埼玉県東入間学童野球連盟

知 っ 得 2

ここから以下は特にスコアラーの方に知って頂きたいことです。

 

 ☆ ☆ ☆ 犠打とは? ☆ ☆ ☆

 「犠打」とは、打者が犠牲になって、走者の進塁や得点を助けた打撃のことです。犠牲フライ犠牲バントがあり、いずれも打数には含まれません。「犠打」とは犠牲バントのことで、犠牲フライは「犠飛」と表記するという説もあり、両者を包括する場合には「犠打飛」と言います。ただしスコアラーのために言いますと、犠牲バントは出塁率を下げませんが、犠牲フライのときは出塁率が下がります。『公認野球規則』で「出塁率を出すには、打数、四死球、犠飛の合計数で、安打、四死球の合計数を割る」と明記されており、出塁率計算するときには犠打と犠飛が異なります。したがって、スコアブックの解説で出塁率=出塁数/打者数と書いてある(成美堂出版)のは間違いです。これならばエラーで出塁しても出塁率計算に含まれることになります。また間違えやすいのは、得点が記録されることが「犠牲フライ」の必要条件だという点です。例えば大きなライトフライで、二塁走者がタッチアップして三塁へ進塁しても記録上の「犠牲フライ」にはならず単なる「進塁打」で、「打数」がカウントされて、打率を下げることになります。また、犠打は明らかにその意思があってプレーした場合だけが犠打であり、結果として犠打になった、ということはありません。

 

 ☆ ☆ ☆ 打数に入らないものは? ☆ ☆ ☆

 打席数には入るが打数に入らないのは、四死球、犠打、犠飛、打撃妨害または走塁妨害による出塁です。2ストライク後代打に出て三振だった場合は2ストライク目を取られた打者に三振がつきます。打撃妨害または走塁妨害の場合、それを行った野手に失策がつきます。

 

 ☆ ☆ ☆ 野選とは? ☆ ☆ ☆

 「野選」とは、野手選択を省略した言葉で英語ではフィールダースチョイス、すなわちフィールドにいる人すなわち野手が打球を捕って最初から一塁に送球していればアウトがとれたのに塁上の走者と打者走者を選択した結果どちらもアウトを取れなかったような場合(狭義のフィールダースチョイス)を言います。このケースは少年野球に限らずプロでも大変多く、野手の一瞬の判断の難しさ、捕球の次に送球という動作が加わる、走者の足の速さなど様々な要素があって、安打とするか野選とするかは「明らかにアウトがとれたはずかどうか」で判断します。たとえば一死一塁でショートゴロ、最初から一塁に送球していれば十分アウトになったはずなのに、打球を処理したショートが二塁に送球してセーフ、セカンドから一塁に転送されて一塁もセーフだったような場合、この打者はショートゴロ野選で塁に生きたことになります。打撃記録上は、6FCと表記しますが、あくまでもショートゴロであり、打数はカウントされますから打率も下がりますし、出塁率も下がります。これは、打者がショートゴロエラーで塁に生きた場合も同様です。

 内野ゴロの場合ではなく、二死二塁でセンター前ヒット、二塁走者は三塁を回り、センターがバックホーム、本塁はセーフで、その間に打者走者が二塁に達した場合、打者走者の二塁への進塁はどういう記録になるでしょうか?これは「送球の間の進塁」ですから、これも「野手選択」の一形態(広義のフィールダースチョイス)です。2塁打と記録したり、単打〜盗塁と記録するのは間違いです。つまり、野選もエラー同様、出塁だけでなく進塁に対しても記録されます。だからと言ってエラーと異なり野手が悪いとも言えません。したがって野選は打者にとっては凡打と同じ、守備側にとってはエラーではないのでスコアブックにも特に集計欄は無く、チーム記録にも野選数として残ることはありません。

 

