454  さんままつり

 東京タワーで9月23日恒例の三陸・大船渡さんままつりが開かれた。今年は東日本大震災で、津波による甚大な被害を被った大船渡市だが、友人である戸田公明大船渡市長からこの催しに誘い合わせて来てくれとメールがあったので行ってきた。実は前日は兄弟会社である山形チノーに行ったのだが、折からの台風で、2011年9月20日から22日にかけて本州上陸、直撃で日本列島は大荒れ、名古屋市では市民の半数に避難命令が出たほど。21日には関東を通り過ぎたが、電車は皆止まり、帰宅難民も出た模様。しかし、今はインターネットで情報がリアルタイムで来る、22時まで待てば台風一過で晴れるだろう、ここは慌てず仕事していようと腹を括った。ただ、21日の午前に瞬停があったのには参った。埼玉県戸田市で瞬時停電など記憶にない。ノートPCの人は助かったが、デスクトップの人はそれまでの作業がパーになった。予期せぬ停電というのは実に恐ろしいもの、「無停電電源装置(UPS)」が欲しいと思った。実は我社の製品にこれがあるのだが・・・。
 22日早朝天童に向かったが、「つばさ」は前日に続いて運休、仙台に行ってバスで天童に向かった。翌朝運転再開した「つばさ」で東京直行、重い荷物を持ったまま東京タワーに行く途中、増上寺を通った。増上寺についてはいずれ紹介する。


戸田公明大船渡市長とのツーショット

■大行列のさんままつり
 東京タワーでのさんままつりは大盛況、焼いたさんまの無料試食の行列は東京タワーを4分の3周、2時間待ちでも皆並ぶ、なんということだ!ハトバスの観光客やガイジンも珍しそうに見物していた。背広に大きな荷物を持った異例な姿で会場に来た筆者はなんとなく周りと違和感が・・・、しかし高校の同窓生など友人数人に会えて、やあやあ、元気?と挨拶。
 大船渡市長の戸田君は、話を聞いたら、政府への陳情、地元の人たちとの話し合い、議会対策、いろいろ大変だったらしい。会場にはたくさんの炭火のコンロが並び、さんまを焼く煙がもうもうと立ち昇り、白い大根おろしと緑の果皮に黄色い果肉の辺塚だいだいを添えたトレイに焼いたサンマを載せる、大船渡から来た人たちの表情の明るいこと、食べる人たちの幸せそうな笑顔、東京タワーの駐車場に人々の交流の輪が拡がった。恒例ながら、今年は大震災で被災した大船渡、全国からの支援に感謝をこめてのさんままつりになった。


煙の上がる会場だが、とにかくみんな明るく元気

注)サンマに添える香酸柑橘は、目黒駅前の宮古さんま祭りでは徳島のスダチが添えられる。目黒区民センターの気仙沼さんま祭りでは大分のカボス、東京タワーの大船渡さんままつりは鹿児島の辺塚だいだいなのである。辺塚だいだいは鹿児島県肝属郡肝付町の特産で、この町は、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究施設所在地である4市2町がユーモアとパロディの精神で組織した銀河連邦国家である。4市2町は、それぞれ独立国家としての共和国を建国しており、お互いの首長を「大統領」と呼び合っている。大船渡市は東日本大震災で、この銀河連邦各市町から大いに支援を受けた。辺塚だいだいもこの縁である。

