埼玉県東入間学童野球連盟

知 っ 得 2

ここから以下は特にスコアラーの方に知って頂きたいことです。

犠打とは?  打数に入らないものは?  勝利投手の権利は?   敗戦投手は?   セーブになるものは?  野選とは?

  失点自責点とはどう違う?  投手交代した直後四球を出した、どっちの責任?  暴投捕逸悪送球とはどう違う?

  打点となるのは?   サヨナラ安打の塁打決定  タイブレークでの記録の付け方   グリーンライトとは?

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 ☆ ☆ ☆ 犠打とは? ☆ ☆ ☆

 「犠打」とは、打者が犠牲になって、走者の進塁や得点を助けた打撃のことです。犠牲フライ犠牲バントがあり、いずれも打数には含まれません。「犠打」とは犠牲バントのことで、犠牲フライは「犠飛」と表記するという説もあり、両者を包括する場合には「犠打飛」と言います。ただしスコアラーのために言いますと、犠牲バントは出塁率を下げませんが、犠牲フライのときは出塁率が下がります。『公認野球規則』で「出塁率を出すには、打数、四死球、犠飛の合計数で、安打、四死球の合計数を割る」と明記されており、出塁率計算するときには犠打と犠飛が異なります。したがって、スコアブックの解説で出塁率=出塁数/打者数と書いてある(成美堂出版の黄色い表紙の時代。青くなってからは正しく修正されました)のは間違いです。これならばエラーで出塁しても出塁率計算に含まれることになります。また間違えやすいのは、得点が記録されることが「犠牲フライ」の必要条件だという点です。例えば大きなライトフライで、二塁走者がタッチアップして三塁へ進塁しても記録上の「犠牲フライ」にはならず単なる「進塁打」で、「打数」がカウントされて、打率を下げることになります。また、犠打は明らかにその意思があってプレーした場合だけが犠打であり、結果として犠打になった、ということはありません。

 ☆ ☆ ☆ 打数に入らないものは? ☆ ☆ ☆

 打席数には入るが打数に入らないのは、四死球、犠打、犠飛、打撃妨害または走塁妨害による出塁です。2ストライク後代打に出て三振だった場合は2ストライク目を取られた打者に三振がつきます。打撃妨害または走塁妨害の場合、それを行った野手に失策がつきます。

 ☆ ☆ ☆ 勝利投手の権利は? ☆ ☆ ☆

 公認野球規則10.19により勝利投手は定められています。
@先発投手が5回以上を投げ、降板した時点で味方のチームがリードしている場合、先発投手が勝利投手の権利を得ます。天災等により5回終了のコールドゲームである場合は、先発投手が4回以上投げた上でコールド適用時までに同点・逆転を許さなかった場合(リードを保った場合)に勝利投手の権利が与えられます。少年野球であろうと、6回制以上の試合では、先発投手は5回を投げきらなければ勝利投手にはなれません。少年野球で5回7点差以上コールドのような場合、5回で試合終了したら、先発投手は4回以上投げる必要があります。
A.救援投手が同点あるいは負けている場面で登板し、降板する前(※)にチームが勝ち越した場合、原則としてその救援投手が勝利投手となります。また、先発投手が5回未満で降板し、その時点で味方のチームがリードしている場合、チームの勝利に最も効果的な投球をしたと公式記録員が判断した救援投手が勝利投手となります。よくあるケースですが、大量リードで他の投手に経験を積ませようとエースを5回終了前に引っ込めたら、そのエースには勝ちがつきません。試合はそのままリードを保って勝利した場合、後から投げた投手の中で最も勝利に貢献したと記録員が判断した投手が勝ち投手になる、というとてもあいまいな規定です。すなわち、先発投手が勝ち投手の権利を得ずに交代したら、2番手以降が小刻みにリレーしたとしても、その中から勝ち投手が選ばれます。
 いずれの場合も、そのままリードを保ってチームが勝利すると勝利投手となりますが、一度同点あるいは逆転されると、勝利投手の権利は消えます。ただし、同点または負けている状況で、投げ終えた直後のイニングで投手に代打(または代走)が送られ、そのイニングでチームが勝ち越した場合は、代打(代走)を出された投手(=直前の回を投げ終えた投手)に勝利投手の権利が認められます。
 サヨナラゲームとなった場合には、最後に投げていた投手が無条件で勝利投手になります。また、先攻のチームでも最終回や延長で勝ち越した回の裏をリードを保ったまま終えれば、その直前まで投げていた投手が勝利投手になります。特にこうしたケースについてはアウト1つ取っただけで勝利投手となることもあり、勝利への貢献度と勝ち数の意味が問題になる場合もあります。
 公式試合では以上のようですが、少年野球では、チーム内の記録に限って独自のルールを決めても良いのではないでしょうか? 例えば盗塁にしても、公式にはランナーが走ったのに対して刺そうという意思が無いと盗塁にはならないと定められていますが、チームとしては走ったらパスボールや暴投、ボールデッド、エラーでなければ盗塁にしているはずです。7イニング制の少年野球で、4回終了を以って試合成立と定められている場合、先発投手も4回投げたら勝利投手の権利を得るというように、チーム内ルールを定めたらどうでしょうか?