 ☆ ☆ ☆ 失点自責点とはどう違う? ☆ ☆ ☆

 投手が安打であれエラーであれ、押し出し四死球であれ、相手に点を与えたら失点です。投手Aがランナーを残してBに交代し、B投手が打たれてランナーが生還した場合、A投手が残したランナーの得点はA投手の失点になります。打たれた後の投手が悪いと、ふて腐れてはいけません。ランナーを残したほうに責任があるのです。「失点」とは誰が出した走者であるかを問わず、得点が入ったときに投げていた投手に記録されるという解釈をしている人もいるかと思われますのでご注意ください。また前の投手が残した1塁走者が内野ゴロで2封され、残った走者がその後の安打で生還した場合、この失点も前の投手のものになります。これは単に走者が入れ替わっただけなので、前の投手の責任が免れないからです。

 自責点とは投手の責任で失った点のことです。エラーやパスボールが絡んだときは自責点にはならないというのが大原則です。ただ自責点の難しいところはエラーで出した打者の生還は自責点になりませんが、その後四球を出した(→投手の責任のランナー)、エラーで進塁した、ヒットでランナーが出た、投手交代した、またエラーで走者が生還した、こんなことが延々と続いて、どれが自責点のホームインでどれが対象外なのか訳がわからなくなるケースです。守備側が相手チームの選手を3人アウトにできる守備機会をつかむ前に、安打、犠打、犠飛、盗塁、刺殺、野手選択、四死球(故意四球を含む)、ボーク、暴投により、走者が得点するたびごとに記録されます。野手選択により取れるはずのアウトを取れなかったような場合は投手に責任はありませんが、自責点の対象になると定められています。

 自責点に含んではならないのは失策と捕逸です。ここにいう失策とは、守備失策の他に、打撃妨害で捕手または野手に失策がついた場合、走塁妨害で野手に失策がついた場合、捕れるはずのファウルフライをエラーした後の安打で一塁を得た場合を含みます。正規に出塁した走者が失策や捕逸の助けを借りて進塁したが、もしこれが無くてもその後の展開で、当然進塁して得点できたはずと思われる場合は自責点になります。長打により得点したので失策や捕逸がなくても得点できていたはずなどという場合です。たとえば四球で出た走者が捕逸で二進した後、@単打でホームインした場合は自責点になりませんA三塁打以上の長打で生還した場合は自責点となります。エラーやパスボールでランナーがホームインした場合は自責点になりません。

 さて正規に出た走者が三塁にいて、内野ゴロエラーの間に生還した場合、@エラーがなければホームインできなかったと判断されればエラーによる得点ですから自責点になりませんAエラーが無くても生還できたと思われる場合は自責点になります。これは少年野球では公式記録員などいませんので、スコアラーの判断になります。内野ゴロでサードランナーが生還できるケースは少年野球では多いので、このあたりの判断はビミョーになります。

 投手の「暴投」や「ボーク」による失点は自責点に含まれますが、投手の「失策」による失点は自責点から除外されるというのも間違えやすい点です。投手と言えどもエラーしたのだから自分の責任かと思いがちですが、そうはなりません。あくまで野手の失策による失点は投手も含めて自責点にはなりません。

 振り逃げで出た走者の得点、または振り逃げの間に三塁走者が生還した場合、どちらもその要因が暴投ならば自責点の対象になりますし捕逸ならばなりません。

 さて3人アウトにできる守備機会というのが実は大問題です。本来なら3アウトになっていたはずという後にどんどん点が入ったとしてもこれはもう自責点になりません。アウトにできる守備機会の数え方ですが、アウトになったら当然1カウントアップします。一人の打者または走者が失策によりアウトを免れた場合も1カウントアップします。併殺可能な打球だったが、失策で一つもアウトを取れなかった場合は2カウントではなく1カウントアップです。併殺は当然取れるというものではありませんから、ダブルプレーだったはずだから2ということはありません。失策で出塁して、次打者の内野ゴロで二塁でアウトになった走者は、エラー出塁で1カウント、二塁アウトで2カウントになります。ただし失策で出塁、次打者の内野ゴロで併殺となった場合は3カウントにはならず2カウントです。当たり前ですね、2人しかいないのですから(^_^)