■建機レンタル街道…国道45号線
 大船渡市出身のシンガーソングライターのHAMAさん(ホームページ→http://www.hama56.com/)が、濱守栄子名義初のチャリティプロジェクトCDをリリースした。その名も『国道45号線』
 あるリース会社の役員が来社されたときに聞いた話だと、宮城県、岩手県の沿岸部を通り青森県に至る国道45号が“建機レンタル街道”になっているそうだ。建設機械レンタルを手がける主要企業が相次いで国道45号沿いに営業拠点を設置している。東日本大震災で津波の被害が大きく、復旧・復興工事が急がれる地域で、不足する重機械の供給体制を整えるため。国道45号線は大型ダンプやトラック、トレーラーが行き交う復興街道である。ただし戸田公明大船渡市長の話では、大船渡は8割方ガレキ撤去が進んでいるそうだ。
 建機レンタル最大手のアクティオ(東京都中央区)は宮城県南三陸町内に南三陸センターを6月中旬に設置した。南三陸町は津波の被害が大きかった地域の一つで、復旧・復興には散乱したがれきの撤去が欠かせないが、重機は足りていない模様だ。これまでは政府の無策で進んでいなかった作業も、新首相の下やっと動き出すだろうと見込んで、各社一斉に動き出した。


ステージでは様々なショーが繰り広げられていた。HAMAさんには19日前にも岩手県岩手郡岩手町のグルメ博会場で会った。その模様は−−−>コチラ

大船渡市出身のシンガーソングライターのHAMAさん

大船渡市のさいとう製菓では東京みやげ『ゆりかもめの玉子』を、渇ィの玉子を通じて販売、これはそのマスコット


■野田首相訪米の意味は?

 日本では首相になるとまず訪米というのが普通、野田首相もそうだった。2011年9月22日、ニューヨーク・国連本部での「原子力安全に関する首脳級会合」で演説した野田首相は、「多くの国々が原子力利用を真剣に模索し、わが国は支援をしてきた。今後とも高い関心にしっかり応える」と述べ、海外への原発輸出政策を継続する意向を表明した。菅前首相の「脱原発」路線を修正するとの意思表明である。持論の財政健全化実現への「車の両輪」である日本の経済成長には、原子力発電の活用による電力の安定供給が不可欠だとの思いがあるようだ。オバマ大統領との会談では、一方的に宿題を押し付けられた感じ、これはわかっていたことで、財政危機で尻に火がついたオバマ大統領にとっては、日本のことなどどうでも良いのだ。再選のためには財政危機対策の日本のお金が欲しい、中東からの名誉ある撤退が必要、雇用が落ち込み、国内経済がどん底に向かっていることへの対策など、課題山積だ。原発推進の米国は菅前首相の「脱原発」に頭に来て、公然と反菅を外交ルートで表明していた。それだけに野田首相は米国のご機嫌をまずは良くする必要があった。反原発に面舵切った日本マスコミはこれからどうするのだろう?野田首相はまずは普天間、辺野古問題の宿題解決を迫られるが、そんなことより震災復興と、円高、株安など経済対策が喫緊のテーマである。

■迫り来る経済危機
 448『大丈夫か?日本』(2011年8月14日)から6週間、かねて危惧を指摘してきた大恐慌の前兆が出てきた。世間では2番底懸念とか言っているが、そんなことで済むなら幸いである。なんとかそうなるよう祈りたい。374『今後の経済は?前編』(2010年3月14日)で紹介した経済評論家の副島隆彦氏の「ドル亡き後の世界」という本によれば、戦後のドル機軸通貨制度の崩壊と共に、アメリカ発の大恐慌が起こり、その大恐慌のドン底は2012年だと言う。副島氏の言によれば、1USドルが60円を目指して落ちてゆき、日経平均株価が一時的だが5千円を割るという、身の毛もよだつ内容だが、2006年に無名の1年生上院議員にすぎなかったオバマ氏が大統領になるとか、“リーマンとメリルは消えてなくなる”と著書「恐慌前夜」で衝撃の予測をし、ドル円レートの底値や、日経平均の底値をズバリ的中させた実績は侮れない。金融危機の責任を取らされて、バラク・オバマは任期半ばで辞任して、次の大統領はヒラリー・クリントンが取って代わると書いている。ブログでは、ロシアでプーチンとメドベージェフが首相と大統領をスイッチするとか言っていた。ナント!2011年9月25日のニュースでは、ロシアのメドベージェフ大統領がプーチン首相が大統領になるのを支持すると演説したそうだ。その代わりメドベージェフ首相が実現する!また副島氏の予測が現実になった。
 米国のFOMCが週末発表した米国経済見通しは弱く、経済の下振れリスクが顕在化しているという。世間ではヨーロッパの危機に耳目が集まっているが、「株安、通貨安、債権安」が複合したときに、パニックに陥るだろう。NY市場のみならず世界各国で株が暴落している。