 ☆ ☆ ☆ 敗戦投手の決め方は? ☆ ☆ ☆

 これも公認野球規則10.19により敗戦投手は定められています。「ピッチャーがビハインドで退くか、退いた後に自己の責任となる得点があったためにビハインドになり、その後自チームが同点とするかリードしなかった場合には、投球回数の多少に関わらず、最初にビハインドを招いたピッチャーに敗が記録される」と規定されています。「退いた後に自己の責任となる得点があった」というのは、ランナーを残して降板し、後を継いだ投手がそのランナーにホームインを許したとしても、そのランナーは前の投手の責任になるという意味です。味方が同点に追い着く、または逆転してビハインド状態が解消された場合、投手は敗戦責任がリセットされます。以降ビハインドを招いた投手に敗戦投手の責任が生じます。
 2013年3月17日(日本時間18日)米国サンフランシスコのAT&Tパークで行われたWBC準決勝で日本は戦前の下馬評を裏切って1−3でプエルトリコに負けました。YAHOO!知恵袋で、「
前田健太が敗戦投手になるのは納得できないです。能見投手の失点で負けてます」という質問がありました。答えは「これは野球のルールだから仕方ないよ」という素っ気無いものでした。この答えは不親切ですね、先の説明のように答えて欲しいものです。この試合、先発の前田健太は1回表メジャーリーガーを揃えた強打のプエルトリコの打者を警戒して微妙なところに投げて見極められ、2四球でピンチを招くと、5番のアービレイスの中前打でプエルトリコにあっさりと1点先制されました。その後の前田は本領発揮、快刀乱麻のピッチングで、5回で1点ビハインドのままマウンドを降りました。6回から登板した能見篤史はこの回は失点しなかったものの、7回5番アービレイスにライトへライナーのヒットを打たれ、迎えるは最も低打率.125のリオス、ファウル、ボールの後の3球目をものの見事にレフトへホームラン、2点追加されて0−3、これで投手は摂津に交代、その後日本は、杉内、涌井、山口とつなぎ、ボカスカ打たれましたが失点はしませんでした。日本は8回裏鳥谷の3塁打、井端の右打ちヒットで1点返しましたが、追撃はここまで。能見が2失点する前に1点入って同点になっていれば、その時点で前田健太の負けは消えましたが、能見が2点追加されたから前田健太の責任はリセットされなかったのです。結局1点取ってもビハインドは解消されないままですから、前田健太が敗戦投手になるわけです。後から1点取ったんだから前田の責任は無くなるということにはならず、あくまでビハインドが解消されなければ責任が残るのです。ファン心理からすると頑張った前田がカワイソウと思うでしょうが、こういう規則になっています。

 ☆ ☆ ☆ セーブになるものは? ☆ ☆ ☆

 勝利投手の権利を持たず、勝利チームの最後の投手として登板し、最後までリードを保ったまま試合を終了させたうえで、以下の条件を1つ以上満たした場合にその投手にセーブが記録される。
@3点以内リードの場面で登板し1イニング以上登板
A迎える2打者に連続ホームランを打たれたら同点または逆転される場面での登板(9回4点リードながら2人以上の走者がいる場合に登板など)
B点差に関わりなく3イニングス以上登板

