スコアラーの目2007                  澤 藤 隆 一

今年度は6年生が3人、主将の佐々木誠太、三吉悠月、櫻井真弥の女の子二人、昨年は69人で1914敗勝率575厘、今年は714敗勝率333厘、この数字をどう見るか?スコアラーから見れば「よくやった」と思う。佐々木誠太は主将の重責からか、5年生のときののびのびした打撃が影を潜め、力みによる凡打が多く、史上初の3割未満の4番打者かと思われたし、投球も制球が悪く、記憶に無いほどの死球の数、しかしバックを信頼した投球ができるようになってからは、東入間地区でも有数の好投手に変身、連れて打撃も良くなって3割を突破した。この戦力で7勝できたのはこの主将あればこそである。三吉悠月は男の子に比べて非力だったので出番は少なかったが、休まずベンチ入りしたのは立派である。櫻井真弥は恵まれた体力を生かして時々大活躍した。他チームには脅威だったろう。

関団連2007読売旗争奪関東少年野球大会埼玉地区大会 2007630日(土)上野台小 13221447

チーム

1

2

3

4

5

6

7

 朝霞フレンズ

0

0

0

0

0

0

0

0

 大井ウエスト

4

0

2

0

0

0

×

6

勝利投手:佐々木誠太

戦況:ウエストは初めて関東団地少年野球連盟の大会に出場、この大会は各地区の強豪チームが集まるからなかなか勝ち抜くことは難しい。初戦の相手は過去も熱戦を展開してきた強豪朝霞フレンズ、試合前にも体力差は誰の目にも明らか、負けちゃいないのは横の飯田、縦の櫻井真弥だけ、試合前に並んだときも真弥は一際大きい。ウエストは大量点を取れない試合が続いている。それならば守るしかない。守りの要は投手だが、この日の佐々木誠太は最高のピッチングだった。なんと、ノーヒットノーランで残塁ゼロに抑えるピッチング、観戦していたふじみ野市少年野球連盟の松本勝治会長は「素晴らしいピッチャーだ」と誉め、グラウンド責任者の池田副会長(上野台ファイターズ代表)からは「投手も素晴らしいが、2ランスクイズを2度決めるのはコーチングスタッフの指導が良いからだ」とこれまた褒められた。主審を務めた伊藤審判も「佐々木誠太の投球はものすごく良かった」と言った。試合会場だった上野台小学校の宮崎コーチ(ウエスト前田コーチの高校の先輩だそうだ)から佐々木誠太の球がコースも良く球も伸びてズバズバ来ていたと言われた。投手は学年差が際立つので、6年生投手が頑張れば勝機はある。この日の佐々木誠太の投球ならば負けることはないが、それを引き出したのもバックの堅守だ。佐々木誠太は766球、1四球を与えたため完全試合は逃したが、その走者も併殺に仕留め721人で残塁ゼロの結果だった。バックを信頼し、打たせてとる投球だからこそ投球に伸びが出て、5三振を奪った。ムダな投球が少ないのでバックの緊張感が持続し好守を呼ぶ。処理した内容は投ゴロ1、投フライ1(佐々木誠太)、捕前セフティバント1(青木)、1塁フライ1(飯田)、セカンドゴロ1(内野)、ショートゴロ1、ライナー2、フライ1(小西)、サードゴロ1、フライ2()、センターフライ1、ライナー1(上條)、ライトゴロ1(前田)、結局打球が行かなかったのはレフトの櫻井のみ、それだけ投球が良かったということだ。相手チームも可愛い女の子がレフトを守り、足も速く、スクイズまでして、2得点をあげるのには驚いただろう。憎らしいから2打席目はぶつけちゃったら♪バカにしないでよ♪(山口百恵”プレイバック”風に)と、3打席目、お返しにレフトへドデカイ当たりをぶっ放した。フレンズの外野は上手いのでアウトになった。もうひとりウエストには三吉悠月というアイドルがいるがこの日はコーチャーでお目見え。体力で劣れば攻撃面はどうしても弱い。しかし守りは鍛えれば小さくても対抗できる。

 6年チームに対してこちらは6年が2人、3年生まで入れてベストオーダーを組んだ冨士川監督、勝負は勝たなければ意味が無い。この日の前田のようにライトゴロを楽々アウトにしてくれると投手は助かる。学年が上だから出してあげたいというのは当然気持ちとしてあるが、勝ちに行くときは非情になってベストの布陣を敷く。試合に出たいからこそ必死に監督の練習に着いて行く、そういうチームが強くなる。学年が上がれば体力がついて来るからそれに技能が伴えば試合に出られるようになる。それまで一生懸命練習することだ。指導者に「学年が上だから」とか「最初は様子見で後で布陣を変えれば良い」という気持ちがあってオーダーを組むと、時に最初につまづくことがある。これがタラ、レバになるので、ベストオーダーで臨み、それでだめだったらしょうがないという気持ちで試合に備えるのが大事だ。親もこの辺りは理解して欲しい。上野台ファイターズの池田代表が評したのは、監督の期待通りに選手が動くことを褒めたのである。そしてそういうチームを作った監督はじめ指導者が良い。バックの父母の支援が良い。そういうこと。