■ギリシャのデフォルト迫る
 ギリシャでは公務員が大量に辞表を提出したのだそうだ。一挙に3万人。年金や給料を下げられる前にギリギリで辞めてやろうというわかりやすい人たちとのこと。ギリシャでは今後、公共投資も公的なサービス事業も全部コストカットだろう。具体的にはゴミの回収とかの回数が減るだろうし、学校の先生や警察官の数も減るのだろう。デフォルトやユーロ離脱は近いのだろうか?そんな事はナイと言われても、ドイツ国民の意識を見ていると、多分???と思ってしまう。イタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、・・・

■円高・・・USドルに対してもユーロに対しても最高値更新
 最高値更新〜2011年9月21日;1ドル=76円12銭。9月22日;1ユーロ=102円59銭。ユーロと日本円のレートは3年前のリーマンショック直前は170円だったから、ユーロの価値は3年で6割に下がったのだ。簡単に言えば、10万円のグッチのバッグが6万円で買えるのだ。逆に日本で100万円の車が、関税は別にしてヨーロッパに行けば165万円になってしまうのである。USドルも4年前は120円を超えていたから、ドルの価値はこれまた6割強に下がったのだ。理屈無しに日本のモノを買うより海外の企業や不動産を買うほうがチャンスである。

■国際原油価格急落

 こういう状態だから、債権安になるのも時間の問題か?これまでは金が買われ、オイルや農産物などもそれなりの高値を維持していたが、今回はこれらも暴落している。コレは経済状況が悪くなると市場が判断しているためだろう。右の図はUSドルレベルの原油価格である。週末には急落して70ドル台に落ちてきた。8月までなのでまだ90ドルぐらいだから、グングン落ちているのがわかるだろう。右図でど真ん中の、迷いも無く一直線に落ちているのはリーマンショック後の奈落である。134ドルから39ドルへと一気に7割も下落した。それが今年4月には110ドルまで上がってまた急落しているのである。

■なぜガソリン価格が高止まり?
 一般的にオイルが安いほうが歓迎されるが、景気が良くて価格が高いほうが良いという考え方もある。先日ある人が、原油がドンドン安くなった上に円高が進行しているのに何故ガソリン価格が下がらないのだろう?と言っていた。当然の疑問である。価格というものは売り手と買い手の取引で決まる。安くする業者がいれば安くなる。安くならないということは、売り手が寡占化したためだろう。もうひとつは需要である。車の燃費が良くなり、ハイブリッド車の普及で着実にガソリン消費量は減っている。更に電気自動車も増えていくと言われている。今後若者の車離れもあって、ガソリン消費量減傾向は続くだろう。石油元売各社は先行きの暗さを見て、できるだけ価格を下げないよう踏ん張っているのだろう。

■分からないことが多過ぎる
 今年他にも以前とは違うことが起きている。元売価格はガソリンより軽油が高いのだ。これはヨーロッパでは当り前なのだが、日本ではかつてなかったこと。日本では軽油と言えばバス・トラックだが、ヨーロッパでは乗用車も大半軽油である。ディーゼルエンジンはガソリンエンジンより倍以上長持ちする、すなわち環境に優しい。軽油が高いと運送業者は大変だ、だから物流価格が高くなったかというとそんなことはない。何故?ネット通販が増えたのに、送料無料というケースが多いのだ。この謎もわからない。また、灯油が夏でもガソリンより高い。これまたかつてなかったこと。何故だ?何故だ・・・最近は分からないことが多過ぎる。

