スコアラーの目2008                   澤 藤 隆 一

今年度は6年生が6人、トータル成績は16勝13敗、5割5分1厘の勝率は2000年以降では5番目、スコアラーから見てこの間で一番強かったのは2001年度新井祐司主将のとき、平山監督だったが、19勝6敗、7割6分、選手の素質が高かった。一番勝ったのは2005年度三吉唯仁主将のとき、24勝18敗、5割7分1厘の勝率で、冨士川文太が投打に活躍した。それでも今年は最もホームページに写真も載せたし、楽しい年だった。それというのも5年生の時の11勝7敗、6割1分1厘という成績から見て期待度が高かったのにシーズン開幕から常に負けが先行する展開、こんなはずはないという焦りが常にあったのだが、8月以降目を剥くばかりの連戦連勝、負ける気がしない、併せて5年生も4年生も各大会で活躍して、大井ウエスト強しの印象が少年野球界に浸透したからだ。これまでは2006年度前田卓三主将のときに松原令児の投打に亘る活躍で19勝14敗、5割7分5厘と前年に続く好成績だったときを除き隔年で勝率5割を前後していたのだから、大井ウエスト黄金時代が始まったと言える。思い起こせば2003年度の松木大樹主将の時と同じパターンである。エースの佐々木俊宣が勝てず、春から負けが込んだ。しかし三芳・大井リーグ戦で強豪三芳ドリームズにサドンデスのサヨナラ勝利してからチームは乗った。勝ち投手は宮澤悠太、球は速くないが抜群の制球で年間防御率1.34は今も記録だ。このリーグ戦で3位、東入間秋3位、南部秋3位、結局20勝12敗勝率6割2分5厘、宮澤が肩を故障したら佐々木俊宣が奮起して勝ち進んだ。今年は6年生6人で、飯田の欠場が多かったのにここまでの成績が残せたのは、下級生のサポートもあるが、なんと言っても上條将希のシュワッチ!変身である。春にコールド負けした上福岡パワーズとの東入間秋の準々決勝、小峯恭輔との壮絶な投げ合いは、まるで鬼が乗り移ったようなピッチングで身震いするような出来だった。準決勝の上福岡イーグルス戦、各大会で好成績を残すイーグルスも7回完封、このときの上條将希を攻略出来るチームはなかろうと思われた。しかし決勝はダブル、さすがに細身の体では2試合連投の体力は無い。西部選抜大会も準々決勝ダブルで勝利目前力尽きた。南部大会準決勝の富士見ファイヤーズ戦では故障を隠して先発、負けたが皆に夢を見させてくれてありがとう。6年で唯一人打率3割をマークして三冠王。監督の信頼厚いキャプテン青木一也は低打率にあえいだが最多四球・盗塁、湊地広は捕手として上條を支え、体が大きくなり後半打撃が向上した。遠藤和也は単打が多く1試合に1本はヒットを打った。高橋凌哉は下手な守備を努力で向上させ、最後は形になった。飯田拓海は学業のあまり半分しか試合に出ず、それでも犠打は一番、「あなたのためだから」と監督は自分を犠牲にして他の選手を生かす心を教え、それに応えた。後半、チームを盛り上げた6人のサムライに心からの感謝の言葉を贈りたい。

34回埼玉西部地区少年野球秋季選抜大会2回戦 2008年11月3日(月)坂戸市民運動公園野球場 849

大井ウエスト無安打で勝利!

 
チーム

1

2

3

4

5

6

7

野球は最後までわからない。最後に笑った者が勝ちなのだ!

 

 高階キングス

0

0

1

0

0

0

0

1

 大井ウエスト

0

0

0

0

0

2

×

2

勝利投手:上條将希

戦況:前半戦の戦績では到底出場が見込めなかったが、後半の快進撃で上福岡パワーズを抑えて選抜されたウエスト、印象深い試合は数あれど、2回戦のこの試合を選んだのは、野球の醍醐味を知る試合だったからだ。体のデカイ高階キングスは学年が違うのでは?と思うほどだが、上條将希の球威に押されていた。一方のウエスト打線は村上投手を全く打てない、球は遅いが4回まで完全試合の様相。3回表、打てそうもない8番打者にストレートの四球を与え、キングスベンチすかさず代走、この投手では容易に点が取れないと見て早めに仕掛けて来た。代走だけにさすが足が速く、2,3盗され、暴投で先取点を取られた。この後上條は相手に付け入る隙を与えない。野球は守りに守ればチャンスは必ず1回は来る。キングスは5回から満を持してエース佐藤を出してきた。球がムチャクチャ速い。長身から投げ下ろして来るので角度もある。ウエストの打者は見逃し、空振りと三振の山。6回裏2者連続空振り三振で2死、まだ継投完全試合だ。9番西澤がデッドボール!主審代走指示し前打者の高橋凌哉1塁へ。青木一也は投手を牽制し、ストレートの四球、2死1,2塁、これは千載一遇のチャンスだ。打者は内野、2球続けてストライクで追い込まれたがファウルで粘り、2死2-3、しかし8球目打ち上げた、あ〜、ピッチャーフライ、万事休す、ところがファーストが打球を追って投手と交錯し、ポトリ、3-本間で見とれていた高橋に監督は「行け〜っ、凌哉、行け〜〜っ」と絶叫、慌てて本塁へ向かう高橋、本塁への送球は間に合わず「セーフ!」、走者を刺そうと2塁送球も「セーフ!」、この間に青木は本塁を陥れて逆転。最後は湊が3盗阻止して勝利。野球は最後までわからない。最後に笑ったものが勝ちなのだ。