 ☆ ☆ ☆ 野選とは? ☆ ☆ ☆

 「野選」とは、野手選択を省略した言葉で英語ではフィールダースチョイス、すなわちフィールドにいる人すなわち野手が打球を捕って最初から一塁に送球していればアウトがとれたのに塁上の走者と打者走者を選択した結果どちらもアウトを取れなかったような場合(狭義のフィールダースチョイス)を言います。このケースは少年野球に限らずプロでも大変多く、野手の一瞬の判断の難しさ、捕球の次に送球という動作が加わる、走者の足の速さなど様々な要素があって、安打とするか野選とするかは「明らかにアウトがとれたはずかどうか」で判断します。たとえば一死一塁でショートゴロ、最初から一塁に送球していれば十分アウトになったはずなのに、打球を処理したショートが二塁に送球してセーフ、セカンドから一塁に転送されて一塁もセーフだったような場合、この打者はショートゴロ野選で塁に生きたことになります。打撃記録上は、6FCと表記しますが、あくまでもショートゴロであり、打数はカウントされますから打率も下がりますし、出塁率も下がります。これは、打者がショートゴロエラーで塁に生きた場合も同様です。

 内野ゴロの場合ではなく、二死二塁でセンター前ヒット、二塁走者は三塁を回り、センターがバックホーム、本塁はセーフで、その間に打者走者が二塁に達した場合、打者走者の二塁への進塁はどういう記録になるでしょうか?これは「送球の間の進塁」ですから、これも「野手選択」の一形態(広義のフィールダースチョイス)です。2塁打と記録したり、単打〜盗塁と記録するのは間違いです。つまり、野選もエラー同様、出塁だけでなく進塁に対しても記録されます。だからと言ってエラーと異なり野手が悪いとも言えません。したがって野選は打者にとっては凡打と同じ、守備側にとってはエラーではないのでスコアブックにも特に集計欄は無く、チーム記録にも野選数として残ることはありません。
ところで6点差で勝っているチームが後攻で、スクイズして、ピッチャーはキャッチャーへトスしたが間に合わず3塁走者ホームインして7点差、サヨナラコールドとなった場合の打者の記録は何でしょう?野選でしょうか、ヒットでしょうか。野球規則には、このケースについて明確に書かれておりません。この場合本塁に送球するしか選択の余地がないので野選では無いですね?ただし自分がアウトになっていないので犠打でもないですね。もちろんエラーでもありません。打者走者が1塁に到達する前に3塁走者が先に生還したら、その時点で試合が成立するので、1塁に生きたとも言えない?野球規則の10・05【付記】には、本条各項(安打が記録される場合について書かれた条項)の適用にあたって疑義があるときは、つねに打者に有利な判定を与える、と書かれており、この規則により、打者に有利な判定を与え「安打」とするのが慣例です。

