目のタイブレークの末、1番・矢野功一郎内野手(3年)の右翼ポールを直撃する史上初の逆転サヨナラ満塁本塁打で勝ち、2年連続の16強入りを決めました。経過はすさまじいものでした。序盤星稜は大量点でリード、最速150キロを誇る2年生エース奥川の調子から見て済美の惨敗だなと思いました。しかし奥川が右ふくらはぎがつって、わずか4回で降板したところからガラッと局面が変わりました。8回に8失点で一挙逆転されましたが、9回に竹谷主将などの適時打で延長戦に持ち込む粘りを見せ、12回1死満塁の大ピンチでは2年生投手の寺沢がカウントを悪くしてボールなら押し出しサヨナラの絶体絶命のピンチで二者連続の見逃し三振で切り抜ける神がかりのようなピッチング。タイブレークの13回表はスクイズなどで2点を勝ち越して再び勝利をつかみかけた直後悲劇が起きました。済美の中矢太監督(44)は、明徳義塾(高知)出身で、最後の夏は1992年。「松井の5敬遠」のメンバーで、星稜戦は三塁コーチと伝令役を務めました。いわば馬淵監督の意を受けて、投手に敬遠を指示する役目・・・因縁ですね。済美(愛媛)は2戦連続接戦を制し、粘り強さを見せましたが、エースの疲れからして最後までは続かないでしょう。高知商(高知)は四回までに12点を奪って、慶応(北神奈川)に圧勝しました。高知商は2試合連続の二桁得点で、地元で常勝だった明徳義塾・馬淵監督を「よう打つわ」と脱帽させた強力打線の力をまざまざと見せつけました。しかし打力だけで勝ち進めるほど夏の甲子園は甘いものではありません。3回戦では済美(愛媛)高知商(高知)が激突します。両チームの投手力から見て間違いなく打撃戦になると思いますが、さてどちらの打力が上回るか?大阪桐蔭(北大阪)がいよいよ2回戦、問題ないでしょう・・・と書きましたが、沖学園(南福岡)はよく頑張りました。最後は突き放されましたが、根尾を青ざめさせました。高岡商(富山)は5-1とリードしながら佐久長聖(長野)に追い上げられ、エース山田が147球完投で辛くも振り切りました。済美のエース山口も184球完投でしたが、こうした無理をさせなければいけないチームは、頂点までは難しいでしょう。近江(滋賀)の継投は前橋育英(群馬)の絶対エースを上回りました。前橋育英エース・恩田は足をつっても投げ続けサヨナラ負け。花巻東(岩手)もそうでしたが、エースを引っ張って負けるのは辛い、しかし継投失敗で負けることもある、監督の判断は難しいものです。動いても動かなくても負けたら監督が悪いのだとすれば、動かなソンソン、ですね。ノーサイン野球の常葉大菊川(静岡)は日南学園の辰己投手を攻略し、常葉大菊川のエース漢人投手が日南学園打線を打たせて取って省エネ7安打完封。日南学園は初球から積極的に打つのは良いけれど、若いカウントでは甘い球だけ狙わなければヒット確率は低い、ピッチャーの思う壺にはまります。もうちょっと考えた野球をして欲しかったですね。金足農(秋田)の吉田輝星投手は、味方が初回に先制したのに波に乗れず、すぐに追いつかれました。前半球数多過ぎて、後半バテルのでは?と心配しましたが、なんとか踏ん張って、4〜7回はお互い0点、3-3で迎えた8回表、金足農は一死から5番の大友朝陽(3年)がファウルで粘った末に12球目のインコースの真っすぐを思いきり良く振り抜いてレフトポール際へのソロホームラン。これで眼が覚めたか、ギアチェンジした吉田輝星投手は8回裏、4〜6番を3者連続見逃し三振と圧巻の投球、9回裏も3人で切って取りました。狙って三振を取れる投手は久々に見ました。眼が慣れるはずの後半に打者が呆然と見逃すというピッチャーはほとんど居ません。横浜(神奈川)vs昨夏の優勝校で連覇を狙う花咲徳栄の試合は、危惧した通りの結果になりました。野村がエースで4番というワンマンチームは、野村がつぶれたらおしまいです。他にも良い投手が居るのに岩井監督は野村に頼る、1回戦もそうでした。野村は金足農の吉田輝星投手のような豪腕ではありません。四回横浜は一挙6得点のビッグイニングで野村を引きずり降ろしました。最終回、花咲徳栄は猛反撃するもあと一歩及ばず、夏の甲子園連覇はなりませんでした。昨夏ベスト応援団賞を得た花咲徳栄応援団の怒涛のような応援の前に横浜ナインは浮き足立ち、逆に花咲徳栄ナインは勇気を得て、甲子園の観衆も味方につけて嵐のような最終回になりました。最後の打者となった井上1年生は、今大会大活躍で、甲子園で成長した打者です。しかし北埼玉大会ではボール球を振って三振という場面を見ており、どうして岩井監督はこの1年生を使い続けるんだろうと首傾げていました。恐らくやがて花咲徳栄を背負って立つ選手になるのでしょうが、負けたら終わりの高校野球では、選手が一丸となって、互いを思いやって支え合うチームが強い、スターに頼り過ぎてはいけません。井上と野村、新旧スターです。野村がボテゴロを執念のヘッドスライディングで内野安打にしたときチームは最高に盛り上がりました。井上はボール球を振って三振ゲームセット、昨年の花咲徳栄はボール球を見極めたのが優勝できた要因です。好投手はボール球を振らせます。引っ掛けようと投げた球を見極められた投手は、打者を歩かせるか、投げる球が無くなって甘い球を打たれるものです。