■軽自動車戦争が始まる
 燃費が良い軽自動車をめぐる販売競争が、この9月を境に激しくなりそうだ。まず、のろしを上げるのは業界の雄、トヨタ自動車。軽とは一線を画していたが、今月からダイハツ工業からOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けて初めて発売する軽自動車のブランド名を「ピクシス」とすると発表した。第一弾となる「ピクシス スペース」は、ダイハツ「ムーヴコンテ」をベースにし、価格は112万円から。今後、「ハイゼット」などをベースにした2車種をピクシスシリーズとして投入する計画だ。
 9月20日には、軽最大手のダイハツ工業がガソリン車として1リットルあたり30kmの最高の燃費性能を持ち価格も79万5千円からと安価な新型軽自動車「ミライース」を発売した。ハイブリッド車(HV)や電気自動車(EV)に次ぐ「第3のエコカー」をうたい、シェア拡大を目指す。国内の乗用車メーカー8社すべてが軽を手がけることになり、軽市場は“群雄割拠”の戦国時代に突入する。


Daihatsu Mira E:S

■新車販売の35%を占める軽
 国内の自動車販売に占める軽の割合は年々増加傾向にある。デフレが続く中、価格、維持費が登録車に比べて安い軽がジワジワと割合を高めている。2006年に新車販売のうち軽の割合が初めて35%を超え「将来は5割になる」との見方もあり、縮小を続ける国内自動車市場にとって、数少ない“成長”分野である。
 軽自動車を生産するのはダイハツ、スズキ、ホンダ、三菱自動車の4社で、残り4社はOEM調達で販売している。日産はスズキからのOEM調達を続けながら、軽生産4位の三菱と軽を企画開発する合弁会社「NMKV」を6月に設立した。軽で勝負することに方針を転換した模様。

■新興国でも通用
 盛り上がりをみせる軽市場だが、日本市場に限定された「ガラパゴス状態」という指摘もある。ただ、「安く軽く品質がよく、燃費がいい」(スズキの鈴木修会長兼社長)という軽のコンセプトはそのまま新興国のニーズに合致する。スズキがインドで50%近いシェアを誇るのも、ダイハツがインドネシア2位の20%のシェアを確保しているのも、軽で培った小型車作りが新興国で通用することを裏付けている。

■スズキを狙うVW
 スズキが独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)との資本・業務提携の解消を決めたのは、VWがスズキを傘下に入れたいとする一方で、スズキは自主独立路線を貫きたいという経営スタンスの違いを埋められなかったためらしい。VWは独アウディ、シュコダ(チェコ)などの買収によって10ブランドを展開するなどM&A(企業の合併・買収)によって事業を拡大してきた。今年に入っても、独商用車大手のマンの買収を決めるなどその戦略は加速している。VWはスズキも自社ブランドに加えたいと考えており、今年3月には「スズキはVWの持ち分法適用会社」と株主向け報告書に明記するなど、スズキの子会社化を既成事実化しようとしてきた。インドで5割近いシェアを持つスズキにとって、VWの1ブランドになるという選択肢はなく、規模では大きく劣るスズキ側からの提携解消の申し入れとなった。
 スズキが強気の姿勢を示すのは、自動車市場の大きな構造変化がある。今後は新興国で収益をあげなくては生き残りが厳しい状況になっており、「世界一といわれる低コストで小型車を作れるスズキの生産や開発技術」が注目されている。実際、スズキは世界中のメーカーからさまざまな(提携)提案を受けており、伊フィアットがディーゼルエンジンをスズキに供給するのも、「提携関係を強化したいというスタンスの表れ」の模様だ。ただスズキにも苦しい面がある。今後の世界の主流となる環境対応車の開発では巨費がかかるため、トヨタ自動車でさえも米フォードと提携するなど合従連衡が加速している。33年間もトップにいる鈴木修会長が健在のうちは大丈夫だろうが、81歳と高齢なのが気がかりである。VWはスズキ株の19.9%を保有する筆頭株主で、更にスズキの株式を買い増し、子会社化する戦略をとるかもしれない。
(2011年9月25日)


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