 ☆ ☆ ☆ 失点自責点とはどう違う? ☆ ☆ ☆

 投手が安打であれエラーであれ、押し出し四死球であれ、相手に点を与えたら失点です。投手Aがランナーを残してBに交代し、B投手が打たれてランナーが生還した場合、A投手が残したランナーの得点はA投手の失点になります。打たれた後の投手が悪いと、ふて腐れてはいけません。ランナーを残したほうに責任があるのです。「失点」とは誰が出した走者であるかを問わず、得点が入ったときに投げていた投手に記録されるという解釈をしている人もいるかと思われますのでご注意ください。また前の投手が残した1塁走者が内野ゴロで2封され、残った走者がその後の安打で生還した場合、この失点も前の投手のものになります。これは単に走者が入れ替わっただけなので、前の投手の責任が免れないからです。
 自責点とは投手の責任で失った点のことです。エラーやパスボールが絡んだときは自責点にはならないというのが大原則です。ただ自責点の難しいところはエラーで出した打者の生還は自責点になりませんが、その後四球を出した(→投手の責任のランナー)、エラーで進塁した、ヒットでランナーが出た、投手交代した、またエラーで走者が生還した、こんなことが延々と続いて、どれが自責点のホームインでどれが対象外なのか訳がわからなくなるケースです。守備側が相手チームの選手を3人アウトにできる守備機会をつかむ前に、安打、犠打、犠飛、盗塁、刺殺、野手選択、四死球(故意四球を含む)、ボーク、暴投により、走者が得点するたびごとに記録されます。野手選択により取れるはずのアウトを取れなかったような場合は投手に責任はありませんが、自責点の対象になると定められています。
 自責点に含んではならないのは失策と捕逸です。ここにいう失策とは、守備失策の他に、打撃妨害で捕手または野手に失策がついた場合、走塁妨害で野手に失策がついた場合、捕れるはずのファウルフライをエラーした後の安打で一塁を得た場合を含みます。正規に出塁した走者が失策や捕逸の助けを借りて進塁したが、もしこれが無くてもその後の展開で、当然進塁して得点できたはずと思われる場合は自責点になります。長打により得点したので失策や捕逸がなくても得点できていたはずなどという場合です。たとえば四球で出た走者が捕逸で二進した後、@単打でホームインした場合は自責点になりませんA三塁打以上の長打で生還した場合は自責点となります。エラーやパスボールでランナーがホームインした場合は自責点になりません。
 さて正規に出た走者が三塁にいて、内野ゴロエラーの間に生還した場合、@エラーがなければホームインできなかったと判断されればエラーによる得点ですから自責点になりませんAエラーが無くても生還できたと思われる場合は自責点になります。これは少年野球では公式記録員などいませんので、スコアラーの判断になります。内野ゴロでサードランナーが生還できるケースは少年野球では多いので、このあたりの判断はビミョーになります。
 投手の「暴投」や「ボーク」による失点は自責点に含まれますが、投手の「失策」による失点は自責点から除外されるというのも間違えやすい点です。投手と言えどもエラーしたのだから自分の責任かと思いがちですが、そうはなりません。あくまで野手の失策による失点は投手も含めて自責点にはなりません。
 振り逃げで出た走者の得点、または振り逃げの間に三塁走者が生還した場合、どちらもその要因が暴投ならば自責点の対象になりますし捕逸ならばなりません。
 さて3人アウトにできる守備機会というのが実は大問題です。本来なら3アウトになっていたはずという後にどんどん点が入ったとしてもこれはもう自責点になりません。アウトにできる守備機会の数え方ですが、アウトになったら当然1カウントアップします。一人の打者または走者が失策によりアウトを免れた場合も1カウントアップします。併殺可能な打球だったが、失策で一つもアウトを取れなかった場合は2カウントではなく1カウントアップです。併殺は当然取れるというものではありませんから、ダブルプレーだったはずだから2ということはありません。失策で出塁して、次打者の内野ゴロで二塁でアウトになった走者は、エラー出塁で1カウント、二塁アウトで2カウントになります。ただし失策で出塁、次打者の内野ゴロで併殺となった場合は3カウントにはならず2カウントです。当たり前ですね、2人しかいないのですから(^_^)
 自責点に関しては
日米で違いがあります。日本では、自責点を走者のホームイン時点で確定させますが、米国では「イニング終了時」に各失点ごとの自責点を決めます。例えば二塁打で出た走者がパスボール(捕逸)で三進、続く打者の安打(単打)で生還した場合、日本では自責点になりません。しかし適時打を放った次の打者も安打だった場合、米国では自責点に変わります。捕逸が無くても2本の安打で二塁から生還出来るからです。日本の方が投手有利になっているわけですが、どう考えても米国の方が正当ではないかと思います。少年(学童)野球ではエラーはよくありますから、例えば先頭バッター四球、次打者がセンター前に抜けるヒットを打って、これを中堅手がトンネルして打者走者も一気にホームインして2点、続いて2者連続三振の後、本塁打が出て3点目、次の打者が1塁ゴロでチェンジというケース、失点は3点ですが、日本では自責点1、米国では自責点3です。中堅手のトンネルが無ければ3ランホームランです。四球、安打(単打)、本塁打で3点ですから、これは投手の責任のような気がしますが、エラーが投手の責任を帳消しにすることが日本ではあるわけです。

 ☆ ☆ ☆ 投手交代した直後四球を出した、どっちの責任 ☆ ☆ ☆

 さて、上の続きです。同一イニングに2人以上の投手が出場した場合はの失点/自責点はどうなるでしょうか?走者を残して投手が交代した場合は、その走者の数だけ前の投手に責任がある、というのが原則です。すなわち、リリーフ投手は、アウトカウントを引き継ぎ、走者はなしの状態から責任をもつものとします。たとえば二死無走者からエラーで走者が出て投手交代し、代わった投手が2ランホームランを打たれた場合、エラーがなければ点が入らなかったので、チームとしては失点2、自責点0です。 しかし投手の自責点は異なります。前の投手が投げている時に出たエラーの走者が得点したので、前の投手は3アウトの守備機会があったので失点1、自責点0。後の投手は2アウトで走者なしから数えますから、エラー走者は関係なく、自分が打たれたホームランに対して責任があり、失点1、自責点1となります。
 これは実際に眼にした事例ですが、連続四球で満塁となり、打者に0-2となったとき、監督が重い腰を上げてピッチャー交代、リリーフ投手はストライク、ボール、ストライクで2-3としたが、四球を与えて押し出し、この場合の四球の記録は前の投手に与えられるのかリリーフ投手に与えられるのか?野球規則10.18(h)の(1)で、0-2、1-2、0-3、1-3、2-3のカウントで投手交代となった場合、四球の責任は前任投手にあると定められている。すなわち0-1とか1-0、1-1、2-1、2-0、2-2のカウントの場合は救援投手の責任になる。交代の場面で投手不利でないカウントでは救援投手が責任を持たなければならないのだ)。もちろん押し出しの失点、自責点も前任投手に与えられる。