この場面、落ちるボール球を井上がもし振らなかったらピッチャーはつぶれて花咲徳栄のサヨナラ勝ちへつながる場面でした。野球というのは投手と打者の心理戦です。引っ掛けようとする投手と釣られない打者では打者が勝ちます。昨年と今年の花咲徳栄の違いはここです。下関国際(山口)は延長戦で花巻東を下したように、わずか1安打に抑えられていた創志学園(岡山)の2年生エース西純矢投手の球を見極めて振らないことでチャンスを作り、大逆転勝利しました。好投手・西に対して序盤から待球策をとり、揺さぶりをかけて5回終了時点で既に100球を超える球数を投げさせました。ウェイティングするわけですからヒットは出ない、最後に勝てば良い、ってなかなか出来ることではありません。創志学園打線は9安打を放つも、主砲の金山がノーヒットに封じられたのが敗因です。好投手を攻略する作戦勝ちみたいな試合でしたが、金足農(秋田)の吉田輝星投手を見習って肝心のところでギアチェンジしようと心がけていた西純矢投手ですが、なにしろ相手が振ってくれません。ギリギリのところでボール!という球が多く見られました。見送ったらストライク〜見逃し三振!という吉田輝星投手との違いがここでした。木更津総合(東千葉)は何故優勝候補なのかを見せ付けた試合でした。沖縄・興南は良く打ちます。しかも俊足のランナーが1回には右翼手太田、5回にはセンター東の本塁好返球でタッチアウト、守備からリズムを作ってシャットアウト。野尻が投打の大黒柱ですが、投手としてはさほどスゴイピッチャーではありません。しかし、なにしろバックが良く守ります。そしてチャンスで一気に得点します。確かにこういうチームは強いですね。日大三(西東京)は最速147キロ右腕・井上広輝(2年)が先発、春に肘を痛めて途中降板した後、この試合まで練習試合の登板さえもなかった投手が、実戦復帰初登板が甲子園というのはスゴイ、監督は恐らく調子の良さを見て、この後勝ち進むには鍵となる投手と見て登板させたのでしょう。無安打、4奪三振、2回裏に最速150キロ、ナイスピッチングの投手を3回でチェンジ、アレ、どうして?と思いました。4回からリリーフした河村唯人(3年)が5回11奪三振の快投、3ランは打たれましたが、投打で圧倒した日大三の会心の勝利でした。龍谷大平安(京都)は17安打に犠打5つ、進塁打やらエンドランを絡めた多彩な攻めで14得点、エース・小寺もストレートと縦、横のスライダーを織り交ぜた投球で5安打1失点の完投勝利。八戸学院光星を投打に隙のない野球で圧倒し、大勝しました。これでスポーツ新聞三紙の事前予想有力13チーム中8チームが2回戦までで脱落し、BEST8予想に5チームが残りました。大阪桐蔭、横浜、木更津総合、浦和学院、龍谷大平安です。3回戦も概ね突破して順当にBEST8に勝ち残るような気がしますが、唯一不安は横浜の前に立ちはだかる金足農の吉田輝星投手です。いかに横浜が強打でも、ギアチェンジした吉田は打てません。つまり、ギアチェンジする前に、あの手この手の作戦で崩すしかなく、真っ向勝負したら負けるでしょう。


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【第12日:8月16日】 3回戦 8時00分 報徳学園(東兵庫) 7−2 愛工大名電(西愛知) 
3回戦 10時30分  二松学舎大付(東東京) 0−6 浦和学院(南埼玉)
3回戦 13時00分 済美(愛媛) 3−1 高知商(高知)
3回戦 15時30分 大阪桐蔭(北大阪) 3−1 高岡商(富山)
【第13日:8月17日】 3回戦 8時00分 近江(滋賀) 9−4 常葉大菊川(静岡)
  3回戦 10時30分 金足農(秋田) 5−4 横浜(神奈川)
  3回戦 13時00分 下関国際(山口) 4−1 木更津総合(東千葉)
  3回戦 15時30分 日大三(西東京) 4−3 龍谷大平安(京都)

報徳学園(東兵庫)浦和学院(南埼玉)済美(愛媛)大阪桐蔭(北大阪)が準々決勝進出、優勝候補:大阪桐蔭(北大阪)浦和学院(南埼玉)が準々決勝激突!
報徳学園(東兵庫)は、上記のように「アゲアゲホイホイ」、「もっともっと」と、アゲホイ元祖として「正調アゲアゲホイホイ」に乗って勝ちました。愛工大名電(西愛知)は報徳学園のドラフト1位候補の1番打者・小園海斗遊撃手を抑えられるかどうかが鍵と戦前言われていました。愛工大名電は1回表敵失から1点を先制し、その裏小園をチェンジアップで三振に打ち取りましたが、3回裏の第2打席でスライダーで空振り三振に仕留めたものの、振り逃げで出塁され、ここから流れが変わりました。小園は二盗を決め、ここから安打と暴投で同点、更に満塁から押し出し死球で勝ち越すと、適時打が出て4−1として愛工大名電に流れを与えず押し切りました。報徳学園の先発・林 直人(2年)が好投、8回表から2番手・木村勇仁(3年)が愛工大名電打線を封じ、報徳学園は8年ぶりのベスト8進出を決めました
浦和学院(南埼玉)は背番号11渡邊勇太朗の二桁奪三振完封勝利で二松学舎大付(東東京)に完勝、甲子園でまだ無失点の快進撃、堅実な守備、センターから反対方向の無理ない打撃と、チャンスと見たら足を絡めて猛然と襲い掛かる攻撃力、埼玉県大会から全く危なげない試合展開で、「強い!」と実感させます。次は大阪桐蔭(北大阪)だって!?
