スコアラーの目2020    澤 藤 隆 一

 2020年の大井ウエストはスタート時点で6年生が8人、5年生が2人、4年生を入れなくても試合が出来ます。前年のふじみ野市5年生大会ではパワーズに負けて第三位、東入間新人戦大会では準々決勝で鶴小ニュースカイヤーズに負けてメダルを逃しましたが、6年生8人ならきっと好成績が残せると確信していました。実際シーズン始まり2月24日の練習試合では鶴小ニュースカイヤーズに勝ち、今年は行くゾ〜とワクワクしていました。ところが新型コロナウイルスの感染状況を見て安倍首相が突然3月2日から春休みまで学校休業すると発表し、大会もいずれも中止、練習すらできない状況になりました。やっと7月からグラウンド開放が始まりましたがそれも90分だけ、9月からやっと練習、試合ができるようになりました。グラウンド内では飲食もできない時期がありましたね。東入間大会を皮切りに試合開始、しかし2試合目の鈴木杯1回戦で三芳ホープにまさかの1-2敗北、これでやっと肩の力が抜けて連勝開始、東入間準々決勝では水谷フェニックスに劇的勝利後、準決勝では亀少クラブに8-0圧勝、南部大会1回戦では三芳ホープに7-1リベンジするも東入間大会決勝で鶴小ニュースカイヤーズに2-5負けて再び歯車狂い、市内リーグ戦で上福岡第五クラブにまさかの7-8逆転負け、南部大会ブロック決勝と市内リーグ戦で亀少クラブに完封負けしてしまいました。でも待ってください、結果的に負けたのはこの5試合だけでした。泣いても笑ってもこれが最後の2020年12月19日今期最終戦、市内大会決勝、場所はアウェーの亀久保小学校、相手は亀少クラブ、これって8年前と全く同じシチュエーションです。さあ、どうなるか?

チーム ふじみ野市大会決勝 2020/12/19 亀久保小学校 12時41分〜14時18分 勝利投手:笹山颯大(完封) 本塁打;無し
共に3安打 失策・三振・犠打の差
大井ウエスト
大井亀少クラブ ×

 ここまで試合数が少ないのに亀少クラブとはもう4試合目、1勝2敗で互いにすべて完封です。この試合で冨士川監督が採った策はさすが老練、バント攻勢=かき回し作戦でした。二回表大河からの攻撃、ジックリ行けと指示、ブンブン振ってくるはずの大河、翔がジックリなのでオカシイナと思わせたところからチャンスが始まりました。大河ヒット、翔四球の無死1、2塁から幸太郎が初球バント、想定していたファースト突っ込んで捕ってクルっと回って1塁送球、これが逸れてボールデッド、1点先取、亀少クラブ唯一のエラーがタイムリーになりました。続く夢和は初球ストライクを何気に見逃して、次の球スクイズ!翔のスタートに気付いて外された球に飛びついて転がしました。芸術的2点目GET、なお一死3塁、打席には涼碧、これまた初球スクイズ、見事に決まって3点目、この先制パンチが効きました。この後颯大は慎重なピッチング、いざというときには三振を奪い、キャッチャー大河も盗塁刺殺でピッチャーを助け、見事な完封勝利。5回表には夢和が公式戦初ヒットをセンターに放ち、これにはウエストの選手もベンチスタッフも応援団も大歓声、大フィーバーが巻き起こりました。コロナ禍、苦難の年、最後の最後に悲願の優勝、有終の美を飾りました。
主将の吉田 舜はオレについてこいとグイグイ引っ張って行くタイプではありませんが、外野の要センター守備、積極的な打撃で打率.340、打点も2位と活躍しました。山ア 洸は5年のときサイクルヒットを記録、6年では1番ショートとして最多四球・得点でチームに貢献しました。丹下大河は背番号1を背負いながら最終的には捕手として盗塁阻止率.326というダントツチーム記録を打ち立て、打撃ではしばしばチャンスに打って、自慢の足を生かして得点率もトップ、とにかく目立つこと大好きでした。川井田涼碧は1番につなげる意味で9番でしたが非力で中々ヒットが出ません。しかし守備のサードは細うで繁盛記(新珠三千代ワカル?)、矢のような1塁送球でバッタバッタとアウトにしました。笹山颯大は捕手でスタートしましたが、その剛球の魅力に耐え切れず投手に転向させられ、防御率は歴代エーストップの1.16、奪三振は2イニングに3個という驚異的奪取率、打率、打点もトップの活躍でした。庄司陽稀はセカンドを守り、常に親の期待を一身に背負いながら重圧に耐えて頑張りました。ファースト伊藤 翔は空気を震わせる鋭い振りで、当たればボールはピンポン玉のように飛んで行き、長打連発、本塁打王でした。山田夢和は上記の通り活躍しましたが、ライトを守り、何より1塁送球時の堅実なカバーは特筆モノでした。弟思いの優しいお姉ちゃん、チームのアイドルでした。6年生平均打率.249は例年に比べて大変低いながら、わずか4大会で優勝、準優勝各1は見事、コロナ禍のもと、家族や指導者に感動と勇気を与えてくれました。
2011年の東日本大震災以来の暗いスタート、それどころかCOVID-19の勢いが収まらず、勉強もままならぬ苦しい状況下、やっと練習ができるようになって、試合もわずかしか出来ない中で、見事な成績を残してくれた選手たち、アッパレです!身体も気性もバランバランの8人でしたが、例年以上に思い出に残るのではないでしょうか。これからはもっと明るい未来がある、頑張れ!