 ☆ ☆ ☆ 暴投捕逸悪送球とはどう違う? ☆ ☆ ☆

 「投球」とは、ピッチャーが打者に対して投じた球です。「送球」とは、野手(投手を含む)が、打者または走者をアウトにするために、あるいは進塁を防ぐために投じた球です。ワイルドピッチ(暴投)は、投手の投球が、捕手が普通の守備行為で処理することができないほど高過ぎるか、低過ぎるか、横にそれるかした、投手の正規の投球を指します。ただし無走者のときに投手が高投してバックネット(注:これは和製英語です)に直接当たるような球を投げたとしてもこれは暴投ではありません。これは『公認野球規則』で「走者を進塁させた場合には、暴投が記録される」となっているからです。
 投手の投球が、捕手が普通の守備行為で処理することができるのにそらしてランナーが進塁したらパスボール(捕逸)が記録されます。この場合も同様に無走者のときに捕手が逸球してもパスボールにはなりません。また第三ストライクを捕球できず、送球して打者や走者をアウトにする間に他の走者が進塁した場合は捕逸はつけず、送球の間の進塁として扱います。
 実際には微妙なプレイがあるので、実戦を見なければ判断できないことが多いのですが、たとえば見逃しのストライクの投球がそれたのであれば捕逸です。ワンバウンドした投球であれば暴投と記録されることが多いです。投手にしてみれば「あれくらいのボールは捕球してほしい」と思えるような場合でも、ワンバウンドした球では捕逸ではなく暴投が記録されることが多いようです。これは「公認野球規則10.13(a)」に、
 
投手の正規の投球が高すぎるか、横にそれるか、低すぎたために、捕手が普通の守備行為では止めることも処理することもできず、そのために走者を進塁させた場合には、暴投が記録される
 また、投手の正規の投球が、捕手に達するまでに地面やホームプレートに当たり、捕手が処理できず、そのために走者を進塁させた場合には、暴投が記録される
 第三ストライクが暴投となり、打者が一塁に生きた場合は、三振と暴投を記録する

と書いてあるからです。打者が空振り三振した場合に「三振暴投」とか「三振補逸」も有ります。1バウンドボールを空振り三振して、捕手が捕れずに走者が進塁したら暴投、ストライクを空振り三振して、捕手が空振りに惑わされて捕れずに走者が進塁したら補逸です。振り逃げの場合も暴投か補逸か、判断が分かれるケースはよくあります。
 投手が投ゴロをつかんで1塁へ投げた球が、1塁手が通常捕れないような球で後方へ行き、打者走者がセーフになったような場合は「暴投」ではなく「悪送球」ですから投手にエラーが記録され、ワイルドピッチとは言いません。
[参考] 和製英語やボールカウント 野球のナイター、バックネット、フォアボール、オーバースロー、アンダースロー、シュートボールなどは皆英語のようでいてガイジンには通じません。ちなみに英語ではナイター→night game、バックネット→backstop、フォアボール→walk, pass、オーバースロー→overhand throw、アンダースロー→submarine、シュートボール→screw ballと言います。日本でも米国に倣って、ストライクとボールを以前とは逆に言うようになりました。2ボール、1ストライクと言います。

 ☆☆ ☆ 打点となるのは? ☆ ☆ ☆

 打者が本塁打で自ら得点するか、安打、犠打、犠飛、または内野のアウト(ただし併殺打の間の得点は除く)及び野手選択によって走者を本塁に迎え入れるか、走者満塁のときの四死球や打撃妨害、走塁妨害による押し出しのときに記録されます。押し出しで打点が付くのはラッキーですね(^_^)