済美(愛媛)と高知商(高知)戦は1、2回戦を見て誰もが打撃戦を予想したでしょうが、ナント!投手戦となりました。お互い疲れたのかな?済美(愛媛)のエース山口直哉は、打たれても打たれても飄々と投げ続ける、その背中を見て打線が奮起し、最後は壮絶な戦いを制す、しかしいつまで続けられるか?
大阪桐蔭(北大阪)と高岡商(富山)戦は、高岡商がエース山田の力投で善戦しました。大阪桐蔭はやっと横川に当番機会が巡ってきて、2回に押し出し死球があったものの5回1失点の好投。その後好調エース柿木が出てきては、もはや勝負あった。大阪桐蔭相手だと各校善戦しますが、最後は押し切られる、地力の違いで、相手をそこそこ満足させて甲子園を後にさせる心憎い試合振りです
近江(滋賀)金足農(秋田)下関国際(山口)、が準々決勝進出、優勝候補:横浜(神奈川)木更津総合(東千葉)敗れる!
4人の好投手を揃える近江(滋賀)は、前橋育英戦で好投を見せた左腕・林優樹投手(2年)がまたしても8回1失点のナイスピッチング、4番・北村恵吾(3年)の1、3、4、7回の適時打など4安打6打点の大活躍で、常葉大菊川(静岡)の7回、9回の反撃を抑えて勝利
金足農(秋田)と優勝候補:横浜(神奈川)との戦いを前に次のように書いていました・・・金足農の吉田輝星投手対横浜打線は見ものですね。横浜の打者は速球と落ちる球に弱いので、この弱点を突くピッチングができるか?ただ甘いストレートもあるので横浜の打者が攻めるとすればここです。ギアが入る前に崩したいところ。金足農は吉田が注目されるものの、2試合とも投手力が高いチームを打ち崩して勝ち上がっているだけに横浜投手陣も気が抜けません。エース板川はじめ良い投手が沢山居るので総動員してでも金足農打線を抑えたいところです・・・さあ、結果はどうなったか?さすがの横浜打線、吉田輝星に12安打を浴びせ、7回終わって4-2とリード、このままかと思われた8回裏、金足農6番高橋佑輔1塁手がバックスクリーンへ逆転3ランを打ち込みました。こうなったら吉田輝星ギアチェンジ、9回表横浜4番万波、5番内海、6番角田を三者連続三振に切って取り試合終了。起死回生の一打、3回の吉田輝星のバックスクリーン同点2ラン、8回の高橋佑輔のバックスクリーンへの逆転3ラン、やはりホームランというのは一発で試合展開を変えますから怖い、総合力で上回る横浜ですが、板川を引っ張り過ぎました
下関国際(山口)と優勝候補:木更津総合(東千葉)との戦いを前に次のように書いていました・・・木更津総合はできるだけリードを広げた状態で終盤を迎えたいと考えているでしょう。下関国際は、相手に応じて待球作戦をとるなど、戦術が優れたチームです。ここまでの2試合は、9回に必ず得点を上げるなど、終盤に強さを発揮しています。ただ木更津総合は守りのしっかりしたチームで、守りからリズムを作り隙がないので、下関国際は打って打開するほか手がないでしょう・・・すなわち木更津総合有利と見ていました。ところが守備が良いはずの木更津総合の内野の守りの乱れから下関国際が2回表2点先制、木更津総合は下関国際エース鶴田を攻めて3回裏1点返し、その後も度々チャンスを作りますが、どうしても得点できません。木更津総合の根本投手はエンジン掛かってきて下関国際打線を抑え込みます。流れは木更津総合に向かい、2-1の7回裏迎えたチャンスで根本に代打を送りながら無得点。8回表からマウンドにはエースの野尻ではなく甲子園初登板の1年生篠木を送りました。終盤に必ず得点する下関国際にリードされた状態で何を考えているのかと危惧したら、案の定8回表に1点、9回表に1点とトドメを刺されてホールドアップ、監督の采配の差ですね。昨夏に甲子園初出場、今春、今夏と3回連続ですが、坂原秀尚監督の采配と、それを体現する選手たちは素晴らしい!強いチームを相手に戦うのはこうするんだよと教えてくれました。
龍谷大平安(京都)はこれまでの2試合、打撃絶好調、エース・小寺も好調で、チームとして隙がありません。ただ日大三(西東京)打線は、龍谷大平安のエース・小寺投手を攻略する打力は十分に持っています。鳥取城北(鳥取)に接戦を許した龍谷大平安は、これまで戦ってきた相手と比べるとワンランク上の日大三に対して自分たちのペースで試合運びすることができるでしょうか?・・・と書いていましたが、白熱大接戦になりました。日大三が先制する、龍谷大平安が追い着く、日大三が引き離す、またしても龍谷大平安が追い着く、という手に汗握るスゴイ試合、小寺は8回裏粘りに粘る日大三・金子に押し出し四球を与え、これが決勝点になりました。どちらも負けさせたくない、そんな試合、日大三は甲子園初登板広沢を先発させ、河村で締める賭け、勝敗を分けたのは3失策の龍谷大平安に対し、無失策の日大三、これだったのではないでしょうか。強面の龍谷大平安・原田監督は、試合終了後、小寺を抱きかかえて慰めた後、「お前たち、最高だったぜー」と吠えました
