679  日本の司法

 ソメイヨシノの桜も終わり、ハナミズキや八重桜の季節になりました。今年もやってきた隣のビルのツバメが朝から晩までピ−チクパーチクかまびすしいこと、スズメならチュンチュンでまだ可愛らしいのですが、ツバメは鳴き声も飛翔も実に活動的です。新緑のみずみずしい、一年で最も美しい、春爛漫の季節です。毎朝仏壇にろうそくの火を灯し、線香を焚いて、チーンとやって拝みます。年々仏壇に飾る写真や会葬礼状が増えます。この美しい季節をあと何年体感できるだろうか?そのように思うようになりました。

■ トランプの精神状態に懸念
 トランプ米大統領が2026年4月12日、白いローブを身にまとい、兵士や医療従事者らに囲まれながら横たわる男性の額に手を当てて癒す自身の画像を自身の交流サイト(SNS)「Truth Social」に投稿しました。人工知能(AI)生成画像のようです。これに対し米国内では次のように報道されました。
 Trump admits to posting the image of him depicted as a Jesus Christ-like figure but insists it was meant to depict him as a "doctor."
 すなわち、まるでイエス・キリストのような姿で光を放つ救世主のようだが、本人はいやいや医師として描いただけだよと言っているというのです。両手から光を放つ医師なんて居るの?これにはさすがに、支持基盤である宗教保守派の一角からもキリストへの冒涜だと批判の声が上がり、画像は4月13日に削除されました。
 イランに対する米・イスラエルの攻撃を「非人道的だ」と批判したローマ教皇レオ14世については、「犯罪に弱腰で、外交政策は最悪だ」と非難しました。初の米国出身教皇であるレオ14世はトランプ氏の攻撃に対し、「トランプ政権のことは恐れていない。私はこれからも声を大にして戦争に反対し、平和の促進を模索し続ける」と述べました。イタリアのメローニ首相もさすがにトランプ米大統領の姿勢は容認できないと述べたのに対し、トランプはすぐさまメローニ首相を非難しました。
 会見や取材、SNSで言いたい放題の発言を繰り返すアメリカのトランプ大統領、世情を無視したあまりに支離滅裂な発言の数々に、CNNまでもが「トランプ氏の精神衛生状態に疑問の声」と報じました。CNNでは、アメリカ民主党のジェイミー・ラスキン下院議員が、ホワイトハウスの主治医に対し、大統領に改めて認知機能検査を行うよう要請したと報じました。最も挑発的な言葉でトランプ大統領を評したのがニューヨーク・タイムズです。Crazy−like−a−fox−or−just−plain−crazy=老獪なキツネのように狂ったふりをしているのか、それともただ単に狂っているのか...


トランプがTruth Socialに投稿したAI画像

■ハンガリー・オルバン政権倒れる
 2026年4月12日に行われたハンガリーの総選挙で、16年間にわたり強権的な体制を敷いてきたオルバン・ヴィクトル首相(与党フィデス)が敗北し、政権が倒れました。新興野党「ティサ(尊重と自由)」が勝利し、親欧州連合(EU)の政権が誕生する見通しで、欧州における親ロシア的・右派的な政治潮流に大きな転換が訪れたと見られています。米国のバンス副大統領がテコ入れのためずっとハンガリーに滞在してオルバン政権への支持を工作、ロシアも必死に工作しましたが、汚職横行の疑惑に加え、ロシアのようにジャーナリストや野党を標的とする政権に国民がノーを突き付けました。EUやウクライナはこの結果を歓迎しています。

■ 日本の司法の問題点
 近年の日本の司法は様々な点で大揺れに揺れました。例えば村木厚子さんのように罪もないのに長い間投獄されたり、カルロス・ゴーンのように、この国では正当な裁判は受けられないと脱走してレバノンに逃れたり、大川原化工機事件では不当に逮捕・勾留された相嶋静夫さんが勾留中に亡くなり、検察は謝罪しましたが、逮捕状・勾留状を発付し、保釈を認めなかった37人の裁判官はこのままで良いのか?とその違法性を問う訴訟が起きると言ったことです。長期間の勾留や取調べの可視化不足といった「人質司法」批判、刑事・民事ともに手続きの長期化・高コスト化が大きな問題です。法曹人口の不足(2割司法)、裁判員制度の負担、性犯罪に関する法整備の遅れも指摘され、国際的な基準やデジタル化への対応が急務となっています。

■ 再審制度改正の動き
 袴田事件ほかで問題点が指摘される日本の再審制度は、確定した有罪判決に誤りがある場合に、裁判をやり直して冤罪被害者を救済する「開かずの扉」と呼ばれる制度です。最大の課題は証拠開示のルールがなく、検察の抗告による長期化です。再審が認められるまで10年もかかった袴田事件、事件発生から無罪確定まで58年もかかりました。これを機に、検察の抗告制限や証拠開示を義務付ける法改正の動きが起きました。

