スコアラーの目2015    澤 藤 隆 一

 2015年の大井ウエストは6年生が4人、2012年と同じです。2012年は4年生の矢野壮真が5年生を押しのけてレギュラーでしたが、2015年は5年生5人でなお2人控えでした。年間優勝三回、30勝を目標としました。ウエスト史上最高成績2013年の6年生が6人、42勝6敗、勝率8割7分5厘、年間6敗しかしないというのは無理としても、せめて最後の最後に優勝できた2012年は超えようということでした。結果はウエスト史上最多の年間50試合で優勝一回、37勝13敗、勝率7割4分0厘、2012年の年間49試合、優勝一回、38勝11敗、勝率7割7分5厘と比べ、数値的には下回りましたが、内容的には遜色ないものでした。この3年を数値比較すると

富士見
親善
南部
春季
市内
春季
東入間
春季
西部
夏季
松本旗 毛呂山
町長杯
東入間
秋季
南部
秋季
西部
選抜
市内
秋季
川合ランバー旗 北岡杯
2015 8 2 0 4 0 1 2 4 2 4 0 0 8
2013 1 - 1 8 0 - 1 1 4 0 1 0 2
2012 8 4 2 4 0 - 4 4 8 0 1 2 4

 数字の1:優勝、2:準優勝、4:3位(BEST4)、8:BEST8です。2進法で1→8、2→4、4→2、8→1で重み付けしますと、2015年:28、2013年:47、2012年:27となります。新設の松本旗を除けば2015年:20ですから一番下ですが、南部春秋共に準優勝、西部選抜第三位(ウエスト史上初)と言うのは、埼玉県の南部地域、西部地域に「ウエスト強し」の評判を定着させた快挙と言えるものです。年間勝利数が目標は越えたものの伸びなかったのは、前年同様市内大会が春秋共に初戦敗退のためです。典型的外弁慶と言える結果ですが、まあ内弁慶よりは良いでしょう。
 キャプテン長谷川大和は、捕手としてチームの要の重責を果たしました。重心の低い打撃フォームは抜群にカッコ良く、打席での構えはいかにも強打者、相手ベンチ、バッテリーに脅威を与えたはずですが、何故か打率が上がりません。打ってくれよという場面で凡フライ、もしくは「行った〜〜〜」という強烈打球が真正面、ウエストベンチが天を仰いでア〜〜〜という場面は数知れず・・・・。出塁したら俊足、走塁が上手く、本塁へ帰ってくる得点率が高いのですが、いかんせん出塁率が低いのです。四球を選ぼうとか、セフティ狙って出ようとか、あまり考えないタイプでした。捕手としてはキャッチャーフライへの反応が素晴らしく、度々投手を助け、安定感がありました。
 瀬戸尾侑宏はエースとして26勝6敗、勝率8割1分3厘は立派ですが、防御率は2.84と歴代エースに比べれば悪いのに勝利数は川井田流碧、小河原瞬に次いで3番目なのは、バックが例年以上に強力だったからです。しかもどう見ても負け試合でも選手たちは諦めず、最後の最後に逆転するといった粘り強さが過去に無い特長でした。ウエストのエースにしては珍しく球にキレが無く、四球も1試合平均3個チョット出す苦しいピッチングですが、抜いていないのに球が来ないので打者がタイミングが合わないという不思議な投手でした。終盤肩の故障で1ヶ月ちょっと投げられなかったのが残念でした。打撃でも活躍し、打率は最後に井上陽太に抜かれましたが、四球38個はウエスト新記録です。盗塁もダントツトップ、得点もトップで、チームの勝利に貢献しました。
 井上陽太は頼りになる選手でした。三塁の守備ではよくエラーしましたが、5年生時代のレフトが実は得意で、ふじみ野クラブでは超美技で信頼を得ましたが、チーム事情で三塁手でした。エラーを引きずらず、ここぞというところではしっかりした守備をしました。打撃では「ここで打ってくれ」というときに打つ、また相手がエラーする、何かを持ってる選手で、打点王です。力まないで、集中できるのでチャンスに強い、神様、仏様、陽太様、という場面が何度もありました。
 不動の4番長田頼は、実は重過ぎて動かせないのが真相でした。ビュンと振ると空気が震えます。これを感じて相手チームの外野手はツツツツと後じさりしました。本塁打は歴代3位、大砲というのがふさわしく、打球の速さ、飛距離は感動的でした。首位打者でもありました。身体が硬く、1塁の守備範囲は狭く、伸びて捕球もできませんが、良く声を出し、周りに掛ける声の指摘内容は実に的確でした。ただ、他人に厳しく自分に優しい面が否めません。
 6年生4人とも違うキャラクタでしたが、皆素直で、チームのまとまりが良かったのは、ウエストの伝統を引き継いで和気藹々と下級生をリードしてくれたからでしょう。市内チームとの対戦では大井ベースボールクラブに2度コールド負けして、松本旗決勝で一矢報いて優勝、上福岡第五クラブとは1勝1敗ですが東入間秋季大会準決勝で不覚をとり、大井少年ファイターズとも1勝1敗ですが最終戦で完敗でした。富士見市のライバルチームとは、みずほ台ヤンガースと1勝1敗、富士見エンゼルスに1勝、勝瀬キッズに2勝、水谷フェニックスに3勝と優勢でした。強豪坂戸ロイヤルズとも1勝1敗互角の勝負、歯が立たなかったのは若松ブルーウィングス(2敗)だけ、不本意は西部夏季の霞ファイヤーズ戦だけです。冨士川監督がふじみ野市少年野球連盟から優秀監督賞を頂けたのは、大井ウエストの名前を轟かせてくれた選手たちのお蔭です。感謝、感謝です、ありがとう