3回戦終わって、スポーツ新聞三紙の事前予想有力13チーム中11チームが3回戦までで脱落し、BEST8予想チーム中わずか2チームが残りました。その残った2チーム;浦和学院(南埼玉)と大阪桐蔭(北大阪)は準々決勝で激突しますので、これが事実上の優勝決定戦と見ます。何故なら、この優勝候補2チームは三拍子揃った総合力抜群で、投手陣が充実しており、近江(滋賀)と報徳学園(東兵庫)、日大三(西東京)は別にして他のチームはエースへの依存度が高く、準々決勝、準決勝、決勝を戦い抜くのは困難と思われるからです。上の「注目チームと戦力展望」の中に太字で出ているチームでBEST8に残ったのは浦和学院(南埼玉)と大阪桐蔭(北大阪)、近江(滋賀)、報徳学園(東兵庫)、日大三(西東京)、金足農(秋田)です。つまり、済美(愛媛)と下関国際(山口)以外は一応注目チームだったわけです。スポーツ新聞三紙の事前予想のところで「昨年の花咲徳栄優勝を予測した報知に注目です」と書いてありますが、結局BEST8に残った特A評価:大阪桐蔭(北大阪)とA評価:浦和学院(南埼玉)を両方当てたのは報知だけでした。日刊スポーツとスポニチの記者は情報不足です。筆者は埼玉県大会をスタンドで見て、昨年の花咲徳栄は甲子園でも優勝候補だと感じて夏の甲子園2017に書きました。報知だけは同じ評価でした。今年は夏の埼玉高校野球;南埼玉・北埼玉大会の中で「今年の浦和学院は期待できそう」と書き、花咲徳栄については「野村ひとりが活躍するようではダメ」と書きました。

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【第14日:8月18日】 準々決勝 8時00分 浦和学院(南埼玉) 2−11 大阪桐蔭(北大阪) 
  準々決勝 10時30分  報徳学園(東兵庫) 2−3 済美(愛媛) 
  準々決勝 13時00分  日大三(西東京) 3−2 下関国際(山口)
  準々決勝 15時30分  金足農(秋田) 3−2 近江(滋賀)
埼玉高校野球情報局のページにリンクします

準々決勝は大阪桐蔭−浦和学院戦以外は、すべて3−2というクロスゲームで、実力差が紙一重だったことを示しました。逆に大阪桐蔭が図抜けていることがハッキリ見せ付けられました
事実上の優勝決定戦;浦和学院(南埼玉)と大阪桐蔭(北大阪)戦は継投がカギです。誰を先発させるか、森監督と西谷監督の采配が見ものです。攻撃力、守備力は共に高い、投手陣も共に充実、唯一の差は甲子園経験、だけど共に死力を尽くして頑張れ!森監督と西谷監督のベンチでの所作で試合展開が分かりました。必死に身振り手振りで指示する森監督、どっしり腕組んでニコニコ余裕の西谷監督、ホームランを打った藤原が戻ってきて西谷監督になにやら報告するときは笑顔が消える、逆なんじゃないの?と思いました。つまりこの監督は選手を信頼して任せて「監督、やりました」というのを「ウン、わかった」と言ってるんだなと思いました。大阪桐蔭の先発は左の横川の連投かな?と思っていたら根尾昂(3年)でした。今大会は決して調子は良くありません。しかし想定外は有り得ない選手、多少失点しても試合は作れると考えての登板だったのではないでしょうか。一方の浦和学院は背番号11ながらエースの渡邊勇太朗、立ち上がり好調でした。しかし2回、根尾のアーチで先手を取った大阪桐蔭は、その後も4番藤原恭大(3年)のソロなどで着々加点、渡邊勇太朗はインコース膝元へ厳しい速球を投げ込んだのに、インコース速球を狙っていた藤原に打たれてビックリした表情でした。藤原は俊足で本来1番タイプですが、パワーがあるので4番に座っている選手、大阪桐蔭が強いワケです。浦和学院が1点差に迫ると、直後の6回に打者一巡の猛攻で突き放しました。リリーフした2年生左腕永島が火達磨の5失点で、来年の浦和学院はどうするんだろうと考えさせられる猛攻でした。大阪桐蔭は藤原の2発など計4アーチを浦和学院投手陣に浴びせ、PL学園の通算本塁打記録をこの試合でアッサリと抜き去りました。根尾が2点取られるとすぐさまエース柿木蓮(3年)への継投で、勝負有り。「相手をそこそこ満足させて甲子園を後にさせる心憎い試合振り」と上で書きましたが、この試合は唯一強豪と見る浦和学院が相手、それならば本気でつぶしてやる、王者の貫禄というか、強者には最初から最後まで手を抜かずに徹底的に叩きのめすという試合運びでした。もはや甲子園に敵はいません。