 相手のエラーによる場合、通常打点は記録されませんが、エラーがなくても得点できたと判断できる時には打点と記録します。判断に迷うケースは野手の送球の間に得点した場合です。打撃行為の結果としての得点かどうかを見極めて打点をつけます。一死三塁で内野ゴロ、飛び出した三塁走者を三本間で挟殺しようとしたが失敗、走者が生還した場合は、打撃結果による得点ではないので打点にはなりません。無用な送球やボールの持ち過ぎなどの「ミスプレイ」の間に走者が走り続けて得点した場合は打点になり、一旦止まって野手の動きを見てから再び走り出して得点した場合は打点になりません。これはよくあるケースですが、打者がサードゴロを打ち、サードランナーが猛然と本塁突入してセーフになれば打点ですが、三塁手がサードランナーを牽制して走者が止まり、一塁送球と同時にランナー本塁へ突っ込み生還した場合はサードランナーの盗塁となります。これは5→3→2でアウトになることが十分考えられるからです。ただ状況によっては少年野球の場合打点をつけてやるスコアラーも多いかと思います。2ランスクイズの場合はセカンドランナーが迷うことなく本塁生還したら2打点になります。

 ☆☆ ☆ サヨナラ安打の塁打決定 ☆ ☆ ☆

 サヨナラ安打のとき、打者の塁打数決定は野球規則10・06『単打・長打の決定』の項によります。最終回に安打を打って勝ち越し点をあげた場合、バッターには勝ち越し点をあげたランナーがその安打で進んだ塁を同じ数だけの塁打しか記録されません。しかもその数だけの塁を触れることが必要です。例えば最終回ランナー2塁のときバッターがバウンドしてスタンドへ入るサヨナラ安打を打った場合、バッターが2塁打を得るためには、2塁まで正規に進むことを必要とします。しかし、ランナー3塁のときバッターが前記の安打を打って2塁に進んでも、単打の記録しか与えられません。最終回、フェンス越えのホームランを打って試合を決した場合は、バッター及びランナーが挙げた得点の全部を記録します。
 2004年9月20日札幌ドームでの日本ハム対ダイエー(今のソフトバンクホークス)戦で、新庄剛志のサヨナラ満塁本塁打(となるはずの打球)を見届けた一塁走者・田中幸雄が一・二塁間で新庄剛志と抱き合った後、その場で一回転したのが「走者追い越し」と判定されました。2死だったため、既に本塁に達していた3塁走者・奈良原浩の生還のみが認められ、記録はサヨナラ適時打の単打となりました。新庄は打点1です。もし正規に1周して本塁を踏んでいれば、本塁打で打点4でした。

 ☆ ☆ ☆ タイブレークでの記録の付け方 ☆ ☆ ☆

 野球の場合は『公認野球規則』でタイブレーク方式を認めているわけではありません。それ故に連盟や大会の主催者が独自ルールを定めている場合があります。無死満塁とか1死満塁から、継続打順とかフリー打順とかがあります。タイブレークに関しては→コチラを参照してください。
 東入間学童野球連盟では、
全日本軟式野球連盟の少年部・学童部における特別延長戦の規定に基づき、無死満塁継続打順で行っています。
 
継続打順で前回の最終打者を一塁走者とし、二塁、三塁の走者は順次前の打者とする。
 すなわち、無死満塁の状態にして一イニング行い、得点の多いチームを勝ちとする。
 勝敗が決しない場合は、さらに継続打者でこれを繰り返す。
 なお通常の延長戦と同様、規則によって認められる選手の交代は許される。
特別延長戦で勝敗が決定した場合は、合計得点とする。
10回を完了しても決着がつかないときは、抽選で勝敗を決定する。

 スコアの記入法としては、打撃や進塁に関しては通常の場合と何ら変わりません。異なるのは「
攻撃の最初から塁上にいる走者」の存在です。これらを表すのに枠内に直線や曲線を引いてしまうと、ヒットや進塁と表記が被ってしまいますので、1塁、2塁、3塁の走者の枠内に、タイブレーク走者と分かる丸囲みのマーク(右図の場合tbを丸囲み、●でも可)を書いて埋めます。その後は下記の通り。
『攻撃側の記録』
 ・打者の安打&打点は、通常の場合と同じように記録される。
 ・走者の得点も通常の場合と同じように記録される。
『守備側の記録』
 ・野手の刺殺&補殺は通常の場合と同じように記録される。
 ・投手の場合、塁上の走者が生還した場合は失点が記録されるが、最初から塁上に設定された走者(満塁ならばそれらの塁にいる3人)に対しては自責点を記録しない。
 以前は「サドンデス」と言っておりましたが、全日本軟式野球連盟の「連盟適用ルール」においても、「特別延長戦(タイブレーク)の採用について」となっていますので、全日本軟式野球連盟にならって、「タイブレーク」と呼称を統一します。本ホームページでは2014年10月以降「サドンデス」をやめますが、それ以前のページは修正しませんのでご承知下さい。なお「特別延長戦は合計得点とする」という意味は、例えば1-1でタイブレークに入り、タイブレーク4-3で先攻チームが勝った場合、5-4と表記するという意味です。ただタイブレークだったことが分からないので、当ホームページでは1-1TB4-3とか、先攻1TB4、後攻1TB3というように表記しております。