■ 裁判所でも再審見直しの動き
 近年の検察の様々な不祥事を受けて、裁判所も再審を認める傾向が出てきました。675『テミスの不確かな法廷』(2026年3月15日)で、驚くべきニュースが報じられたと書きました。42年前、滋賀県日野町で起きた強盗殺人事件、いわゆる「日野町事件」で最高裁は、無期懲役が確定し、服役中の2011年に75歳で死亡した阪原弘さんの遺族が求めていた再審=裁判のやり直しを認める決定をしたのです。2012年、遺族が改めて再審を求め、大津地裁と大阪高裁がいずれも再審を認める決定をしたことから、検察側が2023年、最高裁に対し不服を申し立てる特別抗告をしていました。無期懲役や死刑が確定した事件で、死亡した後に再審開始が認められるのは初めてのようです。まるでドラマだ、と驚きました。

■ 袴田さんを支援する議員連盟
 鈴木宗男参議院議員は2002年、受託収賄などで逮捕・起訴され、最高裁まで争いましたが実刑が確定、約1年収監されたのですが、一貫して「国策捜査だ」と冤罪を主張し、現在も再審請求中です。再審制度の改正を強く訴え続け、袴田さんを支援する議員連盟を立ち上げました。2024年5月23日の参議院法務委員会では、法務大臣に「袴田巌さんの再審の判決が静岡地裁で出てから、もう10年たっている。時間が掛かり過ぎる一つの原因に、検察の抗告がある。さらには特別抗告もある。検察が自信があれば即公判で、堂々と議論すればいいと思う」と、袴田事件における検察の抗告について、国会で法務大臣を追及しました。


鈴木宗男参議院議員

■ 再審制度の見直しを法制審議会に諮問
 そんな状況下、2025年に当時の鈴木馨祐法務大臣が、再審制度の見直しを法制審議会に諮問、専門家の議論の末、2026年2月、答申が出ましたが、検察が保有している証拠を弁護側に開示するルールを新設したものの、その範囲は限られ、報道機関に見せたら罰則などの規定を添えるものでした。法制審議会の意思はどうも前向きではないようで、その背後に法務省の意向があるのでは?と考えられます。日本の刑事裁判は、地裁・高裁・最高裁の3回の審理で結論を出す“三審制”を採用しており、一度確定した判決は、原則として覆されません。再審は、その例外としてやり直しを認める制度ですが、この“例外”をどこまで認めるべきかがいま問われているのです。

■ 冤罪救済・再審見直しを訴える超党派の議員たち
 鈴木宗男参議院議員の戦いを、すぐそばで見続けてきたのが、娘の貴子さんです。2025年11月7日の衆院予算委員会で「国民の信頼に足る司法制度を構築する国家意志を、政治が示すべきだ」と発言、父が立ち上げた袴田さんを支援する議員連盟の事務局長として、12年以上にわたって活動を続けています。袴田巌さんの姉・ひで子さんを招いた会合を開催するなど、超党派で冤罪救済・再審見直しを訴えてきました。こうした活動が、再審制度見直しを支持する国会議員の輪を広げ、今回の改正への動きにつながったのです。立憲民主党は、冤罪被害者の迅速な救済を目指し、刑事訴訟法第4編(再審法)の抜本的見直しを主張してきました。具体的には、再審開始決定に対する検察官の不服申し立て(抗告)の禁止や、証拠開示制度の義務化・明確化を柱とする法改正案を、野党6党で2025年6月に共同提出しましたが、先の総選挙で主要な議員が落選してしまいました。

■ 自民党の会議の場で怒号が飛び交う
 「1ミリも私たちの言い分聞かないじゃないですか!」・・・稲田朋美元防衛大臣が声を荒らげたのは、自民党の法務部会と司法制度調査会の合同会議の場でした。怒号が飛び交い、議論が紛糾しました。稲田氏ほか柴山昌彦元文部科学大臣など多くの自民党議員が政府(法務省)の姿勢に反発するなど、大荒れとなったのです。多くの議員が求めているのは、再審が長引く最大の要因と指摘する、検察による不服申し立て、抗告の禁止です。抗告とは、裁判所が出した決定に、検察が不服を申し立てる手続きのこと。法務省側が出した見直し案は、「検察の抗告は維持する」というものでした。稲田氏は会議の場で「抗告の禁止。ここで発言した議員、議員が発言したすべて、すべてが抗告禁止じゃないですか。ほとんどの議員が抗告禁止と言っているにもかかわらず、それを全く無視している」と怒って、声を荒らげたのです。