報徳学園(東兵庫)と済美(愛媛)戦は、投手陣豊富な報徳学園がどうしても有利、済美は山口頼みです。しかも報徳学園には小園という絶対的なスターが居ます。しかし済美の信じがたい粘り、打たれても打たれてもひるまない山口の粘投、ここぞの爆発力が発揮されれば結果は分かりません報徳学園(東兵庫)は小園が無安打に封じられた上にまさかのエラー、しかし「逆転の報徳学園」ですから最後まで手に汗握る試合となりました。山口頼みの済美はですが、この日はキャプテン池内が先発して5回1死まで投げて山口につなぎました。9回表済美は、この日2打点の芦谷タイムリーで2点差としたのが結果的に勝ちに繋がりました。9回裏の報徳学園の猛追を振り切った済美(愛媛)が、14年ぶりの準決勝進出を果たしました
日大三(西東京)と下関国際(山口)戦も、投手陣豊富な日大三に対して大黒柱のエースで4番鶴田頼みの下関国際、普通に考えれば日大三有利ですが、下関国際は相手が嫌がることをやって我がペースへ引き込み、終盤で決着付けるいやらしさがあります。日大三がどうやってこのいやらしさに対抗するか、見ものです日大三(西東京)は、下関国際(山口)の鶴田克樹(3年)に7回2死までノーヒットノーランに抑えられていましたが、8回のワンチャンスを代打・高木翔己(3年)の同点打と日置航(3年=主将)の勝ち越し打で一気に逆転して、7年ぶりに夏の4強進出です。途中までは鶴田の好投で、このまま行くかなと思われました。8回に高木までの3連打で同点とし、日置の勝ち越し打、鶴田には悪夢のイニングでした
金足農(秋田)と近江(滋賀)戦は金足農・吉田輝星のピッチング対近江4番北村の対決に注目、吉田輝星は相当疲れているはずです。しかも連投、しかしまだBEST4までのスタミナは残っているかもしれません。秋田県民の応援に応え頑張れ!近江の4番北村はやはり怖い打者でした。6回に金足農の吉田輝星からタイムリーを放って勝ち越し打、さすがと思いました。しかし1点リードの8回二死1、2塁で打席に立った北村に吉田は意表を突く変化球攻めで投ゴロに打ち取りました。吉田の野球選手としての非凡さは、相手の心理を読む上手さだけではありません。打者1塁で送りバントがピッチャー小フライになる、コレをわざと捕らず1バウンドしたところを捕って1→4→3のダブルプレー、咄嗟にこんなことが出来るのはPL学園の桑田真澄ぐらいですね。1点ビハインドで迎えた9回裏、金足農ナインは何としても吉田輝星を勝ち投手にするんだ!という気迫に溢れていました。前日逆転3ランを放った6番高橋がレフト前ヒットで出塁しました。打席での気迫が打たせたヒットでした。続く7番菊池彪はこの試合ここまでノーヒットで、この打席でもバントの構えからストライクを見送り、2球目はバスターに出て空振りと簡単に追い込まれてしまい、やっぱりだめか、と思いました。しかし、この打席はここからが違いました。なんとか粘って最後はチェンジアップに食らいつきレフト前ヒットを放ち、無死1、2塁。8番菊池亮は、近江(滋賀)のエース林が顔はニコニコしているが心中穏やかでない心理を見透かしてバットを振らず四球出塁、さあ無死満塁だ、逆転へのムードを作り上げました。ここで9番斎藤璃玖(3年)、甲子園無安打です。どう攻めるか?これがナント!スクイズ、3塁前に転がった球、1塁送球アウト、同点だ!と思ったら、チーム1の俊足・菊池彪が迷わず本塁突入、捕手のタッチをかいくぐってセーフ!2ランスクイズで近江(滋賀)に逆転サヨナラ勝ち!吉田輝星はこれまでの3試合に比べてストライクを先行させ、スプリットやツーシームなど変化球を使いながら、勝負どころでは力を込めたストレートでこの試合でも2桁の10奪三振と好投しました。4試合連続の二桁奪三振で、金足農の34年ぶりの4強進出に貢献しました。それにしても金足農(秋田)は神がかっています。9回裏は甲子園の大観衆を味方につけたとは言え、まさか、まさかでした


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【第15日:8月20日】 準決勝 10時00分  金足農(秋田)  2−1  日大三(西東京)  
  準決勝 12時30分  済美(愛媛)  2−5  大阪桐蔭(北大阪)
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予想通りでした。金足農(秋田)は甲子園のスタンドだけではなく、全国的な後押しを得て、一種の大フィーバーを巻き起こしています
大阪桐蔭(北大阪)は済美(愛媛)に対しては3回戦までの相手と同じように余裕の勝利、しかし決勝戦はそうはならないでしょう
いかに甲子園が大阪桐蔭の地元とは言え、金足農(秋田)に向けての声援、後押しは尋常ではなく、ヒールとならざるを得ません
だからこそ大阪桐蔭は本気で勝ちに行くでしょう。吉田輝星は疲れていますから力で押し切るのは困難ですが巧さがあります
どちらかと言えば大阪桐蔭の投手陣対金足農打線のほうがポイントと思います。大阪桐蔭は根尾かな?