 同一イニングに2人以上の投手が出場した場合はどうでしょうか?走者を残して投手が交代した場合は、その走者の数だけ前の投手に責任がある、というのが原則です。すなわち、リリーフ投手は、アウトカウントを引き継ぎ、走者はなしの状態から責任をもつものとします。たとえば二死無走者からエラーで走者が出て投手交代し、代わった投手が2ランホームランを打たれた場合、エラーがなければ点が入らなかったので、チームとしては失点2、自責点0です。 しかし投手の自責点は異なります。前の投手が投げている時に出たエラーの走者が得点したので、前の投手は3アウトの守備機会があったので失点1、自責点0。後の投手は2アウトで走者なしから数えますから、エラー走者は関係なく、自分が打たれたホームランに対して責任があり、失点1、自責点1となります。

 

 ☆ ☆ ☆ 暴投捕逸悪送球とはどう違う? ☆ ☆ ☆

 「投球」とは、ピッチャーが打者に対して投じた球です。「送球」とは、野手(投手を含む)が、打者または走者をアウトにするために、あるいは進塁を防ぐために投じた球です。ワイルドピッチ(暴投)は、投手の投球が、捕手が普通の守備行為で処理することができないほど高過ぎるか、低過ぎるか、横にそれるかした、投手の正規の投球を指します。ただし無走者のときに投手が高投してバックネット(注:これは和製英語です)に直接当たるような球を投げたとしてもこれは暴投ではありません。これは『公認野球規則』で「走者を進塁させた場合には、暴投が記録される」となっているからです。

 投手の投球が、捕手が普通の守備行為で処理することができるのにそらしてランナーが進塁したらパスボール(捕逸)が記録されます。この場合も同様に無走者のときに捕手が逸球してもパスボールにはなりません。また第三ストライクを捕球できず、送球して打者や走者をアウトにする間に他の走者が進塁した場合は捕逸はつけず、送球の間の進塁として扱います。

 投手が投ゴロをつかんで1塁へ投げた球が、1塁手が通常捕れないような球で後方へ行き、打者走者がセーフになったような場合は「暴投」ではなく「悪送球」ですから投手にエラーが記録され、ワイルドピッチとは言いません。

[参考] 和製英語やボールカウント 野球のナイター、バックネット、フォアボール、オーバースロー、アンダースロー、シュートボールなどは皆英語のようでいてガイジンには通じません。ちなみに英語ではナイター→night game、バックネット→backstop、フォアボール→walk, pass、オーバースロー→overhand throw、アンダースロー→submarine、シュートボール→screw ballと言います。米国ではストライクとボールを逆に言うことも有名ですね。2ボール、1ストライクと言います。

 

 ☆ ☆ ☆ 打点となるのは? ☆ ☆ ☆

 打者が本塁打で自ら得点するか、安打、犠打、犠飛、または内野のアウト(ただし併殺打の間の得点は除く)及び野手選択によって走者を本塁に迎え入れるか、走者満塁のときの四死球や打撃妨害、走塁妨害による押し出しのときに記録されます。押し出しで打点が付くのはラッキーですね(^_^)

 相手のエラーによる場合、通常打点は記録されませんが、エラーがなくても得点できたと判断できる時には打点と記録します。判断に迷うケースは野手の送球の間に得点した場合です。打撃行為の結果としての得点かどうかを見極めて打点をつけます。一死三塁で内野ゴロ、飛び出した三塁走者を三本間で挟殺しようとしたが失敗、走者が生還した場合は、打撃結果による得点ではないので打点にはなりません。無用な送球やボールの持ち過ぎなどの「ミスプレイ」の間に走者が走り続けて得点した場合は打点になり、一旦止まって野手の動きを見てから再び走り出して得点した場合は打点になりません。これはよくあるケースですが、打者がサードゴロを打ち、サードランナーが猛然と本塁突入してセーフになれば打点ですが、三塁手がサードランナーを牽制して走者が止まり、一塁送球と同時にランナー本塁へ突っ込み生還した場合はサードランナーの盗塁となります。これは5→3→2でアウトになることが十分考えられるからです。ただ状況によっては少年野球の場合打点をつけてやるスコアラーも多いかと思います。2ランスクイズの場合はセカンドランナーが迷うことなく本塁生還したら2打点になります。