稲田朋美元防衛大臣

■ 法務省VS国会議員の構図となっている
 法務省は持ち帰って、新しい案を4月15日に再提示します。関係者によると、法務省が検討している修正案は、抗告を受けてから裁判所が審理を行うまでの期間を「1年以内」に限定することで裁判の長期化を防ぐとする案のようです。柴山昌彦氏や稲田朋美氏は「これまでの冤罪事件の多くが、検察側の不当な抗告や証拠隠しによって行われてきたのに、(裁判の長期化について)裁判所に責任転嫁するのは筋が違う。検察の抗告を禁止するのが本来あるべき姿だ」と語り、「4月15日の会議は非常に激しいものになると思われるが、法務省に同調する議員に対しては強く反対する」という姿勢を強調しています。さてどうなるか。


柴山昌彦元文部科学大臣

■ 北海道砂川市のハンターが最高裁で逆転勝訴
 北海道砂川市のハンター:池上治男さんが、砂川市の要請を受け、2018年8月、連日、出没していたクマ1頭を駆除しました。その際、銃弾が付近の建物に当たる恐れがあったとして銃の所持許可を取り消されました。「ハンターに頼んでおいて、撃ったらダメだったと言われたら何を信用したらいいのか」・・・1審の札幌地裁では、北海道公安委員会が猟銃の所持許可を取り消した判断は違法だとして池上さんが勝訴。2審の札幌高裁では弾丸が岩などに当たって跳ね返り、建物に届く恐れがあったなどとして、逆転敗訴となりました。しかし、最高裁は3月27日、北海道公安委員会の処分は重すぎるとして違法と判断、最高裁で逆転勝訴となりました。「7年間だよ。長いよ。7年前のことなんか忘れてるでしょ。私は覚えてるよ、その時のこと、その現場のことね」と池上さんは語りました。当時、発砲した猟銃は、証拠として提出されましたが代理人によりますと、検察側がすでに処分したということです。「私も銃持てるので持ってきました。ただこれは違う銃だから当該の銃を返してもらいたい」と池上治男さんは話しています。どこまでやることがお粗末なのでしょうか。

■ 高市政権の間違い政策
 高市政権の農業政策は間違いだとかねがね指摘してきました。今回のイラン戦争は世界中にインフレと経済停滞をもたらしました。特にエネルギーと食料を海外に頼る日本にとっては深刻です。単に燃料油のひっ迫や値上がりだけでなく、ナフサや肥料にも影響が出ています。農業現場は、肥料が無い、飼料価格高騰、農機具の燃料費高騰、農業資材のフィルム入手困難など、差し迫った問題に直面しています。それなのに「需要に見合った生産」なんて夢のような話、何考えてるんだ?と思いますね。

■ 政府は正常性バイアスに国民誘導?
 災害が起こっても、自分だけは被害に遭わないと信じて回避行動を採らない人、こうした行動バイアスのことを「正常性バイアス」と呼ぶそうです。日本の石油備蓄は4月10日時点で1日消費量180万バレルと想定すれば225日分あるとされています。しかし識者の中には1日の消費量が実際は300万バレル以上もあって、備蓄日数が4〜5ヶ月しかないと言う人もいて、よく分かりません。政府は燃油に補助金を出し、「石油備蓄もナフサも十分ある、安心しろ」と言っています。節約を考えずに、イラン攻撃の前のように電気、ガス、ガソリンなどを使っていて良いのでしょうか?政府の説明によって、消費量が減らずに備蓄日数が短くなってしまうのではないでしょうか。それよりも、「万一に備えて、不要不急の自動車の使用は控えましょう」などと訴える方が備蓄を温存できます。高市政権は正常性バイアスに国民を陥れる方向に動いているように見えます。むしろ産業界のほうが危機感を持っているために様々な資材がひっ迫する動きになっているのです。韓国は200日程度の長い日数分の備蓄を持っていながら、万一に備える発想を重視し、政府が先手を打って、エネルギー管理に動いています。原油価格が高くなれば、日本では輸入のためにドルを買って円を売る額が増える・・・、ますます円安になります。正常性バイアスが強く働くとすれば、さらなる円安を促すと思われ、政府・日銀が何としても守りたい160円の壁死守は難しくなる恐れがあります。

■ 水上温泉「松乃井」が大江戸温泉物語に
 水上温泉の老舗旅館「源泉湯の宿 松乃井」は、大江戸温泉物語ホテルズ&リゾーツに事業譲渡され、2026年8月頃に「大江戸温泉物語Premium(プレミアム)松乃井」としてリニューアルオープンする予定とのことです。伊香保に続く群馬県内2施設目のPremiumシリーズとなり、改修工事を経て高品質なサービスが提供されます。伊東園も安価な「伊東園ホテルズ」と、やや高級な「伊東園リゾート」にクラス分けしていますが、大江戸温泉物語も伊東園以上に価格差を付けたPremiumシリーズの展開を増やしています。老舗旅館といえども生き残りが厳しい時代、松乃井は1963年創業の歴史ある大型旅館で、4本の源泉を保有し、贅沢な湯使いが特徴です。大江戸温泉物語の傘下に入ることで、安定した運営とリニューアルによる魅力向上が期待されています。
(2026年4月15日)


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