お互いに四死球と失策に要注意です。特に無死での四死球と失策は失点に繋がりやすいものです。根尾はここに懸念があります
準決勝ではお互いに失策がありました。大阪桐蔭の1塁手石川は自らのエラー失点を、直後に2点適時打で取り返しました
金足農も準決勝ではエラーがありました。決勝戦はお互いに掛け合う声も聞こえないような大声援の下・・・地に足を、要注意です

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【第16日:8月21日】 決勝 14時00分  大阪桐蔭(北大阪) 13−2 金足農(秋田) 
  閉会式 終了後      

チーム 1 2 3 4 5 6 7 8 9
金足農(秋田) 0 0 1 0 0 0 1 0 0 2 5 1
大阪桐蔭(北大阪) 3 0 0 3 6 0 1 0 × 13 15 0

 金足農には懸念していたことが現実になり、大阪桐蔭は王者の貫禄、最初から最後まで手を抜かずに徹底的に叩きのめすという試合運びで圧勝しました。鹿児島実、大垣日大、横浜、近江、日大三と名前を聞いただけでひるんでしまうような名門校を次々と撃破してきた金足農ですが、大阪桐蔭は絶対的優勝候補、投打走守いずれも揃った攻守に隙の無いチームです。甲子園の決勝戦は満員大観衆、どうしても後攻めを選びたいところ、それをGETしたのは大阪桐蔭でした。
 大阪桐蔭の先発はエース柿木、コレを見て根尾を予想した自分が恥ずかしくなりました。西谷監督の性格を考えれば、大事な試合をエースに任せるのは当たり前です。主将の中川を信頼しているのと同様、西谷監督というのは選手の心理を読み、選手が最高に昂ぶる心にくい采配をします。ピンチになっても頑固に選手を代えず「任したぞ」ということがよくありました。柿木が登板すれば、内野は最も安定した布陣になり、選手たちの心理も最高になることを考えると、これは当然でした。前日の準決勝で力投して完投したことで、連投はキツイのでは?と考えたのですが、よく考えれば、制球に不安が有る根尾よりも柿木で試合を作り、もし打たれても横川も根尾もいる、というのがもっとも順当なプランです。相手の吉田輝星投手が5試合一人で投げ抜いてきたことに比べれば、柿木の疲れはより少ないはずです。1回表、柿木は1番菅原を1-2と追い込み4球目セカンドゴロに仕留めました。いずれも徹底した低め攻めでした。2番キャプテン佐々木はフルカウントからライトフライに仕留めました。ストライクから入っていますが、外角攻めで、1球高い吊り球がありましたが、ここまでスピードを抑えてコース狙いでした。最後は外角高めいっぱいに初めての速い球、それでも142キロでした。3番吉田輝星には外角低めに外れる変化球、絶対ヒットを打てない球を空振り、初球甘い球ならともかくこれに手を出すようでは焦っています。しまった〜という打者心理を見透かしてリズム良く考える暇を与えず2球目ズバッとド真ん中140キロのストレートで見逃し、3球目外角低めいっぱいに144キロのストレート、手が出ませんでした。13球で三者凡退、投手としては理想的です。イニング13球が好投手の目安です。その裏注目の吉田輝星の立ち上がり、1番宮崎は当たりに当たっています。柿木同様スピードを抑えてカウント整えようとします。1-1からいずれもアウトコース低めの球を見逃され、5球目ド真ん中136キロの打ち頃のストレートですが見逃します。何で振らないんだろう?分かりますね。次の球145キロの速球ですが外角低め遠く四球、そういうことです。まずは吉田輝星にたくさん投げさせて、どういう投手か、球の切れは、など打者たちに見させようということで、ウェイティングしたわけです。バットの振りが鋭い大阪桐蔭の打者たちは、追い込まれてもクサイ球カットで粘れます。140キロ台後半の速球なんて、練習で普通に打ち込んでいます。ただ吉田輝星の速球はお辞儀しないのでただ速いだけではありません。出来るだけ投げさせて球を見極めて、後半勝負だと思っていたのではないでしょうか。2番青地これまた当たりに当たっています。見逃しとファウル、2球で追い込みました。ここで1球速いけん制を入れます。三球勝負外角低め引っ張ってライト前ヒット、最低でも進塁打というバッティングですが1、2塁間痛烈に抜きました。コレで無死1、3塁、3番中川主将、内角攻めです。2球けん制を入れ、打者のタイミングをずらしながら速球勝負、2球ファウルの後の6球目、足元にストンと落として空振り三振、これはピッチャーの勝ち。さあ注目の4番藤原です。1球目外角へ外し、2球目内角速球ファウル、3球目外角速球、狙っていましたが空振り146キロ、1塁けん制入れて、4球目内角高め速球ファウル、5球目足元にストンと落として空振り三振、中川のときと全く同じです。さすがと思いました。5番バッターは根尾、チャンスにやたらと強い打者です。藤原のときと同様、1球目外角へ外し、2球目外角低めへの速球、これは打ってもムダ、悠然と見逃してストライク、1塁けん制入れて、3球目外角高め速球、空振り143キロ、これは狙っていたようですが振り遅れ。追い込んで、中川、藤原同様足元にストンと落とすかと思いきや、4球目外角腰の辺り速球、144キロ、外れました。