前回が3番打者で終わった場合、タイブレーク先頭打者4番が緩いショートゴロ、2塁送球して1塁走者は2封、1塁へは投げられず、この間にサードランナー生還、2塁走者も進塁し、1死1、3塁となった

 ☆ ☆ ☆ グリーンライトとは? ☆ ☆ ☆

 上記の『敗戦投手の決め方は?』のところで、2013年3月17日(日本時間18日)米国サンフランシスコのAT&Tパークで行われたWBC準決勝で日本がプエルトリコに負けた試合、「どうして前田健太が敗戦投手なの?」ということを解説しました。ここには詳しく書かなかったのですが、この試合で珍しいプレーがありました。8回の内川の走塁失敗です。これについて本人はもの凄く責任を感じて涙していましたが、「ダブルスチールしてもいいよ」というサインがあるんですね。さすがプロ野球はスゴイ!シングルであれダブルであれ、「走れたら走れ」という指示を「グリーンライト」と言うのだそうです。グリーンライトとは街中で見かける赤、青(三つあるが真ん中は点灯しない)の時差信号の青からきていて、「絶対行け」のサインではなく「行けると判断したら走れ。だめと見た時はやめとけ」と言うサインだそうです。2塁井端、1塁内川、バッターは左打席の阿部、1ストライクからの2球目、井端が3盗のスタートを切ろうとして自重しました、そのとき一走の内川が2塁へ一目散、投球はボール、捕手モリーナがボールを持ったまま、2塁手前で立ち止まる内川を追いかけ、そのままタッチアウト。何度もビデオで見ました。スコアラーの目で見ましょう。モリーナの追いかけ方が素晴らしかった。内川が戻れないように、走者の右方向へダッシュしました。この捕手は試合前に最も警戒すべき大会ナンバー1キャッチャーと言われていました。もし「ダブルスチールせよ」というサインだったら井端は迷わず走り、そして多分殺されたでしょう。「死ね」と言われたら死ななければいけません。「お言葉ですが」と返すサインなんてあるんでしょうか?野球の上ですから、ホントに死ぬわけではありません。こういうのを「捨て身の作戦」と言います。左打者だから捕手は投げやすい。しかも3盗というのは余程でないと成功しません。「ダブルスチールしてもいいよ」というサインが出ても井端が自重したのは、展開がわかっているから当然です。内川は2塁走者が走って、本気で3塁へ向かっているのを確認してから全力疾走に切り替えるべきだったのです。プロだから分かっているのですが、どういう心理だったのでしょう。タッチアウトされてから、しまった、と思ったはずです。だから申し訳なくて、日本のファンの応援している姿を思い浮かべて涙が出たのでしょう。井端が3盗を図ったら、捕手は当然3塁へ投げるでしょう。内川のスタートは遅れても良いのです。しかしこの場面確率的にイチかバチかの作戦を取るべきだったか?この試合に先立つ台湾戦の勝敗を分けたのは鳥谷の2盗でした。このときは成功する確率のほうが高かったと思いますが、この場面はほぼ失敗するであろう場面、阿部が打てなかったら仕方ない、というところ、「走れたら走れ」、ましてやダブルスチールなんて作戦はアリエナイと思いますが、野球というのは成功したら選手がほめられ、失敗したら監督が責められる、そんなものです。負けて一番辛いのは監督ですから、責めてはいけません。
 第96回高校野球選手権大会(夏の甲子園)で、キャッチフレーズの「機動破壊」を発揮した健大高崎(群馬・高崎健康福祉大高崎)の基本は走れたら走れの「グリーンライト」だそうです。何事も徹底していれば逆に強みになる良い事例です。