5球目内角腰の辺りの速球146キロ、ボール、根尾は悠然と見逃して、フルカウント。このあたりが並みの打者ではありません。変化球を使わないのは投手に怖いと感じさせる何かがあるんだろうなと思いました。そして6球目内角足元への速球144キロ、ボール!これは打者の勝ち、二死満塁です。打てるものなら打ってみろと、これまでの吉田輝星ならば腕を振ってくる、吊られて打者は振ってしまうのですが、根尾はさすがです。ここまで既に26球、柿木の倍です。打席には右の石川、前半戦不調でしたが、浦和学院戦から復調して準決勝では2点適時打など、調子を上げてきている要注意打者です。初球外角低めに暴投、キャッチャー捕れず宮崎ホームイン、1点献上なお二死2、3塁です。これは痛過ぎる、無死で四球走者を出しワイルドピッチで失点、ピッチャーのワンマンショー、野球では投手の独り相撲と言います。2球目も外角低めに外れ、3球目ド真ん中速球145キロ振りません。4球目内角速球146キロ〜ボール、5球目真ん中低め速球145キロストライク振りません。さあフルカウント、6球目外角腰の辺り、狙っていました、絵に描いたような右打ち2点タイムリー、2塁走者は根尾ですから、打った瞬間スタートして悠々ホームイン、3-0です。7番山田怖い打者、ホームランバッターが7番に座っているチームなんて他にありません。というか、大阪桐蔭は投手を除いて他のチームなら全員クリーンアップというチームです。センターフライで3アウトチェンジ。1回で35球を投げさせられた吉田輝星、もうヘトヘトです。
 3点を先制された直後の二回、金足農は4番打川がセンター前ヒットで出塁、3点差はありますが金足農は犠打でコツコツ点を取って相手にプレッシャを与える野球です。5番大友がバントで送り、6番高橋レフト前ヒットで一死1、3塁、打席には7番菊池彪、近江戦で高橋に続いて粘ってヒットを打ち、2ランスクイズで2塁からホームインした選手、ラッキーボーイの要素を持っています。2球ストライクで追い込まれ、2球外角のボールを見極めた後、5球目は外角遠いボール、アッ、三塁走者の打川が飛び出した、1塁走者の高橋も走っている、スクイズだったんだ!打川は挟殺、結局菊地彪は歩いて二死1、2塁、8番菊地亮はショートゴロでチェンジ、試合の流れをつかみ損ねました。ここで1点取っていれば流れは全然違いました。大阪桐蔭バッテリーも2ストライクからスクイズは想定していなかったでしょう。したがって外したわけではありません。中泉監督は選手が予想もできない積極采配を仕掛けることがあります。この場面は「何とか1点欲しかった」という中泉監督の決断でしたが、菊地彪はサインを見逃しました。準決勝の日大三(西東京)戦でスクイズを外され、菊地彪は「サインが見破られているのではないかと思った」と不安になりました。そのため決勝ではスクイズのサインをいつもと変えましたが、決勝の大舞台で打者の頭は混乱していたのか、打者には伝わらず、打川も「スクイズではなかったと思う。自分の走塁ミス」と言いました。しかし打川は勘違いしていたわけではありません。1塁走者の高橋も投球と同時に走っていました。スクイズと思っていなかったら挟殺されるわけがありません。打川は菊地彪のサイン見逃しをかばったのです。それだけ選手たちは、地に足が着いていなかったということです。これでもう試合の行く末は見えました。この後のことはもう、書きません。「無死での四死球と失策に要注意」、「地に足を、要注意」、どちらも金足農への言葉になってしまいました。

ページTOPへ  百回記念高校野球、このままで良いのか?

 第100回全国高等学校野球選手権は、金足農の活躍で盛り上がり、観客数も史上最高となりました。どうしてこんなに盛り上がったのかというと、絶対王者:大阪桐蔭の史上初の春夏連覇もさることながら、雑草軍団金足農の東北勢夏9度目の決勝進出での悲願の初優勝、それも公立高校、中でも農業高校ということで、日本農業新聞さえもが1面に金足農の活躍を載せるなど、大フィーバーを巻き起こしたからです。
 スポーツ新聞三紙の事前予想でも、列挙された有力校はほぼ高校野球ファンなら誰でも知っている私立の有名校ばかりです。近年の高校野球はこうした有力校に優秀な選手が集まる傾向にあり、中学生でリトルシニアの有名選手やプロ野球球団ジュニア所属選手が甲子園出場可能性の高い高校に集まります。そして高校野球でスカウトの目に止まりプロ野球へと進む、すなわち中学〜高校というのは準プロの選手たちの闘いという側面が年々強まって来ています。
 そんな中でも近年は大阪桐蔭が群を抜いてきました。少年野球でも大阪は断トツに強いのですが、そんな有力選手がひしめきあう大阪でも大阪桐蔭でレギュラーになるのは極めて困難です。大阪桐蔭には全国からスゴイ選手が集まってきますから、甲子園出場確率は確かに高いけれど、その前にベンチ入りできるかどうかが難関です。それならば地方の有力校に行こうということになります。昨年まで甲子園を沸かせた秀岳館高校(熊本)は、中学の全国チャンピオン・オール枚方ボーイズの選手たちを引き連れて鍛冶舎監督が熊本県に移住して秀岳館に入りました。いわば熊本県の高校だけれどルーツは大阪です。大阪には大阪桐蔭があるので、地方へ行って甲子園に出ようということで、このアイデアは成功しました。
 地方で甲子園、一番確度が高いのは聖光学院(福島)でしょう。青森県なら八戸学院光星か青森山田です。宮城県なら仙台育英や東北かな?こうして東北の高校も近年は強豪イメージが高まってきました。そんな中、花巻東(岩手)のように、百名以上の部員を擁しながら岩手県出身選手でレギュラーを固めるような学校は珍しいのです。岩手県でも盛岡大付属のようにガイジン選手を集めて強い高校もありますが、菊池雄星や大谷翔平などの活躍で、岩手県の有力選手が花巻東に集まるようになったことから、逆に花巻東は岩手県出身選手をウリにするようになりました。
 そんな中で秋田県は特異です。高校野球の強豪校は秋田商や大曲工など公立校中心で、私立では明桜高校(前の秋田経法大付)ぐらいです。もちろん金足農も秋田県では名門のひとつです。しかし有力選手が集まる他県の私学強豪校にはどうしても見劣りします。13年連続甲子園1回戦敗退などという不名誉な記録も作りました。そうした背景があったため金足農の活躍で秋田県全体が盛り上がり、農業界も盛り上がり、吉田輝星投手の低めでも沈まない伸びのある球に、全国の野球ファンが熱狂しました。
 甲子園で地元の大阪桐蔭よりも金足農への応援が多いなんて考えられないことでした。日本では判官びいきの傾向にあり、負けているチームを応援する傾向にあります。準決勝で負けていた日大三が終盤あと一歩まで金足農に迫ったとき、球場は吉田輝星への大応援、これは珍しいことです。過去では北海道勢初優勝の駒大苫小牧や沖縄の春夏優勝興南高校に対して甲子園スタンドの大声援がありました。
 金足農フィーバーは、その野球が「いにしえの野球」だったこともあります。バントで送ってコツコツ1点を取りに行く、スクイズで1点取る、という野球は随分昔の野球です。体力の無い少年野球ではいまだにこうした野球は健在ですが、高校野球で2ランスクイズなんて今や超珍しい作戦です。近江の選手たちは2ランスクイズなど予想もしていなかったでしょうし、備えた練習もしていなかったのでは?少年野球では当たり前でも、今の高校野球では簡単にバントで送る強豪校は少なくなりました。メジャーなどではバントしたら「アホか〜」とブーイングされるほどです。金足農がこうした野球が出来たのは吉田輝星という失点の少ない投手を擁していたからです。打ち勝つ野球をしなくても、コツコツ得点して守り切る野球です。
 金足農が「いにしえの野球」で勝ち進めたのは吉田輝星あってこそです。いざとなるとギアチェンジして三振とって真っ白いマウスピースの歯を見せて吠える、カッコイイ!漫画のような世界でした。まさか横浜に勝つなんて考えられませんでした。それも3ラン打った選手が初めてのホームラン、それが甲子園で出るなんて...吉田輝星の投球術、速いけん制、打者の打ち気を逸らす心にくい間合い、送りバントへの反応、見事なバントをダッシュして捕って矢の様な2塁送球で刺す、1塁ベース上で「そんなバカな」と呆然とする選手、みんな漫画のような世界でした。自分たちは一発バントで確実に送ったり得点するのに相手にはバントさせない、PL学園桑田真澄の世界、30年前の野球ですね。
 しかし大阪桐蔭には通じませんでした。吉田輝星が疲れていないときに対戦したとしても結果は同じだったでしょう。それだけ大阪桐蔭は強い、プロ野球チームと対戦するみたいなものでした。
 今回吉田輝星投手が投げたのは881球、早稲田実の斉藤佑樹の948球に次ぐ歴代2位です。その斉藤佑樹が日本ハムで今どうなっているかと考えると、投げ過ぎは良くないという議論が出てきます。現代野球は複数の投手を揃えないと勝てないというようになって来ました。それだけ打力が上がってきているためです。しかし下関国際は鶴田、済美は山口の力投で勝ち上がりました。こういうエースの頑張りというのが高校野球の醍醐味です。大阪桐蔭だって柿木が頑張ったじゃないですか。少年野球でも球数制限などが言われるようになって来ました。選手の肩や肘への配慮のためです。しかしあまり規制は掛けないようにしてもらいたいものです。必死の頑張りが感動を呼ぶのです。
 埼玉でも浦和学院、花咲徳栄、春日部共栄、聖望学園の私学4強が甲子園への近道にいます。準プロ化した高校野球と言われれば確かにそうですが、公立校も今年は川口、ふじみ野、市立川越、川口市立、朝霞、上尾、滑川総合、白岡などが頑張りました。金足農みたいなチームでも頑張れば甲子園決勝まで行ける、そういう夢を見させてくれたことは、多くの高校球児への励ましになったと思います。高校野球も百回を超えて、準プロ化への批判や球数制限などが言われるようにはなっていますが、最後まで希望を捨てずに頑張る高校球児の姿を見ると、ゴチャゴチャ言わずに応援しろ!と言いたくなります。野球は強いものが勝つとは限らないスポーツです。チームワークや流れの引き寄せ、相手をいかにだますか、頭を使うスポーツです。フィジカルよりメンタルが勝るスポーツなんて滅多にありません。応援がスゴイチームは必ず強い、選手たちだけでなく応援する人たちも一体となって闘うスポーツなのです。やっぱり、野球は面白い!


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